日本家政学会誌
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38 巻, 6 号
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  • 紙谷 五月, 徐 榮珠, 塚本 幾代, 三好 正満
    1987 年 38 巻 6 号 p. 455-464
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) サトイモより, 硫酸アンモニウム分画, CMセルロースクロマトグラフィー, 焦点電気泳動により, I, II, III, IVの4種のレクチンを精製した.
    2) 精製したI~IV画分の活性は, 粗抽出段階に比較し14倍から32倍に増加した.
    3) I~IVは, いずれもI画分, IV画分の分子量11,000のサブユニットα, βから成る三量体レクチンであった (サブユニット構成, I : 3α, II : 2α1β, III : 1α2β, IV : 3β).
    4) I~IVは, アスパラギン酸含量が高く, 含硫アミノ酸をわずかに含有する中性糖タンパク質であった.
    5) I~IVは, 変性剤, 酸, アルカリ処理で活性低下はおこらないが, 加熱処理および消化酵素の作用で, 部分的な活性の変化が観察された.
  • 渕上 倫子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 465-473
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    加熱調理のさいの野菜の軟化の難易とペクチン質の量および組成との関係を21種類の野菜を用いて検討した結果, 次のような知見を得た.
    1) これらの野菜のペクチン質を, 希塩酸, 続いて酢酸塩緩衝液およびヘキサメタリン酸ナトリウム溶液で分別抽出した.ペクチン質の分別抽出パターンおよび煮熟による野菜の組織の軟化度は, 野菜の種類により大きく異なった.
    2) 加熱調理のさい軟化しやすい野菜は希塩酸抽出区分 (A区分) の割合が多かった.A区分のペクチン質のエステル化度が約59~79%と高く, カルシウムによる沈殿を起こさなかった.そのため比較的多量のメチルエステルがガラクチュロン酸鎖上に一様に分布しており, 煮熟によりペクチン質がトランスエリミネーションによる分解を起こしやすく, 低分子にまで分解し, 細胞間の接着力を失いやすい.そのためにA区分の多い野菜は軟化しやすい.
    3) 加熱のさい軟化しにくい野菜は酢酸塩緩衝液抽出区分 (B区分) のペクチン質量が多く, またペクチン質総量中に占めるB区分の割合も多かった.B区分のペクチン質のエステル化度は約37~60%とA区分のそれと比べて低値であり, 塩化カルシウム添加による沈殿を起こした.そのため, エステル化していないガラクチュロン酸残基が偏って存在していることが考えられ, 中性溶液中で加熱してもトランスエリミネーションによる分解を起こしにくく, 野菜中に残存して野菜の硬さを維持していると考えられる.そのため, B区分のペクチン質の多い野菜は煮熟により軟化しにくい.
    4) 大部分の野菜のペクチン質は35℃で抽出するAおよびB区分に抽出され, 最後にヘキサメタリン酸ナトリウム溶液中で, 90℃3.5時間加熱により抽出されるC区分は, 比較的少量であった.そのため本実験に用いた大部分の野菜の細胞壁のペクチン質は他の細胞壁物質と共有結合により結ばれているのでなく, 多価金属イオンの影響, その他により安定化, 不溶化していると考えられる.
  • 大谷 貴美子, 松本 直子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 475-481
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    0.5%の粉末寒天ゲルに15%のシヨ糖および中鎖脂肪酸から成るトリグリセリド (MCT) を0~40%の範囲で添加し, ゲルの特性を検討した.
    1) 15%のショ糖を含むため, 離漿は低値を示したが, MCT添加量の増加に伴い離漿率はさらに低下し, MCT30%添加では, 離漿はほとんど認められなかった.
    2) MCT添加ゲルを低温保存した場合, 保存5日目で, とくにMCT30%以上の添加ゲルに顕著な白色度の低下と黄色度の上昇が, 空気との接触面で認められた.
    3) クリープ曲線から粘弾性について解析したところ, MCTの添加量が増加するにつれて, 瞬間変形量に関与するフックの弾性率が顕著に低下し, 永久歪みに関与する粘性率が顕著に増加した.
    4) カードメーターにより硬さと破断力を測定したところ, MCT添加量が増加するにつれて, 破断力は顕著な低下を示したが, 硬さはほとんど変化しなかった.
    5) 順位法によりゲルの嗜好性を検討した結果, MCT40%添加ゲルは, 外観あと口, 総合評価のいずれにおいても有意に (p<0.05) 好まれなかった.また, MCT20%添加ゲルは, 総合評価で有意に (p<0.05) 好まれた.
  • 村山 篤子, 松下 恭子, 川端 晶子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 483-489
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    κ-カラギーナンのゲル形成に及ぼす無機塩類の影響について, 機器測定, 官能評価により検討を行った.試料として, 0.7%κ-カラギーナン溶液とκ-カラギーナン0.5%, ローカストビンガム0.1%の混合溶液にKCl, NaClを添加しゲルを調製した。
    1) レオロメーターによる測定では, 0.7%ゲル, 混合ゲルとも0.1~0.15モルのKCl添加で硬さ, 凝集性とも最大となった.添加量が0.3モルを超えるとゲル化能は著しく減少した.NaCl添加においても同様な傾向がみられたが, KCl添加の影響がより顕著であった.
    2) クリープ回復から歪み-時間曲線を求め粘弾性を力学模型で解析を行った.各要素別にみるとKCl 0.05~0.2モル添加で変化が大きかった.とくに0.7%ゲルでフックの弾性体, ニュートンの粘性体の変化が顕著であった.一方混合ゲルでは各要素の変動は小さかった.NaCl添加ではいずれのゲルでも塑弾性体がとくに大きくなっている。回復率においてもKCl添加でよい結果な得た.
    3) ゲル化温度の測定では, KCl添加により著しく上昇したが, 0.7%ゲルと混合ゲル間の相違はほとんど認められなかった。
    4) KCl, NaCl 0.01~0.15モル添加の9種の0.7%ゲルについてSD法により官能評価を行った.評価項目中 “硬い”, “口あたりがよい”, “くずれにくい”, “しっかりしている”, “塩辛い” の五つのカテゴリーにゲル間の顕著な相違が認められた.
  • 田辺 洋子, 飯島 真喜子, 島田 淳子, 吉松 藤子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 491-496
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    卵白泡をゼラチン溶液に混合してマシュマロを調製し, マシュマロとしてのテクスチャーをそなえた試料を調製可能な配合を決定し, 砂糖およびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定し, 顕微鏡による気泡の観察, 官能検査の結果とあわせて前報で報告したゼラチンを起泡剤とする試料の特性と比較検討した.
    1) 卵白を15%用いた場合のマシュマロを調製可能な配合は砂糖濃度をx (30~60%), ゼラチン濃度をy (2~12%) とすると, 上限濃度y=-0.17x+13.9, 下限濃度y=0.10x+9.0の2本の直線にはさまれる範囲にあり, 砂糖濃度の大きいほど調製に適当なゼラチン濃度は低くなり, その範囲はせまくなった.
    2) 本試料の比重には, 砂糖およびゼラチン濃度の影響はほとんどみられないが, ゼラチン濃度増加により平均気泡個数は増加し, 平均気泡体積が減少した.硬さ, 凝集性, ガム性は砂糖およびゼラチン濃度に依存し, 濃度増加により弾力が増しかみ切りにくくなったが, ふわふわ感, 粘り, テクスチャーの好ましさには有意な差はみられなかった.
    3) 起泡剤として卵白を用いた試料およびゼラチンを用いた試料の両試料において, 砂糖とゼラチンにはマシュマロの特性を構成する要素として互換性が認められたが, 卵白添加により同砂糖濃度におけるゼラチン必要濃度は低下した.
    4) 砂糖およびゼラチン濃度の等しい場合には, 卵白添加により比重は大きく, 気泡は小さくテクスチャー特性値は増大し, 官能的にはふわふわ感が低下したが, 製品はそれぞれ好まれていた.
  • 過酸化系漂白剤の漂白効果 (第3報)
    大浦 律子, 吉川 清兵衛
    1987 年 38 巻 6 号 p. 497-501
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    過炭酸ナトリウムと過酸化水素の, 分解速度および漂白速度 (染料の退色速度) とpHの関係を検討し, 分解速度と漂白速度の関連について考察し, つぎの結果を得た.
    過炭酸ナトリウムの分解速度は過酸化水素にくらべ, かなり速く, pH10で最大値を示す.これは, 過炭酸ナトリウム中の炭酸ナトリウムの影響によるものである.なお過酸化水素には最大を示すpH値はとくに存在しない.
    過炭酸ナトリウムと過酸化水素の漂白速度が最大を示すpH値は11~11.5であった.
    したがって漂白剤の分解速度が最大になるpH値と, 漂白速度が最大になるpH値とは明らかに異なる.このことから, 分解速度と漂白速度とは, それらを決定する要因が異なり, 前者は浴中の炭酸ナトリウムのイオン解離状態が, 後者はpHそのものが影響するものと考えられる.
    pH 10とpH 11における過炭酸ナトリウムと過酸化水素の漂白力の持続性を調べた結果, 分解速度の速いpH10より分解速度が遅く漂白速度の速いpH 11のほうが, 有効に漂白が行われることがわかった.
  • 岩垂 芳男, 上田 典子, 岡部 瑞穂
    1987 年 38 巻 6 号 p. 503-510
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The solubilization behavior of a series of dodecyl poly (oxyethylene) ethers (DPOE), C12H25O (CH2CH2O) nH, with oxyethylene units from 5 to 8 toward oil-soluble dyes, Oil Yellow AB, Oil Yellow OB, and Oil Orange SS, has been studied in relation to the chain length of polyoxyethylene of DPOE, the temperature, the kinds of alkali metal chlorides, and the chemical structure of oil-soluble dyes.
    The solubilizing power (Sp) decreased with an increase in the chain length of polyoxyethylene of DPOE, and increased with the temperature. The solubilization behavior of DPOE toward. Oil Yellow AB was observed below the critical micelle concentration (cmc) of DPOE in the absence of builder, but in the presence of builder it was found in the vicinity of the cmc similarly to the case of the other two oil-soluble dyes. The Sp decreased in the order, Oil Yellow AB > Oil Yellow OB>>Oil Orange SS. The Sp in the presence of lithium chloride is greater than that in the presence of other alkali metal chlorides. The absorption spectra of oil-soluble dyes in n-dodecane, poly (ethylene glycol) and DPOE suggest that Oil Yellow AB and Oil Yellow OB are mainly solubilized in the polyoxyethylene region of DPOE micelles, while Oil Orange SS is solubilized in both the polyoxyethylene and hydrocarbon regions of the micelles. Further, thermodynamic parameters of solubilization are also discussed.
  • Cell IからCell IIへの転移
    高橋 雅江, 竹中 はる子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 511-516
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Mercerization is a typical transfer reaction from cellulose I (Cell I) to cellulose II (Cell II) and it is recognized that this transfer is irreversible.
    To clear the mechanism of the transition from Cell I to Cell II, the change of the crystal structure and the chain conformation during the mercerization are studied under various conditions by means of wide angle X-ray diffractograms and CP/MAS 13C NMR spectra.
    It is observed that Cell I and Cell II show the different 13C NMR spectra resulted from the different chain conformation, as proposed by Hayashi et al. In sodium celluloses treated with and without fixing the fibers, which show the similar X-ray diffractograms, CP/MAS 13C NMR spectra show different patterns which result from two types of the chain conformation, that is Na-Cell of Cell I type and of Cell II type. By regeneration, the Na-Cell of Cell II type transforms to Cell II independently on the temperatures of washing water. On the other hand, the Na-Cell of Cell I type mostly transforms to Cell I by washing with water at about 100 °C.
  • 三井 紀子, 酒井 豊子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 517-525
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    冬の学生服地の性能を知るため, 一般的によく用いられている市販学生服地26点を収集し, その諸性能について検討を行った.その結果, 次のようなことが明らかとなった.
    1) 厚さ, 質量, みかけの比重, 含気率, 剛軟性, 通気性, 光沢などは, 糸の太さ, 糸密度など糸の状態, および織物構造などとも密接な関係があり, 繊維組成によるちがいはみられない.
    2) 毛100%布は, 厚さ, 質量, 剛軟性にいろいろなものがあるが, 通気性は小さく, 保温性が大きく, 防しわ性がよく, 耐ピリング性が優れている傾向がみられる.一方, 引張強さ, 破裂強さ, 摩耗強さが劣っており, 比較的値段が高い.
    3) 毛とポリエステルの混用布は, ポリエステル混用割合が多いほど引張強さ, 破裂強さ, 摩耗強さは大きくなるが, 耐ピリング性が悪くなる傾向がある.また, 運気性, 保温性, 防しわ性は, 毛とポリエステルの混用率による差はあまりみられず, ほぼよい性能を有している.
    4) ポリエステル100%布は, 強さは非常に大きいが.現在用いられているものは加工糸織物であるため, 他の布とかなり異なった傾向を示している.厚さや質量, 耐ピリング性は中程度であるが, 通気性が著しく大きく, 保温性が小さく, 防しわ性も小さい傾向がある.
    5) 染色堅ろう性には, 規定に達しないものもみられたが, 染色堅ろう性と, 布地の混用率および色との関係はみられない.
    学生服地としては, 各種物理的性能のほか, 価格および家庭洗たくのしやすさの点からは, 毛とポリエステルの混紡布がすぐれていると考えられる.
  • 木下 雅子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 527-530
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 住み続けることの意味と条件
    在塚 礼子
    1987 年 38 巻 6 号 p. 531-537
    発行日: 1987/06/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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