以上の考察を総括すると次のようになる.
(1) 部屋の使われ方をみると, 北玄関型では, 家族が集まる部屋, および接客に使う部屋が70%台で南和室に集中するが, 南テラス型では南和室と板の間に分散する傾向がある.食事をする部屋は, 朝食は両型とも板の間を70%で使っている.一方, 夕食は南和室の比率が増え, 北玄関型では板の間とほぼ同じ40%台であるが, 南テラス型では, 板の間のほうが60%台で, 南和室の20%台を上まわっている.
その理由として, 北玄関型の板の間は, 玄関から入って各室への通路となり, 落ち着いて夕食をとり, 家族が集まる部屋になりにくい点があげられる, 一方, 南テラス型の板の間は, 通路にならないこと, 台所が部分的に区分されていること, 多少広く, テラスが庭先のように使えること, などの点で有利であり, 夕食にも, 家族の集まる部屋としても安定していると考えられる.
(2) バルコニーの位置や広さ, 階段の位置や形および家の中への入り方についての評価は, 南テラス型のほうが北玄関型よりも「現状でよい」とする比率が 14~16ポイント高く, 間取りの使いやすさについての評価も13ポイント高い.
(3) 以上, (1) 部屋の使われ方については, 北玄関型の板の間は通路になり, 夕食や家族の集まる部屋として使われず, 南和室が使われ, LDKの役割を果たしていない.一方, 南テラス型は, テラスからの直接アクセスにより, 板の間は通路にならないため, 本来のLDとして使われている. (2) アクセス方式に対する評価は, 従来の階段アクセスに比べて, 新しく提案された半戸外空間のテラスアクセスのほうが, 全般的によい結果が得られた.これにより, テラスアクセス方式は沖縄において受け入れられることが実証されたと考えられる.
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