加熱中華麺のテクスチャーの経時変化を防ぐことを目的に, 異なるpHの乾燥卵白 (A卵白 ; pH6.9, B卵白 ; pH9.7) を粉の2%添加した中華麺の力学特性, 構造および官能特性を, 乾燥卵白無添加の中華麺 (無添加麺) と比較することによって調べた. B卵白の麺 (B卵白麺) は, 3種類の麺の中で加熱後の歩留まりが最も高く, 最も緻密な構造であった. 加熱後30分以上経過したA卵白の麺 (A卵白麺) およびB卵白麺の破断特性値は, 加熱直後の無添加麺の破断特性値との間に有意な差はなかった. 官能評価により, 加熱後60分で, A卵白麺およびB卵白麺の硬さと歯切れは無添加麺よりも有意に高いと評価された. 乾燥卵白は加熱中華麺のテクスチャー改善に有用であった.
本研究は, 食改員の活動の現状や満足度, 主観的健康感, 健康行動とこれらの関連性を検討することにより, 食改員としての活動の現状と課題を明らかにし, 地域の健康づくりに貢献する食育推進活動へ繋げることを目的とした.
中四国・九州地方の2市1町の食生活改善推進協議会に所属している食改員250名を対象に, 無記名の自記式質問紙調査を実施した.
食改員は, 60歳以上の高齢期の女性が8割以上を占めており, 食改員としての活動には約6割が満足し, その約半数が「現状のままでよい」と考えていた. 不満足群は, 「自宅近くで活動できる」ことや「関係自治体の協力」, 「活動時間の短縮」, 「研修回数の増加」などを希望していた. 満足群, 不満足群共に「活動内容の平易化」を挙げる人も存在した. 活動に満足している食改員の方が, 主観的健康感が高かったが, 健康行動には差が見られなかった. しかし, 健康行動の中でも睡眠時間の確保と飲酒量の制限については, 過去1年間の活動回数と有意に関係していた.
ガス加熱と誘導加熱の違いがゆで加熱調理に及ぼす影響を明らかにするため, ゆで水の温度分布と対流について調べた. スパゲッティー加熱中のゆで水の温度を測定した結果, ガラス製鍋を用いた誘導加熱では鍋の周囲のゆで水の温度は中央に比べて有意に低かった. 誘導加熱では鍋底のみが発熱するため, 鍋の中央と周囲でゆで水の温度差が大きいことが推定された. 沸騰水中にスパゲッティーを入れ, その動きを観察した結果, ガス加熱の場合, 鍋の中心部分を避けて円周に沿って伸びているスパゲッティーが多かった. これより鍋の中心部分でゆで水が激しく動いていると推定された. ゆでた1本のスパゲッティーを9か所に切り分け, 水分, 硬さ, 糊化度を測定し, 部位による性状のばらつきを調べた. 5回測定した変動係数の平均値は, ガス加熱の場合は水分で0.040, 硬さで0.092, 糊化度で0.028, 誘導加熱の場合は各々0.068, 0.161, 0.039であった. いずれの測定項目の変動係数にも有意差が認められ, ガラス製鍋を用いた誘導加熱によってゆでたスパゲッティーの性状はガス加熱に比べてばらつきが大きいことが示された.
炊き込み・混ぜご飯を安全に調理し, 喫食者に安心して提供することを目的とし, 添加する副食材として使用頻度の高い「にんじん」と「ごぼう」の細菌汚染状況を調査した. 本調査をとおして大腸菌は全ての検体から分離されなかった. 衛生指標菌の一般生菌数は, にんじんは皮をむく, ごぼうは皮をこそげてからさらに洗うという下処理工程により減少した. また, 加熱 (98℃, 20分間) することによって, にんじんは「洗う-皮有り」試料で, ごぼうは全下処理工程試料で減少した. 下処理工程での大腸菌群数やバチルス属菌数の統計学的な差は認められなかった. エンテロトキシン産生B. cereusが非加熱のごぼうの「洗う-皮有り」検体から検出された. 炊き込み・混ぜご飯に, にんじんやごぼうを用いる時は, にんじんは皮をむく, ごぼうは皮をこそげてから, さらに洗うという行為や加熱するという行為は一般細菌数の軽減策として有効であった. にんじんとごぼうは芽胞形成菌であるB. cereusを付着していることから, 炊き込み・混ぜご飯の危害であると思われた.