日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
46 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 伊藤 セツ, 姉歯 暁
    1995 年 46 巻 8 号 p. 725-730
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    1993年に, フィレンツェで開催された第49回国際統計学会において, ジェンダー統計に関するセッションが設けられた.そこでは, 家計・消費統計の分野でのジェンダー統計あるいは, ジェンダー明示的統計の作成とその重要性と可能性が議論された.
    本論文は, まずはじめに, ジェンダー統計あるいはジェンダー明示的統計とは何かを, 国際統計学会の文献をもとに考察した.
    次に, 家計・消費面でのジェンダー明示的統計の日本における現状を日本の総務庁統計局の「1989年全国消費実態調査」を用いて検討した.
    その結果, 収入に関しては, 不十分ながらジェンダー統計は得られるが, 消費に関しては単身男女の場合しか得られないことが明らかになった.
    最後に, ジェンダー明示的家計・消費統計作成のための, 総務庁に提言すべき最も容易で明白な改善点を示した.
  • 西田 珠美, 古賀 哲郎, 真鍋 裕之, 宇高 順子, 宅見 賢二
    1995 年 46 巻 8 号 p. 731-738
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    脱脂そば粉からアルブミン, グロブリン, プロラミンおよびグルテリンをそれぞれ個別に分画し, それらのSDS-PAGE分析によるポリペプチド構成ならびにアミノ酸組成を比較検討した.
    アルブミンとグロブリン画分ではSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に際して試料用SDS緩衝液中での加熱時間の長短 (3, 15, 30分) などにより得られるポリベチドのパターンが変化したが, 分子量25kDaと32kDaが主なポリペプチド種であった.アミノ酸組成では, 水抽出と5%食塩水抽出のものでは含硫アミノ酸とプロリン含量に有意な差がみられた外は大差はなかった.各プロラミン画分は抽出に用いたアルコール (70%エタノール, 50%プロパノールとイソプロパノール, および70%タートブタノール) に関係なく, ほぼ等質なSDS-PAGEパターン (30-40kDaの分子量範囲に分布する多数のポリペプチド) を示した.これらのアミノ酸組成は上記のアルブミンやグロブリンとは異なりグルタミン酸とプロリンに富み, リジンが少なかった.アルカリ可溶性グルテリンのポリペプチド分子量は他の蛋白質の2倍に近い値 (80-100kDa) を有し, アミノ酸組成はグロブリンとプロリンの中間値を示した.
  • 宅見 賢二, 加納 誠, 宇高 順子, 真鍋 裕之, 古賀 哲郎
    1995 年 46 巻 8 号 p. 739-744
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    そばの主要な蛋白質アルブミン, グロブリンおよびグルテリンをオズボーン法で分画し, 各画分の抗原交差性を抗うさぎグロブリンとグルテリン抗体を用いて, ゲル内拡散法とイムノブロット法で調べた.その結果, アルブミンでは水可溶性画分からのアルブミンと食塩水 (3, 5, 10%) 可溶性画分からのアルブミンは見かけの抗原性を異にするが, 両画分からのグロブリン抗原は同質であること, アルブミン画分は抗原的にグロブリン画分の部分であること, などが示された.一方, グルテリン蛋白質は相同抗体とのみ反応し, 水または食塩水可溶性蛋白質とは抗原的に異質であることが判明した.
  • 山野 秀樹, 小川 育子, 宮川 金二郎
    1995 年 46 巻 8 号 p. 745-749
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    昆布の膨潤におよぼす脱気水の効果を, 重量測定と緩衝能変化から経時的に観測した.吸水量と可溶性成分の溶出はいずれも時間と共に増加し, 単純な飽和曲線を示した.見かけの一次反応速度定数は, 吸水量よりも可溶性成分の溶出の方が大きかった.これは, 脱気水でも同じ傾向であった.またこれらの値は, 脱気水の方が普通水よりも, 低温側で小さく, 高温側でほぼ同じであった.最大変化量は, 低温になるほど顕著であった.脱気水と普通水の溶存酸素濃度の差に対する最大変化量の比は, 比例関係となり, 10ppmあたり約13%の効果であった.
  • 久木野 睦子, 久木野 憲司
    1995 年 46 巻 8 号 p. 751-757
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 生きたイカ (Sepioteuthis lessoniana) の外套膜を試料として, 醤油や食塩水で加熱することによって生じる筋組織構造の変化と物性の変化を調べた.生イカの定速圧縮破断試験では, 輪走筋方向に破断した方が輪走筋を横断して破断するよりも破断エネルギーは大きかった.水および各種濃度 (0, 1, 4, 22%w/v) の食塩水で加熱したイカの筋組織は, いずれの場合も, 筋原線維が顕著に凝縮されている一方で, 隣接する筋線維間には著しい乖離の生じていることが観察された.加熱イカ肉を輪走筋方向に破断した試験では水およびいずれの食塩濃度で加熱した場合でも著しい破断エネルギーの低下がみられたが, 輪走筋を横断して破断した場合には破断エネルギーの低下はごくわずかであった.一方, 醤油で加熱したイカの筋組織は, 筋原線維が著しく凝縮するとともに筋線維間も密に密着しており, 筋層全体が濃縮された構造が観察された.また, 輪走筋方向の破断試験では著しい破断エネルギーの低下がみられたが, 輪走筋を横断して破断した場合では生イカよりも有意に高い破断エネルギーが示され, このときの応力-歪み曲線は強い脆性破断の傾向を示していた.
  • 田村 朝子, 加藤 みゆき, 大森 正司, 難波 敦子, 宮川 金二郎, 楊 崇仁, 周 分華
    1995 年 46 巻 8 号 p. 759-764
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    後発酵茶は, その製造工程により3種類に分類される.その一つは好気的カビ発酵茶, 二つめは嫌気的バクテリア発酵を行うもの, もう一つは好気的カビ発酵の後, 嫌気的バクテリア発酵を行うものである.後発酵茶の化学的, 微生物学的な特性の調査を行うために, われわれは中国雲南省で, 二つめのタイプに分類される後発酵茶, 竹筒酸茶Iを採取した.本論文では, この竹筒酸茶Iの風味成分と微生物について報告する.有機酸としては, 乳酸が最も多く見出され, その他シュウ酸, 酢酸, コハク酸, 酒石酸も検出された.カテキンとしては, エピカテキンが最も多く含まれていた.微生物については, 多数の嫌気性菌と好気性菌が分離・同定された.後発酵茶の微生物の特徴としては, 発酵のために, 嫌気性, 好気性, 両タイプの乳酸菌が多数存在することである.
  • 早川 文代, 谷澤 容子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1995 年 46 巻 8 号 p. 765-774
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    食品のモデルとして, コーン油, 蒸留水, 卵黄, 増粘剤から成る水中油滴型エマルションを用い, 「あぶらっこさ」と食品の物理的性状との関係について検討した.20人の訓練パネルの65%以上があぶらっこいと判定した最小の油相体積分率φは0.35であった.組成の異なるエマルションを撹拌速度を変えて調整し, 官能検査を行うとともに, 粒度分布と粘度を測定した.回帰分析を行ったところ, あぶらっこさの強度は粘度に依存し, 以下の回帰式で表すことが可能であった : Y=0.70X-1.25 (Y : あぶらっこさ, X : ln 50s-1におけるみかけの粘性率η50).
  • 小俣 謙二
    1995 年 46 巻 8 号 p. 775-781
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    個室の領域化は自己形成の途上にあり情緒的にも不安定な時期にある青年にとって重要な問題である.他方, わが国では子供部屋は居住空間の中で物理的に確保されているものの, 他者がそこに無断で入ることも容易にできる.このような状況では, なわばり行動が青年の部屋の使い方や心理的自立性の発達において重要な役割を果たすと考えられる.この可能性を検討するために質問抄調査を実施し, 以下の結果を得た.防御的態度は男女ともあまり強くなかったが, それは負の感情にあるような場合の男子の部屋の使い方に影響を及ぼす.もう一つのなわばり行動である空間の自己表出化については, 個室の自己表出性を高める者ほど部屋に対して肯定的な感情をもち, 心理的自立性も高いという緒果が得られた.これらの所見は個室の領域化が青年の日常生活において重要な役割を果たすことを示している。
  • 視点 集住の新しいかたち 3
    小谷部 育子
    1995 年 46 巻 8 号 p. 789-795
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 46 巻 8 号 p. 821
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top