日本家政学会誌
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40 巻, 3 号
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  • -京畿地方の場合-
    酒井 ノブ子
    1989 年40 巻3 号 p. 181-187
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    以上の結果を要約すれば次のとおりである.
    1) 家庭管理能力は全般的に日本よりも有意に優れており, 日本の現代よりも約20年前の主婦の家庭管理能力に近似している.
    2) 家庭管理活動としての行為面では, 調整, 制御能力が優れていたが, この傾向は得点の差はあるが, 日本の主婦の場合と同様である.
    3) 家庭管理の資源としての客体面では, 住居, 愛情, 金銭, 時間などの管理が優れており, 日本にくらべて, 食物よりも住居に重点がおかれていた.しかし, 公共施設, 家庭設備の活用は劣っており, この点は日本と同様の傾向を示していた.
    4) 主婦の属性による家庭管理能力の違いは, いずれの場合にもみられなかった.また韓 ・ 日の比較では, 家族数が5人以上の場合を除いて, すべてに有意差が認められた.
  • 食品のテクスチャーと厚さが咀嚼活動に及ぼす影響
    高橋 淳子, 中沢 文子
    1989 年40 巻3 号 p. 189-194
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    食品の形状因子の一つである厚さを変えた場合, または厚さは一定であるが, テクスチャーが変化する場合に咀嚼パターンがどのように変化するかを調べた。その結果, 食品物性のみに大きく影響される因子, 形状と物性の両方の影響を強く受ける因子, またはそのどちらの影響もほとんど受けない因子の存在が認められた.
    全体の咀嚼パターンから得られた咀嚼時間 (T), 咀嚼回数 (N) および咀嚼第1回目の波形より得られた加圧時間 (t1) は物性と形状因子の一つである厚さの両方の影響を大きくうける.一方, 最大咀嚼力 (F) および最大微分値 (ID) は形状因子には影響されず, 食品物性の影響を受ける.また咀嚼サイクル (N/T) は食品の物性や形状因子の影響は受けにくく, 被験者本来のもつリズムによるところが大きいことが確認された.
  • 久山 純子, 藤井 淑子
    1989 年40 巻3 号 p. 195-200
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    小麦粉48g, ショ糖28g, ショートニング 14g, 水10gを基本組成とするいわゆるシュガースナップクッキーを調製した.この配合中のショ糖の全量を乳糖や海砂におきかえたモデル組成のドウについて, ドウの性状とそれらの焼成過程における変化との関連性について研究した.乳糖を用いたドウ (B), 海砂を用いたドウ (C) は, それらのハードネスがショ糖を用いたドウ (A) のハードネスとほぼ同一の1,200gになるように水を調節した.
    1) B, Cのドウをミキソグラフによって測定すると, 一定の値を示す硬粘度が測定されたが, Aのドウは, ほとんどの値が低い値にとどまった.
    2) 焼成中のAのドウは焼成開始3分で最大膨脹したが, ドウ表面に生じたクラックより水蒸気がさかんに抜け出し収縮した.B, Cのドウは焼成開始4.5分間まで膨脹のみを続け, 内部に空洞を作りそのまま固定化した.
    3) 真空処理による膨脹率はAのドウでは, 焼成開始すぐに最大値 (250%) に達し, およそ60秒間その値を持続した.B, Cのドウは, 同様に最大値を示したがその値はすぐに低下した.
    以上のモデル実験により, クッキードウに用いられているショ糖は高い溶解度により, まずショ糖の溶解が先行し, これによって小麦粉の水和をさまたげ, シュガースナップクッキーの焼成のさいの特徴ある膨脹と収縮に関与し, 表面のクラックを支配することが明らかとなった.これに反し, Bのドウの乳糖は溶解性が低く, Cの海砂はまったく溶解しないために, 小麦粉の水和が先行すると考えられる.
  • 斎藤 瑠美子, 勝田 啓子
    1989 年40 巻3 号 p. 201-206
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    古代乳製品である蘇は製造されてから利用されるまでの期間, 少なくとも4ヵ月は保存可能な食品でなければならない. そこで蘇の製法の再現実験を試みるとともに保存性について検討するために水分活性に焦点をあて, 再現試料の妥当性を検討し, 次のような結果を得た。
    水分含量の異なる濃縮牛乳の水分含量と水分活性測定により等温吸着曲線と類似の曲線を得ることができた.この結果をもとに, 最も水分の少ない濃縮率 14 % のもの (S-14), エメンタールチーズの水分に近い濃縮率 18%のもの (S-18), その中間の濃縮率 16 % (S-16) を蘇の再現試料とし, 保存中の外観変化, 水分含量および水分活性の変化をビーカーを用いて検討した結果, S-16および S-18 は調製から 10 日目にカビの発生がみられ, 水分活性は 0.90 から 0.94 であった. S-14 は1カ月後もカビの発生はみられず, 水分活性は 0.80 以下を保ち続けていた. また水分含量も約 10 % と低い値を示した.一方, 素焼きの壼による保存では4ヵ月後には水分含量は 5.6 % と調製時より下降し, 水分活性は 0.65 と単分子層域の数値を示していた.
    したがって, 「延喜式」などの蘇の製法にもとついて保存性を重視し, 本実験のようにホルスタイン種の牛乳を用いて蘇の製法の再現を行った場合は, 牛乳を濃縮率 14 % まで加熱濃縮したもの, すなわち S-14 が古代乳製品蘇に最も類似したものであると考えられる.
  • 漂白剤の酸化還元電位
    大浦 律子, 吉川 清兵衛
    1989 年40 巻3 号 p. 207-212
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Redox potentials of various bleaching agents and the fiber model substances were measured in order to estimate the oxidizing power of them.
    Bleaching agents used were sodium hypochlorite, hydrogen peroxide, sodium percarbonate, sodium perborate and sodium hydrosulfite. On the other hand, glucose and glutathion were adopted as the model substance of cellulose and wool fibers respectively.
    Results obtained were as follows.
    1) The redox potential of sodium hypochlorite was higher in plus value than that of hydrogen peroxide. That is to say, the bleaching agents of perchlorite series had more intensive oxidation power than that of peroxide series.
    2) Every redox potentials of peroxide bleaching agents used in these experiments were nearly equal. Sodium hydrosulfite exhibited minus potential.
    3) The potential of these bleaching agents lowered with the increase of pH, with point of infection appearing in diagram.
    4) The potential of glucose and glutathion were lower than that of peroxide series, and with the increas of temperature the potential of that became lower.
  • 森永 泰子
    1989 年40 巻3 号 p. 213-216
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    黒緑豆 (Vigna mungo) の発芽に伴うもやしと子葉中および水浸漬種子中の, タンパク量, 可溶性窒素量, トランスアミナーゼ活性について検討した。
    タンパク量は, 浸漬種子中では変化しなかったが, 発芽中のもやしおよび子葉では, 生育日数の経過につれてしだいに減少した.
    可溶性窒素量は, 浸漬種子中および発芽中の子葉では, ほとんど変化しなかったが, もやしでは急激に増加した。
    GPT および GOT 活性は, 乾燥種子中にも存在し, 浸漬期間を通じて増加した.浸漬, 発芽の過程を通じてGOT 活性は GPT 活性に比べて高く約 2 倍の活性を示した.
    ピルビン酸, オキサル酢酸, α-ケトグルタル酸, グリオキシル酸をアミノ受容体としたときのトランスアミネーションでは, セリンとリジンはよい基質となったが, バリンは, どのケト酸とも反応しなかった.
  • 桑野 和民, 酒巻 千波, 三田村 敏男
    1989 年40 巻3 号 p. 217-220
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販緑茶 (煎茶) の地域ブランド特性を知ることにより, 消費者が緑茶を購入するさいの嗜好的な面も含めた, 価格と品質の関係を明らかにすることを目的として検討を進め, 以下の結果を得た.
    1) 日本茶 (緑茶) 産地知名度調査および東京地区の地域性から, 静岡, 宇治, 狭山の3地域ブランドを選び, それぞれ100gあたり500, 1,000, 1,500円の普通煎茶を茶専門小売店3店舗ずつで, 合計27試料購入した.
    2) 茶の入れ方研究会の標準浸出法により浸出した溶液の各種化学成分を分析, 検討した結果, 宇治茶はあっさりした味, 狭山茶は濃く, 苦く, 渋い味, 静岡茶はその中間で平均的な味であることがわかった.
    3) 上記の分析結果等から, 低価格の煎茶は地域ブランドとしての味の特性が少ないので, 気分的な面で地域性を楽しめばよいと考えられた.また, 高価格になるほど地域性が顕著になるので, 嗜好を十分考慮して購入する必要があると考えられた.
  • 長野 宏子, 大森 正司, 庄司 善哉
    1989 年40 巻3 号 p. 221-225
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    発麺の冷凍, 1次醗酵ドウの冷蔵, 饅頭の蒸し直しについて検討を加えた。
    1) 発麺 (スターター) を1年間-15℃の冷凍庫に保存し, それを用いた饅頭の膨化性, 風味は冷凍の影響を受けず, 発麺として十分に使用可能であった.
    2) 発麺使用の1次醗酵ドウを冷蔵庫に保存したものは, 市販パン酵母を使用したものと異なり, 1週間保存しても冷蔵障害を受けなかった.
    3) 饅頭の凍結・蒸し直しを繰り返した結果, 形状および物理的特性において, 市販パン酵母を用いたものよりも発麺を用いたほうが変化が少なく, 良好なものであった.
  • 浜野 美代子, 伊野 みどり
    1989 年40 巻3 号 p. 227-232
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日本人の日常食品を通じて摂取するN-ニトロソ化合物に関する基礎資料を得るため, 穀類, 食肉, 魚介類, 野菜類およびそれらの加工品, さらに, 調理した食品中におけるNO2-, NO3-, 総二級アミンおよび NDMAの含量の調査を行った。得られた結果を要約すると次のようになる.
    1) NO2- 量, NO3- 量は葉菜類, 根菜類およびこれら野菜を使用した調理品, ならびに漬物中に高かった.
    2) 総二級アミン量は, 今回分析したほとんどの食品が, 1mg/100g以下と低レベルであったが, 魚介類中, とくにタラ, イカ, サンマを用いた調理品で高かった.
    3) NDMA 量は, 今回分析した市販食品および調理品中からは検出されなかった (検出限界0.1μg/100g以下).
  • ウールの新素材とその技術
    桜井 雅志
    1989 年40 巻3 号 p. 233-237
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 黒澤 慎治
    1989 年40 巻3 号 p. 239-242
    発行日: 1989/03/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1989 年40 巻3 号 p. 245
    発行日: 1989年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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