本報の目的は, 第1に, 農業者夫妻の生活時間配分を中心に生活実態を把握すること, 第2に, 農業者夫妻が, 家族経営協定に含めるべき生活協定内容を積極的に取り入れるための提案をすることである.調査は, 1999年10月に実施した.調査協力者は, 東京都, 茨城県, 長野県, 岐阜県, 群馬県, 神奈川県において農業を営んでいる専業農家夫妻である.結果は以下の通りであった. (1) 本調査の調査協力者夫妻の多くは, 粗収益1,000万円以上の収益をあげている.このため, 全体として農業労働時間が長かった.そのため「社会的・文化的生活時間」も十分に確保できない状況を作り出している. (2) 家事労働時間におけるジェンダー差が顕著である. (3) 彼らは年間250日以上働いている.しかし, それぞれの夫妻は異なる意識を持ち, 異なるライフスタイルを持っている.
抄録全体を表示