本研究は, 若い世代における健康的な食生活の実践と学童期の食習慣との関連について, 男女による違いに着目して検討を行った. 健康的な食生活の実践状況や学童期の食習慣についての質問で構成されたオンライン調査に回答した18~29歳の男女500名を解析対象とした. 自由記述データは, 質的内容分析によりカテゴリを生成した. 健康的な食生活の実践と学童期の食習慣との関連は, ロジスティック回帰分析を用いて解析した. 健康的な食習慣の実践を行っている者 (実践群) の割合は, 56.2%であった. 内容分析の結果, 主要な実践内容や実践しない理由において一部, 男女差が認められた. またロジスティック回帰分析の結果, 健康的な食習慣の実践と関連する学童期の食習慣は, 男性は「食育機会」, 女性は「健康的な食事」であり, 性別により異なることが示された. 以上より, 若い世代における健康的な食習慣の実践と関連する学童期の食習慣には性差があることが示唆された.
本研究では, 暑熱環境下での中程度運動時のマスク着用による熱中症リスクと快適性の評価をするため, 感染症予防対策として使用されている3種のマスクを対象とし, 人工気候室での被験者実験を行った. 加えて, 各種マスクの素材物性評価および温熱的快適性に関わる性能評価を実施した. 耳内温の結果より, いずれも熱中症の重症度に値する基準値を超えることはなく, 重大な熱中症を引き起こすリスクは低いことが明らかとなった. ウレタン立体マスク (PT) は平均皮膚温や息苦しさで有意に低値を示したが, 粒子捕集効率が5 %程度と感染症予防効果が非常に低い結果となった. さらに, 運動後の濡れによる不快感が増すことが示唆された. プリーツナノファイバー不織布マスク (NF) は粒子捕集効率が90%以上あり, マスク内温度や不快感も有意に低値となった. N95型立体不織布マスク (3 M) は通気抵抗が大きく, 粒子捕集効率が99%以上と非常に高い値を示したが, このことが息苦しさを感じさせ, 総合的に不快感が強い結果につながることが明らかとなった. これらの結果から, 暑熱環境下での中程度運動時のマスク着用については, 感染症予防と快適性の観点から, NFが最適であることが分かった.