日本家政学会誌
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52 巻, 7 号
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  • 江角 由希子, 小原 郁夫
    2001 年 52 巻 7 号 p. 597-604
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    女子短大生の四基本味に対する味覚感受性の視覚刺激による影響について検討した.甘味, 塩味, 酸味および苦味を連想する食品についてアンケート調査し, 各味質について選び出された食品のうち上位3品を視覚刺激のための食品とした.そして, 視覚刺激のない状態および味質を連想する食品を直視する視覚刺激のある状態で濾紙ディスク法による味覚検査を行い, 以下の結果を得た.
    (1) 基本味を連想する食品について, 甘味は連想されやすく, 塩味は連想されにくかった.また, 苦味を連想する食品の種類が多く, 個人差が大きかった.
    (2) 酸味に対する感受性は, 視覚刺激により鈍化した.特に, 舌縁部において鈍かった.
    (3) 甘味食品による視覚刺激は, 甘味感受性以外の味覚感受性を鈍くする傾向を示した.
    (4) 塩味食品による視覚刺激は, 味覚感受性に対する影響がみられなかった.
    (5) 酸味食品による視覚刺激が, 味覚感受性に対して最も大きな影響を及ぼし, 甘味感受性を鋭敏化し, 酸味感受性を鈍化させた,
    (6) 苦味食品による視覚刺激は, 甘味および塩味に対する感受性を鋭敏にさせる傾向を示した.
    (7) 舌中央部の味覚感受性は, これまでにもいわれているように, 鈍いことが確認できた.また, 視覚刺激よりさらに鈍化する傾向であった.一方, 舌尖部は, 視覚刺激により鋭敏になる傾向が強かった.
    これらの結果から, 味覚感受性と視覚刺激の問に関連性のあることが明らかになった.
  • 岡田 宣子
    2001 年 52 巻 7 号 p. 605-616
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Each family member desires to have a healthy and comfortable lifestyle in terms of clothing practices. The purpose of the questionnaire is to assess the reformed clothing practices of all family members. The total number of subjects was 2, 179 for both sexes from 10 to 98 years old. The mean scale value for each question was calculated. Based on factor analysis using 25 questions, four factors were interpreted. The mean factor score and scale value for each age group for both sexes were discussed.
    The results are as follows :
    1. For male and female subjects, the mean of scale value related to personality traits is larger than the scale value related to fashion. Everyone desires clothing that reflects their individual personality. Gender inequality for clothing practices showed that males over 40 years of age did not take part in clothing selection and did not enjoy their clothing routines. It was concluded that all people must find a way to enjoy their own clothing routines and to feel satisfied that their clothing routine practices reflect their individuality and personality.
    2. The cumulative percentage of four factors, “comfort desired, ” “desired body type, ” “tradition for reformed clothing routines, ” and “individuality for reformed routines, ” was 84.3.
    3. “Comfort desired” increased with age for both sexes. As the percentage of this factor was 40, it was concluded that family members desire wearing comfortability.
    4. The highest value of “desired body type” was found to be the 16-year-old age group, for both sexes. In female subjects this decreases with age, but male subjects in the 40-60-year-age group showed an increase. Most of these results were related to leg length, waist and hip girth rather than to height.
    5. For both sexes, “tradition for reformed clothing routines” increased with age. Results showed gender specific practices and generational differences.
    6. “Individuality for reformed routines” showed (gender specific) practices and generational differences. The 16 and 20-year-old male group recorded the highest value, while the 60-year-old group recorded the lowest value.
    7. Female subjects had larger factor scores than their male counterparts for each of the four factors.
  • 立松 麻衣子, 齋藤 功子, 西村 一朗
    2001 年 52 巻 7 号 p. 617-626
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This paper aims to clarify the nature of respite care offered to impaired elderly while investigating the degree of stress on the part of caregivers, the effect of respite care, and the demand from the caregivers. The results of the survey are as follows :
    1) The degree of stress the caregivers are likely to suffer from depends on their age as well as length of care giving.
    2) The degree of the afore-mentioned stress is attributed to the users' mental conditions, but it does not follow that 'the intensity of caregivers' stress becomes greater in proportion to the seriousness of users' conditions.
    3) Many of the caregivers, who feel satisfied to be able to get enough sleep as a result of respite care, have intensive stress.
    4) In general, caregivers tend to demand respite care in an emergency case. This tendency is notable among the caregivers with intensive mental stress.
    5) Many of caregivers, who hope to use institutional care for an extended period of time, have intensive stresses.
  • 180℃の高温度まで加熱したルーの香気成分
    加藤 征江
    2001 年 52 巻 7 号 p. 627-633
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    小麦粉とバターを180℃の高温度まで加熱したブラウン・ルーの香気を明らかにするため, ルーA (材料を180℃まで加熱したルー) とルーB (材料を180℃まで加熱し, その温度を5分間保持したルー) の2種類のルーから調製した香気濃縮物をGCおよびGC-MSで分析した.結果は次の通りである.
    (1) ルーAの香気濃縮物の重量は既報の100℃加熱のルーに比べて, 約4倍に増加し, GC上のピーク数も非常に多かった.ルーBもルーAとほぼ同じであった.
    (2) ルーAにおいて, 新たに12種類の化合物を同定した.それらはアミノ・カルボニル反応を経由する7種類の複素環化合物 (フラン類, ピラジン類, ピロール類等) と2種類の環状ケトン類, および脂質由来と思われる2種類の酸と1種類のアルデヒドであった.それらはルーBにおいても存在した.それらの化合物はやや甘い香りと強い焦げ臭をもつ180℃ルー (ルーA, ルーB) の香気に大いに貢献していると思われた.
    (3) ルーの加熱温度180℃では, フラン類中の特にフルフリルアルコールの量はルーAでは全香気成分量の約46%になり, 更に加熱条件の強いルーBでは約49%で, 既報の160℃ルー (ブラウン・ルーの初期段階に相当) に比べてかなり多くなった.またピラジン類も種類, 量ともに多くなった.それらフラン類やピラジン類のような複素環式化合物はルーAでは全香気成分量の約70%, ルーBでは約80%も占めていた.一方, バターに多く含まれている中級カルボン酸類やラクトン類, および120℃ルー (ホワイト・ルー相当) に多い2-ウンデカノンのような鎖式のメチルケトン類が顕著に減少していた.このように各香気成分組成も180℃ルーの香気の特徴に寄与していた.
  • 渡辺 紀子
    2001 年 52 巻 7 号 p. 635-640
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販浴用剤には, 約93%の無機塩類と共に微量の色素 (酸性染料) が配合されている.本実験では綿白布への浴用剤および色素水溶液中での汚染実験を行い, 次の結果を得た.
    1) 市販浴用剤3種の色素含有率は, 約0, 13~0, 30%であった.61種の配合色素の綿布への汚染性は異なり汚染順位は, 赤色230 (1) 号>鐙色205号>青色2号>黄色5号>赤色106号>緑色204号であった.
    2) 青緑系浴用剤の表示濃度30g/200l (0.015%) を含む用水を用いて繰り返し5回の洗濯を行った結果すすぎを清水で行った場合も, 洗濯後の色差 (ΔE) は, タオル : 8.2, メリヤス : 6.3, 平織 : 2.6を示し明白な色素汚染を確認した.
    3) 青色2号を用いた48時間の振とう実験において, モデル洗剤 (非イオン系活性剤20%+硫酸ナトリウム80%) 0.1%の添加系は無添加系と比べて色素付着は顕著であった.また, 20℃系が40℃系より汚染しやすく, 色素付着は発熱反応系であった.
    4) 青色2号に対する共存添加剤の汚染性の順位はNa2SO4>Na2CO3>NaHCO3>非イオン活性剤であり, 特に, 非イオン活性剤との共存系での汚染は認められず, 無機塩類中ではNa2SO4との共存系が最も色素付着を促進した.
  • 甲斐 今日子, 彌冨 美奈子, 榎本 雅穗
    2001 年 52 巻 7 号 p. 641-646
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    洗剤を使用しないで食器を洗浄するアクリルたわしの洗浄性及び衛生性について, 洗剤使用による洗浄との比較実験を行ったところ, 以下の結果を得た.
    (1) 磁器とポリプロピレン製の皿に加熱前後のハンバーグをのせて汚れを付着させた場合, アクリルたわしの洗浄力は, 台所用石鹸及び合成洗剤を用いてスポンジ洗浄した場合と同等であることが認められた.
    (2) ポリプロピレンの食器に加熱後のハンバーグをのせて汚れを付着させアクリルたわしで洗浄した場合, 低い水温では洗浄力が低かったアクリルたわしが, 水温を上げることによりその洗浄力は高まり, 台所用石鹸と同等の値が得られた.
    (3) アクリルたわしの使用後の衛生性については, 加熱後のハンバーグによる汚れであれば, 石鹸で洗浄するなどの簡単な方法で十分に衛生的に保てるが, 生魚などの生鮮食料の汚れの場合には, 石鹸洗浄に加えて塩素処理が必要である.
    以上のように, アクリルたわしの洗浄力が一定条件下ではあるが, 洗剤使用のスポンジ洗浄の場合と同等であること, さらに衛生的にも簡単な処置で衛生性が保てるという結果が得られた.
    尚, 本研究の一部は1999年度 (第46回) 日本家政学会九州支部大会において発表した.
  • 木岡 悦子, 森 由紀, 大森 敏江, 大村 知子
    2001 年 52 巻 7 号 p. 647-656
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    中学生の学習用具携行の実態に基づいて, 通学用鞄の携行方法による負荷を実験観察により検討した.被検者は中学生6名, 携行重量を6kgとし, 携行の方法は背負い式と肩掛け式とし, 肩掛けの仕方を斜めにクロスする方法と片側におろす二つの方法に分けた.
    負荷実験の内容は通学用鞄を掛けた状態での支持基底面の重心動揺測定, 直立時および歩行時の姿勢変異の観察, 肩中央部にかかる荷重圧の測定である.結果は以下の通りであった.
    (1) 鞄を片側に掛ける方式では, その対照として測定した無所持の場合と比較して, 支持基底面の重心動揺の単位面積軌跡長が小さいという結果が得られた.被検者自身が姿勢のくずれを細かく制御しにくい状態であると解された.
    (2) 支持基底面の重心動揺軌跡やその外郭内の面積等には被検者固有のパターンが発現し, 姿勢制御機能に個人差のあることが認められた.
    (3) 通学用鞄の携行方法別姿勢をシルエッター写真から観察した結果, 肩掛け式では鞄を提げた側と反対の方向への傾きが大きく, 無所持の場合と比較して有意に差のあることが認められた.片側式の場合では全身を傾斜させており, 斜め式では胴部でくねらせた状態での傾きが大であることが認められた.背負い式では前傾姿勢がみられ, いずれも鞄装着による負荷を姿勢の傾きによってバランスさせていることがわかった.
    (4) 肩中央部に加わる荷重圧は片側式の場合が最も大で, 直立時の平均値は53.0kPa, 歩行時最大値が102.4kPaであった.背負い式の場合が最も小さく, 各携行方法問に有意な差がみられた.
    (5) 実験終了後の着用感では, 片側式において肩への痛み・重量感や歩きにくさなどの負荷を感じたのに対し, 背負い式が最も負荷を感じなかったという結果が得られ, 実験結果と一致した.
    通学用鞄の携行に関する問題を, 中学生の心身をまもり育てるための類被服の観点からとらえ, 解決への具体的な方策をすすめていくべきであると考える.
  • 長谷川 千恵
    2001 年 52 巻 7 号 p. 661-662
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 平形 明子
    2001 年 52 巻 7 号 p. 663-665
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 庭野 文雄
    2001 年 52 巻 7 号 p. 667-668
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 本間 清一
    2001 年 52 巻 7 号 p. 669-670
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    私は農学部から大学院に進学, 修了後「他分野から家政学部の助手」となった.それから30年以上経っている.家政学の区分で言えば食物学領域の食品加工・貯蔵学を専門にするが, 農学の分類で言えば農芸化学の食糧化学ということになる。私は昭和43年から8年間助手として栄養学の研究室で過ごした.家政学で取り組む栄養学も農学で取り組む栄養学も原理は同じで, どちらの基準もタンパク質と炭水化物の栄養価は1グラム当たり4カロリーであり, 共通の言語で語られるものと思った。しかし, まわりで家政学的取り組みとか, 家政学的手法など, なにか他と区別した手法で特殊なものを確立することが呪文のように言われるのを耳にした.どれだけ若い人に基礎を学ばせる意欲をそいだことか.家政学が語学や化学などの基礎学問ではなく, 実生活に由来する諸問題を解決する目的性のある教育を施す制度上の仕組みと思った.食物学の範疇では家政学と農学とで共通の手法でやっているからこそ理解しあえるのである.今は亡き稲垣長典先生からの家政学とはの問には「食べ物と人との接点を勉強することが家政の食物学の特色」とお答えした.
  • 舟木 昌子
    2001 年 52 巻 7 号 p. 671-673
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 山中 里江
    2001 年 52 巻 7 号 p. 674-675
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    長崎短期大学は, アジア各国に近い'日本最西端'の短期大学として佐世保市にあります.佐世保市は人口25万人うちアメリカ人が5千人というアメリカの香りのする街であると同時に西海国立公園の中心として海と山に囲まれた街です。テーマパークの西の雄'ハウステンボス'があり, 国内はもとより海外特にアジアからの訪問者が多い国際交流都市でもあります.
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