日本ヘルスケア歯科学会誌
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18 巻, 1 号
日本ヘルスケア歯科学会誌
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 日本の予防的う蝕治療実施歯科医院における報告
    杉山 精一
    2017 年18 巻1 号 p. 6-13
    発行日: 2017/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    6歳から20歳までの小児若年期の口腔の健康は,生涯の健康に影響を与えることは知られているが,予防的う蝕治療による長期的な報告は日本には見当たらない.杉山歯科医院では,1995年にう蝕と歯周病の治療方針を予防的な考えに基づく歯科治療に転換して,臨床記録をデータベースに登録してきた.今回,このデータベース利用して,6歳から20歳までの来院者について予防的う蝕治療の受診回数とDMF歯数の増加の関連性について調査を行った.予防的う蝕治療受診回数が期間中に1〜12回のグループA,13〜24回のグループB,25回以上のグループCで比較したところ,DMF歯数の増加はグループA(4.9 ± 4.50),B(2.3 ± 2.98),C(2.0 ± 2.28)であり,Aに対してB(P-value = 0.048)とC(P-value = 0.026)は少なかった.また,同じ対象者について,1年以上の治療中断の有無についてDMF歯数の増加を解析したところ,1年以上中断ありのグループI (3.3 ± 3.49)に対して,1年以上中断なしのグループWI(1.9 ± 3.15)はDMF歯数の増加が少なかった(P-value = 0.033).この結果から,平均1年に1回以上,あるいは,1年以上中断しないで予防的な治療方針で診療を行う歯科医院で予防的う蝕治療を受診することと,小児若年期のDMF歯数の抑制には強い関連性が示唆された.また,20歳の1人平均DMF歯数を2程度に抑制できる可能性があることが明らかになった.
  • 岡 恒雄, 小林 敦夫, 中村 達哉, 桂川 卓也
    2017 年18 巻1 号 p. 14-24
    発行日: 2017/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    玉島歯科診療所で根管治療を受けた抜髄歯と感染根管歯の,治癒状況ならびに治癒に影響する要因を調べる目的で調査を行った.256名の総数426本のうち,初回治療歯は,生活歯が213本,根尖病変を有する失活歯が87本,一方根尖病変を有する既治療歯が126本であった.デンタルエックス線写真で根尖の歯根膜腔が正常であれば「成功」,病変が認められれば縮小していても「失敗」とする厳しい基準では,全体で,成功率60.8%,初回治療歯(生活歯70.0%,失活歯56.3%),既治療歯48.4%であった.治癒傾向歯を含めて成功とすると,全体で成功率73.2%であった.AAE(American Association of Endodontists)のガイドラインで評価すると成功率(Healed+Healingの割合)は,94.1%であった.成功率に影響を与える要因としては,性別,根管充塡されてからの期間,根管の拡大号数,根管数,根尖部根管充塡位置,歯科医師の経験年数が,成功率に影響を与えない要因としては,治療回数,根管充塡までに要した日数,根管充塡時の年齢が示唆された.条件が異なっている他の医療機関と比較をすることは難しいが,歯内治療専門医や大学の治療成績からみるとかなりの違いがみられた.ガイドラインに沿った基本的な対処の仕方が大事であること,また医療保険制度上の評価が低いことが要因として考えられる.
症例報告
臨床ノート
  • 片渕 恵, 副島 渉
    2017 年18 巻1 号 p. 45-48
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    歯科治療はチームアプローチと言われる.とくに,ヘルスケア型歯科診療では高度なチームアプローチが要求される.しかしながら,日常の診療に当たっては,さまざまな事故や事故に至らないミス(ヒヤリハットとして認識される)やコミュニケーションエラーが起きる.私たちは,院内を取り巻く様々な問題を改善できないだろうかと考えていた時,アジャイルの概念,および手法を学ぶことができた.それは,日々起こる問題を「個人の問題」と捉えるのではなく,「組織の問題」と捉えることで組織を変えることができるという手法であった.その手法は,歯科診療所でも取り入れることが可能と考え,取り入れてみた.結果として,実際に有用と考えられたのでその概要を報告する.
  • 杉山 精一
    2017 年18 巻1 号 p. 49-52
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    近赤外線を用いたう蝕病変検出装置DIAGNOcam(カボデンタルシステムズジャパン社)は,波長780nmの近赤外線を使用してう蝕病変を検出する検査機器である.2013年から杉山歯科医院で使用を開始してエックス線検査と併用することにより,う蝕病変の診断に有用と感じている.しかし,臨床研究報告が少なく,その診断基準が明確ではない.そこで,DIAGNOcamによる診断基準を考案した.ICDAS,エックス線による隣接面う蝕の診査基準(XR)とともに使うことにより,院内スタッフ間だけでなく患者との情報共有に活用できると考えている.
調査報告
  • 地域経済格差と健康格差に着目した解析
    秋元 秀俊, 藤木 省三
    2017 年18 巻1 号 p. 53-66
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    この調査は,定期管理型歯科診療所の初診患者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所(主に認証診療所)において日常的に記録されている資料を収集して,その初診患者の特徴を分析したものである.第11次調査は,47診療所(21都道府県)の1年間(2015年1月1日から12月31日)の初診患者(生年月日と性別の記載がある患者総数13,598人,男性5,632人,女性7,966人)を対象にしたものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,6歳以上の小児について1人平均DMF歯数(以下,DMFT指数),成人についてはDMFT指数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録(いずれかを満たさない場合を含む)のある会員に協力を要請し,その記録を集計した.引き続き成人の年齢階層別DMFT指数の減少,男性の全年齢階層での喫煙者の減少,現在歯数は男性では75歳以上,女性では70歳以上で大幅に減少することが明らかになった.調査協力歯科診療所の所在自治体の成人1人当たり市町村税額により診療所を4群に分けて,初診患者の特性を比較したところ,①10歳以上の年齢階層別DMFTは1人当たり地方税の低い群で高く,②成人では低所得群で加齢に伴ってDMFTが増加する傾向がより顕著であり,③60歳以上のすべての年齢階層で,1人当たり地方税の低い群から高い群まで,その順に現在歯数の平均値が大きくなっていることが明らかになった.
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