家政学雑誌
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21 巻, 4 号
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  • 定森 許江
    1970 年 21 巻 4 号 p. 233-238
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    家庭用貯蔵茶の揮発性還元物質に対する温度と湿度の影響をしらべ、次の結果を得た。
    1) 緑茶の揮発性還元物質 (VRS値) は短期貯蔵においては湿度、長期貯蔵においては温度の影響をいちじるしくうける。
    2) 玉露のVRS 値は袋入室温貯蔵のときは、貯蔵 1ヵ月間は減少し、3ヵ月貯蔵後はいちじるしく増大する。缶入貯蔵のときは、VRS値の変動は少なく、とくに冷蔵庫貯蔵においては、その変動はさらに少ない。
    3) 低温、低湿に貯蔵した緑茶は、色相、明度、彩度の変化がきわめて少ない。
    4) 貯蔵条件を異にする緑茶煎汁の官能検査の結果は5% の危険率で有意差が認められ、低温 (0℃) 、乾燥状態 (湿度 0%) に貯蔵した緑茶は香、味ともに優れている。
  • 高山 直子, 山本 喜男, 門脇 蓉子, 遠藤 金次
    1970 年 21 巻 4 号 p. 239-242
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    食品化学的見地からアワビ筋肉の化学的成分を種類別、季節別に分析検討した結果は、次のように要約される。
    1) アワビ肉の特徴は、アルカリ不溶性蛋白が他の魚介類筋肉に比べて多いことである。この蛋白は、クロに最も多く、トコブシに最も少ない数値を示した。また、すべてのアワビ類において、この蛋白は夏~秋に増加する傾向が認められた。
    2) 肉質の硬い種類および時期にアルカリ不溶性蛋白が多い事実から、アワビ肉の硬さは、多量のアルカリ不溶性蛋白の存在によるものと推定される。
    3) ハイドロオキシプロリンを測定した結果、アルカリ不溶性蛋白の大部分がコラーゲン様蛋白であると推定される。
    4) エキス成分 (エキス窒素、アミノ窒素) 量が貝類中最も多いグループに属し、クロとメガイの間には、食味に影響すると思われるほどのエキス成分組成の顕著な差は認められなかった.しかし季節的には、エキス窒素の量が6月から7月にかけて最高を示した。
  • かぼちゃマッシュへの利用
    渋川 祥子, 井藤 美和子
    1970 年 21 巻 4 号 p. 243-247
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1. 細胞分離酵素Macerozymeを利用して、かぼちゃのマッシュを得るための条件を検討したところ、かぼちゃを1~2mmにスライスし、pH5、40℃で1%酵素液に8時間浸した後、軽く攪拌し、過剰の溶液を除去することによって美しいマッシュ状のものが得られることが明らかとなった。
    2. V.C残存率及び糖量は、加熱して得たマッシユの場合とほとんど変わらないが、過剰の液を除去せず、ともに利用すれば高くなる。
    3. 味覚テストの結果、本酵素による分解物は、調理品として利用できることが明らかとなった。
    4. 本酵素を一般調理に利用することは操作上難かしいが、食品工業の一過程としては利用できると考えられる。
  • 煮豆への利用
    渋川 祥子, 福場 博保
    1970 年 21 巻 4 号 p. 248-251
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.細胞分離酵素 “Macerozyme” により煮豆の皮を軟化させる効果について検討した結果、一応加熱した豆については軟化効果が認められた。豆に吸水を行なわせた後、内実部が食べられる程度やわらかくなるまで加熱し、酵素液に浸すことにより、加熱時間が短く、破裂率も低く、やわらかい煮豆を得ることができた。調味の際の糖の浸透には、大差はなかった。
    2. ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等の界面活性剤を添加することにより、本酵素の作用は促進された。これは、これらの活性剤の浸透作用によるものと考えられる。
  • 中里 トシ子, 小瀬川 継美, 板橋 文代
    1970 年 21 巻 4 号 p. 252-256
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    いんげん豆を用い調味料の添加時期をかえて、豆の煮熟成績に及ぼす影響と、調味液の糖度差が煮豆の成績に及ぼす影響をみるために実験した結果、次のようなことが認められた。
    (1) 豆を熱湯に浸漬し、よく煮熟した後調味料を加える方法は、煮くずれしやすく、最も外観が劣る。
    (2) 豆を熱湯に浸漬した後調味料を加えてから煮熟する方法は、煮くずれが少なく、色もよく、嗜好度が高く最もよい方法である。
    (3) 豆を調味液に浸漬した後煮熟する方法は、煮くずれが少なく、色、外観は非常によいが硬さ、味、嗜好度などの点では最も劣る.
    (4) 熱湯に浸漬した後調味料を加えてから煮熟する場合、調味液の糖度は15~20%が適当であり、煮熟時間は60分前後がよい。25%以上の糖度は不適当であると考えられる!
  • はるさめの調理について
    寺元 芳子
    1970 年 21 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The appearance and the texture of cooked Harusame vary greatly with soaking and cooking methods. To clarify this point with several kinds of Harusame on the market, four different methods were used as follows :
    1. The sample is soaked in boiling water for 20 minutes.
    2. The sample is placed in water and boiled. After being brought to the boil, the heat is removed and the sample is kept in the hot water for 15 minutes.
    3. The sample is placed in water and boiled. Immediately after being brought to the boil, the sample is taken out of water.
    4. The sample is placed in boiling water and boiled for one minute.
    The degree of water absorption, the gelatinization ratio, the transparency and the rheological properties were examined with each method and sample.
    It was observed that there were common results among samples. In general, 2 and 3 were found to be the best cooking methods.
  • 大裁女単衣を主体にして
    西條 セツ, 高橋 春子
    1970 年 21 巻 4 号 p. 262-267
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Fatigue of five-hour sewing of unlined Kimono was measured with fourteen subjects who were classified in flicker fusion pattern type 3, type 4 and type 6 in the previous report.
    After two-hour sewing a fifteen-minute break was given, and when another one-hour sewing has finished forty five-minute lunch time was taken. In the afternoon subjects sewed for two hours. The measurement was made by flicker gauge and near-point meter eight times as follows :
    #1- -before starting sewing, #2- -after one-hour sewing, #3- -after two-hour sewing, #4 - - after fifteen-minute rest, #5- -at the end of morning work of three-hour sewing, #6- -before startingafterncon work, #7- -after one-hour sewing in the afternoon and #8- -at the end of the wholework.
    The results were compared with those obtained in the previous paper in which an unintermittent sixty-minute rest was given at lunch time.
    Comparing ratios of #5 value to #1 value obtained in “work with two divided rests” and “work with one unintermittent rest”, it has been found that in the latter which has no break between#5 and #1 measurements the ratio shows that both F and N values turn to worse side during the three-hour sewing, but in the former sometimes N turns to better while F tums to worse.
    Comparison of ratios of #6 to #5 shows that more recovery is made by lunch break in “dividedrests”examination than “one rest”examination; especially larger recovery is shown with the Nvalue.
    From the ratios of #8 to #1 it is seen that “divided rests”is better viewed from “ recovery”.
    With fourteen subjects the following different types of effect of “divided rests”, based upon Fand Nvalues, are observed :
    1. recovery is made by each rest,
    2. recovery is made mentally but not physically,
    3. no recovery is made.
  • 抗菌力の評価におよぼす因子
    神野 節子, 小友 洋子, 林 知賀子
    1970 年 21 巻 4 号 p. 268-274
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    衛生加工品の抗菌抗黴力の評価に影響を与える 9 つの因子について、St. aureus 209-P ならびに Escherichiacoli を用いて実験を行ない、その成績を第1~9図に示した。その要約は下記の通りであった。
    1) 皮膚から分離したバクテリアの種類によって試布に対する抗菌力は異なった。試験菌St. aureus 209-Pは、これらの分離菌にくらべると弱い菌であった.そこでこの菌の生育を阻止しても、実際に皮膚に沢山いる菌の生育を阻止するとは必ずしもいえないことがわかった。
    2) 菌を移植培養して、24時間後の菌、つまり、経時の短い菌の抵抗力が強く、移植後日数の経った'菌を試験菌にえらぶと菌の抵抗力が弱まっているので、試布の阻止帯が大きくあらわれることがわかった。
    3) 試験菌の希釈濃度が、抗菌力の評価に影響した。菌密度が大であれば、阻止帯の大きさが小さく、密度が小であれば、阻止帯は大きくなった。
    4) 普通寒天培地にくらべ、感性ディスク用培地は有機水銀系化合物に対して、若干、不活性化が少なかった。
    5) 普通寒天培地15、18、20、25mlの量差では菌の抵抗力に影響が少なかった。若干25ml使用のものが阻止帯が小であった。
    6) 普通寒天培地のpH 6.0 ~ 8.0 の間の pH による菌の抵抗力に及ぼす影響は僅少で、6.5~7.2の間の pH では、全く同じであった。
    7) 菌の培養至適温度で最も抗菌力が強くあらわれ、至適温度から遠ざかると弱まった。
    8) 生理食塩水、純水、ラピゾール0.017%入純水を用いて菌の抵抗性に与える影響を調べたが、ほとんど差違はなかった。
    9) 菌を培地と混釈、平板とし、試布を接布して抗菌試験をする方法が、平板上に接布した試布上から菌散布、平板上に菌塗抹接布、あるいは、平板上に接布して菌を塗抹する方法にくらべて、抗菌力は大であった。
    以上の試験結果から、衛生加工品の抗菌力を評価する場合、実験にあたり、評価に影響する因子を十分考慮し一定の方法を採用した方が適当であると考えた。
    本研究は家政学会第20回総会において口頭発表した。
  • ヘムの縫い目線がスカートの裾回り方向のドレープ線に及ぼす影響について
    早川 照子
    1970 年 21 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The author has inquired into hemming as one of the factors which affect the shape of folds formed on the skirt aiming at creating a beautiful silhouette.
    In the present report using a drape-o-meter of MIT method, the author studied especially how the turning in and sewing down the edge and the circumference of the skirt influence upon the drapability of the skirt.
    The results of the experiments are as follows :
    1. The harder the cloth is or the shorter the skirt length is, the more effective the hem stitches are.
    2. The wider the hem is, the less the drapability is affected.
    3. The effect of zig-zag hem stitches on the drapability of the skirt is nearly equal to the effect of the cut edge such as of flannel skirt.
    4. The wider the cloth is, the more effective the hem sewing is.
  • 父と子の職業観を中心として (2)
    久武 綾子
    1970 年 21 巻 4 号 p. 280-285
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    以上、本報を要約すると、
    1) 父と子の進学や就職についての話しあいは、親子とも「たまに話す」のがもっとも多く半数以上ある。
    2) 父の方は、子とよく話しあいをしているつもりなのに、子の方は父とそう話しあいをしていないと受けとめる現象が15%くらいみられる。
    3) 父と子の話しあいで、意見は合うことも合わぬこともあるというのがもっとも多く40%以上ある。にさせる親が鳳暗黙了承する親が1/3で、親の意見に従うよう説得する親はわずか6%しかない。
    5) 家庭本位の考え方は、父より子に、またホワイトカラーよりブルーカラーにその傾向が強いようである。6) 職業と家庭の両立をはかるタイプは、ホワイトカラーの父親に多いようである。
    7) 父子とも、大学を真理の探求や教養を高める場ではなく、よい就職先を得る手段として受けとめているようである。
    以上、職業面からみた父子関係に関する研究の第2 報第3報によって、父と子はその職業観、家庭観を通じ認知構造にかなりの不一致があることが確認された。
  • 家政学原論研究V
    原田 一
    1970 年 21 巻 4 号 p. 286-291
    発行日: 1970/08/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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