日本ヘルスケア歯科学会誌
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15 巻, 1 号
日本ヘルスケア歯科学会誌
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
  • 歯の喪失状況からみた10年間のメインテナンス効果について
    岡 恒雄
    2014 年15 巻1 号 p. 6-16
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    メインテナンスに毎年来院している患者と,必要な処置は受けるがメインテナンス来院のまったくない患者を調査しメインテナンスの効果を検証することが,本研究の目的である.医療生協玉島歯科診療所の来院患者で2013年9月時点において60歳から79歳までの有歯顎者のうち,「必要な治療終了後現在までの過去10年間メインテナンスを受けている群(64人)」と「初診終了後ほぼ同期間メインテナンス来院のまったくない群(82人)」を選定し,10年間の喪失歯数の差とその要因を検証した. 10年間に喪失した歯数は,メインテナンス群60代1.2本±2.3本(平均±1SD:以下同様),70代1.1本±2.0本,非メインテナンス群60代2.0本±3.3本,70代4.4本±4.0本であった.両群間の平均喪失歯数の差は,60代で0.8本,70代では,3.3本であった.10年間の喪失歯数の推移をみると,50代から60代にかけての10年間の変化は比較的少なく,60代から70代にかけての変化が大きかった.喪失部位ごとの比較ではメインテナンス群で下顎前歯部での抑制が顕著であった.両群間でみると歯周病の進行度,喫煙率,糖尿病有病者率が非メインテナンス群で高く健康観との相関性が示唆された.
症例報告
  • 田中 正大, 柳 妙子
    2014 年15 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    3歳の初診時に多数のう窩があり,治療や指導にも非協力的だった小児患者に対して,医院側の意識改革をして,担当歯科衛生士を決めてより深く患者にかかわり,母親とともに診療所全体で患児の予防意識を高めていく対応をした結果,信頼と協力が得られ,その後成人するまで長期にメインテナンスを続け,カリエスフリーの永久歯列を獲得した一例を報告する.
  • 高橋 啓, 大野 由衣
    2014 年15 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    患者は55歳(初診時),女性.上下左側臼歯部が腫れと痛みを繰り返すことを主訴に来院した.口腔内診査の結果,上下顎左側第二大臼歯周囲に著明な骨吸収を認めたため,保存不可能と診断して抜歯した.抜歯後の欠損補綴に関して患者とともに検討した結果,インプラントを用いて大臼歯部に咬合支持を確保することとした.歯周基本治療後にインプラント治療を行い,左側大臼歯部の咬合支持を確立した.左側に咬合支持を得てから6年経過した現在,大きな問題なく経過している. 本症例におけるインプラントを含めたメインテナンス,定期管理について詳細に報告する.
  • 滝沢 江太郎, 新岡 幸子
    2014 年15 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    15歳の女性がクリーニングとむし歯の治療を主訴に来院した.う蝕初期治療時はう窩をグラスアイオノマーセメントにて暫間修復し,定期健診のなかでう蝕活動性を評価・改善することを目標にし,早めにメインテナンスへ移行した.そのなかで,生活習慣の影響を大きく受けるう蝕活動性を再評価し,う蝕活動性の低下に伴い歯質の硬化(再石灰化)を確認してからコンポジットレジンによる修復処置を施した.同じ部位のう窩でも,う蝕初期治療時にみられた脱灰病変が広がっている時期よりも,再石灰化してから切削・修復処置を施した場合の方が歯質の温存につながると考えられた.また,この取り組みに対する一定の結果は得られたものの,目には見えないう蝕活動性を把握するための当院におけるシステム上の課題も浮き彫りになった.
  • 藤原 夏樹, 山岡 茜
    2014 年15 巻1 号 p. 36-38
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    5歳女児の上顎右側第一大臼歯にエナメル質形成不全が認められた.ブラッシング指導等を行いながら経過観察をしていたが,徐々に小窩裂溝内からう窩が形成され始めたため,歯質を切削して充塡処置を行った.その過程において,術前に撮影したDIAGNOcamの画像における陰影部の形態と軟化象牙質除去後の窩洞の形態がほぼ一致したことから,同様の症状を呈すエナメル質形成不全歯のう蝕治療においてDIAGNOcam査の有用性が示唆された.
  • 丸山 和久, 玉置 理紗
    2014 年15 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    患者は初診時51歳の男性.脱離したインレーの再装着を希望して来院された.主訴への対応の後,把握した口腔内の状況を伝えたうえで歯周基本治療を行った.患者は仕事でも要職につき多忙な様子であった.当初は途中で来院が途絶えることを心配したが,治療後の定期的なメインテナンスに移行してから3年が経過した.担当歯科衛生士とも良好な関係が構築できており,健康のパートナーとして関わる喜びを改めて感じた症例である.
  • 岡本 昌樹
    2014 年15 巻1 号 p. 45-49
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    人口18,000人の地方農村部にある公立保育園において,2012年と2013年の歯科検診の際,質問用紙「はみがきと食生活のアンケート」を配布して,検診結果との関連性について調査を行った.児童数は124名,年齢分布は0~5歳,兄弟の数は2~3人が多く,祖父母との同居率は約25%だった. 全体として口腔衛生への関心度は高く,仕上げみがきは「毎回」と「時々」を合わせるとほぼ全員が行っていた.フッ化物の使用は歯磨剤とフッ素ジェルの複数の使用等もみられたが,使用開始年齢が2~3歳頃からと遅い傾向がみられた.食生活に関しては,年齢が上がるに従って多様化してリスクも高まる傾向がみられた.また祖父母との同居は,低年齢では非同居の群と比べてう蝕歯数が多くみられたが,4~5歳では差はみられなかった.
  • 有松 稔晃
    2014 年15 巻1 号 p. 50-78
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    今回,当院において矯正治療を行った治療開始時年齢が18歳以下の永久歯列者患者100名における,治療前後のう蝕発症率と好発部位について調査を行った. う蝕に関しては,ICDASの判定基準に即して白濁などエナメル質の脱灰をう蝕と判定した.ただし,初診時においては口腔内写真からの判定であり,臨床診査ではないが,不正咬合の種別によってう蝕発症部位の違いは認められなかった.一方,初診時においてう蝕を有する患者38名のうち,矯正治療中にう蝕が発症しなかった者は21名,う蝕が発症した者は17名であった.また,初診時においてう蝕を有しない患者62名のうち,う蝕が発症しなかった者は39名,う蝕が発症した者は23名であった.う蝕が発症した40名のうち,う窩を形成した患者が4名13歯存在したが,多くはう窩を形成しないう蝕病変の状態であり,上下第二大臼歯咬合面の着色と上下前歯部唇面および,下顎第一大臼歯頰側に白濁が多発する傾向が認められた.第二大臼歯に関して,上顎においては治療前に萌出していた者と,治療中に萌出してきた者に発症率の差はなかったが,下顎では治療中に萌出した者に多発していた. また,白濁は同一者に多発する傾向が認められた.とくに初診時に白濁が認められた6名全員に,治療中に新たな白濁が生じていた. これらのことを踏まえて,う蝕に対する自院における口腔衛生プログラムの見直しを行った.とくにICDASを利用した予防管理を今後とも積み重ねていきたい.今後「治療結果の臨床統計と長期観察例の蓄積」を重ねることで,後天的な環境の関与に関して検討を加え,情報発信することで歯科矯正専門医としての責務を果たしたい.
調査報告
  • 藤木 省三, 秋元 秀俊
    2014 年15 巻1 号 p. 79-91
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2025/08/03
    ジャーナル オープンアクセス
    この調査(初診患者調査)は,歯科診療所受診者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所が日常的に記録している資料を収集して分析するものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,小児についてはDMF咬合歯数,成人についてはDMF歯数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録(いずれかを満たさない場合を含む)のある会員に協力を要請し,その記録を集計分析した.今回の第8次調査(第6報において第6次,第7次の調査を報告した)は,37診療所(18都道府県)の1年間(2012年1月1日から12月31日)の初診患者を対象にしたものである(粗患者総数10,708人).ただし,協力診療所ごとに診査・記録範囲が異なるため,調査項目ごとに母集団は異なり,初診患者の年齢・性別調査では9,778人だが,20歳以上の喫煙と歯周病の進行度では4,249人が対象母集団となっている.未成年者のDMFTで,12歳児では男子2.24(2005年第1次調査は2.30),女子1.94(同2.32)であった.5,839人を対象とした成人の現在歯数(残存歯数)のうち60~64歳の年齢階層では,男性では22.8歯(2005年第1次調査は21.7歯),女性23.1歯(同22.7歯)とわずかに増加傾向を示した.調査協力診療所のある自治体の一人あたり地方税額を指標として住民の富裕度によって疾患の状況を比較すると,顕著に一人あたり地方税額の低い自治体の初診患者群で,高齢になるほど歯の健康指標が比較的低位にあることが明らかであった.
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