高齢化社会に向けて快適な衣生活が展開されるための指標を得ることを目的に, これから高齢になる50代を対象に, 今後の衣生活への関心および衣生活のありかたについての調査を行った.その結果は次のように要約される.
(1) 衣生活に対する関心の程度は, 健康, 家族関係, 経済, 食生活, 住生活, 余暇の利用よりも低く, 「やや関心がある」の評価であった.また, 因子分析の結果, 第1因子に衣・食・住生活が高い負荷量を示し, 衣生活は衣, 食, 住という基本的な生活のかかわりのなかでとらえられていることが明らかにされた.
(2) 今後の衣生活のありかたについては, 性別, 家庭の職業 (男) の属性と関連がみられ, とくにそれは性別に顕著であり, 女子の評価が高い.また, 衣生活の関心の程度によって今後の衣生活のありかたに対する姿勢は異なり, 衣生活に関心の高い者は審美性およびファッション性の内容に評価が高い傾向がみられた.
男女別に因子分析を行った結果, 男子は「全体の調和」, 「自己と若さ」, 「人並み」, 「機能性」の4因子, 女子は「調和と流行」, 「機能性」, 「自己と若さ」, 「人並み」の4因子が抽出された.
(3) 日常の衣生活における被服の品質要求項目への配慮は, 女子が男子よりも高いが, 男子にも外観形態安定性, 衛生的機能等の項霞への配慮がなされていた。
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