日本家政学会誌
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45 巻, 1 号
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  • 個人・家族リンケージ活性化への影響要因
    中間 美砂子, 浅田 幸子, 足立 啓子, 榎並 英子, 遠藤 マツヱ, 妹尾 勝子, 田窪 純子, 時岡 晴美, 中川 忍子, 長石 啓子 ...
    1994 年 45 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    近年, 孤立核家族が増加し, 社会的ネットワークの主体的・選択的形成とその活性化の必要性が高まってきている.そこで, この社会的ネットワークの現状を把握し, 今後の課題を把握するため, 中国・四国地域の中高年期の女性1,439人を対象に調査を実施した.本報では, 個人・家族リンケージの活性化への影響要因を探った.
    結果の概要は次のとおりである。
    1) リンケージの日常時利用度は, 個人リンケージに比して家族リンケージが高く, なかでは, 親族リンケージが最も高く, 近隣関係がそれにつづく.
    2) リンケージの緊急時利用度は, 親族リンケージが最も高く, ついで近隣関係リンケージが高いが, プライバシーにかかわる項目については, 家族を通した知人, 個人リンケージの方が高くなっている.
    3) リンケージ人数増加希望は, 利用度と逆傾向を示し, 個人リンケージの方が高く, なかでも幼なじみ・同窓生が高い.
    4) リンケージの質的評価としての親密度, 信頼度は, 親族リンケージがもっとも高い.
    5) 交流頻度, 近住度は, 近隣関係リンケージの方が親族リンケージより高い.
    6) 交流親密度には, 信頼度, 交流頻度の影響がみられ, さらに家族リンケージについては交流人数が, 個人リンケージについては近住度の影響がみられる.
    7) 市街地の個人リンケージの利用度には, 近住度の影響が大きい.
    以上の結果から, 当地域では, 親族リンケージ, 近隣関係リンケージの利用度が高いが, 近隣関係リンケージの活性化には限界があり, 主体的・選択的に形成される個人リンケージの形成が期待されており, 今後の課題となっている.
  • 個人・家族ネットワーク活性化への影響要因
    中間 美砂子, 浅田 幸子, 足立 啓子, 榎並 英子, 遠藤 マツヱ, 妹尾 勝子, 田窪 純子, 時岡 晴美, 中川 忍子, 長石 啓子 ...
    1994 年 45 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    目的, 方法は第1報に同じ.本報では, 個人・家族ネットワークへの影響要因について報告する.結果の概要は次のとおりである.
    1) ネットワーク利用努力を積極的にしているものは少なく, 義務的な行事への参加・世話の方が重視されている.
    2) ネットワーク利用度評価は, 自助に比して互助・公助システムへの評価が低い.
    3) ネットワーク日常時利用度スコアへの影響の大きい属性としては, 配偶関係, 年齢, 子との同別居の関係があげられる.
    4) ネットワーク日常時利用度スコアへの影響の大きいネットワークスコアとしては, ネットワーク緊急時利用度スコア, ネットワーク利用努力度スコア, ネットワーク利用度評価スコア, 儀礼時交流人数スコアがあげられる.
    以上の結果から, ネットワークの活性化を高めるには, ネットワーク利用度評価, ネットワークの利用努力を高めることが必要で, 儀礼的交流も無視できないといえる.ネットワーク利用度評価の低かった互助, 公助システム開発も今後の課題となってくるといえよう.
  • 松本 睦子, 河村 フジ子
    1994 年 45 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    せん切りにした大根を天日乾燥 (生干し) と蒸し加熱後天日乾燥 (蒸干し) の2法で調製し, おのおのの成分, 吸水速度, テクスチャーについて検討した結果を要約すると次のようになる.
    1) 切干し大根の香気成分として, ジメチルジサルファイド, n-ヘキサナール, 3-メチルチオプロパナール, ジメチルトリサルファイド, (Z)-4-メチルチオ-3-ブテニルニトリル, (E)-4-メチルチオ-3-ブテニルニトリル, 1-イソチオシアネートプロパン, 4-イソチオシアネート1-メチルチオブテン, (E)-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート, 2, 6-ビス-1, 1ジメチルエチル-4-メチルフェノール, 5-メチルチオペンチルイソチオシアネートを同定した.
    2) 生大根を干し大根にすると (E)-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートが顕著に減少し, 新たにジメチルジサルファイド, n-ヘキサナール, 3-メチルチオプロパナール, ジメチルトリサルファイド, (Z)-4-メチルチオ-3-ブテニルニトリル, 1-イソチオシアネートプロパンが生成される.生干しより蒸干しの方が香気全収量が多い.
    3) 生大根を干し大根にすると, 還元糖が増加した.その大半は浸し水中に溶出してくる.ホルモール態窒素は試料間の差は些少である.
    4) 吸水量は生干し, 蒸干しのいずれも30分まで急速に吸水し, 以後緩慢となり, 蒸干しの方が吸水量が多い.
    5) 加熱に伴う硬さは, 生干しより蒸干しの方が早く柔らかくなる.
  • 食物教材に関する実験法 (第5報)
    米村 友子, 有富 正和
    1994 年 45 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    To demonstrate experimentally the role of Maillard reaction in the coloration and flavoring of food, which takes place on cooking, especially on baking and roasting, the following procedure has been shown to be available for the food-education in senior high-school; the aqueous solutions (10-2 M) of reducing sugar and amino acid are taken in a hole of spot-plate (3 drops of each solution) and the mixture is heated on a hot-plate (within 10 min at 150°C) or in a microwave-oven (3 1/3 min). The resulting color and aroma are compared with those of experiments carried out in parallel by using the respective solutions of reducing sugar and amino acid. The spot-plate can be substituted by some kitchen wares such as dishes and moulds to make pudding and cake. The domestically available reducing sugar (fructose) and amino acid as well as peptide (Na-L-glutamate and aspartame) were also usable in place of pure chemicals.
  • 具 (添加材料) が飯の性状に及ぼす影響
    江間 章子, 貝沼 やす子
    1994 年 45 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    炊き込み飯において, 具が米飯の調味料浸透状態や性状に及ぼす影響を明らかにし, 具を加えた場合の調味方法について検討を行った。結果を以下に要約する.
    1) 飯のナトリウム吸収量は炊き込む具の種類により異なった.
    2) 飯全体のナトリウム吸収率は醤油の添加量に関係なくほぼ一定であった.単位重量あたりの飯のナトリウム吸収量は醤油の添加量に比例的に対応し, 飯のテクスチャーに影響した.
    3) 具を用いた飯のナトリウム吸収率を基に, 具の種類を考慮した醤油の添加量を算出することが可能であった.
    4) 飯のナトリウム吸収量が多い飯は, 官能検査においても味が濃いと感じられ, 飯のナトリウム吸収量の測定結果は官能検査による評価と対応していた.
    5) 米の浸漬条件は飯のかたさやナトリウム吸収率に影響を与え, 醤油の添加量の増減に加えて, 米の浸漬条件も変化させることにより, 飯の味やかたさの調節が可能となることが考えられた.
  • 山崎 吉郎
    1994 年 45 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    調味のだし材料として古くから使用されている鰹節, 煮干しのエキス成分の比較を, ゲルろ過分画, 官能検査, アミノ酸分析および核酸塩基類の分析で行い, 次の結果を得た.
    1) 遊離アミノ酸含有量はいずれもヒスチジンが特別多く, 他は鰹節でリジン, アラニンが, 煮干しでプロリン, リジン, アラニン, グルタミン酸がそれぞれ多かった.
    2) 核酸関連物質含有量は, IMPが両試料とも最も多く, 他の成分では鰹節にイノシン, ヒポキサンチンが多く, 煮干しにADP, AMPが多かった.
    3) セファデックスG-25カラムによっておのおの6画分に分けることができ, 鰹節は低分子部分に核酸関連物質の強い旨味を呈したが, 煮干しは高分子部分から低分子にかけて旨味を有しており, 特に高分子側でペプチドのコク味, まろやかさを呈した.
    4) 煮干しの旨味を呈するペプチドはグリシン, グルタミン酸, アラニンが主要な構成アミノ酸になっており, 分離ペプチド群ではアスパラギン酸 : スレオニン : セリン : グルタミン酸 : プロリン : アラニン : グリシン (1 : 2 : 2 : 2 : 2 : 2 : 4) の組成を有していた。
  • 高森 壽
    1994 年 45 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    5種類 (黄の縦縞, 青の縦縞, 黄の横縞, 青の横縞および灰の無地) のワンピースドレスの実物を試料として縦縞・横縞が衣服の図柄として用いられた場合, その錯視現象が着用時のみかけの長さや印象に与える影響について検討することを目的として, 一対比較法による実験およびS.D.法による印象調査を実施した.
    実験結果より, 前中心線においては横縞より縦縞の方が縦に長く, 乳頭間, 胴囲線および腰囲線においては縦縞よりも横縞の方が横に長く見えることが明らかになった.印象調査による結果は, 図の方向に影響をうけているのは, 「全体的に細く見える-全体的に太く見える」, 「すっきりした-やぼったい」の2項目で, 横縞より縦縞の方が“全体的に細く見える”, “すっきりした”と評価され, この結果は映像を用いた他の研究結果とも同じであった.一方, 地の色に影響を受けているのは, 「派手な-地味二な」, 「静的な-動的な」, 「重々しい-軽快な」, 「冷たい-暖かい」の4項目で, 青よりも黄の方が, “派手な”, “動的な”, “軽快な”, “暖かい”と評価され, 色のもつ感情がワンピースドレスの印象に影響を及ぼしていた.しかし, 他の評価用語については, この2要因がどのように関連しているのかは明らかにならなかった.
    因子分析の結果, 縞柄ワンピースドレスの印象は活動性, 評価の因子で表され, 「灰無地」は地味な, 重々しい, 静的な, 一般的な, 冷たい, 硬い, 平面的な, 「黄の縦縞」は派手な, 軽快な, 動的な, 個性的な,暖かい, 柔らかい, 立体的な, 「青の縦縞」はすっきりした, センスのある, 好きな, 全体的に細く見える, 上品な, 「黄の縦縞」はやぼったい, センスのない, 嫌いな, 全体的に太く見える, 下品な, の印象で表されたが, 「青の横縞」は印象がはっきりしなかった.
    試料として, ワンピースドレスの実物を用いた場合のみかけの長さおよび印象に影響を及ぼす要因 (たとえば図の方向や太さ, 縞の配色等), みかけの長さと印象との関連, さらに, 試料として映像等を用いた場合との比較については今後研究を積み重ねていく必要があると考える.
  • 西山夘三の生活様式論を中心として
    柴田 周二
    1994 年 45 巻 1 号 p. 55-63
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 川染 節江, 合谷 祥一, 三木 英三, 山野 善正
    1994 年 45 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    バタースポンジケーキ生地の微視的物性と巨視的物性を比較するため, バター含量が小麦粉に対し, 0, 5, 10, 15, 20, 30および40%の試料について, 動的粘弾性とラジカル4種, すなわち, 親水性のTEMPOLおよび両親媒性のTEMPO, アミロースおよびアミロペクチン-TEMPOによるESRシグナルを測定し次のような結果を得た.
    1) 生地の動的粘弾性率は小麦粉に対しバターを5%添加することにより低下し, 20%まではほとんど変化がなく40%まで徐々に増大した.動的損失はバター含量10%まで徐々に低下し, 20%までほぼ一定となり以後若干増大し, 動的弾性率とほぼ同じ変化を示した.i損失正接は, バター含量5%で急激に増大し10%以降は低下した.
    2) 両親媒性のTEMPOのESRシグナルは高磁場側のピークが二つに分裂した.ラジカルの回転相関時間の大きさは, アミロースーTEMPO > TEMPOL > アミロペクチン-TEMPOの順であり, アミロースが生地中でアミロペクチンよりも大きな微視的粘度を示すことが示唆された.しかし, バターによる回転相関時間の変化は, 3種のいずれのラジカルの場合も大きくなく, 生地中のデンプンの微視的物性と生地全体の巨視的物性は明らかに異なることがわかった.
  • 中里 トシ子, 中田 恵子, 曽田 武富
    1994 年 45 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    甘藷の焙焼方法としてオーブン加熱に電子レンジ加熱を併用する方法が, 時間の短縮および官能的に好まれるかを検討し, 次のような結果を得た.
    1) 甘藷の内部温度が60℃になるまで (7~9分) オーブン加熱した後, 電子レンジで2分加熱した併用加熱のC法は, オーブンのみで20~25分加熱した単独加熱のA法の約1/2の加熱時間で焙焼され加熱時間を短縮することができた.
    2) C法は, 黄色みが強く, ほくほくした感触で, 硬く甘味はA法に比べて少ないが, 官能検査の結果, 総合では最も好まれた.
  • 食生活を中心に
    石毛 フミ子, 伊東 清枝, 三束 純子, 浅見 雅子, 阿部 幸子, 馬場 紀子, 畑江 敬子, 川合 貞子
    1994 年 45 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 植竹 桃子, 松山 容子
    1994 年 45 巻 1 号 p. 83-91
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    成人に至る以前のどの時期に, 近年著しくみられるスリム志向が成立してくるのかを明らかにするために, 小学4年生から高校2年生までの男女の児童・生徒, 合計2,673名に対して, 肥り痩せの意識についての質問紙調査を行った.主な結果は, 以下の通りである.
    1) 女子では, 身長が高く体重が軽いことを望むスリム志向が, 中学生以降に明確になる.男子では, 女子よりも遅れてスリム志向が現れるが, その度合は女子ほど強くなく, 内容的にも体重よりも身長が高いことを望む高身長志向の傾向が認められる.これらの志向には, 身長, 体重はもとより, 身体の様々な部位に対する意識も関与している.
    2) 身長・体重に対する留意度と衣服の選択法との関係から, 若年成人と同様に, 肥り痩せの意識と自分の外観を重視するおしゃれ感との結びつきが認められた.
    3) 成人にみられるような肥り痩せについての偏った意識をもつことを予防するためには, スリム志向が成立するまでに至っていない小学校の比較的早い学年時に, スリム志向を見直す機会を与えることが必要だと考えられる.
  • 1994 年 45 巻 1 号 p. 95
    発行日: 1994年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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