日本家政学会誌
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45 巻, 8 号
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  • 畦 五月, 三好 正満
    1994 年45 巻8 号 p. 673-680
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    短時間ボイルしたカリフラワー (Brassica oleracea var.botrys) から, DEAEカラムクロマトグラフィーによってレクチンを得た.このレクチンは, 生よりもボイルすることで活性が逆に増大した.
    体重20gマウスに腹腔内投与したカリフラワーレクチンは, 成長遅延および, 小腸酵素活性低下を起こした.また, 血漿脂質の減少と, 組織の脂質酸化を招いた.
    以上の結果を総合すると, 耐熱性カリフラワーレクチンは, 腹腔内投与した場合, マウス成長を低下させるだけでなく, 小腸酵素活性および, 脂質代謝回転全体も低下させた.つまり, この毒性のメカニズムは, 経口投与した豆レクチンの毒性と類似したものであった.
  • 高崎 禎子, 唐沢 恵子
    1994 年45 巻8 号 p. 681-688
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    転移ガラクトオリゴ糖溶液 (GO-S) は38.2%の転移ガラクトオリゴ糖を含んでおり, 甘味食品素材の1つとして利用されている.Torulaspora delbmeckii及びSaccharomyces cerevisiaeに対する発酵性を調べるとともに, GO-Sの添加及び置換が製パン性に与える影響について検討した.液体培地中では両イーストともに転移ガラクトオリゴ糖を利用しなかったが, GO-Sでは溶液中の発酵性の糖を利用して, ガス発生を行った.両イーストともに小麦粉に対して5%までのGO-Sの添加は二次発酵時のガス発生に影響を与えなかった.GO-S 2.5%以上の置換はガス発生を減少させた.S. cerevisiaeでは冷凍生地調製法においてTOS溶液混入によるガス発生力の改善は見られなかった.非冷凍・冷凍生地の物性に対してGO-Sの添加または置換は影響を与えなかった.また, GO-Sはアミログラフにおける糊化特性に影響を及ぼし, GO-Sの濃度上昇とともに最高粘度は上昇した.官能検査結果より総合的に判断するとGO-Sの混入量は0.5から2.5%が望ましい.
  • 佐藤 之紀
    1994 年45 巻8 号 p. 689-696
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    パルスNMRを用いる簡易水和能力測定法により食物繊維の水和能力を調べた.
    食物繊維を緩和曲線の形, 相関係数 (シグナル強度の対数と遅延時間), spin-spin緩和時間 (T2) およびその成分のプロトン量比, Root mean square (RMS) から水溶性食物繊維 (SDF) と不溶性食物繊維 (IDF) に分類し, 水和に寄与している官能基を推察した.
    SDFの相関係数は大きく, 遅く緩和する成分 (S-T2) のプロトン量もIDFよりも多かった.また, 一日経過後の緩和曲線の形状変化はSDFのみに認められ, そのS-T2はIDFと比べて短かった.SDFの緩和曲線の成分は単相系を示すものが多くRMSは小さいが, IDFは多相系で高いRMS値を示すものが多かった.
    さらに水和能力の高い (S-T2は低い値) 多糖間での官能基の共通性を検討したところ, 6位のカルボキシラート基が多糖類の水和に大きく関与していると思われた.それに加えて, 解離基の対イオンがナトリウムイオンであるときの水和能力はプロトンであるときと比べて高い傾向を示した.
  • 今井 悦子, 早川 文代, 畑江 敬子, 島田 淳子, 相内 雅治
    1994 年45 巻8 号 p. 697-708
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    5種類の目皿 (細孔の直径2.4, 3.4, 4.8, 6.8および9.6mm) を通した挽き肉 (牛, 豚および鶏の3種類) を用いてハンバーグ様試料を調製し, 試料の官能的識別および物性に及ぼす粒度の影響を検討した.
    生肉粒, 加熱後の肉粒の粒度を測定した結果, 加熱による肉粒の収縮率は牛肉>豚肉>鶏肉であった.さらに粒度測定から, 牛肉は, 目皿の直径が異なる試料間の粒度の識別がもっともしやすく, また鶏肉は結着性がもっとも高いことが示唆された.
    試料中の水分の保ちやすさは, 解凍試料では目皿の直径が大きい試料の方, 加熱試料では小さい試料の方であり, さらに鶏肉>豚肉>牛肉という肉種による差があった.勇断破断歪みおよび凝集性は, 目皿の直径が大きい試料ほど有意に大きく, また牛肉は他の肉種より, 目皿の直径が異なる試料間での変化率が大きかった.これより, 牛肉の物性は, 目皿の直径が異なる試料間で識別しやすいことが示唆された.
    官能検査の結果, 目皿の直径が異なる試料間で, 切り口の粗さ, 硬さ, 弾力性および肉粒感は3種の肉ともにある程度識別できたが, 識別のしやすさには肉種により差があり, 牛肉≧豚肉≧鶏肉であることが分かった.この結果より, 肉粒の粒度測定および物性測定による示唆が裏づけられた.
    肉の粒度を官能的に捉える指標の1つである肉粒感は, 肉汁の流出率および解凍試料の保水力の2つの物性値で98%予測できることが分かった.また, 2つの肉粒の体積の比が1.2~1.5以上になると粒度の識別ができると考えられた.
  • 森下 敏子
    1994 年45 巻8 号 p. 709-712
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    マーマレードの調製においては加工過程における柑橘類の苦みの増加が問題となる.本研究では数種の柑橘を用いて, マーマレードを作成し, 苦みの変化について検討した.マーマレードは2種類の柑橘の皮を1 : 1の割合で混合して調製した.リモノイドとフラボノイド量はHPLCで測定した.加熱果皮中のフラボノイドはいずれも大幅な減少がみられることから, これらは製品の苦みに関与しないことが示唆された.リモニンは加熱により減少したのに対し, ノミリンは増加し, マーマレードの苦みはノミリンによることが推定された.ナリンギンの多い品種は風味の良さで5%有意差が得られた.リモニンの多い品種は好まれない傾向を示した.2種の柑橘の混合により, 風味が向上することを認めた.
  • 市販粉末シナモン中の生菌数
    藤田 賞子, 吉川 光一
    1994 年45 巻8 号 p. 713-717
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 石松 成子, 石橋 源次
    1994 年45 巻8 号 p. 719-722
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    イシクラゲを調理の食材料として利用することを目的として, 川茸と比較しその特性を調べた.イシクラゲの特性として吸水性がよいことで, これは保存食料としての一つの特色とみることができる.また, 主成分は食物繊維であり, このほか各種ミネラル類やタンパク質の含有量も多く, このような食品は, 健康を志向する人々への新しい食品素材すなわち健康食品として, また医療用食品としての開発も可能である.
    一方, 食糧不足を救う新しい食糧として注目されている, 藍藻類のスピルリナについて, その食品素材として応用が試みられるなど, 藍藻類はこれから期待できる食品素材であると考えられる.
  • 佐藤 之紀, 野口 駿
    1994 年45 巻8 号 p. 723-728
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 家族と教育
    ゴンセ オデット
    1994 年45 巻8 号 p. 729-736
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    家族についての定養は必要だろうか.広い意味では, 血縁関係の有無に関係なく, 同じ屡根の下, あるいは同じ空間を共有して住んでいて, 相互に助け合い, 強い感情的な絆で結ばれている人間関係を持つ個人や人々の集団を家族という.この定養は, 多くの変化するものを合併し, 世帯のより限られた概念にも符合する.Claude Lévi-Straussは, 1956年に, 「多少の差はあれ持続性の高い, 社会的に承認された一人の男性と一人の女性とその子供たちの結合体」と, フランスの家族を定義した.人間社会の基本的な単位として, 家族は生活と生命の再生産や知識, 技能個値観の伝達移転に必要な条件を提供する.家族の形態は社会によってまちまちであるが家族は普遍的な現象である.リベラルな国であるフランスは, 文化的背景の異なる諸外国の人々を受け入れており, さまざまな家族形態を国内でみることができる.しかし, その多様性は態度の変化や, 個人の自由を尊重する国民性による.
  • 1994 年45 巻8 号 p. 761
    発行日: 1994年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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