日本家政学会誌
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48 巻, 10 号
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  • 1995年世田谷区在住雇用労働者夫妻の調査から
    堀内 かおる, 天野 寛子, 伊藤 純
    1997 年48 巻10 号 p. 851-864
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The time use survey we conducted in 1995 shows that more husbands participated in housework than in 1990; the increase was especially notable among those with full-time working wives. The purpose of this paper is to analyze the gender relations between husbands and wives regarding housework in order to clarify stipulating factors of housework. Time diaries and questionnaire on housework were analyzed, and the results are as follows :
    Most wives did food-related housework, and unemployed wives considered housework as their job. Those husbands who did housework did not always regard it their part of the job to engage in housework. The expectation of wives towards their husbands was high on participation in child-care, and husbands' participation was equally high. On the other hand, the expectation of husbands towards their wives was mainly on meal preparation and clothing care. Part-time employed wives generally expected their husbands to take part in housework, but their husbands did not seem to respond to the expectation; they seemed to depend on the other members of the family to do housework. In other words, the traditional gender roles were played in those households with part-time working wives. It was noted that, in spite of the hesitation on the part of unemployed wives for the other members of the family to take part in housework, those wives were much less hesitant to socialization through meal preparation with other wives as well as to meals outside their households. Part-time employed wives were the most hesitant to both socialization and outside meals.
    The stipulating factors of housework were the length of paid working hours, the consciousness of gender roles, and the household skills.
  • 瑞穂 優, 武藤 安子
    1997 年48 巻10 号 p. 865-874
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Two infants were chosen to study what they turn their gaze on during their infancy of 3 to 12 months after birth. Their line of vision was investigated to analyze the triadic relationship of Infant-Object-Person. The infants were respectively observed at home together with mother at the monthly intervals of 10 months. The main findings were as follows :
    Keeping pace with growth, the infants looked at objects more frequently; visual attention to objects showed particularly high percentage 4 to 5 months after birth. They looked at their mothers' face more frequently at a physically high synchronic period of 3 months old, but the frequency began to decrease 4 months after birth and reached nearly zero by around the time when they were 9 months old. Their visual attention to mother's hands, which handled objects, was observed remarkably more often 6 to 7 months after birth, but began to take place less often around 9 months after birth.
    The findings show the process of the development of pre-verbal infants; Infant-Person coordination gain an advantage until 3 months old, but Infant-Object coordination gain an advantage from 4 to 8 months old, with Infant-Object-Person coordination becoming dominant after 9 months old. It was also clarified that, during the process of forming Infant-Object-Person coordination, the infants paid attention to mother's hands, recognizing the hands with the mother, i.e., the Object-Person coordination had already been made before the infants paid attention to their mothers' face.
  • 米飯の性状と構造の関係について (第2報)
    池田 ひろ, 木村 利昭, 小川 敬子, 口羽 章子
    1997 年48 巻10 号 p. 875-884
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    食味の異なる2品種の米 (コシヒカリ, ゆきひかり) を昇温条件を変えて炊飯し, 米飯の構造や食味におよぼす影響を調べた.
    (1) 沸騰時では加熱時間が長くなるに従って, コシヒカリよりゆきひかりの方が, 残存液の液量が少なくなり, ゆきひかりの弱火では残存液が見られなかった.
    (2) 沸騰時の米粒の重量はコシヒカリよりゆきひかりの方が重く, ゆきひかりの弱火では炊き上がり米飯の重量より沸騰時の方が多くなった.また, 糊化度もゆきひかりの方がどの火力においても高く, この時点ではゆきひかりの方が糊化の進んでいることが分かった.
    (3) 炊き上がり米飯の重量と水分量は, ゆきひかりよりコシヒカリの方が少ないにもかかわらず糊化度はコシヒカリの方がいずれの火力においても高かった.
    (4) クライオSEM観察の結果, コシヒカリは加熱時間が長くなるに従い, 飯粒の中心部まで水が浸入し, でんぷんの水和が進み, 胚乳細胞の境界は認められなかった.一方, ゆきひかりは加熱時間が長くなっても, 中心部・中間部では胚乳細胞の境界が認められ, 膨潤に利用される水の少ないことがわかった.
    (5) レオメーターと官能検査の結果から, 加熱時間が長いほど, コシヒカリの方が軟らかく粘りの強い飯となることが分かった.ゆきひかりは加熱時間が長くなってもコシヒカリの硬さと粘りには及ばなかった.
    以上のことから, ゆきひかりの炊き上がり米飯の糊化度や硬さ, 粘りがコシヒカリに及ばないのは胚乳細胞の構造や多糖組成などに起因すると考察した.
  • 栗本 公恵, 森高 初惠, 藤井 恵子, 大越 ひろ, 中濱 信子
    1997 年48 巻10 号 p. 885-892
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    κ-カラギーナン (C : 0.9~2. 7% (w/v)) とアルカリ処理ゼラチン (G : 4. 0~12. 0% (w/v)) を1 対3, 1対1, 3対1の割合で混合したゲルの昇降温 DSC (曲線), 動的粘弾性, 破断特性について測定を行い, 次の結果を得た.
    (1) ゼラチンの混合割合の高いC-G (1 : 3) 混合ゲルでは高温部と低温部の昇降温DSC曲線のピークが重なり, κ-カラギーナンの混合割合の高いC-G (3 : 1) 混合ゲルでは, 高温部と低温部の昇降温DSC 曲線のピークが明確に分離した.
    (2) 混合ゲルの貯蔵弾性率の測定結果から, すべての混合ゲルで, 混合によるゲル化の相殺作用がみられた.
    (3) 高濃度のκ-カラギーナンとゼラチン混合系において, ゼラチンの混合割合の高いC-G (1 : 3) 混合ゲルの破断応力, 破断エネルギーは混合により増加し, 反対に, κ-カラギーナンの混合割合の高いC-G (3 : 1) 混合ゲルでは, 混合によりすべての混合ゲルで破断特性値は減少した.
    (4) κ-カラギーナンの混合割合の高いC-G (3 : 1) 混合ゲルの破断特性を発現させる構造は, 主にκ-カラギーナンによって形成されると考えられた.
  • 渡邊 敬子, 高部 啓子, 大村 知子
    1997 年48 巻10 号 p. 893-902
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    高齢女性の既製衣料の身体適合に関する意識について検討し, 既製衣料の設計上の問題点を明らかにすることを目的に, 1994年7月から9月に, 中部・関東を中心とした地域に住む65歳以上の高齢女性を対象として留め置き法によるアンケート調査を実施した.解析にはからだつきの特徴, 既製衣料の形態や寸法適合, ならびに衣服の着脱動作に関する意識と身体測定値を用いた.高齢女性280名と同様の調査によって得られた中年女性268名分の有効回答を用いて解析を進めた.
    主な結果は, 以下のようである.
    (1) 身長や太り痩せの意識については, 高齢女性は中年女性に比べて身長を低く, 太り痩せに関してはほぼ妥当に評価していた.また, 体形の補正に関する意識は高くなかった.
    (2) 自己のからだつきについては, 両群とも「なで肩」「出腹」「体が厚い」と意識する者の割合が高かった.「背中が丸い」等の姿勢に関する項目はすべて高齢女性の割合が上回り, 両群問で有意な差が認められた.
    (3) 既製衣料の「形態適合」では, 両群ともに肩から袖ぐりに関わる項目, 腹部の突出に関わる項目に不満を感じている割合が高かった.また, 衿や衿ぐりに関わる問題上着やスカートの裾が上がるなど姿勢と関わる項目ではいずれも高齢女性の割合が上回り, 両群間で有意な差が認められた.
    (4) 既製衣料の「寸法適合」に関しては, 両群ともに丈や体幹下部の周径に関する項目に多く不満が寄せられ, 中年・高齢女性にとって適当なサイズの製品が供給されていないことが明らかになった.また, 高齢女性の「寸法適合」に対する判断力は中年女性に比べて低かった.
    (5) 着脱の動作に関しては, 高齢女性では上肢の動きに関連する項目で不都合が見られ, 両群間に有意な差が認められた.
    (6) 衣服の身体適合に関する因子分析の結果, 高齢女性では, 順に, 「太さに関する意識と身体め太さを表す因子」「体幹下部の周径に関する寸法不適合の因子」「姿勢が影響する形態不適合の因子」「四肢の回りに関する寸法不適合の因子」「丈の寸法不適合と身長に関する因子」が抽出された.中年女性でも同様の因子が抽出されたが, 「姿勢が影響する形態不適合の因子」は高齢女性特有であった.すなわち, 高齢女性用の既製衣料においては, 寸法設定の改善とともに, 寸法だけでは表現し得ない身体の立体形状の情報を設計に導入することの重要性が明らかになった.
  • 阪神大震災被災者の衣生活行動 (第2報)
    木岡 悦子, 大村 知子, 森 由紀
    1997 年48 巻10 号 p. 903-913
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    阪神大震災における被災者の衣生活に関して, 第1報に引き続き被服の調達・管理行動を通して実態を把握し考察した。豊かなくらしの中では見落とされがちな衣に関する危機管理の問題がこれらの行動実態から提示された.人間のいのちを守るための最も身近な環境としての衣の役割が浮き彫りにされるとともに, 震災後1力年の間における被災者の行動経緯から被服の意義を確かめることができた.
    主な結果は以下のとおりである.
    震災後避難した者 (133入) の 97% が衣類を持ち出し, 持ち出さなかった, あるいは持ち出せなかった者は家屋が全壊した4人だけであった.
    家族の衣生活を管理していた者は「家族と自分の衣類を持ち出した」のに対し, 他は「自分の衣類のみを持ち出した」傾向がみられた.
    最初に持ち出した衣類は「コート」が最も多く (77人), 一瞬の出来事で寒さから身を守るためのとりあえず手近な防寒衣を持ち出したが, それに比べ下着の持ち出しをした者は49人と少なかった.
    一方, ライフラインのストップによって, 下着類の洗濯は困難を極め, 「親戚・知人宅」や「井戸・川・雨水」等, 少量の水でなされていた.同じ肌着を着続けた場合の不快と感じた日数は3日以内が6割強を占めたが, なかには「1週間以上」「2週間」の回答もみられ, 被災程度による有意な違いがみられた.
    被災6カ月後被服の購入希望は, 53.9%を占め, 全壊に比し半壊の方が希望が少なく, 必要な衣類をなくした被災者の一面がうかがわれた.一方, 「ワンピース」や「高級・おしゃれなもの」を望む, 装いに対する心理的欲求の側面もみられた.
    さらに被災1年後では, 被服の購入に対し「衝動買いをしない」37.2%, ほか「パンツスタイル」や「動きやすさを重視する」といった回答が目立ち, 衣生活への見直しの傾向もみられた.
    衣類の管理については, シーズンオフの冬物衣料は「プラスチックケース」や「ダンボール箱」に入れて保管した者が多く, また, 「クリーニング店」や「トランクルーム」に預けた者もみられた.シーズン中の夏物はタンスに入れたり部屋に吊るして管理する者が多くみられた.
    身の回り品の収納具としてリュックサックが多く用いられており, 両手が自由になる, 便利, 歩きやすいなどの理由から, 1年後の現在もよく利用されていた.公共施設を利用した者には貴重品を持ち出した者が多く, それを保持するのにも利用されていたと考えられた.
    救援物資を利用した者は33.1%で, 避難所生活者の利用が高かった.下着類が役立った反面, 古いもの, 汚れたもの, サイズなどの不満もみられた.
    被災1年後の調査結果では, 非常用衣類の用意をしている者が全壊で7.7%, 半壊で6.7%とわずかにすぎず, 直後のみ・したことがない者が極めて多かった.
  • 斉藤 功子, 西村 一朗
    1997 年48 巻10 号 p. 915-923
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to clarify by means of interview the factors influencing the degree of the family contacts at the houses for the elderly (HFE).
    The results are as follows : of the four basic factors (visit, phone call, return visit, and staying out), the phone call showed the highest contact frequency.
    The sub-determining factors for the family contact frequency are :
    1) Visit : Firstly, the existence of children, and secondly, the type of HFE.
    2) Phone call : Firstly, the type of HFE, and secondly, the health conditions of the elderly.
    3) Return visit : Firstly, the health conditions of the elderly, and secondly, the location of HFE.
    4) Staying out : Firstly, the type of the family structure before institutionalization into HFE, and secondly, the health conditions of the elderly.
    Availability of private rooms affect the visit, and access to a private line affects the phone call. The urban HFEs showed high rates of return visits due to an easy access to transportation.
  • 町田 玲子
    1997 年48 巻10 号 p. 925-932
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    高学歴を持ち, 生活科学の素養がある主婦層を対象に個人的空間の所有実態と意識について調べ, 次のような結果を得た.なお本報における個人的空間とは, 「自分の個室, あるいは自分専用の空間を持っている」場合の, その空間を指している.
    (1) 個人的空間「あり」の主婦は全調査対象者のうち6割弱であり, そのうち「独立タイプ」を持つ主婦は, 約5割である.
    (2) 個人的空間「あり」の主婦の割合は, 現在「子供あり」より「子供なし」の方が高い傾向がみられる.
    (3) 現在「子供あり」の家族では, 主婦の個人的空問「あり」の割合が子供の成長にともなって高まる傾向がみられる.
    (4) 主婦の個人的空間「あり」の割合は, 親同居の方が親非同居よりも高い傾向がみられる.
    (5) 個人的空間の使用内容は, 「趣味」や「仕事」の割合が比較的高く, 「家事」は3割弱で比較的低い.
    (6) 主婦の個人的空間は, 家族からの解放感, 自由に使用できるという便宜性, プライバシー保持の点で「あり」層の評価が高い.
    (7) 主婦の個人的空間「あり」の割合は, 同居家族1人当たり40m2以上の住宅面積の場合に, 「なし」の割合より高くなる.
  • 福島 正子, 竹山 恵美子, 中川 善博
    1997 年48 巻10 号 p. 933-937
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    アルミニウム箔およびアルミ蒸着フィルムに替わる食品包装材料として, 酸化ケイ素を蒸着したハイバリアタイプのGL-Eフィルムの機能性を, 市販のポテトチップスを用いて光遮断性の点から検討した.
    ハイバリアタイプの酸化ケイ素蒸着フィルムであるGL-Eフィルムを使用した無印刷包材, 白印刷包材, 銀色印刷とセピア着色ポリエチレンを併用した包材, および現行のアルミニウム蒸着包材で包装したポテトチップスに光照射した後, POV, TBA値を測定したところ, 白印刷包材, 透明包材では明らかな劣化が認められた.それに対し, 現行包材では4週目でもほとんど変化せず, 銀色印刷包材でもこれと近い値を示した.官能検査では透明包材と白印刷包材で, 1週目から香りと味に明らかな差が認められたのに対し, 現行包材は4週目でも劣化は認められず, 銀色印刷包材でもこれに次ぐ結果が得られた.したがってGL-Eフィルムは銀色印刷を施すことにより現行包材に準ずる品質保持性を有するといえる.
  • 多田 牧子
    1997 年48 巻10 号 p. 939-940
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 酒居 淑子
    1997 年48 巻10 号 p. 941-942
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 西村 保男
    1997 年48 巻10 号 p. 943-944
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    国民生活センターは, 国民生活に関する情報提供及び調査研究を目的として, 昭和45 年10 月, 法律に基づいて設立された特殊法人である.
  • 伊村 則子, 小竹 佐知子, 木村 美智子, 堀内 かおる
    1997 年48 巻10 号 p. 945-948
    発行日: 1997/10/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    (社) 日本家政学会の「企画・広報委員会」は, 学会の若い会員のいっそうの活動を願って, 1996年度から上記4名の<若手>会員に世話役をお願いし, 年次大会時に会合をもつなどの事業を行ってきた.その活動の一環として, 上記調査を委託し, 1997年の大会では, その結果をもとにシンポジウムを開催した.調査結果には, 今後の当学会の活動にとって示唆に富む点が多々含まれていたので, ここに要約を報告する.企画・広報委員会
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