日本家政学会誌
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51 巻, 1 号
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  • 日本国憲法第3章人権条項の制定過程 (第2報)
    草野 篤子, 中西 央, 小野瀬 裕子
    2000 年 51 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日本国憲法第3章人権条項のうち, 「男女平等」と「教育の機会の平等」を中心としたベアテ草案作成の背景を考察し, ベアテ草案の先進性と限界を見いだした.その結果を以下にまとめる.
    (1) ベアテ草案作成の状況
    ベアテは, 語学力を駆使し, 諸外国憲法を参考に引用しながら, 女性の権利, 教育の平等, 労働者の権利等, 「女性と子どもが幸せになるため」の条文を作成した.
    (2) ベアテの経歴と起草条項の淵源
    ベアテが起草した, 民主的な近代家族の生成に寄与した女性の権利保障と教育の自由が明文化された条文の淵源として, (1) 母親からの影響, (2) 10年問の在日経験, (3) 米国ミルズ大学での教育, (4) 被抑圧民族であるユダヤ人として受けた差別, (5) 被抑圧ジェンダーである女性として受けた差別の5点を見いだせた.ベアテはこの時弱冠22歳であったが, さまざまな社会や文化に対してグローバルな視野を持ち, 博識であった.
    (3) 憲法研究会草案との対比
    日本の民間草案は約12あったが, 国民に目を向けていち早く発表された憲法研究会草案は注目に値する.新たに規定されるべき国民の権利義務として, 「言論学術芸術の自由」「労働の義務」「労働に対する報酬の権利」「休息権」「老年疾病の際の生活保障」「男女平等の権利」「民族人種差別の禁止」をあげている.模範とした諸外国憲法は, 憲法研究会草案を知らないベアテが模範にした憲法と同じであった.ベアテと憲法研究会が参考にした憲法の条文を表1に示した.ベアテ草案と憲法研究会との条文の共通性を表2に示した.憲法研究会草案はGHQ上級職員から高く評価され, その意識の中には取り入れられていたと考えられた.
    (4) ベアテ草案の先進性および限界
    ベアテ草案 (GHQ第一次案) の先進的な部分と限界の双方の指摘を試みた.
    先進的部分として3点あげることができた.第一に, 家庭における男女の平等を規定した第18条, 長子相続の廃止を規定した第20条では, 「家」制度を廃止するだけでなく, 民主的な近代家族の実現を図るために, 家族という私的領域におよんで法的規定を行ったこと.第二に, マッカーサー草案としては最終的に削除されたが, 第19条の母性保護と非嫡出子差別の禁止, 第26条の男女同一価値労働同一賃金は, 後に法制化の課題として残ったこと.第三に, 第21条, 第24条, 第25条で「児童」の権利をとりあげ, この時代に子どもを「保護の客体」ではなく「権利の主体者」としてとらえた起草を行っていることである.
    次にベアテの限界として2点指摘できた.第一に, 第25条に高齢年金の保障を掲げているものの, ベアテ自身も指摘しているように, 老人社会福祉に関する条項がないこと.第二に, 住居の選択はあるものの, 居住権等の居住の権利に関する条項がないことをあげることができた.
  • 森山 三千江, 大羽 和子
    2000 年 51 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) 市販品の未熟そら豆, グリンピース, 枝豆, 落花生は莢や殻をむかずに冷却貯蔵した方がVC残存率が高かった.
    (2) 収穫直後の未熟そら豆, グリンピース, 枝豆, 落花生は莢や殻をむくと, 冷却貯蔵して3日後に一度極端にVC含量が増加するが, その後の減少も多く, 7日後には莢や殻をむかずに冷却貯蔵した方がVC残存率が高かった.
    (3) 貯蔵7日後のVCの残存率は, GLDH活性と正の相関関係が, AAO活性とは負の相関性がある可能性が示唆された.
    (4) グリンピースでは貯蔵中のVC含量とGLDH活性の間に正の相関関係があることが示唆された.
  • 笠原 光子, 小西 あや子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    2000 年 51 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    発芽8日目にあたるブラックマッペもやしをCPPフィルムで密封包装し4℃の暗所で12日間保存した.保存中のもやしの品質についてアスコルビン酸, リボフラビン, 有機酸, 遊離糖および遊離アミノ酸含量, 重量, 硬度, 食味について測定または評価した.その結果以下のことが明らかになった.
    (1) 約6日目までフィルム内のガス組成がほぼ適当な範囲内にあり (二酸化炭素1~9%, 酸素18~2%), 重量が保持され, 外観の品質はほぼ良好であった.
    (2) 総アスコルビン酸含量 (アスコルビン酸+デヒドロアスコルビン酸) は6日目まで高く保持され, その後漸次減少した.
    (3) もやしのリボフラビン含量は貯蔵中ほとんど変化がみられなかった.
    (4) 有機酸および遊離糖は6日目までの変化はわずかであり, 9日目にはリンゴ酸の急減, クエン酸, 乳酸, 酢酸の増加が認められた.
    (5) もやしの遊離アミノ酸はアスパラギンが最も多く含まれ, 貯蔵に伴い減少した.
    (6) もやしの胚軸の硬さは貯蔵初期に急速に低下するものの, ゆでた後には明らかな差異として認められなかった.
    (7) フィルム包装で低温保存したもやしでは, 外観から判断される品質保持限界 (約6日間) において, 内的品質も比較的良好な保持状態であるが, それ以降, 明らかに様相の異なる変化 (品質の劣化) が起こることが主成分分析により確認された.
  • 石原 三妃, 森高 初恵, 内藤 成弘, 福場 博保
    2000 年 51 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ジェランガムゲルの物性に及ぼす大豆食物繊維の添加の影響を調べるため, ジェランガム単独, CaCl2添加, NaCl添加のジェランガム溶液に大豆食物繊維を12%まで混合して調製したゲルの貯蔵弾性率, 破断特性値, DSC曲線を求めた.CaCl2添加ゲル, NaCl添加ゲルともに少量の塩の添加では大豆食物繊維の混合により貯蔵弾性率は高くなったが, 大豆食物繊維の濃度がさらに高くなると貯蔵弾性率は低下した.塩の添加濃度の高いゲルでは大豆食物繊維の混合により, 貯蔵弾性率は低下した.破断応力, 破断エネルギーは貯蔵弾性率と同様の傾向を示したが, 破断ひずみは塩の添加, 無添加, 塩の種類によらず大豆食物繊維の混合によりその値は低くなった.降温DSC曲線および昇温DSC曲線のピークは混合により高温側にシフトし, ゲルの熱安定性は増した.大豆食物繊維混合による力学物性および熱物性のこれらの変化は, 大豆食物繊維分子とジェランガム分子の相互作用によるところが大きいと考えられた.
  • 焼成プロセスにおける物性変化
    倉賀野 妙子, 上田 隆宜, 久保 美華, 勝田 啓子
    2000 年 51 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    乳化剤が, クッキーのスプレッドファクター (直径/厚さ) を増大させる要因を検討するために, 高親水性のポリグリセリン脂肪酸エステル添加および無添加のモデル生地を調製し, 生地焼成中の写真撮影による形態観察, 水分損失率の測定, 動的粘弾性の温度分散測定, 示差熱分析そして焼成クッキーの顕微鏡観察を行い, 以下の結果を得た.
    (1) 焼成中の生地の写真 (画像) 解析の結果, 乳化剤添加生地は無添加系に比べ直径が大きく, 高さ (厚さ) の収縮が激しいために, スプレッドファクターが大となった.
    (2) 加熱初期段階では, 乳化剤添加生地の水分損失が無添加系より若干抑制されていた.
    (3) 加熱中, 乳化剤添加生地の貯蔵弾性率は無添加系より小であった.
    (4) DSC測定結果から, 乳化剤がデンプン糊化を抑制し, 糖の溶解を阻害することが示唆された.
    (5) 顕微鏡観察では, 乳化剤混入系の澱粉の構造は無添加系との差は認められなかったが, タンパク質により形成されていると思われる構造には両者に大きな差が見られた.
    これらの結果から, 乳化剤の存在は生地中の水の小麦タンパク質への結合を促進し, 焼成時, 水が澱粉の糊化に利用される比率を少なくし, 水分蒸散を抑制するために, 生地の流動性が保たれ, それゆえスプレッドファクターを増大させると考えられた.
  • 本研究は未利用天然資源組込型生分解性ポリウレタンの調製と物性についての一連の研究の第2報である
    飯島 美夏, 中村 邦雄
    2000 年 51 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    From the viewpoint of recycling of bio-based resources and environmentally friendly polymers, polyurethanes (PU) were prepared from diphenylmethane diisocyanate (MDI) and polyethylene glycol (PEG) with bean-curd refuse (BCR) as a polyol. Mechanical and viscoelastic properties of BCR-PUs containing various amounts of sorbed water were investigated. Stress at break (σb) of BCR-PUs decreased as the amount of sorbed water increased, while strain at break (εb) of BCR-PUs increased as the amount of sorbed water increased. Dynamic modulus (E′) in the glassy region of BCR-PUs increased as the amount of sorbed water increased and E′ in the rubbery region decreased as the amount of sorbed water increased. It was found that three dispersion peaks of α, β and γ were observed from high to low temperature in the loss modulus (E″) curve. β dispersion at- 30 to-20°C was observed in BCR-PU systems while β′ dispersion was not observed in PEG-MDI PU. In the wet state of PU, β′ dispersion near -80°C was observed. These results indicated that β and β′ disper sions were assigned to the molecular motion of the BCR-PU network and the PU networks with water, respectively.
  • 本研究は未利用天然資源組込型生分解性ポリウレタンの調製と物性についての一連の研究の第3報である
    飯島 美夏, 中村 邦雄
    2000 年 51 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    From the viewpoint of recycling of bio-based resources and environmentally friendly polymers, polyurethane (PU) films and foams were prepared from diphenylmethane diisocyanate (MDI) and polyethylene glycol (PEG) with bean-curd refuse (BCR) as a polyol. Thermal and viscoelastic properties were measured by differential scanning calorimetry (DSC), thermogravimetry (TG-DTA) and dynamic mechanical analysis (DMA). Glass transition temperature (Tg) and dynamic modulus (E′) of BCR-PUs increased with increasing reaction time and BCR content in polyol (BCR/Polyol). Tg and E′ decreased with increasing particle size of BCR. Three dispersion peaks of α, β and γ were observed in the region from the high to low temperature in the loss modulus (E″) curve. β dispersion was observed at -30 to -20°C in BCR-PU systems solely, in contrast to that in PEG-MDI PU. Degradation temperature (Tg) of BCR-PUs decreased with increasing BCR content in polyol. CO1 and CO are major components of the decomposed gases.
  • 佐藤 悦子, 小林 茂雄
    2000 年 51 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    同一形態のブラウスで, 明きの異なる4タイプの実験衣を用いて着脱動作を行った結果, 次のことが明らかになった.
    (1) 着衣・脱衣の動作過程について共通したプロセスとして類型化出来た.
    (2) ボタンかけの手の操作は, ほとんどの被験者が両手で行っていたが, 片手でボタンをはずす場合, 被験者はボタンの付いている側の手で行っていることが観察された.
    (3) 動作の所要時間は, 明きが異なると動作時間に有意な差が見られた.被り型タイプCが最も時間が短く, 後ろ明きDは他のタイプに比して有意に時間を要し, 着衣時間は他のタイプの約2倍を要していた.打ち合わせの異なるタイプAとBでは, ボタンのかけはずし操作に有意な時間差が見られ, Bタイプが時間を要していた.
    (4) 着用感では, SD法による官能評価は, タイプAとBは, 打ち合わせが異なることによるイメージの差として「着慣れた」「スムーズな」「とめやすい」「違和感のない」「着やすい」の項目で評点が分かれた.シルエットのイメージは, AとDは「上品な」「女らしい」の項目で同じ評価をしている.被り型Cは, 「カジュアルな」の評点が他のタイプより高かった.また, 総合評価の着脱しやすさはタイプA, C, B, Dの順であった.
    本研究の概要は (社) 日本家政学会第48回大会において発表した.
  • 宇井 剛
    2000 年 51 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    An automatic measurement of pills on clothes using computer image processing was introduced. A backlighting method which projects pills as shadows in light was used to obtain the section image. This method can reduce the influence of colors and patterns of clothes and the light source. The pills can be extracted easily from the section image by simple image processing. However, several continuous images are necessary to measure the sizes and number of pills in an area more precisely. Setting of the interval for taking images and development of a combined image technique are subjects for the future.
  • 貝沼 圭二, 日野 明寛
    2000 年 51 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 文子
    2000 年 51 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2000/01/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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