この調査(初診患者調査)は,歯科診療所受診者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所が日常的に記録している資料を収集して分析するものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,小児についてはDMF咬合歯数,成人についてはDMF歯数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録(いずれかを満たさない場合を含む)のある会員に協力を要請し,その記録を集計分析した.今回の第8次調査(第6報において第6次,第7次の調査を報告した)は,37診療所(18都道府県)の1年間(2012年1月1日から12月31日)の初診患者を対象にしたものである(粗患者総数10,708人).ただし,協力診療所ごとに診査・記録範囲が異なるため,調査項目ごとに母集団は異なり,初診患者の年齢・性別調査では9,778人だが,20歳以上の喫煙と歯周病の進行度では4,249人が対象母集団となっている.未成年者のDMFTで,12歳児では男子2.24(2005年第1次調査は2.30),女子1.94(同2.32)であった.5,839人を対象とした成人の現在歯数(残存歯数)のうち60~64歳の年齢階層では,男性では22.8歯(2005年第1次調査は21.7歯),女性23.1歯(同22.7歯)とわずかに増加傾向を示した.調査協力診療所のある自治体の一人あたり地方税額を指標として住民の富裕度によって疾患の状況を比較すると,顕著に一人あたり地方税額の低い自治体の初診患者群で,高齢になるほど歯の健康指標が比較的低位にあることが明らかであった.
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