家政学雑誌
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22 巻, 6 号
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  • 小田 求
    1971 年 22 巻 6 号 p. 342-347
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    市販の冷凍鯨肉について、牛の新鮮肉を対照として、組織化学的、電子顕微鏡的に調べたところ、次のような結果が得られた。
    1. 牛の筋肉細胞の細胞質にグリコーゲン顆粒を組織化学的、電顕的に認めたのに対し、鯨では存在しなかった。
    2. 鯨の筋肉細胞の核質部がやや不明瞭で、mitochondriaの空洞化が認められた。
    3. 鯨の筋原線維中のタンパク質のフィラメントに若干のくずれがみられた。acrolein・Schiff反応で濃染することはタンパク質分子の物理的構造のくずれを意味するものと思われる。
    4. 鯨の筋肉について観察されたこれらの微細変化を総合的にみると、食品価値には影響のない程度で、冷凍保存は適当とみなされる。
  • 谷 直子, 林 雅子, 矢部 章彦
    1971 年 22 巻 6 号 p. 348-352
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Fluorescent brightening of polyester-cotton blend is carried out by dyeing polyester part first with disperse type dye, and then cotton part with direct type dye.
    Brightening effect of this combination method, however, is not always satisfactory, and under a certain condition, fluorescence even decreases after the second process of dyeing.
    In order to make clear the mechanism and find out the effective process of combined brightening, the authors have studied the reflectance of polyester-cotton blend, polyester and cotton cloths treated with disperse dye (Uvitex ERN), direct dye (Whitex BK) and both dyes in successive way. respectively, as well as with the soaping prior to the second dyeing.
    Main results obtained are as follows :
    1. The disperse dye absorbed by cotton in the first process had no effect on the amount of direct dye taken by cotton in the second process, but affected the final fluorescent intensity.
    2. The more the soaping cycles were made, the better the brightening effect was obtained.
  • 加藤 トハ, 伊藤 ひで子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 353-358
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    What worries a mother most is the treatment of the excrement of her infant, and it is an important element of the health care for the infant. When an infant is left with a wet diaper, the diaper tends to draw heat from the body and the water evaporates or the diaper dries up. To understand this process clearly, two kinds of experiment were performed.
    1) The temperature fall in a model, A, of baby's lower half body which put a dry diaper and another similar model, B, with a wet diaper was investigated as the time went on. After 2 hours, it was found that the fall of the temperature in model B was greater both inside the body model and on the surface than in body model A.
    2) The process of drying of the wet diaper was also investigated, and it was observed that the diaper rapidly dried up as the time proceeded. The microclimatic study showed that the temperature between the diaper and body fell while the humidity rose.
    Through the above-mentioned observations, it has been confirmed that a wet diaper has an unfavorable effect on the health of an infant.
  • 中学生の縫製能率の向上について
    佐川 澄子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 359-364
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    In this report 319 junior high school girls were divided into two groups by their thumb-lengths and sewing needles of four different lengths were tested by these two groups in order to find out the most effective length of the needle.
    The sewing efficiency was evaluated by the length of cloth sewed in a certain period of time, number of stitches and their uniformity.
    It has been disclosed that the most suitable length of the needle was 60+5% of the thumb-length for junior high school girls to increase the number of stitches and the length of sewed cloth in a given time.
    So far as the improvement of the uniformity of stitches is concerned, a needle a little longer than that mentioned above, in other words 65±3% of the thumb-length, was most suitable.
  • 大池 久子, 坂田 優子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 365-370
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    プレキュア方式により高温にてキュアされた細番手のスパンヤーンによるワイシャツ生地の縫製に関して、合繊系、セルロース系の糸、この両者の混紡糸、また、新しく開発された加工糸などの縫糸の強伸度・太さ斑・動まさつ係数などを調べ、ミシン針の表面の粗滑、ならびに針先形状を異にするもの3種を用いて縫製し、洗たくもあわせて行ない、この種の生地に適合性のよい縫糸・針を求めた。
    縫糸の強伸度は、P.P用に加工されたものは、強度は増すが、伸度は低下の傾向がある。太さ斑は、同一素材である場合は、フィラメント糸のほうがスパン糸よりいちじるしく小で、スパン糸はポリスニテル糸よりも綿糸のほうが大である。混紡糸は、混入率の高いほうの糸に相似した値を示す。概ね、太い糸の場合にU%が小である。動まさつ係数は、ポリエステルフィラメント糸・ナイロン糸の場合に小で、P.P用糸はわずかながら増加している。ポリエステル・綿混紡糸はポリエステルスパン糸より低い値を示し、綿糸の場合に近似している。
    ミシン針は、化繊用として開発された梨地加工の粗面の針よりも、クローム鍍金された滑面の針が好ましく、針先形状は、丸みのあるものがよい。
    プレッシュキュアされた布は、縫製後、高圧プレスにより縫目の安定性が得られるが、洗たくにより縫目じわは再びあらわれるゆえ、疎水性で、小斑 (U%) の小なる糸を用い針先形状の丸い滑面の針で縫製したものは好成績を得ている。
  • 永井 房子, 佐藤 由紀子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 371-378
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    There are several ways in which we wear Japanese clothes beautifully and fittingly. It is of great importance that a kimono-collar be sewed appropriately.
    Therefore the experiments were carried out from the standpoint of suitable placing of kimono-collars using sixteen kimonos with different kinds of kimono-collars.
    The difference in kimono-collars is caused by the combination of the following factors.
    1. The cutting-line for placing a kimono-collar onto the kimono.
    2. The distance from the shoulder-line to the kimono-collar's central point.
    3. The flexibility of the cloth.
    As the results, it was made clear that the proper placing of the kimono-collar is more closely related to factor 1 than factors 2 and 3.
  • 近所づきあいについて
    久武 綾子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    以上、本報では家族と近隣社会との人間関係を私的な近所づきあいの面から調査し分析した結果、
    1) 家族の交際圏 (近隣、親戚、職業、同窓、趣味、信仰) のうち、近隣づきあいの占める割合は、夫婦とも親戚づきあいよりは低い。
    2) 本人の職業によって近隣づきあいの占める位置は異なり、近隣づきあいの多いのは農林漁業従事者である。
    3) 新しく他の土地へ移住するときは誰しもあいさつまわりをし、その範囲は組内というのが70%あった。
    4) 住宅地や団地の夫は、近所づきあいのない率が1/4もあるが、妻はあいさつ程度のつきあいが半数を占める。
    5) 近所づきあいには友交的、相互扶助的、利害関係的な機能が含まれるが、その程度は地域により異なる。
    6) 都市では、よその家庭に立ち入らない表面的な近所づきあいがされ、農山漁村では緊密なつきあいがされる。
    7) 依存度の高いつきあいは山村漁村に多く、依存度の低いのは住宅、団地でこれは地域社会の果たす機能による。
    8) 近所づきあいは深くなればなるほどその反面に煩わしさや不満が生ずる頻度は高く、これは農山漁村に多い。
    9) 近所づきあいの型には協調型と不干渉型があり、前者は農山漁村に、後者はとくに団地に多い。
    10) 近所づきあいの多い農山漁村でも、また、つきあいの少ない都市でもそれはそれでよいと現状を肯定しており、近所づきあいが煩わしいという人は非常に少ない。
    11) 定住度の高い人びとは多くの人と仲よく暮したいといっているが、移住希望者になると互いに干渉しないで暮したいという人が倍増する。
    12) 都市における人間関係の希薄さは、近所づきあいに依存度が低く、互いに干渉しあわないで暮したい人が多いことに原因があることが、本調査の結果認められた。
  • 自治組織との関係
    久武 綾子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 386-393
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    以上、本報では家族と近隣社会との人間関係のうち、公的な面、すなわち町内会等自治組織との関係について調査し、家庭経営的な視点からの分析を含めた結果、
    1) 自治組織に対する認識度は、商工業地域と農山漁村に高く、団地は低い。なお住宅地では夫は妻より低い。
    2) 自治会費の使途について農山村の夫がよく知っているのは、住民投票で役員を決め、予算計画等が村議会に結びついているからと思われる。
    3) 会費基準は「各戸平均」がよいというのは、団地、住宅地に多く、農山漁村では収入に応じよとの声もある。
    4) 自治組織を通じての寄付については、会費ほどその出費に寛容でない人が多い。
    5) 自治会費や寄付に対し、農山漁村では世間体を気にして、つきあい上出すという人が多い。
    6) 寄付金額を決めるとき、核家族では夫婦相談が3/4を占め、なお、地域的には農山漁村と商業地域では妻決定が少なく、住宅、団地では妻決定が多い。
    7) 寄付額決定は、拡大家族では父母と相談が1/4ある。
    8) 寄付額決定は、共働き家族では非共働き家族に比べ夫婦相談がいくらかふえるが、大差はない。
    9) 多くの人は、寄付額の基準を近所の人の額に求める。
    10) 自治組織の機能の違いによって、住民の参加、 協力の度合が異なり、農山漁村では参加度が高い。
    11) 葬儀については、都市では通夜や送りに顔を出す程度であるが、農山漁村では葬儀一切の世話をする率と強制参加度が高く、一般に葬儀がハデで非難も聞かれる。
    12) 自治組織の当番に対しては、概して肯定的である。
    13) 当番の仕事は都市では妻が主に、農山村では夫が主に、漁村では手のあいている人が行なっている。共働き家族では妻の分を夫や祖父母がその役割を任じている。
    以上、前稿および本稿で家族の近隣社会に対する意識を調査し、その統計結果を分析したが、調査の方法上、やや皮相的な側面をながめているきらいはやむを得なかった。今後は、もっとその深相に触れるような調査を考え、実施したい。
  • パートタイマーの場合
    横山 シヅ
    1971 年 22 巻 6 号 p. 394-401
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1. パートタイマー就職の動機は、店員群は余暇利用型、工員群は家計補助型が多い。
    2. パートタイマーによる収入は家計補助、借入金の返済および建築資金積立、教育費積立など貯蓄にあてられる。
    3. 家事はほとんど主婦が担当し、一般家庭主婦と大きな差はない。家庭外の労働時間の増加により家事時間、自由時間が短縮されている。
    4. 家事とパートタイム労働の両立は勤務時間の長さに関係があり、その限界は 1 日 5 時間以内である。またこの両立は、主婦が意識的に家事を合理化し、能率的に処理する態度をもつことに関連がある。
  • 中学校技術・家庭科教育内容に関する意識調査
    村山 淑子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 402-409
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1969年2月に、茨城県下公立中学校3年女生徒、技術・家庭科女子向き担当教諭、茨城大学教育学部家政科専攻生、学校管理者、父兄計1,129を2段層化無作為抽出法により選び、中学校技術・家庭科女子向き内容からの20項目につき、5段階評定尺度法により評定を求め、同教科内容の教育的重要度について意識調査を行なった。
    1. 各項目の評定尺度値の平均については、女子向き内容として高い数値が示され、中学教育全体の中で技術・家庭科女子向き内容の教育的価値が高く認識されている。しかし内容項目間については、小学校に比べ価値意識に差があるといえる。重要度がもっとも高く認識されているのは、家庭管理、食物、被服、保育領域における生活の科学化や合理化に関する知識や態度習得に関する項目で、次は被服、食物、保育領域の製作技術習得と家庭電気に関する項目であり、その次が家庭機械、住居 (含設計製図、工作) に関する項目であった。
    2. 女子向き内容のうち、男生徒にたいする教育的価値として高く認められるのは、ほとんどが男子向き内容にある工的分野に属する内容の項目であるが、現行学習指導要領男子向きにない内容で女子以上に重要度が認められたのは住居であり、家族・保育や衣食の合理化に関する項目とともに、男女共通に学習する内容として考慮することが必要であると考えられる。
    3. 分散分析法による平均値の一様性の検定の結果、中学校教育にたずさわるものとして学校管理者・教諭間と, 家庭科教育にたずさわるものとして教諭・教育学部家政科専攻生の間には、教育内容の重要度について多くの一致が認められるが、教授者である教諭と学習者である女生徒の間、および女生徒・父兄間には多くの項目に対して意識の上に差がみられ、このことは家庭科教育上留意すべき点であると考えられる。
    4. 重要度についての意識には各群でかなりの差がみられる。もっとも高いのは家庭科教諭であり、次に学校管理者、教育学部家政科専攻生、女生徒、父兄の順である。被服と食物領域の技術習得に関する項目については、教諭がその重要度を高く認めるのに反し、家政科専攻生はそれを他より低くみている。保育内容については学校管理者と女生徒が価値を高く認めている。
  • 小学校家庭科教育内容に関する意識調査
    村山 淑子
    1971 年 22 巻 6 号 p. 410-416
    発行日: 1971/10/20
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    1969年2月に, 茨城県公立小学校6年児童と父兄, 家庭科担当教諭, 教育学部家政科専攻生, 学校管理者計2,129名を, 2段層化無作為抽出法により選び, 小学校家庭科内容からの16項目につき, 5段階評定法により評定を求め。同教科の教育内容の重要度につき意識調査を行なった。
    1. 各項目の評定値の平均については総体的に高い数値が示され, 小学校5・6年の児童に対して教育全体の中で家庭科の教育的価値が高く認識されているといえる。
    中学校に比べ最高最低の数値の差が少なく, 基礎的基本的内容として認識されているといえる。
    もっとも数値の高いのは, すまい, 家庭, 被服領域の管理面合理化に関する項目で, 次が食物の合理化と技術習得に関する項目で, すまい, 被服の製作技能習得に関する項目は低い数値を示す。これは中学校と同じ傾向を示すといえる。家庭科教育の指導が技術習得のみに終ることなく, 家庭生活の理解と生活の合理化につながる必要のあることを示すと考えられる。
    2. 男児と女児の間には多くの項目に差がみられ, 女児は中学女生徒に比べ高い価値意識を示すのに反し, 男子は低くその差は大きいといえる。男女児が共通に重要度を高く認めているのは, 家庭生活の理解や生活の計画化合理化に関する項目である。意識に男女の差のあるのは調理や被服領域の製作に関する項目であり, 家庭科指導上留意すべき点と考えられる。
    3. 分散分析法による平均値一様性の検定の結果, 小学校教育にたずさわるものとして学校管理者と家庭科担当教諭, 家庭科教育にたずさわるものとして同教諭と教育学部家政科専攻生の間には篭多くの項目につき重要度にたいし意識の一致が認められる。また教育者としての同教諭と学習者としての児童の間には多くの項目に重要度につき意識の差が認められる。これらの点については中学校の場合と同様である。
    4. 家庭科教育内容重要度について各群間にはかなりの差が認められ, 意識が高いのは小学校にたずさわる学校管理者と教諭である。家政科専攻生は内容によって価値意識の差がいちじるしい。児童と父兄はもっとも低い以上の点については中学の場合と同様であるが, 父兄は中学校のそれより高く, 男女合わせた児童としては中学校女生徒より低いが, 女児のみについては中学生よりかなり高い価値意識を示している。
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