日本家政学会誌
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42 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • -保育の質の向上をめざして-
    岩堂 美智子, 吉田 洋子
    1991 年 42 巻 8 号 p. 677-682
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1984年に著者らは, 津守・稲毛式乳幼児精神発達質問紙を用い, 保育所乳児たちが「探索・操作」領域を除いた他は順調な精神発達過程を示していることを報告した.
    本研究においては, 保育所乳児の発達の推移を, さらに詳しく調べるために, 作業法課題に特徴を有するK式発達検査を, 47名の乳児 (大阪府下の三つの保育所に生後6ヵ月未満で入所した子ども) に試み, 検討した.
    なお, 発達の評価は1983年から1985年の間に4回おこなった.
    結果の概要は次のとおりである.
    1) 保育所乳児は姿勢・運動発達に関して順調な推移を示した.
    2) 6ヵ月から12ヵ月の乳児は「探索」項目に低い数値を示した.
    3) 総じて, 18ヵ月以上の乳児は良好な結果であった.彼らはとくに「認知・適応」領域に能力を示した.当初低い数値を示した乳児たちは, 15ヵ月以降上昇しはじめた.
    以上の結果から, 保育所保母が, 12ヵ月未満の乳児たちの発達上の要求に対して感受性と応答性を高めるようとくに努力する必要があることが考察された.
  • 渕上 倫子, 佐々木 敦子, 岸上 洋子, 産本 敦子
    1991 年 42 巻 8 号 p. 683-689
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ラッキョウを2年間, 塩漬け, 直接漬け (塩漬けしないで直接甘酢漬けしたもの), または塩漬け後甘酢漬けしたときの軟化とペクチン質の変化について検討した.生ラッキョウ100gから分別抽出した希塩酸可溶性ペクチン (PA), 酢酸塩緩衝液可溶性ペクチン (PB), ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液可溶性ペクチン (PC) 中のガラクツロン酸量はおのおの40.9,492.1,137.0mgであった.生ラッキョウ中のPA, PB, PCのエステル化度はおのおの48.1, 24.4, 32.4%であった.塩漬けラッキョウおよび直接漬けは, 6カ月間貯蔵後に相当硬さを保持していた.しかし, 1年後には急速に軟化した.ラッキョウの硬さとラッキョウ中に残存したウロン酸の量は, 塩漬けラッキョウ>直接漬け>塩漬け後甘酢漬けの順であった.ラッキョウ漬けの硬さと細胞壁からのペクチン質の溶出の間に相関がみられた.貯蔵中にPBが増加し, PAが減少した.また, PA, PB, PCのエステル化度が減少した.PA, PCのDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーおよびゲルろ過による溶出パターンは貯蔵中に変化した.とくに塩漬け後甘酢漬けしたものの変化が著しかった.ラッキョウのペクチン質のおもな中性糖組成はガラクトースであり, 貯蔵中に中性糖組成の大きな変化はみられなかった.
  • 野田 耕作, 庵原 知子, 平野 裕子, 早渕 仁美
    1991 年 42 巻 8 号 p. 691-695
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    L-アスパラチル-L-フェニルアラニンメチルエステル (アスパルテーム, APM) の各種果汁中における安定性について, 果汁溶液に溶かしたAPMをアミノ酸分析計を用いたイオン交換クロマトグラフィーで分析することにより調べた.その結果, APMはキウイフルーツ, パインアップル, パパイアおよびメロンの各果汁溶液中で加水分解されることがわかった.とくに, メロン果汁溶液中では, APM0.1%, 果汁25%の条件下で約15時間でAPMは完全に分解した.パパイア果汁も高いAPM分解活性を示した.それに対して, オレンジ, 温州みかん, グレープフルーツ, レモン, りんご, ぶどう, いちごおよびマンゴの各果汁溶液中ではAPMは安定であった.
    キウイフルーツおよびパインアップル果汁溶液中でのAPMの分解産物は, L-アスパラチル-L-フェニルアラニンであった.一方, パパイアおよびメロン果汁溶液中では, APMはその構成アミノ酸であるL-アスパラギン酸とL-フェニルアラニンにまで分解された.
  • 野口 駿, 佐藤 之紀
    1991 年 42 巻 8 号 p. 697-702
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    種々のゲル生成物質すなわち寒天, κ-カラギーナン, ワキシーコーンスターチ, ゼラチン, 卵アルブミンおよびカードランから調製された種々の含水量 (99~70%) のゲルについて10℃および30℃においてプロトン緩和時間T1およびT2を測定し, これから結合水量および相関時間を推定した.その結果, 寒天で結合水量はいちばん高く (0.6~1.0g H2O/g dry matter (DM)), つづいてカードラン, 卵アルブミン, κ-カラギーナン (0.07~0.17gH2O/g DM) そしていちばん低いのはワキシーコーンスターチとゼラチン (0.03~0.1g H2O/g DM) であった.10℃でのこれらの量は30℃におけるそれらに比べて, 親水性ゲルでは高く, 疎水性ゲルでは低かった.以上の結果から, 疎水結合を生じるといわれるカードランゲルは他の親水性ゲルと著しく異なる挙動を示すことがわかった.
  • 神澤 慶美, 原田 明, 原田 篤也
    1991 年 42 巻 8 号 p. 703-709
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    私どもは, 唯一の炭素源としてZymolyase ((1, 3-β-グルカナーゼの一種) あるいは32℃における32%硫酸の作用に抵抗するカードランを含む合成培地で生育できる土壌細菌株を純粋分離し, 抵抗性カードランによく作用する優良菌株YK9を選ぶことに成功した.ついでYK9菌株の抵抗性カードランを加水分解しうる細菌外酵素の生産を, 対照菌としてのYK5とYK11菌株の生産とを比較してしらべた.YK9菌株の粗酵素の抵抗性カードランの加水分解速度は再生カードランよりもかなり低かったが, 抵抗性カードランを完全に加水分解した.この酵素はカードラン, カルボキシルメチルカードラン, シゾフィランによって誘導的に生産された.再生カードランあるいは抵抗性カードランで生育したYK9菌株の酵素はそれぞれ上記のカードラン, カルボキシルメチルカードラン, シゾフィランに同様な比率でよく加水分解した.
  • 和田 淑子, 倉賀野 妙子, 木村 宏樹
    1991 年 42 巻 8 号 p. 711-717
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    澱粉特性がクッキーの品質に及ぼす影響を調べるため, ワキシーコーンスターチ (WCS) とハイアミロースコーンスターチ (HACS) という, 糊化特性の異なる二種類の澱粉を用いて単純化した配合のモデルクッキーを調製し, これを物性測定と官能検査により評価した.
    WCSクッキーはHACSクッキーとくらべ, 垂直方向に大きく膨化し, スプレッド (焼き広がり) は小さくなった.物性測定と官能検査のいずれにおいても, WCSクッキーは硬く, HACSクッキーは顕著なショートネスを示した.走査電子顕微鏡で観察してみると, 脱脂したWCSクッキーには連続的な構造が認められ, これが膨化や硬い物性の原因と考えられた.両クッキーともに糊化度は非常に低かったが, WCSのほうがHACSクッキーよりわずかに糊化度が高かった.示差熱分析と電子顕微鏡観察から, WCSの粒子がクッキー中で一部糊化していることが示唆された.
    澱粉の糊化による連続構造はクッキーを膨化させ, 最終製品を硬いものにしてしまうことが推察された.したがって, ショートなもろい食感のクッキーを作るうえで, 澱粉糊化の阻害は重要であると考えられる.
  • 福島 正子, 長島 和子, 竹山 恵美子
    1991 年 42 巻 8 号 p. 719-722
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    家庭で日常用いられている, 市販アルミニウム箔から金属アルミニウムが溶出することがあるのか, 実験を行った.まず, 市販アルミニウム箔で蓋付きカップを作り, おのおののカップに蒸留水および0.3, 0.5, 1%クエン酸水溶液と, それらに0.5%濃度または1%濃度の塩化ナトリウムを加えた水溶液を5mlずつ注入した.これらを1~20分間室温放置または加熱したのち, 試料溶液中のアルミニウム溶存量を原子吸光法で測定し, 次のような結果が得られた.
    (1) 蒸留水および0.3, 0.5, 1%クエン酸水溶液を室温に放置しておいても, アルミ箔からアルミニウムが溶出する.また溶出量は蒸留水よりクエン酸水溶液のほうが多いことがわかった.
    (2) 蒸留水および0.3, 0.5, 1%クエン酸水溶液を加熱すると, アルミニウム溶出量は室温放置より著しく高い値を示した.また加熱時間とともに溶出量は増加することがわかった.
    (3) 蒸留水および各クエン酸水溶液に, 0.5%または1%濃度の塩化ナトリウムを加えて加熱すると, 10分以上の加熱では明らかに塩化ナトリウムを添加したもののほうが添加しなかったものより, アルミニウム溶出量は多くなることがわかった.さらに, 0.5%より1%塩化ナトリウム添加のほうが高い値を示した.
  • 藤村 明子, 大野 静枝
    1991 年 42 巻 8 号 p. 723-728
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • Margaret ARCUS
    1991 年 42 巻 8 号 p. 729-730
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 昭和女子大学生活機構研究科 (博士課程) の現況と課題
    福場 博保
    1991 年 42 巻 8 号 p. 731-733
    発行日: 1991/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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