日本家政学会誌
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48 巻, 12 号
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  • 田尻 尚士, 東野 英明, 鈴木 有朋
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1063-1070
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    酵素であらかじめ処理した米は, ラットの生長に影響することなく素早く吸収され, 脂質に変換代謝されることを前回の実験で明らかにした.その興味ある結果から, 代謝の面で欠陥を持った糖尿病ラットを用いて同様の実験を試みたところ, 次のような結果と推論を得た.パンクレアチンやジアスターゼで前処理した米を投与されたラットの血糖値は非処理米群より低くならず, ジアスターゼで処理した米を食したラットのフルクトサミン値は非処理米群よりむしろ高値であった.したがって, 処理米投与群で白内障の進展が抑制される傾向が見られたものの, 糖尿病ラットにとって酵素処理米は決して適した飼料ではなかった.しかし, その優れた易吸収性から高齢者や, スポーツ選手や, 消化器または消耗性疾患患者にとって適した食物になるのではないかと思えた.
  • 品川 弘子, 西山 隆造, 栗本 公恵, 林 一也, 鈴木 敦子, 津久井 亜紀夫, 小崎 道雄
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1071-1076
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    しば漬中のアントシアニン色素について検討を行った.しば漬はナスなどの野菜とシソの葉を塩漬にした日本の漬物である.しば漬試料を50日間熟成させ, その間に, pH, 塩分, 乳酸量, ハンター尺度のL, a, bおよび吸光度を測定し, LC/MS分析によりアントシアニンを同定した.しば漬は20日目に最も濃い赤紫色となり, 相対色素量も最も高くなった.しば漬中のアントシアニンは, シソ由来の色素として, シアニジン-3, 5-ジグルコシド, シアニジン-3- (6-カフェイルグルコシド) -5- (6-マロニルグルコシド) [カフェイルマロニルシアニン], シアニジン-3- (6-p-クマリルグルコシド) -5-グルコシド [シソニン], シアニジン-3- (6-p-クマリルグルコシド) -5- (6-マロニルグルコシド) [マロニルシソニン] が同定された.また, ナス由来の色素として, デルフィニジンー3- (p-クマリル-L-ラムノシルグルコシド) -5-グルコシド [ナスニン] が同定された.しば漬中の主要アントシアニン色素はナスニンであり, 特にその色調はしば漬中で安定であることが判明した.
  • 岡本 一枝, 松尾 邦江, 中林 和彦, 奥平 進之
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1077-1082
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    冬暖かいとうたわれ, 脱脂綿を医療用ガーゼで包んだ, 3層構造の特殊シーツに着目し, 睡眠中の生理反応および寝床内気候に及ぼす影響を検討した.年齢20~26歳の健康な成人女性4名を対象に実験を行った.実験条件は, 特殊シーツ使用時 (条件P) と, 一般に普及している綿100%平織りシーツ使用時 (条件C) とした.寝室内は18~19℃, RH 50~55%に保った.終夜睡眠脳波記録, 直腸温, 皮膚温, 寝床内気候は連続測定し, 主観申告 (温冷感, 快適感, 湿潤感, 睡眠感) は入床時と起床時に, それぞれ申告してもらった.睡眠変数, および各睡眠段階の出現時間に有意差は見られなかった.条件Pでは, 大腿, 下腿, 足背, 胸の皮膚温上昇が速く条件Cよりも高いレベルを保つ傾向であった.胸の寝床内温度は, 条件 Pで有意に高かった.入床時, 起床時の快適感, 温冷感は条件Pで快適側, 暖かい側の傾向にあった.睡眠感は有意に条件Pで高かった.特殊シーツは, 睡眠構築および生理反応に影響を与えずに, 主観的睡眠感を良くすることが示唆された.
  • トウ キム アイン, 田中 直義, 長野 宏子
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1083-1087
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    東南アジアでは, 魚, 肉, 大豆等の高たんぱく質食品は自然発酵によるものが多い.味の良い食品, または調味料になる過程に関与しているたんぱく質分解酵素コラーゲナーゼ生産菌の検索を行った.コラーゲナーゼ生産菌はラオスの魚醤より分離し, Bacillus subtilisと同定した.Bacillus subtilisは耐塩性細菌で, コラーゲンとポリペプトンによって誘導される好気性コラーゲナーゼ生産菌であった.0.75%ポリペプトンと, 1.0%NaClを含有する培地により, 高い酵素活性を示した.
  • 杉原 利治
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1089-1095
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    各種界面活性剤 (ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS), ドデシルスルホン酸ナトリウム (SDS), ヘキサデシルトリメチルアンモニウムプロミド (CTAB), ポリエキシエチレングリコールノニルフェニルエーテル (PNE)) 溶液中での手洗いによる, 表皮細胞の脱離を研究した.界面活性剤は, 脱離細胞数と可溶化タンパク質量を増加させた.界面活性剤のうちでも, LASとSDSがもっとも影響が大きかった.これらは, 未ケラチン化細胞や核のある細胞の割合を増加させ, 表皮からより深い位置にある細胞の脱離を促進することが示唆された.長時間の手洗い, 高濃度の界面活性剤, 高温度での手洗いによって, また, 手洗いの反復によっても, より深い位遣の細胞脱離がもたらされた。脱離細胞と可溶化タンパク質量との相関関係から, LASやSDSは, 皮膚表面に結合することによって, 皮膚に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 手崎 彰子, 田辺 創一, 池崎 喜美恵, 新井 映子, 渡辺 道子
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1097-1101
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    (1) 小麦粉の臨界ゲル化濃度は10%であった. 一方, 茹で汁の小麦粉濃度は0.75~1.65%であったため, 十分量の沸騰水中で麺どうしが付着することはないと考えられた.
    (2) 生麺, 乾麺とも, 茹でる際の攪拌操作は茹で麺の水分や茹で上がるまでの時間に影響を与えないことが明らかとなった.攪拌下で茹でた場合, 有意に茹で麺重量が減少し, 流出固形分重量が増加した.外観的にも著しい茹で細り現象が観察された.
    (3) スパゲティを茹でる際, 食塩添加と非添加群との問でテクスチャーに有意な差は見られなかった.
    (4) スパゲティを茹でる際の食塩添加は, 茹で麺に塩味を付ける効果であると考えられた.
  • 入江 和夫, 前田 典子, 吉田 啓子, 鹿庭 正昭
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1103-1109
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    中学校, 小学校, 幼稚園, 保育園, 公園の塗膜中の鉛の分析を行った.
    (1) 中学校の室内の塗膜中の鉛は0~1.17%含まれていた.
    (2) 小学校 (室内6点と室外9点) にある塗膜はすべて0.06%を超えていた.また, 0.5%を超えているものは12カ所で, メディアン値は0.92%であり, 最高値が8.64%, 最低値が0.53%であった.
    (3) 幼稚園 (室外7点) にある塗膜の全部が0. 06%の基準を超えていた.また, 0.5%を超えていたものは6カ所で, 最高値12.83%~最低値0.50%の範囲にあり, メディアン値は4.26%であった.
    (4) 保育園 (室外10点) にある塗膜の9カ所で鉛が0.06%を超えていた.また, 0.5%を超えていたものは8カ所で, 最高値11.47%~最低値0.78%の範囲にあり, メディアン値は2.51%であった.
    (5) 公園 (室外8点) にある塗膜の全部が0. 06%を超えていた.また, 0.5%を超えていたものは6 カ所で, 最高値14.47%~最低値4.07%の範囲にあり, メディアン値は6.29%であった.
    (6) 黄色, 緑色, 白色, 青色, 灰色を対象としたメディアン検定を行った結果, 白色の塗膜に比べ, 青色の塗膜や黄色の塗膜の方が鉛含量が多いことがわかった.
  • 鵜飼 たつ子
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1111-1112
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 菅沼 薫
    1997 年 48 巻 12 号 p. 1113-1114
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    これまでの生で, 時には決断し, 時には躊躇しつつ, ある道を選択して現在の自分がある.もし, もうひとつの道を選択していたら, いまどうなっているのかしら.
    今回の原稿を依頼され, 改めてこれまでの自分を振り返ざるを得なくなったときに, 感謝の念とともにそんなことを始めに感じた.
    現在の道を選択したことで, 苦しみや悲しみも味わったが, また楽しみや喜びも得ることができたと思っている.その都度選択が, 決して正解ばかりではなかったかもしれないが, 現在の自分を思うとき, ある種の満足感を感じるのも事実である.
    家政学を選ぶことになったのも, 必然よりも偶然の比重が大きい.そんな私に, この歴史ある家政学会から原稿依頼をいただき, それも「第一線で活躍する家政学系出身者から」とは, 穴があったら入りたい気分である.しかし, 何かお役に立てればと思い, 私が何に悩み, 何を考え, そしていまの自分があるのか, 気持ちを奮い立たせて拙ない一文を起こすことにしました.
  • 1997 年 48 巻 12 号 p. 1115-1116
    発行日: 1997/12/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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