この調査は,定期管理型歯科診療所の初診患者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所(主に認証診療所)において日常的に記録されている資料を収集して,その初診患者の特徴を分析したものである.第11次調査は,47診療所(21都道府県)の1年間(2015年1月1日から12月31日)の初診患者(生年月日と性別の記載がある患者総数13,598人,男性5,632人,女性7,966人)を対象にしたものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,6歳以上の小児について1人平均DMF歯数(以下,DMFT指数),成人についてはDMFT指数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録(いずれかを満たさない場合を含む)のある会員に協力を要請し,その記録を集計した.引き続き成人の年齢階層別DMFT指数の減少,男性の全年齢階層での喫煙者の減少,現在歯数は男性では75歳以上,女性では70歳以上で大幅に減少することが明らかになった.調査協力歯科診療所の所在自治体の成人1人当たり市町村税額により診療所を4群に分けて,初診患者の特性を比較したところ,①10歳以上の年齢階層別DMFTは1人当たり地方税の低い群で高く,②成人では低所得群で加齢に伴ってDMFTが増加する傾向がより顕著であり,③60歳以上のすべての年齢階層で,1人当たり地方税の低い群から高い群まで,その順に現在歯数の平均値が大きくなっていることが明らかになった.
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