家政学雑誌
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28 巻, 6 号
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  • 長弘 美智子
    1977 年 28 巻 6 号 p. 391-397
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) α-アミラーゼ活性
    各種大根の根および葉の抽出液中のα-アミラーゼ活性染色像よりAI, AII, AIIIの3分画を検出したが, 品種によりAIは検出できなかった.AIIは一般に幅広い分画でありデンプン0.1%含有のものにおいてはさらに3分画に分れるがそのうちの真中, すなわちAII-2の分画の活性が強い.またAIIIもかなり強い活性を示した.根および葉の抽出液中のアミラーゼ・アイソザイムはどの品種も同様のパターンを示し, 泳動速度に対するデンプンの影響もほとんど同様であった.
    2) 解離定数の算出結果について
    AII-2, AIIIに対して, 3.9×10-39/ml, 2.0×10-3g/mlの値を得た.
    3) α-アミラーゼとβ-アミラーゼの比較
    EDTAならびにpHの影響を検討したが, 本報において検出したアミラーゼ活性はすべてα-アミラーゼであると考えられる.
  • 平野 美那世
    1977 年 28 巻 6 号 p. 398-402
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    使いこんだフライパンは油なじみがよく焦げつきにくいが, この現象を摩擦係数との関連性において検討した結果,
    1) 鉄試験片の未処理材A, 空焼き材B, 油塗布加熱材C, 空焼き後油塗布加熱材Dの摩擦係数を測定したが, C, Dは小さく, 特にDは最小であった.
    2) 油を薄く塗布して測定した場合, 初動摩擦係数はどの試験片も0.2程度で油潤滑効果が認められたが, 摩擦時間に伴う摩擦係数はDが最小であり, したがって油切れは生じにくいことがわかった.
    3) ブラッシュ洗浄をした場合でも, 油塗布加熱処理をすると吸着皮膜が再生するためか摩擦係数が小さくなった.
    4) D試験片の表面層を赤外線分析した結果, 特にカルボン酸鉄塩が認められたことから, 油中の脂肪酸と金属とが表面の酸化物と水の介在によって金属石ケンを作り, これが化学吸着膜となって潤滑効果をもたらすため油なじみをよくすると考えられる.
    5) ホットケーキを焼いて実用実験を行った結果摩擦係数と焦げつき性とは相関関係があることが認められた.
  • 佐藤 洋子, 緒方 順子, 中沢 文子, 野口 駿
    1977 年 28 巻 6 号 p. 403-407
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    うるち米およびもち米の脂質の脂肪酸組成を分析し, 次の結果を得た.
    1) うるち米の脂質の脂肪酸は, 35~42%のオレイン酸, 34~42%のリノール酸, 15~22%のパルミチン酸, 1~2%のリノレン酸および1~2%のステアリン酸であり, これら5種の脂肪酸が全脂肪酸組成の95%以上を占める.もち米についてもほぼ同様の結果を得たが, うるち米に比べてパルミチン酸含量がやや多い.
    2) パターン分析の結果, うるち米の産出地域によってその脂肪酸組成には明瞭な差が認められ, 硬質米産出地帯といわれる地域でとれた米は軟質米産出地帯といわれる地域の米に比べてリノール酸含量が多く, オレイン酸含量が少ないごとが明らかとなった.また, もち米の分布はかなりの部分でうるち硬質米産出地帯米と重なり, 稲という一つの種の特徴が少量成分である脂質の脂肪酸組成にも現われることが示された.
  • キノコのカサとクキの脂肪酸組成
    広井 勝
    1977 年 28 巻 6 号 p. 408-412
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    キノコのカサとクキの脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーにより分析し, 分類との関連を検討して以下のことを明らかにした.
    1) テングタケ科のキノコはカサはオレイン酸が主体を占め, クキはリノール酸が主体を占めている.
    2) ハラタケ科のキノコはカサ, クキともにリノール酸が主体を占めている.
    3) キシメジ科のキノコはカサの脂肪酸組成により3種のタイプに分類される.1のタイプはリノール酸が主体を占める.2のタイプはオレイン酸が主体を占める.3のタイプはリノレン酸を10%以上含む.
    4) ベニタケ科のキノコは独特の脂肪酸組成を持つものがみられる.
    5) キノコの脂肪酸組成は環境よりも分類との関連が強い.
  • 縫製能率の学年差について
    佐川 澄子
    1977 年 28 巻 6 号 p. 413-416
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    In order to find effects of the period of practice, history of individuals and the hardness of cloth on the sewing efficiency, straight line sewing tests were performed to a group of junior college girls. Thirty-six freshmen and 32 sophomores were divided into two groups; one had gained the third or higher licence to manipulate abacuses, and the other not. A part of tests was repeated five times to every girl using hard cotton cloth and soft acetate cloth.
    In consequence, it is concluded that,
    1. Group of sophomores is superior in overall length of sewing at the limited time, to that of freshmen at the 1% significant level statistically.
    2. Superiority in the number of stitches is also detected in the sophomores' group at the 1% significant level.
    3. Accuracy of stitches is significantly better at 5% level in the freshmen group than in the sophomores'.
    4. Group possessed licence have higher sewing efficiency than other group at 5% significant level.
    5. Freshmen have higher sewing efficiency for hard cloth than for soft one. On the contrary, as to sophomores the result is opposite.
  • 洗浄残液中に含まれるビススチルベン系FBAのセルロースパウダー法による定量
    井合 和枝, 林 雅子, 矢部 章彦
    1977 年 28 巻 6 号 p. 417-421
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Bleached shirting (without FBA) was treated in dilute detergent solution containing a FBA of bis-Stilbene series, the amount of FBA in the residual liquor (washing and rinsing) was estimated by applying the cellulose powder method.
    Following results were obtained ;
    1. So far as the accuracy of the determination of FBA concentration is concerned, cellulose powder extraction method proved to be superior to the ordinary colorimetric determination of residual bath.
    2. After washing the bleached shirting with a model detergent containing known concentration of FBA, 30 to 50% of the total FBA in the detergent came out in residual solution without any adsorption to the substrate.
    3. In FBA of bis-Stilbene and triazinyl-Stilbene series, the higher the washing temperature and the longer the washing time, the smaller was the effusion ratio into the solution, and both the temperature and time effect to the latter is more notable than the former.
  • -1975年調査と過去4回の調査の比較-
    桑田 百代, 伊藤 セツ, 大竹 美登利
    1977 年 28 巻 6 号 p. 422-428
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    東京都公立中学校教員の共働き・非共働き夫妻の平日と休日の生活時間の19年にわたる推移を追ったところ, 次のような結果が得られた.
    平日では全体的に, 全労働時間ならびに収入生活時間の短縮がみられ, 社会的・文化的生活時間は, 平日・休日, 両夫妻ともに増加傾向がみられた.
    家事的生活時間では, 非共働き妻の平日・休日ともに減少傾向がみられるが, 共働き妻においてはむしろ増加傾向がみられ, 両者の夫には, 家事的生活時間の絶対量においても, 推移においても, 見るべき変化はなかった.
    結局, 稲葉が1953年ならびに1956年に提起した共働き妻の生活上の問題点の中で, 生活時間上, 特に家事的生活時間の量的縮少による改善は起らなかった.しかしその質的内容の検討が課題として残される.
  • -家事的生活時間について-
    桑田 百代, 伊藤 セツ, 大竹 美登利
    1977 年 28 巻 6 号 p. 429-435
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    東京都公立中学校教員の家庭の家事的生活時間を, 1967年, 1971年, 1975年の3回の調査について, 共働き, 非共働き妻の平日・休日のそれぞれにつき, 家事内容別, 子の有無, 末子の就学状況別に考察したところ次のような結果がえられた.
    1) 非共働き妻の家事的生活時間の減少は, 育児・教育時間ならびに裁縫・編物時間の減少によるものであり, 共働き妻の家事的生活時間の増加は, 特に末子が就学前の妻の炊事時間の延長によるものである.
    2) 全体として炊事時間に延長がみられ, 裁縫・編物時間は減少し, 洗濯・掃除時問に変化はない.家庭用電化製品の大幅な普及は, それらを使用する個別的家事内容と動作時間を変化させても, 総合的生活時間との関連の中で, 家事的生活時間を減少させる規定要因にはならない.
    3) 家事労働への夫の協力に時間的変化はみられない.
  • なみ縫いの呼吸曲線と筋電図による分析
    武井 洋子, 岡村 喜美, 藤田 紀盛
    1977 年 28 巻 6 号 p. 436-441
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    以上の実験結果を要約すると次のとおりである.
    1) 呼吸曲線と前腕筋筋電図から, 熟練者のパターンを把握することができた.
    2) 小・中学生と成人について, 呼吸曲線, 筋電図, 所要時間, 糸こき回数, 表目数, 縫い目の長さなどを分析した結果, 中学生は成人に近い数値を得たが, 中学生と小学生との間に差を生じた.
    3) 呼吸曲線と筋電図分析による評価と, 教師による作品の評価との間に, すぐれた作品と劣る作品については評価がほぼ一致した.
    本論文の要旨は, 1973年10月7日の日本家政学会第25回総会と, 1974年10月2日の日本家政学会第26回総会において発表した.
  • たまねぎ汁の場合
    松本 睦子, 河村 フジ子
    1977 年 28 巻 6 号 p. 442-445
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    牛乳の熱凝固におよぼすたまねぎ汁の影響をみた結果を要約すると次のようになる.
    1) たまねぎの生汁, 煮てから摩砕した汁は牛乳を凝固させやすく, 妙めてから摩砕した汁は凝固させにくい.しかし, 着色するまで長時間妙めたものは酸が増加し牛乳は熱凝固を起こしやすい.
    2) 葉付きたまねぎは成熟たまねぎよりpHは低いが, 酸量, 無機成分が少なく牛乳を凝固させにくい.また, 発芽しているたまねぎは牛乳の熱凝固を起こしやすいが, 内部の芽も除いてしまえば凝固を起こしにくい.
  • -生活時間構造との関連で-
    桑田 百代, 伊藤 セツ, 大竹 美登利
    1977 年 28 巻 6 号 p. 446-449
    発行日: 1977/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    以上, 疲労自覚症状調査を生活時間とのかかわりで検討してきたが, 生活時間の上からみても, 共働き家庭では妻の労働負担によって家庭が維持されており, それは集約的に疲労の自覚症状となって反映されている.特に乳幼児をかかえた共働き妻は平均年齢がいちばん若いにもかかわらずとびぬけて疲労訴え率が高いが, これはその妻の生活時間構造にみあうものである.
    平日の訴え率は高い順に共働き妻, 夫, 非共働き夫, 妻で, この傾向は1967, 1971, 1975年の3回にわたる調査で同じである.全労働時間においても, 稲葉らの第1回の調査時点から, 共働き妻がいちばん多いことは変わらず, 19年を経過しても, 共働き妻は収入労働に家事労働の時間的負担が加わって, 疲れきった毎日を送っていることがわかる.
    各群の訴え率は, 平日, 休日とも3回の調査を通じてA>C>B型であるが, 共働き妻のA群の訴え率は回を重ねるごとに朝夕の差が大きくなっている.また, 自律神経失調症状を表わすといわれるC群は, 平日, 休日とも朝夕の訴え率が増加している.
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