心身健康科学
Online ISSN : 1882-689X
Print ISSN : 1882-6881
ISSN-L : 1882-6881
7 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特別講演
第12回日本心身健康科学会学術集会 シンポジウム
原著論文
  • 粕谷 大智, 川口 毅
    2011 年 7 巻 2 号 p. 79-90
    発行日: 2011/09/10
    公開日: 2011/09/15
    ジャーナル フリー
    【目的】腰痛ガイドラインにおいて,治療者の対応 (指導,共感,励まし) が,治療成績や満足度を向上させるというエビデンスがある.しかし,腰痛患者の健康や疾病に対する考え方,理解度,性格が治療の効果を左右する可能性があり,腰痛患者の信念体系を把握した上での対応が求められている.今回,慢性腰痛患者の健康統制感と身体所見との関係を調査し,心身健康科学からみた慢性腰痛患者の特徴と介入後の変化について検討した.
    【対象と方法】慢性腰痛と診断された49例を対象とした.評価法は,健康統制感尺度 (JHLC) と腰痛QOL尺度 (JLEQ) と不安評価尺度 (STAI) とVASと身体所見との関係を調査した.介入は,セルフケアや鍼灸治療など集学的治療を行い,介入3カ月までJHLCの推移と,それぞれの指標との関連について検討した.
    【結果および考察】JHLCは5つ下位尺度の中で,内在的統制において点数が高い傾向であった.また,介入3ヵ月後においてQOL尺度,STAI,VAS,身体所見とも有意に改善を認め,JHCLは内在的統制で有意に点数が増加した.VASの初診時と介入3ヶ月時の変化量を基準変数とした重回帰分析の結果では,QOL,STAI,身体所見の変化量で寄与率が強く,JHLCでは外在的統制の医療関係者の項目の変化量に寄与率が強い傾向であった.
    以上,内在的統制が高い患者であること,または介入により内在的統制を高めることと,外在的の因子では医療従事者の関わりが,より効率的な保健行動を向上させる可能性が示唆された.
  • 落合 龍史, 大東 俊一, 青木 清
    2011 年 7 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2011/09/10
    公開日: 2011/09/15
    ジャーナル フリー
    近年,メタボリックシンドロームが問題となっており食生活の改善が重要と考えられ,若い頃からの生活習慣が大切である.今回,健康的な生活習慣の能力として健康保持能力 (SOC : sense of coherence) に着目し大学生を対象に健康のための生活習慣について調査することを目的とした.
    男女大学生を対象に主観的健康感,生活満足度,睡眠満足度,食生活満足度およびストレスを感じている程度,生活習慣およびSOCを調査し,157名 (女性100名,男性57名) の回答が得られた.その結果,主観的健康感,各満足度およびSOCは男子学生が女子学生に比べ高値であった.生活習慣については,健康のための行動をする割合は男子学生が女子学生に比べ高かったが,その詳細で男子学生は運動を選択する割合が高く,女子学生では食生活因子を選択する割合が高かった.また,SOCの層別解析からSOCが高いと主観的健康感や生活満足度も良好であったが,具体的な健康のための行動の詳細との間に関係は認められなかった.
    以上,大学生の健康保持能力としてのSOCは健康のための行動までは反映していないが,健康のための行動に性差が認められるので,今後SOCを形成させるためには,性差を考慮し男子学生には食生活,女子学生には運動の大切さを指導に取り込むことが重要であると示唆された.
feedback
Top