孤独死の問題が取り上げられる時,社会との繋がりが希薄になっていることが原因であるという見方がされる.また,心身健康の側面から見たとき,精神疾患者は,周囲の理解を得ることが難しく,同様に社会との繋がりが希薄になってくる.
本研究では,独居死と精神疾患の関連を明らかにするために,過去3年間に実施された法医剖検例から性別,年齢,死因,既往歴等を抽出し,調査した.
剖検例1702件のうち,独居死は472件であった.このうち,精神疾患者群は,123件見られ,その年齢構成は,高齢者よりも,若年層に多いことが示された.死因について,特徴的な傾向として,男女とも精神疾患者群では,中毒及び自殺の割合が高く,特に,65歳未満の女性の精神疾患者群では,この傾向が顕著であった.この中には,薬物の多量摂取が疑われる事例があり,精神疾患者特有の現象と考えられ,精神面でのサポートの必要性を示している.
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