日本家政学会誌
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44 巻, 3 号
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  • 第二次世界大戦後の日本における家政学部と, 女性にとっての新制大学の創設についての史的考察
    草野 篤子, スウェル キャロリン
    1993 年44 巻3 号 p. 173-184
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    第二次世界大戦前には, 日本で新しい大学が創設されるには, 文部省が認可を与えていた. しかし, 戦後新しい大学制度が確立されるにあたり, GHQの民間情報教育局 (CIE) 教育課に1946年から48年まで, アドバイザーとして来日したルル・ホームズは, 全国的な日本の大学基準協会を創出した.協会は一定の大学設置基準を設定し, 設置基準にきちんとかなっている場合には女子大学であろうと何であろうと, 文部省はその学校に認可を与えざるを得ないというものである. ホームズは, 女子大学を含めてどのような大学であっても, 文部省が公正に判断を下し, 公平に認定する方策を作りあげた. その後, 文部省の許諾を得, 女性にも男性と同等で, 平等な高等教育を企図する日本の新制国立大学制度が, 1949年4月に始まった.
    第二次世界大戦直後, 戦後の教育改革の結果として, 1948年に新制女子大学と家政学部が創設された. この一連の論文の目的は, 日本女性の高等教育を推進する上で画期的かつ歴史的に重要な成果を遂げた, ホームズの業績を明確かつ明細に跡づけることである. この歴史的分析は, 主に米国で公開された公文書, ホームズの口述史, ジョセフ・トレイナーの回顧録, ボームズの業績にかかわった人々に対する面接調査に基づいている.
  • 佐藤 之紀, 野口 駿
    1993 年44 巻3 号 p. 185-189
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ポリデキストロース, 難消化性デキストリン, グアガム部分分解物の三種の食物繊維に結合する水を収着等温線とパルスNMR法を用いて追跡した. 水溶性食物繊維の単分子層吸着水量は4~7g/100g乾燥物で, パルスNMR法から算出した結合水量 (1~3g/100g乾燥物) よりも若干高かった.さらに水溶性食物繊維の結合水の相関時間は自由水のそれよりも約103倍長い2~5×10-9secであることから, パルスNMR法を用いれば基質相互間の影響が少ない希薄水溶液中で単分子層吸着水に相当する水を定量することが可能であると考えられた. また, 10℃~30℃へ昇温させた際の結合水形成におけるエンタルピー変化量が-14~-36kJ/molであったことから, 結合水の形成は発熱反応で結合水1分子の形成に1~2個の水素結合が関与していると考えられた.
  • 佐藤 之紀, 野口 駿, 高橋 節子, 内藤 文子, 内藤 博, 田中 直義
    1993 年44 巻3 号 p. 191-195
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    真空調理時の加熱温度の影響を鶏肉の表面の色調, 硬さ, プロトンの磁気緩和挙動などを指標として追跡した. 鶏肉を加熱すると加熱温度が上昇するにつれて明度は上昇したが, 黄色度はほとんど変化しなかった. これらの色調の変化は50℃から60℃付近で特に急激に変化しており, 硬さの変化とよく対応していた. 一方, プロトンの緩和曲線の二相化への移行が50℃付近で起こり, 40℃~50℃での急激な構造変化を表していた.さらに, これらの温度による変化は鶏肉を真空処理しなくても認められた.
  • 寺原 典彦, 坂梨 智昭, 津久井 亜紀夫
    1993 年44 巻3 号 p. 197-201
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ハスカップ (Lonicera caerulea L.) の実から抽出された5つのアントシアニンの構造決定をHPLC分析, 分解実験および分光学的方法などにより行った.その結果, 2つの主要な色素はそれぞれシアニジン 3-グルコシドと3, 5-ジグルコシドであることが判明した. また, マイナーな2つの色素はそれぞれシアニジン3-ルチノシドと3-ゲンチオビオシドであることがわかった. しかし, 残り1つの色素の構造は不明であった.
  • 清宮 敏子
    1993 年44 巻3 号 p. 203-207
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    光学的平面石英板とシリコンゴム板の間にはさまれたアニオン活性剤水溶液の静摩擦係数を, 種種の活性剤濃度および負荷加重のもとで測定した. 摩擦係数は, 活性剤濃度増加につれ著しく低下し, 臨界ミセル濃度 (cmc) 付近では0.05になるが, これより高濃度ではわずかに増加している. 本測定法によって, 垂直負荷加重がある限界値を越えると活性剤の潤滑効果は突然失われることが認められた. この膜破断圧は活性剤濃度とともに増加し, cmcで最大値104dyne/cm2を示しているが, それ以後は最大値の1/2にまで減少している.
  • 松生 勝 , 武末 聡美
    1993 年44 巻3 号 p. 209-218
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ジメチルスルホキシド/水混合溶液中の, シンジオタクティックポリビニルアルコール溶液を, 弾性および準弾性光散乱法によって研究した. 相分離の初期段階において, 散乱強度の対数と時間のプロットは, カーンによるスピノーダル分解の線形の概念に合致して直線を示した.この初期段階でHV偏光状態下でのX型散乱像が観察され, 光軸がロッド軸に対して平行または垂直に配向するロッド状組織の存在が示唆された. さらに, 準弾性光散乱により計測される拡散係数は, 散乱強度の対数と, 時間の直線プロットが得られるタイムスケールの範囲で, 時間と共に減少した. X線散乱像の出現と拡散係数の時間依存性は, ゲル化の進行を示唆している. よって, ポリビニルアルコールの相分離の初期段階では, スピノーダル分解とゲル化が同時に起こっているということが判明した.
  • -Concluding Final Plenary Presentation-
    Nancy L. GRANOVSKY
    1993 年44 巻3 号 p. 219-225
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    “展望” と題された本稿は, 1992年7月, ドイツ連邦共和国ハノーバー市で開催された第17回国際家政学 (IFHE) 会議の最終全体会議における講演の全文 (一部削除) である.ここでは, 1週間にわたる会議の総括と今後何をなすべきかについての “展望” がまとめられている.日本の会員のIFHE理解の一助として, ここに著者の許可を得て掲載するものである。なお, 本稿の著者NancyGranovsky氏は, 1980年から84年にかけてIFHE理事として, また, 1986年から90年にわたっては, アメリカ地区代表のIFHE副会長として活躍され, 1988年ミネアポリス大会では, 開催国企画委員長を果たすなど, IFHEのリーダーの1人として活躍中の家政学者である.
  • Linda S. ROBINSON
    1993 年44 巻3 号 p. 227-229
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本誌では, 今月号から海外通信欄を設け, 海外会員から寄せられるレポート, 海外情報, 日本会員へのメッセージ等が掲載されることになった. 本稿はその第一報で, 米国ノースカロライナ州の高校の先生L.S. ロビンソン氏から寄せられたレポート “家政学は教育改革の触媒となり得る” である.
    第2次世界大戦後のアメリカでは, 労働現場でより高度な教育を受けた労働力が求められるようになり, 進学率も増加したが, 今日, その教育の成果が十分にあがっているとは言い難い状況にある. 本稿では, その原因の本質の一端を学校教育以前に学習意欲を準備する家庭教育, 特に親の生活態度にあるとして, 真に教育の成果をあげるためには家政学, わけても次世代をになう生徒達への親業教育こそが重要であると述べている.
  • 福田 はぎの
    1993 年44 巻3 号 p. 231-235
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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