凍結解凍卵黄およびこれらの加熱卵黄の性状変化について, テクスチャー特性値, 破断強度の測定と卵黄組織の観察とから検討を行った.用いた卵黄は, a) 生卵黄, b) -3~-7℃24時間凍結解凍卵黄, c) -3~-7℃216時間 (9日) 凍結解凍卵黄, d) -24~-29℃24時間凍結解凍卵黄, およびこれらの加熱卵黄である.以下に結果を述べる.
1) b) とc) は凍結解凍操作を行ったにもかかわらず, a) と同じ流動状であったが, d) は粘稠状のゲルであった.テクスチャー特性値, 破断強度については, a), b), c) は同じような値となったが, d) とは異なり, 流動状のものとゲル状のものとでは明らかな違いが認められた.
加熱後のa) とb) は粉質状, c) とd) はゴム状であった.テクスチャー一特性値, 破断強度はa), b) よりはc), d) の方が高い値を示した.なお, これらのテクスチャー特性値と破断強度は, 加熱前の卵黄よりかなり高い値を示した.
2) 加熱前のa) の組織は多面形顆粒構造をしていた.b) ではこの構造が残っていたが, c) ではまったく消失していた.d) では多面形が変形し, 損傷を受けていた.加熱後の卵黄の構造は加熱前とあまり変わらなかった.
3) 凍結解凍による卵黄の構造変化は, 凍結解凍卵黄の加熱後の性状に大きな影響を与えた.
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