日本家政学会誌
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39 巻, 7 号
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  • 小柳 達男, 鷹觜 テル, 及川 桂子, 赤沢 典子, 常松 澪子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 647-651
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    主婦たちが白米を摂取しているときと, 2割の大麦を3週間混食した場合とについて, 暗調応および尿中VB6分解物, PAおよび17-OHCSを測定した.
    その結果, 大麦混食をすると白米食のときに比べ暗調応が改善され, 尿中VB6分解物の排泄は, 白米を大麦におきかえたためVB6の摂取量は減ったのにかえって増した. また大麦のPA含量も白米より少ないのに, 尿中PAは大麦混食のほうが増した.大麦混食により17-OHCSが減少したが, これはビタミンの供給が増したためストレスが軽減したのであろう.
    白米に大麦を混食することは白米食の栄養改善に効果があるものと考えられる.
  • 河村 フジ子, 加藤 和子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 653-658
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    豚脂身にショウガを加えて水煮した場合の脂質の安定性について, 実験を行った結果を要約すると次のとおりである.
    1) 対照 (ショウガ無添加脂質) は加熱 (98℃) 3 時間で誘導期が終わる. 一方, 脂身に対して, ショウガを5~ 50% 添加した脂質の POV, TBA 値は加熱4時間後も未加熱油脂に近い.
    2) 加熱4時間の脂質を 30℃ で保存すると, 対照は, 17 日間に急速に POV, TBA 値ともに上昇する. 一方, ショウガを 20 または 50% 添加した脂質は, 保存 90 日後でも変化がみられない. ショウガを 5 または 10% 添加した場合でも誘導期が 44 日まで延長される.
    3) 加熱4時間の脂質を 30℃ で3日または7日間保存して官能検査を行った結果, 対照のほうがショウガを5% 添加した脂質より酸敗臭が強いことがわかった.
    4) 豚脂身中の脂質の脂肪酸組成は, オレイン酸 44%, パルミチン酸 18%, リノール酸 15% であった.
    5) 保存脂質の脂肪酸組成を比較すると, 対照はショウガ添加脂質より, リノール酸とリノレン酸の割合が低く, パルミチン酸とステアリン酸の割合が高い.
  • 森 悦子, 遠藤 金次
    1988 年 39 巻 7 号 p. 659-664
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) シューペーストの油脂材料としてサラダ油を用いると薄力粉・強力粉に比較して, 小麦デンプン・上新粉・コーンスターチの膨化体積は劣った.
    2) ふくれ方の異なるシューペーストを, B 型粘度計を用いて粘性と膨化体積との関係を検討したところ, 焙焼時にある程度以上膨化するためには, シューペーストは一定レベル以上の粘度をもつ必要があることが示唆された.
    3) 焙焼過程で膨化している時点でのシューペーストのモデルとして, 熱凝固ゲルを調製しレオメーターで粘弾性を測定した. 膨化度の大きいシューペーストから調製した熱凝固ゲルは, 応力-歪み曲線から算出した弾性率が 7-11×105dyn/cm2 で, 破断応力が 2.3-3.2×105dyn/cm2 の範囲にあった.
    4) 熱凝固ゲルの応力緩和現象を検討したところ, 2組のマクスウェル模型で近似的に対応できた. 膨化のよいシューペーストからのゲルは, τ1 20~25 秒, E11. 29×106dyn/cm2 以上であり, τ2, E2, η2 も適正な範囲内の値を示した.
  • 倉賀野 妙子, 北尾 敦子, 山田 光江
    1988 年 39 巻 7 号 p. 665-670
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    クッキーの食味とショートネス, 硬さとの関係を把握するために嗜好度官能検査を行い, 同時に定速圧縮破断特性値と対応させて検討した.
    1) クッキーの嗜好度官能検査をもとに, 総合評価および各評価項目間の単相関係数, 偏相関係数を求めた.その結果から, ショートネスが, 甘味, 風味と並んで総合評価に貢献する官能的要因として欠かせないことが認められた.硬さはショートネスと大きな相関があり, クッキーにとっては, 両者は切り離せない性質であり, 硬さも総合評価に影響を及ぼす要因と推定される.
    2) クッキーのもろさの嗜好度評価 KB とみかけの破断エネルギー En (×106erg/cm3), および硬さの嗜好度評価 KH とみかけの破断応力 Pf (×107dyn/cm2) の関係は, おのおの, KB =-0.147En2 + 0.666En + 0.551, KH =-0.209Pf2+ 0.979Pf + 0.141 で示すことができた.クッキーのもろさは, みかけの破断エネルギー 2.27×106erg/cm3, 硬さはみかけの破断応力 2.35×107dyn/cm2を有するものが, 嗜好度評価が最も高いことが推定された.これらの破断特性値を有するクッキーを調製できる材料配合比を明らかにした.
  • 本枯節かびつけ部のイノシン酸を生成する酵素の精製と性質
    森川 典子, 吉松 藤子, 荒川 信彦
    1988 年 39 巻 7 号 p. 671-675
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    鰹節の水だし汁を上手にとる方法の一環として, 本枯節の水だし汁浸出中のイノシン酸増加現象の機作を解明するため, 本枯節かびつけ部の 5'-AMP から 5'-IMPを生成する酵素の精製を行った. さらに, 調理学的見地から本酵素の性質を調べた結果, 次の知見が得られた.
    1) 本枯節かびつけ部より 5'-AMP から 5'-IMP を生成する酵素を抽出し, 硫酸アンモニウム分画およびDEAE-セルロースクロマトグラフィーにより精製を行い, 本枯節かびつけ部に 5'-AMP から 5'-IMP を生成する酵素が存在することを確認した.
    2) 本酵素の至適 pH は 5, 6 を示し, 水だし汁の pHとほぼ一致した.
    3) Na+, K+, Mg2+, Ca2+率は本酵素活性にほとんど影響を及ぼさないことがわかった.
    塩化ナトリウムに関しては, 高濃度になった場合, 本酵素性の急激な低下が認められた.
    4) 本酵素は, かなり広範囲の温度で活性を示した。一般的に行われる水だし汁の調製温度である 5℃ や 25℃の低温でも, おのおの至適温度での活性の 18%, 58%の活性があることがわかった.また, 本酵素は, 5℃ の冷蔵下においては 5 日間もの長期間ほぼ安定であることが認められた.
  • 長尾 慶子, 加藤 由美子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 677-682
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    コロッケの破裂の機購および破裂を防ぐ揚げ条件を設定することを目的とし, 乾燥マッシュポテトを用いて加水量を変えたコロッケを調製, 実験し以下の結果を得た.
    1) コロッケの破裂は水分量および揚げ温度, 依存し, 水分が少ないほど, また揚げ温度が高いほど破裂しなかった.
    2) 油温200℃で揚げたときの, コロッケ破裂時の表層部 (1 mm 内側) 温度, 2 mm, 5 mm 内側および中心部温度は 118, 70, 40 および 22 ℃ であり中心部はほとんど変化がなかった.
    3) 破裂はコロッケの外皮付近で起きており, いずれの試料も表層部温度は100℃ 以上で破裂した.
    4) コロッケ外皮の破断強度は, 高水分試料のほうが小さく, また油温が高いほうが大となる傾向にあった.
    5) 破裂しやすい高水分試料の表層部を, 破裂の起きにくい低水分試料でおきかえると破裂は防止できた.
    6) 破裂は表層部の蒸気圧と皮の強度が関与している.
  • 未加熱および加熱セルロース繊維に吸・収着した水の存在状態の比較
    中西 茂子, 山角 美恵子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 683-689
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    It has been evidenced as previously reported in Part 1 and Part 2 that effects of the thermal treatment on the physical properties of cellulosic fibers depend on the amount of water sorbed/ adsorbed.
    Investigations were successively carried out from various aspects to obtain further informations to know how the water molecule exist on/in the fibers.
    The results are abstracted as follows :
    1) Monomolecular adsorption layers, adsorption areas and values of C (a BET constant) of water adsorbed on the cellulosic fibers all decreased with the thermal treatment confirming that adsorption sites were reduced by the thermal treatment.
    2) Proton spin relaxation times T1 and T2 of water in each fiber specimen were determined by using spin pulsed NMR to deduce and compare the state of water molecules sorbed/ adsorbed in unheated and heated fiber specimens. Both T1 and T2 and ratios of free water to bound water also decreased with the thermal treatment as well as programming of temperature, which suggests a reduction of ratio of free water adsorbed on the surface of heated fibers.
    3) Melting and evaporating behaviors of water sorbed/adsorbed in/on the fibers and weight loss were observed by the thermal analyses (DSC and TGA) the results of which also evidenced a reduction of amount of water on the thermally treated fiber surface.
  • 綾田 雅子, 泉 加代子, 丹羽 雅子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 691-698
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In this paper, since the heavy elastica theory is applicable in the analysis of silhouette of ladies' dress, the influence of bending length 3B/W (where B and W are bending rigidity and fabric weight per unit area respectively) on silhouette is studied.
    One-piece dresses are constructed of two kinds of fabric of women's thin dress, which have the ratio of 3B/W of 1 to 0. 74, and are made in two sizes of 1 to 0. 74 for each kind. Sensory test, optical and actual measurements and simulation test were under taken on these specimens and the results are summarized as follows :
    1) Sensory test firstly resulted that the silhouette of one-piece dress which is made of fabric of larger value of 3B/W and of smaller size, appears harder, while that, which is made of fabric of smaller value of.3B/W and of larger size, looks softer. Secondly, the silhouette of one-piece dress which is made of larger value of 3B/W and of larger size looks the same as that which is made of smaller value of 3B/W and of smaller size. 2) It was found that silhouette of ladies' dress is closely related with both 3B/W and size, and that the result has good agreement to that of the sensory test. 3) In order to obtain the same silhouette of one-piece dress among different sizes, it is necessary to construct dresses in the same ratio of value of 3B/W as the ratio of size.
  • 岡田 宣子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 699-710
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    現代日本人成人女子について身体形質の近代化の現状に着目し, 衣生活に関する意識を背景とした衣生活行動をとらえ, 身体形質の近代化がどのように衣生活の選択傾向にかかわっているかということについて検討を行った.
    1) 横断的な3世代にわたる20歳前後値資料により被服寸法にかかわる項目についてみると, 身長では約50年間に55mm, 下肢長は30年間に 28mm の増加がみられた (Table 4).柳沢資料と30年隔てた岡田資料に主成分分析を行ったところ size factor (長身化傾向), shape factor (細長化傾向), limbs to trunk factor (長脚化傾向) の主成分が解釈され, これら3主成分いずれも両集団間には0.1%で有意な時代差がみられたことから (Table 6), 身体形質の近代化が確認された.
    2) 日常着を対象とした年間を通じての衣生活に関する意識調査から, 3世代のなかで世代が若いほど自己の体つきを強く意識しており, 体つきを配慮し, 整容のための下着を着用し, 流行を気にし, 格好の良さや見ばえの良さを配慮する衣生活行動の現状がとらえられた. 自己をより良く見せたいとする女性の着装への配慮から, 現代人にとって文化としての衣生活は, 社会生活を営むうえで大きな役割を演じていることが明白である.因子分析の検討から3世代はともに因子として「体つきを配慮する傾向」 (Table 8, 9) が解釈され, これが衣生活のなかで重要な要因として働いていることが明らかになった.また, 老年女子世代は中年女子世代の衣生活行動とかなり類似していることが統計的に裏付けられた (Table 10) ので, 次の「身体形質の近代化と衣生活意識との関連性」では老年女子世代を省いて検討することとした.
    3) 「身体形質の近代化と衣生活意識との関連性」 をとらえるために, 体つきに対する意識と衣生活の選択傾向との関係について数量化斑類により検討した.その結果, 体つきの意識において母親娘集団はともに形質の近代化の影響を受け, ST.3の母親集団 (Fig.2) および娘集団では, 靴のヒールの高さの選定・衣服デザインの選定は, 高さの意識を基にして考慮しているとする高さの軸が解釈された.すなわち, 背の高さをより高く見せようとの配慮を示している.
    また, 娘集団の約11%を占める, 背が高く形質の近代化の顕著なST.5の娘集団 (Fig.3) においては, 長さに関する二つの軸, 背の高さの意識の軸と脚の長さの意識の軸が認められ, ふとん・靴・衣服のデザイン・ズボンに関するすべての項目で, 背の高さを低く見せようとの配慮を示している.
    以上のことから, 生物現象としての身体形質の近代化が, 文化としての衣生活における選択傾向に, 強く影響を及ぼしていることが明らかになった.
  • 植竹 桃子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 711-723
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    若い日本人成人女子 250 名, 中年の日本人成人女子119 名, 若い日本人成人男子 123 名を対象とする, 自己の身体形態および衣服の着用に関する意識調査と身体計測結果から, 肥り痩せに対する意識が自己の身体像においてはどのような意味をもち, 身体の外形的測度からとらえられる肥り痩せとどのように関係しているのかを把握した.さらに肥り痩せの意識が衣服の選択行動にどれだけ関連しているのかを把握して, 衣服設計の立場から肥り痩せを考察した.結果は, 以下のとおりである.
    1) 若い成人女子は, 身体の高さ・長さに関する意識よりも太さに関する意識のほうが強い.そして一般に体幹は短く細く, 体肢は長く細く, 小さく, 身長は高く, 体重は軽いことに満足感が得られ, またそうなることを理想としている.しかし胸部・バストはその例外で, 一意的な傾向にはない.
    2) 若い成人女子は, 身体計測値からは肥りと判定されない個人でも, おおかたは自己を肥りと感じている.
    3) 総じて, 若い成人女子は, 強いスリム志向というかたちで肥り痩せの意識が強い.このスリム志向は, 中年女子よりもやや強く, また同年齢層の男子では, たくましくあることに満足するという点でスリム志向の様相が異なる.
    4) 若い成人女子では, 肥っているという意識の強い者ほど, 被服面積の少ない衣服すなわち身体を露出した衣服, また身体にぴったりした衣服を, 似合わないと思いまた着用しない傾向にある.
    5) 以上のように, 「肥り痩せ」は衣服設計上, 非常に重要な問題であり, 衣服の選択行動にまで影響することが明らかとなった.したがって, 衣服設計においては, 衣服をからだつきに適合させる点のみでなく, 着用することでスリム志向を満たそうとする点にも十分配慮することが必要と考えられる.
  • -居間, 接客空間について-
    荒川 千恵子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 725-730
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This research was carried out for the purpose of study on living modes and ways of thinking among residents in detached houses in order to find out how public space in house plan should be designed. This paper consists of an analysis concerning a living room and a space to receive guests. The findings are as follows.
    1) A plan which clearly divides living and dining-kitchen areas is selected by those who regard receiving guests as important, whereas a plan without a clear division between the two areas is chosen by those who are more concerned about houseworks. A plan with an independent kitchen and a living-dining space is chosen for spaciousness felt in every-day living.
    2) As to the dwellers' unsatisfied feeling for the space, the dwellers with 12-Tatami living and dining room are more unsatisfied than those with 8-Tatami living room are. From this result and the one reported previously, it is supposed that the division into 8-Tatami diningkitchen and 8-Tatami living room gives more satisfied feeling for spaciousness than the division into 4-Tatami kitchen and 12-Tatami living-dining space does.
    3) Those who have an independent living room tend to receive guests there. However, ones who have a living-dining room receive guests not only at living corner but at dining corner or in other spaces and their ways of receiving guests are not consistent.
    4) There is a strong demand for a Tatami room ad jacent to living, dining, or kitchen space and using for multi-purpose. A Tatami room corresponds with dweller's diverse requests caused by various room conditions and also various living styles of dwellers.
  • 川染 節江, 山野 善正
    1988 年 39 巻 7 号 p. 731-734
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    バタースポンジケーキの貫入破断特性を検討するため, バター添加量を小麦粉に対し 0 ~ 120% とし, 特製茶せん型 (A 試料) とロータリー型 (B 試料) の beater2 種の試料について, レオメーターの貫入圧縮試験と官能検査を実施し, 次のような結果を得た.
    1) 破断応力は, バター含量が増加するにつれて 80%までは低下するが, 120% では A 試料が B 試料より大きく上昇し, この変化は, 圧縮試験よるガム性とそしゃく性の変化に類似した.破断ひずみは, バター含量が増加するにつれて S 字曲線的に低下し, 120% の値は0% の約 1/2 になった.
    2) 応力/ひずみ比で算出した破断強度は, バター含量 0% はひずみが大きいため, また, 80% の試料は応力が小さいため他の試料より小さい値を示した.破断エネルギーの値は, A 試料はバター含量の増加につれて低下し, B 試料は S 字曲線的に低下し, 破断ひずみの変化に対応した.
    3) 貫入圧縮曲線の形状は, beater の種類および貫入圧縮箇所によって異なり, 側面の曲線に脆さを示す特徴がよく現れ, 立ち上がり角度も小さくやわらかいことを示した.
    4) 甘味, 口あたり, しっとりさおよび総合評価の各評点は, バター含量 80% が最も高く, 順位法においてもバター含量 80% の試料が最も高く評価され, 0% との間に有意差が示された.破断応力と口あたり, しっとりさおよび総合評価との間に負の高い相関性が得られた.
  • 食品購入時の行動と食事の内容
    馬路 泰蔵, 長野 宏子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 735-741
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    大学生を対象として, 食品の購入から調理にわたる食事作りの行動を観察し, 食品購入時の行動と食事の内容について男女を比較した.
    1) 購入食品の種類数は男女に差がなかったが, 男性は購入時間が長かった.男性は, 加工食品の選択などにかかわる行動, 会話・確認などの行動および店内の移動などの行動の種類が多かった.同時に, 「加工食品の表示にある調理法を読む」, 「ひとりごとを言う・観察者に話しかける」および「売場の前に立って商品を眺めるようす」の行動を行った人数は, 男性のほうが多かった.これらの結果は, 男性は調理法について何らかの情報なしにすみやかに購入食品を決めることが困難であることを示している.
    2) 男性は女性にくらべて, 主食を除くと料理は外来風に片寄る傾向があった.また, 男性は緑黄色野菜ときのこ類の利使用者数が少なく, インスタント食品の使用が多かった. さらに, 基本的調味料の使用数が少なく, 副材料および調味料として使用される食品の種類も少なかった。以上の結果は, 男性は食に関する知識・技能が少ないため使用できる調理法と食品が制限されることを示唆している.
    3) 主食を含む全料理中の脂質エネルギー比は, 男女とも高い食事が多くみられた.
    4) 男性は緑黄色野菜の使用者が少なく, ビタミン A の少ない食事は男性にのみみられた.また, 栄養上考慮したことについて, 男性は女性よりあいまいな表現によって栄養素に関する留意点を述べた.これらの結果は, 男性には食品中の栄養素量についての知識が乏しく, その知識の不足がビタミンA不足の食事を作るという結果をひき起こしたものと思われる.
    5) 男性は, インスタント食品を多く購入し, 料理に使用していた.また, 女性は食物の安全性に関して食品添加物を考慮したと回答したのに対し, 男性は食品添加物についての回答がなかった.これらの結果は, 男性は食品添加物に関して知識が少ない, または関心が低いことを示唆している.
    本研究は, 昭和 59 年度文部省特定研究経費「教員養成における教授プランニング・スキルに関する研究」によって行われた.
    本研究の一部の要旨は, 昭和 60 年度日本栄養・食糧学会総会において発表した.
  • 有馬 澄子, 南林 さえ子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 743-750
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 辻 啓子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 751-758
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    65 歳以上の高齢者の外出時の着衣状況を夏, 冬の 2 期について調査し, 下着および中衣を中心に分析した結果は, 次のように要約することができる.
    1) 着衣枚数は, 夏は, 男女ともに 「 2-3 」 の組合せの者が最も多く 60% を占めた. 冬は, 男子は「4-3」の組合せの者が 45%, 「 5-3 」の組合せの者が 28% で, 上衣の着衣枚数のほうが多かった.女子は男子に比し着衣枚数の組合せ別出現の範囲が大きく, とくに和服形式にその傾向は顕著であった.
    2) 男子の下着は, 夏は, 上衣は半袖シャツの着用者が 55%, ランニングシャツの着用者が 29%, 下衣は下ばきとしてさるまた・パンツ類の着用者が 85%, ブリーフの着用者が 11% であった, また, ロングパンツは84% の者に着用されていた.冬は, 長袖シャツ 1 枚の着用者が 64%, 長袖シャツ 2 枚の着用者が 21% で, 下衣は下ばきの上にズボン下またはタイツを着用している者が 97% あった.
    3) 女子の下着は, 夏は, 上衣はシュミーズ類を着用している者が最も多く 66% を占めた. 下衣は下ばきとしてズロース・ショーツ類の着用者が 49%, パンティの着用者が 18%, 3 ・ 5 分ショーツの着用者が 11% であった.また, 下ばきと最外衣の間にはシュミーズ, スリップ, ペティコート等を 93% の者が着用していた.
    冬は, 着衣形式によって異なるが, 上衣は, 和・洋ともに長袖シャツを着用している者が多かった.下衣は, 下ばきの上にズボン下, タイツ, パソティストッキング, 5 分ショーツ等を保温のための被服として着用していた.
    4) 防寒のための中衣としては, 男子はセーター・カーディガン類, ベスト類が多く, 着衣枚数の多い場合はそれらが互いに組み合わされて着用されていた. 女子は, 洋服着用者はセーター・カーディガン類, 和服着用者は半じゅばん, 長じゅばん, 袖なし半てんを着用していた.
    5) 提示した下着の要求項目を配慮していると回答した者は少なく, とくに男子は各項目とも 10% に満たなかった. 項目別では, 「 素材・品質」, 「 フィット性・ゆとり量」は夏, 冬ともに出現率は高いが, 季節別では, 夏は 「 べとつき感」, 「着脱のしやすさ」, 冬は, 「 軽さ」の出現率が高かった.
  • 高部 和子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 759-761
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 飯島 悠藏
    1988 年 39 巻 7 号 p. 761-762
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 葛岡 啓一
    1988 年 39 巻 7 号 p. 763-764
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 櫻井 隆道
    1988 年 39 巻 7 号 p. 764-765
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 寺元 芳子
    1988 年 39 巻 7 号 p. 765-766
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 松本 恭治
    1988 年 39 巻 7 号 p. 767-772
    発行日: 1988/07/05
    公開日: 2010/03/10
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