日本家政学会誌
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56 巻, 4 号
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  • 貝沼 やす子, 福田 靖子
    2005 年 56 巻 4 号 p. 215-222
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) 1,000mlトールビーカーとプラスチック製の蓋を使用して, 直接炊きで米・米飯それぞれからの粥飯の調製が可能であった, 吹きこぼれの制御, 温度調節のため適宜電圧の調節を行った.
    (2) 米飯粥の破断応力は加熱時間の延長に伴いそのばらつきも含めて小さくなり, 30分加熱では米粥より低い値になった.
    (3) 米飯粥は加熱時間の延長に伴い, かたさ応力は減少して軟化が進み, 凝集性, 付着性は増して弾力, 粘りが強くなった.30分加熱では米粥とほぼ同質のテクスチャーを持つ粥となった.炊き水の種類の影響は小さかった.
    (4) 粥飯からの遊離水分量は米飯粥(30分加熱)で米粥に近くなった.
    (5) 粥洗液中の固形分量は, 30分加熱の米飯粥で多く溶出した.全糖量は30分加熱の竹炭水粥のみが米粥とほぼ同量溶出し, タンパク質量は竹炭水粥(10分・30分加熱)で多く, 竹炭水の高いpHの影響が考えられた.
    (6) 米粥は白く, つやがあり, 旨味が強く, 米飯粥(水・30分加熱)は見た目に粒の形が残っていないと有意に評価された.滑らかさ, 粘り, 水っぽさなどの物性面では両者に有意の差はなく, 米飯からでも 30分程度加熱すれば, 米から炊いた粥にかなり近い性状を持つ粥が調製できた.
  • 物性および官能評価
    高橋 智子, 川野 亜紀, 大越 ひろ
    2005 年 56 巻 4 号 p. 223-232
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, ペースト状市販介護食品の客観的評価を物性および官能評価より試みた.
    (1) 厚生省が定めた高齢者用食品の試験方法に従いペースト状市販介護食品の硬さと粘度を測定したところ, 全ての試料の硬さが, 厚生省が示した咀嚼・嚥下困難者用食品のゾル状食品の硬さの上限値以上であった.
    (2) ペースト状市販介護食品の付着エネルギーは, 硬くなるに従い大きくなった.また, いずれの試料も測定する圧縮速度が速くなるに従い, 硬くなる傾向を示した.
    (3) いずれのペースト状の市販介護食品も, 回転数が増加するに従い, 粘度は減少するずり流動化傾向を示した.
    (4)ペースト状市販介護食品により, 非線形領域におけるG'の減少率, すなわち歪み依存性が異なることが示された.また, 周波数依存測定より, ペースト状市販介護食品の緩和時間はいずれも, 比較的長いことが示された.
    (5) ペースト状市販介護食品の飲み込みやすさは, 硬さの圧縮速度依存指数, および歪み依存測定より得られたG'の非線形領域における歪み依存指数により推測できることが示された.このことからも, ペースト状市販介護食品の飲み込みやすさを推測するのに, 非線形領域における物性値を把握することが有効であるといえる.
  • 森 由紀, 伊神 久美子, 杉田 明子, 木岡 悦子
    2005 年 56 巻 4 号 p. 233-240
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    パジャマ素材特性の違いによる着心地が睡眠にどう関わるのかを検討するため, 「着る漢方」として健康に効果的とされている羅布麻素材のパジャマを取り上げ, 綿85%・ナイロン15%混紡のパジャマとの比較を, 着用実験をとおして行った.なお, 布組織はいずれも平編みで, サイズは各被験者の適合サイズとした.実験Iでは, パジャマ着用30分間の脳波を測定した.実験IIでは, 通常生活の睡眠中における主観調査, ホルモン分泌量および皮膚温測定を行った.
    脳波測定結果においては, 羅布麻混綿パジャマ着用時にα波出現率が有意に高く, リラックスした状態にあることが示唆された.また, 羅布麻混綿パジャマ着用時にメラトニン分泌量が大となり, 胸部と足背部との皮膚温の差が小となるなど, 羅布麻混パジャマが睡眠に適した寝衣であることが示唆された.これらの結果は主観的な着用感や熟睡感とも一致した.これらのことから, パジャマ素材が効果的な睡眠に関わることが明らかとなった.
  • 原田 雅史
    2005 年 56 巻 4 号 p. 241-253
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 耐圧セルを洗浴槽とする液体二酸化炭素洗浄システムを作製した.
    2. モーターオイルによる油性汚れを液体二酸化炭素媒体のみで洗浄すると約44%の洗浄効率が得られた.さらにAOT添加によって洗浄効率は向上し, AK225媒体の場合より高くなった.水に対するAOTの溶解度が液体二酸化炭素に比べ高いため, 添加したAOTは液体二酸化炭素に溶解せず水相中に溶解していたと考えられる.液体二酸化炭素相中で分散性の良いW/O型エマルションの形成はほとんど見られなかったと予想され, 水相中で過剰に存在するAOTにより安定なO/W型エマルションが形成したため洗浄効率の向上が見られたと推察される.
    3. 液体二酸化炭素媒体で水溶性汚れを洗浄する場合は, 界面活性剤の添加効果が顕著に見られ, 高い洗浄効率となった.
    4. 水溶性汚れの洗浄においてAK225媒体に界面活性剤を添加する場合, 陰イオン性界面活性剤の添加では高い洗浄性を示したが, 非イオン性界面活性剤の添加では洗浄性は大きく低下した.
    5.油性汚れならびに水溶性汚れの洗浄において, 洗浄効率D, 明度差ΔL, 色差ΔEの大小は同じ序列を示した.また, Acid dye汚染布のような色素汚れについては, 洗浄効率が大きく, そのうえ洗浄による変退色も大きいことが示された.色素汚れに対する洗浄力の評価ならびに変退色の評価においては, 洗浄効率Dと色差ΔEを併用することが望ましい.
  • 千森 督子, 谷 直樹
    2005 年 56 巻 4 号 p. 255-263
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This paper traces evolution of the households producing Kuroe-nuri, the traditional lacquerware made in Kainan, Wakayama Prefecture, from the closing years of Edo period to the early Showa period. Machiya or tradesman's houses in Kuroe as elsewhere were designed for both domestic and professional use. The craftsmen who specialized in coating wares with lacquer or those who specialized in painting the lacquered ware used the upper floor of the main house, while those who specialized in producing the toxic lacquering fluid used Kura or outhouse for work. The production of lacquering fluid was the first of the three crafts hit by the waves of modernization. The production continued to be shifted from Machiya to factories from around 1920's to 1930's. Then, from around the mid 1950's, the market came to be dominated by cheap plastic wares lacquered by spray coating, a technique unsuitable for domestic production, and the other two crafts too had to leave Machiya one after another. The traditional fusion of household and lacquering work at Machiya closed its history in 1970 when the Kuroe-nuri production began at the industrial complex for lacquerware.
  • 福渡 努, 江畑 恵, 佐々木 隆造, 保苅 義則, 紅林 毅久, 橋詰 昌幸, 柴田 克己
    2005 年 56 巻 4 号 p. 265-272
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) ヒトを用いて, カツオ由来ナイアシン高濃度含有パウダー(カツオパウダー)中のナイアシンの生物有効性について検討した.21~23歳の健康な女子経生8名を対象として, 食事摂取基準を満たす食事を2日間与えた後, ナイアシン51mgを含むカツオパウダー15gを摂取させた.カツオパウダーを摂取した日に, 摂取カツオパウダー中のナイアシンの52%がニコチンアミド代謝産物として尿中に排泄された.カツオパウダー中のナイアシンはニコチンアミド標品に近い, 高い生物有効性を持つことが示唆された.
    (2) カツオパウダーがストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病の予防・改善効果を有するか検討した.5週齢のWistar系雄ラットにカツオパウダー添加食を8日間与えた後, STZ20mg/kg body weightを腹腔内注射し, さらにカツオパウダー添加食を21日間与えた.カツオパウダー摂取によるSTZ誘発性の糖尿病の予防・改善は見られなかった.しかし, STZ誘発性糖尿病によるナイアシン栄養状態の悪化を防止した.
  • 平井 滋野, 岡本 祐子
    2005 年 56 巻 4 号 p. 273-282
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to clarify the relationship between the factors of meal scenes and father-child and mother-child psychological connection of elementary school children. Two hundred thirty elementary school children in the fifth and sixth grades and 94 of their parent pairs completed our questionnaire. The main results are as follows : (1) Children with higher levels of father-child and mother-child psychological connection had more satisfied meal concerns, communication and atmosphere at meal time. It is to be noted that children with higher levels of father-child psychological connection had dinner with parents more frequently than the ones with lower levels of the said connection. (2) Concerning the consciousness and attitude Over the meal scenes, more nutritional concern and consciousness were shown by mothers of the children with higher levels of mother-child psychological connection. In this connection, there was no relation to the fathers' levels of consciousness and attitude.
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