日本家政学会誌
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48 巻, 1 号
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  • 辻原 命子, 谷 由美子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    8週齢のWistar系雄ラットにカルニチンを投与して長鎖脂肪酸の酸化を促進し, 脂肪の蓄積や肥満の抑制など脂質代謝系の改善効果があるかどうか, 高脂肪食および運動負荷した場合について検討した.
    ラットを非運動群 (対照区, カルニチン投与区), 運動群 (対照区, カルニチン投与区) に分け, 4週間高脂肪食で飼育して最後の2週間にカルニチン投与 (100mg/匹/日) および自由運動を負荷した.カルニチン投与によって飼料摂取量が増加したにもかかわらず, 非運動群では体重増加率および腹腔脂肪率は対照区と差がなく, 運動群ではいずれも低下した.非運動群, 運動群ともカルニチン投与区で血清TG, 肝臓のChol, TGおよびTBA価は低下した.非運動・対照区に比べて運動・カルニチン投与区は血清 T-Chol, TG, TBA価および肝臓脂質はすべて低下し, 血清 β-ヒドロキシ酪酸は増加してカルニチン投与による脂質代謝の改善効果が認められた.特にTGは血清, 肝臓ともカルニチンおよび運動負荷の相乗効果が認められた.
  • 中嶋 昭正
    1997 年 48 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    脱脂乳への各種核酸関連物質の添加が乳酸菌の酸生成に及ぼす影響について, Lactobacillus9菌株, Lactococcus2菌株, Streptococcus1菌株を用いて検討し, 次のような結果を得た.
    (1) 各種プリン塩基関連物質の50mgを脱脂乳 100mlに添加し, 酸生成に及ぼす影響について検討した.
    各種プリン塩基関連物質の酸生成への影響は, Lactococcus2菌株を除いて, 各種乳酸菌ごとに異なっていた.しかし, アデニンを基本に似ているものを分ければ, 12菌株を, A : アデニン関連物質が促進する (Lactobacillus2菌株), B : アデニン以外は促進する傾向がある (Lactobacillus3菌株), C : アデニンの外, 5′-アデニール酸が阻害する (Lactobacillus4菌株), D : ほとんど影響がない (Lactococcus2菌株, Streptococcus1菌株), に分けられた.さらに, A, C, Dはそれぞれ二つに分けられた.
    (2) 各種プリン塩基関連物質0.5~50mgをそれぞれ脱脂乳100mlに添加し, 上記A, B, Cのそれぞれ1菌株について, 酸生成への影響を検討した.
    Loct.helveticusB-1では, アデニン, アデノシン, 5′-アデニール酸は0.5mgでも促進した.グアニン, グアノシン, 5′-グアニール酸は5mgで明らかに阻害した.
    Lact.caseisubsp.caseiS-1では, キサンチンは 0.5mg, アデノシン, グアニン, 5′-グアニール酸, ヒポキサンチン, 5′-イノシン酸は5mg, グアノシン, イノシンは25mgで著しく促進した.5′-アデニール酸は50mgでやや促進し, アデニンが5mgで阻害した.
    Lact.acidophilus L-54では, アデノシン, グアノシンは0.5mg, グアニン, キサンチンは5mg, 5′-グアニール酸は25mgで促進した.アデニン, 5′-アデニール酸は50mgで明らかに阻害した.
    本報告の大要は平成2年(1990)5月,第42回日本家政学会大会(福岡)で発表した.
  • 早川 文代, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    従来, 曖昧に用いられてきた“感覚用語”である“あぶらっこい”について, アンケート調査によりその特徴づけを行ったところ, 以下の結果を得た.
    (1) 油脂の関与する“感覚用語”を収集・整理したところ, 28語が得られ, “あぶらっこい”に関しては, “油っこい”および“脂っこい”が挙げられた.
    (2) “油っこい” “脂っこい”はさまざまな油脂含量の料理に広く用いられる用語であった.
    (3) “油っこい” “脂っこい”は, 主な食味要因をもたず, 外観味, テクスチャーにほぼ同じウエイトで対応する特徴的な用語であり, 類似の表現としては“脂がのった”があった.
    (4) “油っこい”と“脂っこい”は類似した感覚を表現するものであり, 刺激となる食物に含まれる油脂が, 主に液状油か固形脂かを意識して使い分けられていると考えられ, この2語をまとめて“あぶらっこい”と表記して解析し得ると判断した.
  • 田村 奈巳, 酒井 哲也, 酒井 豊子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Changes of physical properties of nylon 6 woven fabrics dyed with disperse dye were studied for crease recovery, bending resistance (JIS), surface roughness and sensory evaluation.
    As for crease recovery, untreated fabric had the highest of all, followed by blank-dyeing (control), dyed fabrics. The decrease of fabric crease recovery by dyeing and blank-dyeing was due to a decrease in the tensile recovery of the yarn.
    Bending resistance and the frictional coefficient increased and surface roughness was disordered in dyed and control fabrics.
    This tendency of the dyed fabric was stronger than that of the control. It was thought that the increase of bending resistance was because of the fiber compacted in the fabric structure by shrinkage of the fabrics. This phenomenon corresponds to the disorder of the surface roughness and the increase in the frictional coefficient of dyed and control fabrics.
    A fairly high correspondence with the above mentioned tendency was seen in the sensory evaluation. In addition, it was found that changes in the physical properties of nylon 6 fabrics by dyeing processing were perceiveable by human touch.
  • 大野 亮
    1997 年 48 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ナイロン66マルチフィラメントを試料に用い, 単純伸長, 引掛け伸長, 結節伸長の3種の方法で伸長し, そのときの温度変化を赤外線温度測定装置で測定した.伸長による発熱の大きさ, フィラメント内の温度分布, 切断との関係について検討した.
    (1) マルチフィラメントの単純伸長では40%伸長位から急に昇温し, 切断点のピーク温度は室温から29.5℃, その他は12℃昇温した.
    (2) 単純伸長の切断は始め1, 2本のフィラメントが切れ, 切断末端が隣接フィラメントに衝突・摩擦したり, 急速収縮して発熱する.熱は周囲に伝導し, 昇温させる.また切断フィラメントの荷重は残りのフィラメントに分散してかかる.この昇温と荷重の増加の相乗効果で付近の伸びが増加し, さらに昇温してついには切断に至る.このため切断点付近の昇温が大きく, 1カ所で切断する.
    (3) 引掛け伸長では引掛け点の温度が直線的に増加する.その昇温は他より2倍大きく, 切断時に6.2℃昇温し, 他は3℃昇温した.
    (4) 結節伸長では結節点の温度が直線的に増加した.その昇温は切断時に10.5℃で, 他は2.7℃昇温した.
    (5) マルチフィラメントは撚りで縮んでいる分伸びが大きくなるほかは, 切断時の応力や発熱は構成フィラメント1本を単純伸長したときの性質とほぼ等しいとみられる.
  • 中山 竹美, 林 千穂
    1997 年 48 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    夏季において, 昼間の覚醒時と夜間の睡眠時それぞれについて, JAMの使用が寝床内気候に及ぼす影響および人体生理との関連を検討するため, 実験を行い考察した.結果は以下のとおりである.
    (1) 褥瘡の発症しやすいとされる仙骨部下周辺の腰や背部において, 覚醒時, 睡眠時ともに, 寝衣内, 寝床内の絶対湿度は, JAM使用時の方が使用しない場合より低い値を示した.
    (2) 直腸温はJAM使用時の方が使用しない場合に比べ, 昼間の覚醒時は高い値を示し, 夜間の睡眠時は低い値を示した.
    (3) JAMに接している部位の皮膚温は使用時の方が使用しない場合に比べ, 覚醒時, 睡眠時ともに低い値を示した.
    (4) 夜間の睡眠時の実験において, JAM使用時の場合, 腰の寝床内温度と室内の温度との問に正の相関が得られた.
    (5) 主観的評価は, 覚醒時は, 温冷感においてJAM使用時の方が良好な評価が得られ, また, 睡眠時は湿潤感においてJAM使用時の方が良好な傾向が得られた.
  • 紳士ワイシャツを中心として
    近藤 恵, 小林 茂雄
    1997 年 48 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    首都圏の40~50歳代の女性を対象に行った, 衣類の家庭内有効利用の実態および紳士ワイシャツの有効利用の有無と生活要因との関連についての調査の分析結果は, 以下の諸点に要約される.
    (1) 代表的な衣類の家庭内での有効利用の実態を調べた結果, 紳士ワイシャツは他の衣類と比較してカスケード利用に適している衣類であることが明らかになった.
    (2) 紳士ワイシャツの有効利用の有無と生活要因との関連をみるために数量化II類を行った結果, 紳士ワイシャツの家庭内有効利用の促進に, 事業者から発信される情報の果たす役割の大きいことが明らかになった.また, 不用品交換会で中古の紳士ワイシャツを取得する行為は地域との密接度により促進され, 不用になった紳士ワイシヤツを繕ったり, 小物や雑巾として活用する手軽な行為は, 家族との密接度により促進されるという特徴が認められた.一方, 紳士ワイシャツの家庭外有効利用の促進に, 学校の果たす役割の大きいことがわかり, 家庭外有効利用と家庭内有効利用を促進する要因は異なることが明らかになった.本報の内容は, 日本家政学会第48回大会において発表したものである.
    本報の内容は,日本家政学会第48回大会において発表したものである.
  • 加藤 みゆき, 西條 了康, 田村 朝子, 斎藤 ひろみ, 大森 正司, 畠山 直美, 庄司 善哉, 深津 修一, 橋詰 和宗
    1997 年 48 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    紅茶製造工程における茶葉の組織化学的変化を, 種々の染色を行い, 光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により観察した.
    茶葉の褐変は, 揉捻1時間頃から始まり, 発酵2時間で葉全体が褐色になった.褐変化は, 茶葉の表裏の表皮細胞から始まり, 柵状組織, 海綿状組織に及んだ.
    揉捻の工程において構造の変化は, 海綿状組織において著しいことが光学顕微鏡およびSEMにおいて認められた.
    鉄塩によるタンニン反応は生葉では表皮細胞を除くいずれの組織細胞内においても, タンニンの存在が認められた.しかし, 発酵1時間ではタンニンの消失と発酵による細胞内の変化は, 高重合核酸の消失と細胞質において並行して起こった.
  • 子どもにとっての高齢者の意味
    岡野 雅子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 71-80
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • Francille M. FIREBAUGH, Kyle L. SNOW
    1997 年 48 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    家族におけるエクイティとジェンダーの課題は, 工業国で注目されている.男女の役割の指標には, 意思決定と労働配分と資源管理の3つがあげられるが, 労働配分に注目すると, アメリカの雇用者夫妻の調査では, 性差が見られる.また有給の労働では, 女性はライフコースや子どもの有無, 教育水準に左右される.
    国によっても相違し, バングラディッシュでは夫は大農地を所有し, 妻は家庭内生産を受け持つ。トルコでは高等教育を受けている場合は平等である.中国では家庭内の義務は平等にシェアーしている。日本では明治以来「良妻賢母」教育が行われ, 「男は仕事, 女は家庭」と考える人が, US.と比較すると多くなっている。こうした文化の相違が, 労働参加の相違ともなっている.
    これらの国に比べれば, 北米では上に記した男女の相違にもかかわらず, 家庭内の男女の役割配分は平等へと変化し, 伝統的な意識は薄れ, 家族の収入においても女性の貢献は大きくなりつつある.なお, それぞれの国でも確実に変化しつつあるといえよう.
  • 袖井 孝子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    近年, 既婚女性の職場進出が進んだにもかかわらず, 家事・育児・介護は, ほぼ全面的に女性の肩にかかっている.本稿の課題は, 既存の統計データを用いて, 日本における女性の役割過重状態を, 諸外国との比較において明らかにし, その原因と解決策を提示することである.
    洋の東西を問わず家庭責任は女性に偏る傾向にあるが, とりわけ家父長制直系家族の伝統をもつ日本や韓国では女性への集中度が著しく, 子育て期には退職をして家庭に入るというM字型の就業パターンを描き出す.家庭責任の女性への集中をもたらす要因としては, 性別分業的な社会構造, 家父長制イデオロギー, 周囲からの役割期待に加えて, 女性自身が女役割に自己を同一化していることがあげられる.
    今日, 日本女性が陥っている役割過重状態を解消するには, 男女間における機会の均等だけでなく, 結果の平等や意思決定過程への平等な参加を実現し, 拘束や負担をも均等に分かち合うことが不可欠である.
  • 松村 祥子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 99-100
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 直井 道子
    1997 年 48 巻 1 号 p. 101-102
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 48 巻 1 号 p. 111
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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