1. 各種の強化味噌汁をつくり、調理中の島およびB
2の変化と、玉葱としじみを具に使用して、これらのビタミンの損失におよぼす影響を研究した。
2. 味噌汁をつくるとき、遊離のB
1およびB
2を強化すると、他の強化味噌の場合に比して、煮返しによる損失が大きく、具を使用しない場合もそれぞれ20%、15%の減少率を示した。
3. 前項の強化味噌汁の場合、玉葱を具に使うと、B
2には特別の作用を示さなかったが、B
1の煮返しによる損失を防ぎ、しじみを使用すると、アノイリナーゼの存在するため、煮沸中にB
1の減少が大であった上、煮返しによる減少率も他区に比し大きかった。
4. B
2に対しては、しじみは意外にも煮沸までの損失も大きく、煮返しまでの損失も最大であって普通強化味噌の場合でも、その傾向が認められた。
5. 仕込時強化された味噌中のビタミンは温湯中で短時間攪拌しただけでは充分水に溶出されず、煮沸によってよく溶解するに至る。仕込時に強化剤を添加した普通強化味噌は、麹菌のフラビン生産力を利用した兵庫農試式強化味噌に比し、煮返しによるB
2の損失が大きいが、一般に両者とも味噌汁調理時に強化した方法に比し安定度高く、煮返しによる損失は具を使用しない場合B
1では2%に達せず、B
2については前者は15%、後者は5%程度であった。
6. 玉葱を具に使用すると、前項の両強化味噌汁の場合とも、具を使用しない時と同じくB
1の損失は少いが、しじみを使用した場合は、煮沸後は玉葱区に比し約20%対照区より10%少くなり、煮返し後の含量も他区と平行して減少した。
7. B
2については、しじみを使用した場合、両味噌汁とも煮沸後他区より15~20%減少して最少となり、兵庫農試式強化味噌汁では対照区と平行して煮返し後の減少は少なかったが、普通強化味噌を用いた味噌汁は調製時強化した味噌汁と同じ傾向で急減した。故にしじみは遊離B
2を減少する要素を含むものと考えられ、兵庫農試式強化味噌の場合は麹菌の生産したB
2が結合型であるため対照区、しじみ区とも減少が少ないものと考えられる。
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