1) モッコク (I), サカキ (II), ヒサカキ (III) の各若葉および越年葉について, ビタミンC含有量の季節変動ならびに樹葉の伸展成長の比較的旺盛な時期におけるアスコルビン酸オキシダーゼ活性を2, 4-Dinitrophenylhydrazine法により測定した.
2) I, II, IIIの若葉上部の還元型C (RAA), 総C (TAA) 含有量および還元型C相対量 (RAA/TAA) の季節変動の範囲は著しく大きく (RAA : I 0~273, II 0~184, III 29~21gmg%, TAA : I 21~342, II 103~722, III 39~268mg%, RAA/TAA : I 0~80, II 0~88, III 60~83%), 変動の傾向としては, 概して初夏および盛夏に最も少なく, 冬期に最も多く, 新芽の萠出前の時期には若干減少した. ただしIIIではRAA/TAA値の変動範囲は著しく小さく, 年間を通じてほとんど変動しなかった.
IおよびIIIの酸化型C (DAA) の変動範囲は比較的小さく (DAA I 20~158, III 9~91mg%), 変動の傾向としては萠芽前の時期に最も多かった. IIではその変動範囲が著しく大きく (DAA I 8~683mg%), 初夏および盛夏の特に成育初期段階の若葉に顕著に多く, 樹葉の熟度が増すにしたがって激減し, 冬期に最も少なくなり, 萠芽前の時期に若干増大した. IIのTAA含有量の変動傾向はDAA含有量のそれによく類似していたが, 冬期に若干増大した.
下部葉のC含有量の変動範囲および変動傾向は上部葉と同様であった.
3) 年間を通じて, I, IIおよびIIIの若葉の上部および下部間のRAA, TAA含有量の平均値にはいずれも有意差は認められなかった. ただしIIの上部の TAA 含有量は下部の含有量に比べてより多い傾向がみられた.
4) 初夏におけるIIの若葉 (開葉数4) の RAA 含有量は第2, 3位の中部葉に多く, DAAおよび TAA 含有量は第1葉に最も多く, 葉位とともに減少した. また茎は開葉に比べて著しく少なかった.
5) Iの越年葉では, 5, 6月には若葉に比べて RAA, TAA 含有量がいずれも多かった. II の越年葉では, 若葉に比べてRAA 含有量が多い傾向がうかがわれたが, TAA含有量は少なかった.
6) 初夏および盛夏における若葉および越年葉のアスコルビン酸オキシダーゼ活性は, Iではいずれも著しく高く, IIIではいずれも中程度であった. IIでは樹葉の熟度により顕著に異なり, 若葉上部では著しく高いが, 下部では中程度であり, 越年葉ではきわめて低かった.
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