日本家政学会誌
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53 巻, 4 号
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  • -ラットとマウスの比較-
    池田 彩子, 太田 貴子, 安本 (白戸) 知子, 山下 かなへ
    2002 年 53 巻 4 号 p. 309-315
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ラットで見られるゴマの体内γ-トコフェロール濃度上昇作用が, 異なる種でも見られるかどうかを明らかにするために, ゴマ摂取時のラットとマウスの体内γ-トコフェロール濃度を調べ比較した.ゴマは, 熊芝1号とリグナン類高含有ゴマである738号の2種類を用い, それぞれのゴマを5%添加した実験飼料とゴマ無添加飼料を4週齢のWistarラットとC57BL/6マウスに28日間摂取させた.肝臓, 腎臓および脳中のα-およびγ-トコフェロール濃度は, マウスに比べてラットで高かった.ラットの肝臓, 腎臓, 脳および血清中のγ-トコフェロール濃度はゴマ摂取により著しく上昇し, 熊芝1号に比べて738号摂取で有意に上昇していた.一方, マウスの肝臓および血清ではゴマ摂取によるγ-トコフェロール濃度の有意な上昇は見られず, 腎臓と脳では738号摂取によりわずかに上昇したが, その濃度はラットに比べてかなり低かった.また, ラットの腎臓および脳ではα-トコフェロール濃度がゴマ摂取によって高く維持されていたが, マウスではゴマ摂取による変化は観察されなかった.以上の結果から.マウスではラットで見られたようなゴマによるγ-トコフェロール濃度の上昇が起こりにくいことが明らかになった.
  • 福島 正子, 渡貫 愛子, 竹山 恵美子, 新海 シズ, 中川 善博
    2002 年 53 巻 4 号 p. 317-322
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    油脂食品の光による酸化を熱履歴および保存温度の点から検討した.
    油脂は大豆油とラードを80℃, 120℃, 180℃で1時間加熱したものと非加熱のものを用いた.これをシャーレおよびVM-PET, GL-AE, PEフイルム製袋に注入し開放下または脱気包装して15~30日間室温および冷凍下に保存した.また, イカフライを調製し衣のみ冷凍下で90日間保存した.
    油脂は室温保存したものは5日ごとに, 冷凍したものは10日ごとにPOVを測定した.また冷凍イカフライ衣は30日ごとに油脂を抽出した後各々POVを測定し, 以下の結果が得られた.
    (1) 大豆油を室温下で, 空気を遮断せずに蛍光灯を照射しながら20日間保存した場合, 非加熱と加熱したものの間で大きな差は認められなかったが, 120℃加熱したもののPOVが最も高かった.
    (2) (1) と同条件下でラードを保存した場合, POVは180℃加熱が最も高く, 次いで120℃, 80℃, 非加熱の順であった.また, POVはいずれも大豆油より低かった.
    (3) 空気を遮断せずに冷凍下で蛍光灯を光照射した場合, 大豆油, ラードともに室温保存よりPOVは低くなったが室温保存同様ラードより大豆油の方がPOVは高かった.
    (4) 業務用バキュームシーラーで脱気包装した油脂に光照射しても冷凍下では30日間POVの変化は認められなかった.
    (5) 脱気したイカフライ衣を光照射しながら冷凍保存した場合, 速度は極めて遅かったが, POVは経時的に上昇した.
  • 杉山 久仁子, 渋川 祥子
    2002 年 53 巻 4 号 p. 323-329
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    赤外線の放射波長の食品表面への影響を明らかにするために, 放射波長の異なるヒーターでモデル食品を加熱した場合の表面近傍の温度変化を測定し, 赤外線吸収エネルギー (赤外線吸収による内部発熱量) ΔQri を推算した.加熱60秒後の結果を放射体および試料間で比較することによって, 赤外線の浸透性を検討し, 以下のことが明らかになった.
    (1) 1.2% 寒天ゲルでは, 短波長領域の赤外線の放射率が高いハロゲンヒーターによる放射加熱において, 表面からの深さ 3mm 程度まで赤外線吸収による内部発熱が存在することが明らかになった.一方, 遠赤外線ヒーターは, 深さ 1mm の場所においても赤外線吸収による内部発熱はほとんど認められず, 長波長領域の赤外線の浸透性は小さいものと推察された.
    (2) 1.2% 寒天に 5% コーンスターチを加えたゲルや魚のすり身では, 糖質やたんぱく質の存在により1.2% 寒天ゲルよりも赤外線吸収による内部発熱の影響は顕著ではなかったが, これらの試料においても短波長領域の赤外線が長波長領域の赤外線よりも浸透性が大きいことが確認された.
  • 山田 晶子, 杉山 智美, 渋川 祥子
    2002 年 53 巻 4 号 p. 331-337
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    スチームコンベクションオーブンの加熱能の測定から, 熱伝達率は蒸気の存在下では, 品温 100℃ までの加熱初期段階は高い値を示し, 安定期では庫内温度, 蒸気量の影響にかかわらずほぼ一定の値となることが明らかとなった.
    ジャガイモを用いた実験から, 試料の周辺部の温度上昇速度については, 庫内温度が高く, 蒸気量が多いほど速くなり, また蒸気量が多くなると庫内温度による影響を受けにくくなることがわかった.試料中心部に関しては, 庫内温度が高く, 蒸気量が多いほど速くなるとは限らないことが示された.
    一方, 試料の水分変化については, 蒸気の存在により, 庫内温度 150℃ までは水分が明らかに増える段階があるが, それ以上になるとすぐに水分蒸発しだすことが示された.また蒸気量の多い方が試料からの水分蒸発を抑え, 庫内温度が高くなると蒸気量による影響は小さくなることが明らかとなった.
    以上の結果より, 蒸気量や庫内温度を調節することによって, 温度上昇速度や水分蒸発量を調整できることが示された.
    なお, 本報の概略は, 日本調理科学会平成 12 年度大会で発表した.
  • 和田 淑子, 小川 慶子, 肥後 温子
    2002 年 53 巻 4 号 p. 339-346
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    糊化度の異なる市販の麺類 12 種 (未糊化麺 5 種, 糊化麺 7 種) を用いて, 吸湿による破断特性を比較したところ, 原材料, 製法, 形状, 密度の異なる麺類にも関わらず, 未糊化麺と糊化麺の間には次のように明らかな差異が認められた.
    (1) 環境湿度 7.6~97%, 吸着水分量 4~28g /乾物100g において, 未糊化麺は吸着水分量の増加に伴い切断応力比が低下し, 軟化の一途をたどるが, 糊化麺は吸着水分量 15g/ 乾物 100g 付近でも硬さが保持され, それ以上の吸着水分量で軟化した.
    (2) 水/トリエチレングリコール混液に浸漬した麺においても, 糊化麺は未糊化麺に比べて軟化しにくい傾向がみられ, 吸水量 30g /乾物 100g 付近において, 糊化麺と未糊化麺の破断特性値に差がみられた.
    (3) 吸着水分量 10~15g /乾物 100g 付近の麺の破断特性値と膨潤度, 溶出アミロース指数, α化度, 粘度間に正の相関があった.
    以上の微量水分吸着による麺の破断特性値の変化要因について, 食品のガラス化と束縛水量の側面から検討を行った.
  • 高橋 智子, 齋藤 あゆみ, 川野 亜紀, 朝賀 一美, 和田 佳子, 大越 ひろ
    2002 年 53 巻 4 号 p. 347-354
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, 4段階の濃度の異なる重曹溶液 (0mol/l濃度として蒸留水, 0.1mol/l, 0.2mol/l, 0.4mol/l) に浸漬することにより, 軟化処理を施した食肉の硬さと食べ易さの関係について検討を行った.
    (1) 牛肉, 豚肉ともに, 浸漬する重曹溶液濃度が高くなるに従い, 生肉に対する試料肉の重量減少率が小さくなった.このことより, 食肉を浸漬する重曹溶液濃度が高くなるに従い, 水和が増し保水性が増加すると推測される.また, 重曹濃度が高くなるに従い, 牛肉, 豚肉ともに加熱処理後の肉色が暗くなり, ことに, 牛肉において, その傾向が顕著であった.
    (2) 肉を浸漬する重曹濃度が高くなるに従い, 軟らかくなり, ことに0.2mol/lおよび0.4mol/l濃度の重曹溶液に浸漬した試料肉が0 mol/l 試料肉すなわち蒸留水浸漬肉に比べ, 有意に軟らかいことが認められた.
    (3) 重曹溶液濃度が高く, 見かけの硬さが軟らかい試料肉は牛肉および豚肉ともに, 咀嚼時に軟らかく, 咀嚼後に形成された肉食塊は飲み込み易く, また口中の残留物も少ないことが認められ, 食べ易い肉であることが示唆された.
    (4) 試料肉の見かけの硬さは圧縮速度が遅くなるに従い, 硬くなる傾向を示した.このことより, 咀嚼速度が遅くなる傾向にある中高齢者群や義歯装着者群は低年齢群に比べ, 肉を咀嚼する場合, より多くの力を要することが推測される.このことからも, 軟らかく, 噛み切り易く, 咀嚼し易い肉の開発が重要であるといえる.
    本研究は基礎的研究であるため高齢者や義歯装着者をパネリストとして官能評価を行っていない.しかし, 高齢者や義歯装着者にとっても咀嚼時に軟らかく, 食べ易い肉は, 重曹などにより軟らかく処理した肉であることが推測され, 肉の軟化操作の重要性が認められた.
  • 勢田 二郎
    2002 年 53 巻 4 号 p. 355-359
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Using the Byreck method, both the height reached by the water (h) in the dishcloth above the water level in the reservoir and the mass increase (w) were simultaneously measured, and the results were as follows. The relationship between h and the given time (t) could not be explained by the Washburn-equation in the experiment time range. However, it could be expressed by the following equation proposed by Gillespie in consideration of the distribution of the water : dh/dt=A/h+B, where A and B were the constant. Also, the maximum height of rise could be predicted by this equation. The quotient (w/h) increased rapidly in the early stages of water uptake, and it almost reached an equilibrium value after several minutes. Because the value varied according to the sample, the evaluation of water absorbency only by the height of rise (Byreck method) is doubtful.
  • 内田 恵美子, 岩田 博夫, 筏 義人
    2002 年 53 巻 4 号 p. 361-367
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    To endow fabrics with an antibacterial property, polyethyleneimine (PEI), which has a strong cationic characteristic, was physically immobilized onto a poly (ethylene terephthalate) (PET) fabric and the antibacterial activity of the modified fabric was tested using two methods. Antibacterial modification of the fabric was easily accomplished by simply immersing it in PEI solution for 1 min and the subsequent post-treatment for 3 h at 60°C. The amount of the immobilized cation increased with the molecular weight and the concentration of PEI. Wettability and lubricity of the PET fabric were slightly improved by this PEI adsorption. The PET treated with PEI of molecular weight of 75, 000 at 1 wt% concentration had excellent antibacterial activity for Staphylococcus aureus. In addition, an antibacterial effect of the PET fabric was also observed for Klebsiella pneumoniae and MRSA. The antibacterial activity of the PEI-treated fabric was maintained even after being washed ten times. Two different antibacterial tests indicated that the antibacterial event occurred upon direct contact of the fabric surface with bacteria without any significant fear of destruction of normal flora. A skin irritation test using a cultured human skin model showed the modified fabric to be negative.
  • 立松 麻衣子, 齋藤 功子, 西村 一朗
    2002 年 53 巻 4 号 p. 369-379
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Aiming to clarify the role and problems of respite care for impaired elderlies, we try to understand the effect of the said care. The results of the survey are as follows : 1) The respite care is effective for clients in lower age brackets as well as for those with neurosis of lesser degree, while it is less effective for clients in higher age brackets as well as for those with neurosis of serious degree. Such being the case, the respite care should be the one that would help maintain and enhance good physical and mental conditions. It is to be noted, however, that sufficient considerations must be given to the facilities as well as to the care itself in order to make the system work. 2) It is noted that care effects on the clients affect the caregivers as well. Caregivers will find it easier to continue care at home in case respite care proves effective. 3) Considerations should be given so that clients at the facilities may be able to live and be cared for the way they are at home, which may lessen the stress on clients and caregivers' work.
  • 正保 正恵
    2002 年 53 巻 4 号 p. 381-383
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 渕上 倫子
    2002 年 53 巻 4 号 p. 385-387
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 百合草 孝子
    2002 年 53 巻 4 号 p. 388-390
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 福田 はぎの
    2002 年 53 巻 4 号 p. 391-396
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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