調理特性の異なる2種のじゃがいも, 男爵とメークイーンについて熱水およびシェウ酸アンモニウム可溶性多糖の構造を比較し, 煮くずれという現象について検討した.
(1) 男爵の熱水可溶性画分からは主として3種類の多糖が得られ, メークイーンからは1種類の多糖が得られた.構成糖を調べた結果, 男爵では, 主としてグルコース, ガラクトース, マンノース, ウロン酸からなっていたのに対し, メークイーンでは, 主としてグルコース, ガラクトースからなっており, マンノースはほとんど含まれていなかった.また, 熱水可溶性多糖の構造を検討したところ, 男爵では, グルコースは1→4, 1→3結合をガラクトース, マンノースは1→4結合をしているのに対し, メークイーンではグルコースは1→4, 1→6結合を示し, ガラクトースも1→6, 1→3結合をしていることが示唆され, 両者の違いが示された.
(2) シュウ酸アンモニウム可溶画分からは, いずれのじゃがいもからも, 主として1種類の多糖が分画された.また, 両者とも, ガラクツロン酸がおもな構成糖であった.構造を検討した結果, 両者とも, 主としてα1→4結合したポリガラクツロナンにラムノガラクツロナン, アラビノガラクタンなどが結合した構造が示唆された.多糖中のアセチル, メトキシル基含有量を測定した結果, 男爵のほうが高値を示し, 水に溶けやすい特性をもつことが示唆された.また, この画分の多糖の粘度を測定したところ, メークイーンのほうが男爵より高値を示した.
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