この初診患者調査は,歯科診療所受診者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所(主に認証診療所)が日常的に記録している資料を収集して分析したものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,6歳以上の小児について一人平均DMF歯数(以下,DMFT指数),成人についてはDMFT指数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録(いずれかを満たさない場合を含む)のある会員に協力を要請し,その記録を集計分析した.今回の第9次調査は,41診療所(21都道府県)の1年間(2013年1月1日から12月31日)の初診患者を対象にしたものである(生年月日と性別の記載がある患者総数11,765人,男性5,048人,女性6,717人).初診患者の年齢構成と診療所のある自治体の年齢構成を対比したところ,受診患者ピラミッドはほぼ5種類の異なるパターンに分類できた.年齢別のDMFT歯数は,12歳児(該当者30人)では男子1.23(2005年第1次調査は2.30),女子1.93(同2.32)となり,全般に引き続き改善しているが,とくに中高生以上の未成年,および成人では60歳以上の男性で改善が顕著である.成人の現在歯数(残存歯数)はわずかに増加傾向を示した.調査協力診療所のある自治体の一人あたり地方税額を指標として住民の富裕度による疾患の状況を比較すると,DMFTの格差,残存歯数の格差が顕著だった.
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