日本家政学会誌
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42 巻, 4 号
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  • 研究枠組と基本的属性
    細江 容子, 竹田 久美子, 袖井 孝子, 鄭 淑子, 徐 柄淑
    1991 年 42 巻 4 号 p. 297-303
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to clarify the relationship between industrialization and attitudes of students toward their aging parents and the aged in three different cultures. The self-administered questionnaires were given to students in summer, 1986. The sample consisted of 567 students from 7 universities in Tokyo, 511 students from 8 universities in Seoul and 512 students from 8 universities in Taipei. Though Japan, Korea and Taiwan made a rapid growth of economy and have the common tradition of confucianism, social norms and cultural values concerning to their aging parents and the aged are quite different.
  • 老後責任意識についての分析結果
    細江 容子, 竹田 久美子, 袖井 孝子, 鄭 淑子, 徐 柄淑
    1991 年 42 巻 4 号 p. 305-312
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The results of variance analysis show that the birth order is significantly associated with the willingness to live together; that is the first or the only son tends to say that he would like to live with his parents immediately after marriage. A sense of first son's responsibility to continue the family lineage seems to be quite strong in all three countries.
    Though attitudes towards shared living arrangements seem to have been influenced by the traditional norms of the patrilineal stem family system, attitudes toward financial and physical supports are related to personal experiences. Those who were satisfied with their family life showed more willingness to support their parents financially or physically if they became dependent. Those who had often been told to provide filial piety in their childhood tends ended to show willingness to care for the parents when they become bedridden.
  • 熱水およびシュウ酸アンモニウム可溶性多糖について
    大谷 貴美子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 313-320
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    調理特性の異なる2種のじゃがいも, 男爵とメークイーンについて熱水およびシェウ酸アンモニウム可溶性多糖の構造を比較し, 煮くずれという現象について検討した.
    (1) 男爵の熱水可溶性画分からは主として3種類の多糖が得られ, メークイーンからは1種類の多糖が得られた.構成糖を調べた結果, 男爵では, 主としてグルコース, ガラクトース, マンノース, ウロン酸からなっていたのに対し, メークイーンでは, 主としてグルコース, ガラクトースからなっており, マンノースはほとんど含まれていなかった.また, 熱水可溶性多糖の構造を検討したところ, 男爵では, グルコースは1→4, 1→3結合をガラクトース, マンノースは1→4結合をしているのに対し, メークイーンではグルコースは1→4, 1→6結合を示し, ガラクトースも1→6, 1→3結合をしていることが示唆され, 両者の違いが示された.
    (2) シュウ酸アンモニウム可溶画分からは, いずれのじゃがいもからも, 主として1種類の多糖が分画された.また, 両者とも, ガラクツロン酸がおもな構成糖であった.構造を検討した結果, 両者とも, 主としてα1→4結合したポリガラクツロナンにラムノガラクツロナン, アラビノガラクタンなどが結合した構造が示唆された.多糖中のアセチル, メトキシル基含有量を測定した結果, 男爵のほうが高値を示し, 水に溶けやすい特性をもつことが示唆された.また, この画分の多糖の粘度を測定したところ, メークイーンのほうが男爵より高値を示した.
  • アルカリ可溶およびアルカリ不溶性多糖について
    大谷 貴美子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    調理特性の異なる2種類のじゃがいも, 男爵とメークイーンの細胞壁構成多糖, ヘミセルロース, セルロース画分の構造を比較検討した.
    (1) アルカリ可溶性多糖のうちとくに5%水酸化ナトリウム可溶性多糖の割合はメークイーンのほうが高値を示した.5%水酸化ナトリウム可溶性多糖および24%水酸化カリウム可溶性多糖はいずれも1→4結合したグルコースが主たる構成多糖であり, わずかではあるが, 1→3結合をしたグルコースの存在も認められた.また, 量的には少ないがグルコースのO-6位より, アラビノース, キシロースなどが側鎖として分岐していることも示唆された.
    (2) アルカリ不溶性多糖はいずれも1→4結合したグルコースからなる, セルロースであることが示された.
  • 辻 昭二郎, 中谷 文子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 327-337
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    炊飯や精米粉の調製などを行うことなく, 直接少量の米試料を用いて簡便に米飯の食味評価と関連した米の物性の比較を行う方法を開発し報告した.あわせて, 従来のアミログラフによる測定法などの問題点について実証的に論じた.
    (1) 一定濃度・一定の加熱条件で加熱した米試料を一定条件で液状試料とし, その液状試料の物性を多重バイト試験法で測定解析することにより, 米質や米の食味評価と関連した物性の差を比較検討することができる.このことを米質や食味の異なる7種の米について示した.
    (2) もち米とうるち米ののり化特性の差にもとづく物性の特徴を, コーンスターチとワキシースターチを用いたモデルでも比較し, 従来の測定法の問題点も含めた加熱条件の問題について論じた.
    (3) アミログラフの測定に使用されている比較的高い濃度で, とくに比較的高い温度で加熱した場合ののりの物性の問題点を論じた.この場合, 米の液状試料にみかけの2次的な物性が生じ, 米の食味品質と関連した正常な物性の比較ができないことを示した.
    (4) 高温の98℃で加熱した米の液状試料では, 加熱時間の影響が大きいことを示した.この温度で40分以上加熱するともち米とうるち米の物性が逆転しうるち米のほうがみかけの粘度が高くなり, また, 日本型のうるち米の米質間の物性の差も縮小することが示された.
    (5) もち米からインド型の外米まで幅広い米質間の物性の比較には加熱条件として94℃・25分, もち米間の物性の比較には90℃・25分, インド型の外米間の物性の比較には98℃・25~40分が適当と認められた.
    (6) 最適の加熱条件で比較すれば, 同じ米の新米と1年古米の物性の差もこの方法で識刷が可能であった.
  • 鈴野 弘子, 内堀 佳子, 川端 晶子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 339-346
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    愛玉子水抽出液が, 無添加のままでゲル化する現象に注目し, ゲル化挙動とゲル形成に関与する子実内在の構成成分を検討し, 以下のような結果を得た.
    (1) 粘性挙動の経時変化から, 愛玉子水抽出過程のゲル化挙動を観察することができた.濃度が高いほど, 粘度上昇時間が早く, ゲル構造の安定化に要する時間も短かった.
    (2) 愛玉子水抽出液にペクチンエステラーゼ活性が認められた.弱アルカリ性および塩化ナトリウム存在下で活性が高まり保存により活性が低下するという典型的な植物由来のペクチンエステラーゼであることに加えて, 愛玉子水抽出液に相当するpH5前後の弱酸性側においても活性が認められたことは興味深いことであった.
    (3) 愛玉子水抽出液は, 抽出直後より徐々にゲル化し, 3%抽出液では4時間, 4%抽出液では2時間で硬さのピークを示し, その後ゲルの硬さは減少し, ゲル構造の脆弱化が観察された.
    (4) 愛玉子水抽出物の構成糖を定量した結果, 主成分は, ガラクチュロン酸であるが, グルコース, アラビノース, キシロースなどの中性糖が定量された.果実ペクチンのようにラムノースをほとんど含まないことから愛玉子多糖はねじれをもたない直鎖分子であると考えられる.
    (5) 愛玉子水抽出物中の無機元素を高周波誘導結合プラズマ (ICP) 発光分析法で分析した結果, 5%前後の無機元素量が定量され, その中でK+が53.1~66.7%, ついでCa2+が21.3~31.5%を占めていた.
    (6) 赤外線吸収スペクトル分析の結果, 愛玉子の水溶性多糖にはペクチンに特有な吸収が認められ, イオン性カルボキシル基の吸収がLMペクチンに比べ大きかった.
  • 越智 知子, 木村 利昭, 相良 康重
    1991 年 42 巻 4 号 p. 347-354
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    バタースポンジケーキ製造における生地気泡量の変化に対する固体脂の影響を検討するため, 生地およびケーキの構造を走査電子顕徴鏡で観察した.
    試料は, 卵と砂糖を起泡し, 小麦粉を添加攪拌し, 最後に生地にサラダ油または融解した硬化魚油を添加攪拌して生地をつくった.
    (1) 油脂添加前生地と油脂添加生地の気泡含量を比較すると, 硬化魚油生地はサラダ油添加生地よりもとくに差が大きく気泡含量が少ない.
    (2) 油脂添加前生地の組織は, 小麦粉が卵と砂糖と水でできた連続相中にほぼ均一に分散している, しかし一部は小麦粉の集合体がみられでんぷん粒の存在も確認された.
    (3) 油脂添加前生地に添加攪拌した油脂はサラダ油の場合, 連続相に油滴として分散し, 融解した硬化魚油の場合は気泡界面に油滴が付着した形態で存在する.そして硬化魚油を添加した生地の気泡含量は, 添加前の生地よりいっそう減少しているので, 気泡界面に油滴が存在することが気泡減少の原因と考えられる.さらにこの油滴中に結晶脂肪がみられ, この現象がいっそう気泡含量の低下を招くことになる.
    (4) ケーキの構造は, 生地中で独立気泡として存在した気泡が焙焼により気泡内圧が高圧になり破裂した結果, 空気が連続的に存在する多孔質な網目構造になる.油脂を添加したケーキの網目の表面は滑面と粗面がある.滑面中には扇形の結晶した脂肪と思われるものが存在した.
  • 中川 弥子, 畑江 敬子, 又井 直也, 島田 淳子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 355-361
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    咀嚼時における磨砕運動をも考慮した食品テクスチャーの評価を行うために, 咀嚼時の下顎運動と咀嚼筋筋電図の同時記録を行った.筋放電持続時間を, 下顎運動の変化に基づき破砕運動区分時間 (D1) と磨砕運動区分時間 (D2) どに分制分析し, 以下のような結果を得た.
    (1) 咀嚼回数および咀嚼時間は食品により大きく異なった.一方, 周期時間は食品による差が小さく, 咀嚼進行に伴う経時変化も小さかった.
    (2) D1およびD2は, 咀嚼の進行に伴いそれぞれ減少, 増加の傾向を示した.その経時変化は食品により異なり, それぞれ三つのパターンが認められた.
    (3) D1とテクスチュロメーターによる硬さとの問に.は有意に高い相関が認められた (γ=0.701) が, D2と硬との間には有意な相関は認められなかった (γ=0.408).よって, 磨砕の面からテクスチャーを論ずるのに, 新しい食品テクスチャーの特徴づけにD2が有効であると推察された.
    (4) 従来の機器では同一条件で測定できなかった, キャベツの千切りやホウレン草などにも本研究法は応用できた.
  • 小ノ澤 治子, 上甲 久美子, 小見山 二郎
    1991 年 42 巻 4 号 p. 363-370
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    前報で速度論的研究により, 3種の非イオン界面活性剤によるタンパク質分解酵素のカゼイン加水分解の活性上昇は, 活性剤ミセルと結合した酵素と基質の解離定数が, 小さくなるためであると推定した.
    本報では, この推論を確かめるために, 前回用いた酵素2種とHLBが前回用いたものより広い範囲, 11.0~15.0にわたる非イオン界面活性剤3種を用いて, 活性剤存在下での酵素活性の速度論的研究を行った.その結果, それぞれの系での各活性剤のcmcより十分高い濃度領域で拮抗阻害の逆型に従う前回と同様の活性化が生じることを確認した.
    モデル低分子基質について同様の測定を行った結果, それぞれの系での活性剤のcmc以上で活性剤濃度が高くなるほど加水分解量が低下することがわかった.これは, この基質が活性剤のミセル内に取り込まれ, 酵素への接近が妨げられことによると推論した.
    カゼインの加水分解の初速の基質濃度, 活性剤濃度による変化を速度論的に解析した結果, 非イオン界面活性剤による酵素の活性上昇の機構は, 活性剤ミセルと結合した酵素と基質の解離定数が, 活性剤ミセルと結合していない酵素と基質のそれの約10~数10分の1になることによることを推定した.
  • 片平 理子, 別府 道子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 371-375
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    トイレに関する意識調査を行った後, 公共トイレの洋式便座の一般生菌数を測定し, 分離菌を同定した.また, 市販便座クリーナー, カバーの効果を調べたところ, 以下の結果を得た.
    (1) 公共トイレの洋式便座には多くの人が「汚い, 不衛生」というイメージを抱いており, とくに何もせずに直接腰掛けて使用する人は10%弱であった.
    (2) 便座50cm2あたりの一般生菌数は4~1,400で, 場所によりばらつきがあったが, 夏期は冬期に比べ多い傾向を示した.
    (3) 大腸菌群が検出された頻度は検査した便座の10~60%で, 夏期のほうが高かったが, 検出された菌数は, 一般生菌数に比べると著しく少なかった.
    (4) 便座から分離された菌は, Aerecoccus, Microceccess, Staphylocoms, Bacillusが多く, 皮膚由来ではないかと推測された.
    以上 (2) ~ (4) の結果より, 便座からの感染の危険性は低いと予想された.
    (5) 市販便座クリーナー, カバーの使用による皮膚接触面の細菌汚染防止効果が認められた.
  • -ドウの配合と大きさの影響-
    佐藤 之紀, 高田 昌子, 野口 駿
    1991 年 42 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ドウの一つの基本配合を中心に, 各成分の配合量を変えてドーナツを調製し, ドーナツの脱水量と吸油量とに及ぼす配合成分の影響を求めた.その結果, 次のことが明らかになった.
    (1) 油の添加量を変えても, ドーナツの脱脂乾燥物あたりの脱水量と吸油量とはほぼ一定であった.
    (2) 水の添加量が少なくなると脱水量はやや増大し, 吸油量も明らかに増大する.これは水が減少するとドウの硬化が起こり, これがドーナツにひびを生じさせるためと考えられた.
    (3) ドーナツは大きい方が脱水量も吸油量も少なく, 水や油の移行には表面積が関与しており, 比表面積の大きい方が脱水量, 吸油量ともに大きくなることがわかった.
    (4) 砂糖の量を増すと吸油量は明らかに増大するが, 脱水量にはあまり変化がなかった.
    (5) 卵の量が増すと, 脱水量が減じ, 吸油量が増す傾向がみられた.
    これらの知見からドーナツ調製時の水や油の移行には表面積が大きく影響し, 材料配合はドーナツの組織に変化を与えることで水や油の移行に関与し, またひびの生成は脱水量, 吸油量を大きく支配することが推定された.
  • 津田 美穂子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 381-384
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大竹 美登利, 武田 紀久子
    1991 年 42 巻 4 号 p. 384-387
    発行日: 1991/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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