みじん切りタマネギの油炒めについて、(1) 熱時間と添加油の適正量及び油脂の種類との関係、(2) 添加油脂の行動、(3) 加熱によるタマネギの変化について実験を行なった結果は次のようである。
(1) 添加油脂の適正量は望みの炒め程度に達した時に残油の無い状態と考える。加熱時間が10分まで(焦げ目がつく程度)ならば大豆油・サラダ油の場合は7%、マーガリンは10%でよい。然し調理器具の大小、形などにより多少の余裕を見るとしても何れの油脂を用いても10%までで十分である。加熱時間の短い場合は7%でよい。
(2) 添加された油脂は次の四方面の行動をとる。a. フライパンの内面に付着する。その量は口径24cmの鉄製のもので最少限0.2~0.3gである。
b. タマネギに付着・浸透などの状態で行移する。これが食品として利用される部分である。添加量10%までならば大豆油・サラダ油の場合の移行率は85~90%、マドガリンの場合は65%内外である。添加量10%までならば移行率は加熱時間が長くなる程低くなる。
c. 加熱操作中にタマネギの水分蒸発と共に微粒となり飛散する。その量は加熱時間が長くなる程多くなる。
d. 過剰に添加された場合には残油となる。添加量が10%を越すと残油が認められる。残油は加熱時間が短い程多い。
(3) 加熱中のタマネギの変化は次の4段階に分けられる。
a. 2分間では透明になる程度で甘味は淡く、生タマネギの香り、から味を残す。
b. 5分間で僅かに着色し、香り、甘味が出る。
c. 7~8分の加熱で炒めタマネギの本格的な色、香り、甘味を発揮する。
d. 10分では焦げ臭と苦味を生ずる。
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