大学生の対面コミュニケーション能力に影響を及ぼす要因を検討する目的で,大学生546名を対象に廣瀬らの基本的コミュニケーション尺度を用いて,心身の健康感,心身の状態,表情の読み取り,背景との関係を調査した.心身の健康感を四分位法で高群,中間群,低群の3群に分類して対面コミュニケーション得点を比較したところ,高群は中間群や低群より高かった.また,心身の健康感と対面コミュニケーション能力を高くしている背景にはアルバイトや友人が多い,ストレス解消法をもっている,規則正しい生活があげられた.対面コミュニケーション能力に影響を及ぼす要因について重回帰分析を行った結果,高くする要因は共感性と関わる「喜び」の表情が読み取れる,充実感があるなどで,低くする要因は物忘れがある,活気がないなどだった.
以上のことから,対面コミュニケーション能力にはストレス解消法をもち心身共に健康であることが重要であり,相手の感情を理解することや充実感をもって日常生活を送ることが関わっていることを明らかにした.
抄録全体を表示