1969年2月に, 茨城県公立小学校6年児童と父兄, 家庭科担当教諭, 教育学部家政科専攻生, 学校管理者計2,129名を, 2段層化無作為抽出法により選び, 小学校家庭科内容からの16項目につき, 5段階評定法により評定を求め。同教科の教育内容の重要度につき意識調査を行なった。
1. 各項目の評定値の平均については総体的に高い数値が示され, 小学校5・6年の児童に対して教育全体の中で家庭科の教育的価値が高く認識されているといえる。
中学校に比べ最高最低の数値の差が少なく, 基礎的基本的内容として認識されているといえる。
もっとも数値の高いのは, すまい, 家庭, 被服領域の管理面合理化に関する項目で, 次が食物の合理化と技術習得に関する項目で, すまい, 被服の製作技能習得に関する項目は低い数値を示す。これは中学校と同じ傾向を示すといえる。家庭科教育の指導が技術習得のみに終ることなく, 家庭生活の理解と生活の合理化につながる必要のあることを示すと考えられる。
2. 男児と女児の間には多くの項目に差がみられ, 女児は中学女生徒に比べ高い価値意識を示すのに反し, 男子は低くその差は大きいといえる。男女児が共通に重要度を高く認めているのは, 家庭生活の理解や生活の計画化合理化に関する項目である。意識に男女の差のあるのは調理や被服領域の製作に関する項目であり, 家庭科指導上留意すべき点と考えられる。
3. 分散分析法による平均値一様性の検定の結果, 小学校教育にたずさわるものとして学校管理者と家庭科担当教諭, 家庭科教育にたずさわるものとして同教諭と教育学部家政科専攻生の間には篭多くの項目につき重要度にたいし意識の一致が認められる。また教育者としての同教諭と学習者としての児童の間には多くの項目に重要度につき意識の差が認められる。これらの点については中学校の場合と同様である。
4. 家庭科教育内容重要度について各群間にはかなりの差が認められ, 意識が高いのは小学校にたずさわる学校管理者と教諭である。家政科専攻生は内容によって価値意識の差がいちじるしい。児童と父兄はもっとも低い以上の点については中学の場合と同様であるが, 父兄は中学校のそれより高く, 男女合わせた児童としては中学校女生徒より低いが, 女児のみについては中学生よりかなり高い価値意識を示している。
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