日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
41 巻, 4 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 近 雅代, 榛葉 良之助
    1990 年 41 巻 4 号 p. 289-293
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    キャベツの葉を外側の緑色の濃いものから内側の白色に至る色調の違いにより10段階にわけ, L, a, b値を測定した.測色したキャベツは, 液体窒素で凍結乾燥し, その粉末0.01gを超臨界炭酸ガス流体を用い, エチルアルコールをエントレーナーとし, 流速4.0ml/min, オーブン温度40℃, 圧力200kg/cmの条件下で30分間カロチンとクロロフィルの定量抽出を行った.その後HPLC法で定量し, 外観の測色値とカロチン, クロフィル量との関係を調べた.
    1) カロチン量とクロロフィル量との間には0.914 (p<0.01) の高い相関係数が得られ, クロロフィル量の多いものほどカロチン量が多いことがわかった.
    2) 明度を表すL値とクロロフィル量との問には-0.989 (p<0.01), 五値とカロチン量との間には-0.954 (p<0.01) の高い相関係数が得られた.このことからL値の低いものほどカロチン量が多いことがわかり, L値を測色することによってカロチン量の多少を論ずることができると考えた.
    3) b/a値とクロロフィル量との間には0.860 (p<0, 01), カロチン量との間には0.829 (p<0.01) の相関係数が得られた.
  • 廣川 由紀, 木咲 弘
    1990 年 41 巻 4 号 p. 295-301
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    -18~+10℃で28日間貯蔵したマイワシの, 鮮度と臭いとの関係について調べた.鮮度の判定は, K値の測定とトリメチルアミン窒素 (TMA-N) 量の定量によった.魚臭の分析は, 魚肉のヘッドスペース法による揮発性成分をガスクロマトグラフィー分析によって分析した.
    その結果はつぎのとおりである.
    (1) 貯蔵したマイワシのK値とTMA-N量による鮮度は, 貯蔵期間が長く, 温度の高いものほど悪くなった.
    (2) 低温貯蔵中の揮発性成分の生成量は, 貯蔵期間が長く, 温度の高いものほど増加し, -18℃貯蔵と-3℃貯蔵ではその生成が抑制された.
    (3) マイワシの鮮度低下初期の揮発性成分の主成分はプロピオンアルデヒドであり, 腐敗したものではエチルアルコールであった.
    (4) マイワシの鮮度と揮発性成分との間には, 高い正の相関関係がみられた.
  • 足立 蓉子
    1990 年 41 巻 4 号 p. 303-311
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    食生活の満足度とそれに影響する要因を明らかにするために女子学生を対象に調査を行い, その結果を林の数量化II類を用い分析した.
    (1) 食生活の満足度を居住形態別に比較すると下宿生は自宅生および寮生に比べて満足度が低かった.
    (2) 食生活満足度に影響する第一の要因は食品摂取状況で, 朝食をきちんと食べていることや, 多様な食品を摂取していることなどが満足度を促進した.第二は居住形態で, 自宅と寮が満足度を促進した.第三の要因では料理を作るのが好きであることが満足度を促進した.
    (3) 食生活満足度と健康や経済などとの関係については今後さらに検討していきたい.
  • 裾角度に及ぼす布の自重ならびに曲げ特性の影響
    綾田 雅子, 丹羽 雅子
    1990 年 41 巻 4 号 p. 313-320
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The deformation of fabrics in bending is closely related with the parameters 3B/W and√2HB/W (where B, 2HB and W are bending rigidity, bending histeresis and weight per unit area respectively).
    In this paper, the effects of fabric weight and method of hem finish at the bottom on silhouette of gathered skirt were studied by applying the heavy elastica theory and the theory of buckling.
    The results are summarized as follows :
    (1) When fabric weight per unit width Hw on the bottom of gathered skirt increases, the angle at the bottom of silhouette θs becomes greater.
    (2) The greater the gathering ratio of skirt Gr, a ratio of amount of gathering to width before gathering on the waist, the smaller the angle at the bottom of the silhouette becomes.
    (3) The fabric of big value of 3B/W makes the bottom of the silhouette of the skirt open wide.
    (4) It was found that extension at the bottom of gathered skirt θs was described as a function of 3B/W, Hw and Gr.
    (5) In the finish of the bottom, when the hem is pressed for set, the bottom extending is smaller, than when it is not pressed.
    These results are in good agreement with the results of the simulation test.
  • -兵庫県における利用権方式と賃貸方式との比較-
    菊澤 康子
    1990 年 41 巻 4 号 p. 321-332
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    During the rapid increasing in the aged population in Japan the private retirement home for the elderly, which aim at taking a function for securing the living of the aged, have been built in succession, and resulting in the increase of residential applicants.
    This thesis is to clarify the question at issue and to search for the recommendable living ways of the elderly by the study on the comparison among 12 various scale private retirement homes for the elderly in Hyogo Prefecture (8 rental system type and 4 lifetime occupancy privileges (LOP) system type).
    The results are as follows :
    1) LOP system has more abundant equipment in comparison with rental system.
    2) Notwithstanding the above fact, the evaluation of living conditions by the residents are appreciated by the majority of them in the rental system, whereas it depends on the managerial subjects in the large and middle scale LOP system. In case of the latter, the appreciation is obtained only on the condition of the coincidence between needs of residents and managerial system of such home.
    All the residents of private retirement home are not the persons in the upper income bracket, and their income are widely distributed according to such factors as size of accommodation, management policy, amount of down payment etc., whereas LOP system homes increasing rapidly in numbers require a large amount of down payment.
    This phenomenon means the lack of public-built residence for the elderly who are affordable to pay such high amount of down payment to enter LOP system home.
  • 高阪 謙次
    1990 年 41 巻 4 号 p. 333-340
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    (1) 食寝分離は, 第一に, 食事スペースに接客・くつろぎ等の機能が, 就寝スペースにプライベートな行為のための機能が含まれる可能性が大きいことと, 第二に, 分離可能な単身高齢者の多くが食寝分離を行っているという実態からして, 個々にはワンルーム化した住み方があったとしても, 基本的には単身高齢者にとっても基礎的な住要求として位置づけられる必要があろう.データの面からも, 条件さえあれば多くの単身高齢者は食寝分離をしていることが確かめられた.食寝分離を多くの単身高齢者が達成できるために求められる居住室規模は, 2室以上, 合計10.5畳以上である.
    (2) 単身高齢者が生活する上で基本的に必要な家具を収容するために必要な居住室の規模は, 10.5畳内外以上である.
    (3) ベッド使用者については最低限10.5畳の居住室が単身高齢者の要求である.
    (4) 都市部の単身高齢者が適当と認識している居住室規模は, 10.5畳以上18畳未満が最も多い.農漁村部ではこれよりも大きくなる.
    (5) 以上, 食寝分離, 家具保有, 規模認識の三つの点からいって, 現時点では, 都会部に居住する単身高齢者の住戸規模の要求は, 居住室にして10.5畳 (17.5m2), 居住室面積率を60%ほどと仮定した場合の住戸専用面積で30m2 (壁心計算) ほどということになる。これは, 最初に述べた第五期住宅建設五か年計画の中高齢単身世帯向けの最低居住水準 (25m2) よりは少し大きな値, 同じく都市居住型誘導水準 (43m2) を下まわった値である.農漁村部は都会部よりも大きな値の要求となっている.
    ちなみに国際的には, 英国の公的資金による賃貸住宅の単身高齢者向きの基準は34m2 (内法面積), スウェーデン, デンマーク, 西ドイツの単身高齢者向け公的賃貸住宅は最近は通常40~50m2 (内法)等, 欧米の多くは30~50m2となっている.また国際住宅・都市計画会議 (IFHP) は1970年のケルン勧告で単身者向け35.5m2 (内法) を推奨している。これから考えても, 都会部の単身高齢者が必要としている30m2ほどの値は, 妥当なものとして位置づけられることができるであろう.
  • 石川 孝重, 中山 和美
    1990 年 41 巻 4 号 p. 341-349
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は, 居住者の生活環境を整えるために, 振動感覚を決定する要因が何であるのか, その要因となる振動の物理的成分を分析するという二つの視点に基づいている.
    振動感覚と作業性能との比較, および許容限界との比較から, 振動感覚を表現する物理的成分は, 振動数と加速度であいと考えられる.振動数は評価尺度によらず重要な成分であり, どの評価尺度で振動をとらえるのかによって加速度の影響度合が異なる.変位の影響は人間の感覚認知においても加速度に従属していると考えられ, 振動の暴露時間も本実験の範囲では感覚評価を左右する成分とはいえない.
    居住者の振動感覚を評価するための尺度は, 単に床スラブの振動の感じ方の大小 (大きさ度合) を問うだけでなく, 居住環境の向上を目指すためにも, 居室の使用目的を考慮し, 振動を感じた不快度合で評価すべきである.とくに, 居住者がくつろいだり睡眠をともなう快適性が要求される環境では, 主観的な振動感覚評価をふまえて設計することが必要である.
    今後は, 居住者の振動感覚を考慮した, 設計段階で有効な評価尺度を作成したいと計画している.
  • 森 英子
    1990 年 41 巻 4 号 p. 351-359
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    昭和59年全国消費実態調査報告の都道府県別中分類23食料品目別支出金額をデータに, 47都道府県間の食料構成の偏差パターン類似率を算出した.
    (1) 最類似・最非類似の都道府県の組合せにおいては地理的距離 (地域特色を生じる) の影響が顕著であった.
    (2) しかし全組合せを概観して, 地域的要因と同程度に都市的要因 (地域とは関係なく大都市になるほど支出額が増加する社会的要因) が影響し, さらに都市的要因とかなり重複して所得水準に基づく全食料費支出水準が影響していることが考察された.
    (3) 昭和55年次の県庁所在都市間の類似率と昭和59年次の都道府県間の類似率の比較を行った.
    東京都区部と県庁所在都市, 東京都と道府県単位の類似率を比較し, 道府県単位類似率が県庁所在都市単位類似率より高い道府県は4年間に食料支出水準の向上があり, 逆に県庁所在都市単位類似率が道府県単位類似率よりも高い道府県は, 昭和55年次に県庁所在都市と道府県間に食料支出水準の差があり, さらに4年間に道府県単位で支出水準の向上がなかった (停滞) か, 低下したかと考えた.県庁所在都市類似率と道府県単位類似率がほとんど等しい道府県は, 県庁所在都市と道府県単位の食料支出水準が均等化しており, 4年間に道府県単位で食料支出水準に変化がなかった (停滞) と考えた.
    (4) 23食料品鼠の, 類似率に対する影響度は, 標準偏差値が大きい外食・肉類・生鮮野菜・調理食品等の影響が大で, とくに標準偏差値が大きい外食の影響が著しかった.標準偏差値が大きい品自に都市的な品目が多く, そのために地域的要因を凌ぐほどに都市的要因の影響が大であった.
    さらに, 南九州諸県と北海道・青森・岩手県はともに全食料支出水準か低いために地域を越えてやや類似していることにみられるように, 所得水準が直接には全食料支出水準が, 生鮮魚介・肉類・果物・菓子等の地域的品目の影響を薄める結果になった.
    (5) 23食料品目の標準偏差の大小にかかわらず, 各品目の類似率算出に対する影響を均等にするために, 各品目支出金額の平均からの偏差値を標準偏差で除して規準化した数値をベースにすることが考えられる.標準偏差が大きい少数の品目の影響で高く算出される類似率は, 規準化ベースによる算出ではかなり低く算出される.
  • 樋泉 俶子, 長井 満里子, 中川 早苗
    1990 年 41 巻 4 号 p. 361-368
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    以上の結果を要約すると以下のとおりである.
    (1) フォーマルな場面における晴れ着の着用嗜好については, 成人式では振り袖, 卒業式には袴姿, 謝恩会・友人の結婚披露宴にはドレスか振り袖, パーティにはドレス, 夏祭りには浴衣という対応パターンがみられた.
    (2) 晴れ着の調達方法については「購入する」, 「持っているものを着る」についで「レンタルにする」という者が多い.
    (3) それぞれの晴れ着についての評価を比較検討した結果, 振り袖は着装面や活動面, 手入れなどに難点はあるが最も日本の伝統的な独自性をもった礼装用としてふさわしい晴れ着として高く評価している.袴姿はレトロ気分を味わえるものとして, ニューキモノは, ファッション性やしきたりにこだわらない自由さの面で, 浴衣は, 気軽さの点でといったように, それぞれの特性を高く評価している.
    (4) 着用嗜好別の評価では, 振り袖派は, 振り袖をそれほど窮屈でもなく変身願望も満たす晴れ着として評価し, ニューキモノ派は, ニューキモノをしきたりにこだわらず, 礼装用としても通用する気軽な晴れ着として評価していることが明らかになった.
    (5) 因子分析の結果, 各晴れ着の評価基準として “ファッション性”, “機能性”, “伝統性”, “規範性”, “社会性” など五つの主要な因子が抽出されたが, それぞれの晴れ着によって, その重みづけに差異がみられた.
    今回の調査では近畿圏に在学する女子学生を対象としたが, 今後, より広い地域での調査を行い比較検討していく予定である.
  • 北田 長義, 君塚 明光
    1990 年 41 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 澤井 セイ子
    1990 年 41 巻 4 号 p. 375-381
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 藤原 康晴
    1990 年 41 巻 4 号 p. 383-385
    発行日: 1990/04/05
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top