家政学雑誌
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29 巻, 6 号
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  • 松本 仲子, 上田 フサ
    1978 年 29 巻 6 号 p. 351-355
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    冷凍馬鈴薯を試料として調理加熱崎間とテクスチャーの関係, 調理加熱中の食塩浸透の状態また凍結貯蔵中の食塩の移行などについてその調理性を観察した.
    野菜類の冷凍品は生鮮品にくらべてテクスチャーが悪くなることが多い.冷凍野菜をよりおいしく調理するための一つの方法として調理加熱時間の調節が考えられる.テクスチュロメーターによる測定および宮能検査によって, 冷凍馬鈴薯の調理加熱時間の長短とテクスチャーの関係をみたが, 加熱時間の長短によって, 冷凍馬鈴薯のテクスチャーの変化は認められなかった.したがって調理加熱時間を加減することによって冷凍馬鈴薯のテクスチャーを向上させることはほとんどできないと考えられる.
    調理加熱中の食塩の浸透速度は, 冷凍馬鈴薯は生鮮馬鈴薯にくらべて外層から内層への浸透速度が大きいことが認められた.凍結, 貯蔵によって細胞間等に間隙を生ずるなど組織の変化が食塩の浸透を早めるものと考えられ, このことは冷凍馬鈴薯は生鮮馬鈴薯と比較したとき, より短時問のうちに調味料などの味を含みうることを意味している.加熱時間を延長してもテクスチャーを改良することは期待できず, また調味料の浸透は生鮮馬鈴薯にくらべて速いので煮熟が確認されれば調味のための加熱時間は生鮮馬鈴薯よりも短かめでよいといえる.
    調理加熱して食塩を含ませた冷凍馬鈴薯を冷凍庫中に3週間凍結貯蔵したが, その間において外層から内層への食塩の移行はほとんど行われなかった.これは調味料の運搬役となる水分が動きを失うためと考えられる.したがって凍結貯蔵中にはいわゆる味のなじみは期待できないといえる.
  • 河村 フジ子, 中島 茂代, 幸野 礼子
    1978 年 29 巻 6 号 p. 356-361
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ゼラチンゾルにエマルジョン (マヨネーズまたは白ソース) を混合した場合のゾルとゲルの特性について実験した結果を要約すると次のようになる.
    1) エマルジョン混合ゼラチンゾルは降伏値をもった非ニュートン流動で, わずかにチクントロピー性を示し, みかけの粘度はずり速度勾配が大きくなるにつれて減少する.
    2) エマルジョンを多量に混合したゼラチンゾルは30℃くらいでも粘度が高く, かつ, 温度降下に伴う粘度変化が緩慢であり, 調理適用温度範囲が広い.
    3) エマルジョン混合ゲルは黄味を帯びた白色を呈し, 融解温度は対照 (ゼラチンゲル) より著しく高い.
    4) エマルジョン混合ゲルの硬さは, ゼラチン4%では対照よりやわらかく, 2%ではかたくなる.
    5) エマルジョン混合ゲルは付着性を示す.
  • -仕上攪拌時間の影響-
    赤羽 ひろ, 柳瀬 仁茂, 中浜 信子
    1978 年 29 巻 6 号 p. 362-368
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    マヨネーズを調理に用いる場合, 材料配合を変化させ硬さを調節するが, 一定配合の材料を用いたマヨネーズについては, 仕上攪拌時間の変化が性状に影響を与えると考え検討を行った.色差計を用い色度, レオロメーターによりテクスチャー特性値, ロトピスコ回転粘度計を用いてレオロジー特性値, 顕微鏡により粒度分布の測定を行った結果,
    1) 油濃度76v/v%のマヨネーズは仕上攪拌時間が増すにつれ, 明度は増加, 彩度は減少した.
    2) マヨネーズのテクスチャー特性値として硬さおよび付着性はともに仕上攪拌時間が増すにつれ増加した.
    3) レオロジー性値としてみかけの粘性率, 降伏応力, 剛性率はともに仕上攪拌時間の増加につれ増した.どの仕上攪拌時間のマヨネーズもずり速度流動化流動を示し, 降伏応力を持つ塑性流動であり, かつ, 岡性率を示す弾性液体であることが認められた.
    4) マヨネーズの仕上攪拌時間の増加により, 粒度分布から求めた平均粒子径は減少した.平均粒子径とテクスチャー特性値, みかけの粘性率および降伏応力は両対数グラフ上で直線関係を示し, 色度は普通グラフ上で直線関係を示した.
  • -Mg, Caドデシルサルフェートの洗浄効果への寄与-
    渡辺 紀子, 矢部 章彦
    1978 年 29 巻 6 号 p. 369-373
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    NaDSの海水洗浄時に生成されると考えられる, Mg (DS) 2, Ca (DS) 2を調製し, 表面張力測定および洗浄実験から次の結果を得た.
    (1) 表面張力はNaDS>Mg (DS) 2>Ca (DS) 2の順に低下した.
    (2) 洗浄効率はCa (DS) 2≈Mg (DS) 2>NaDSであり, 臨界洗浄濃度はcmcより, やや高濃度側に存在し, 洗浄効率の高いほど, 表面張力は低下した.
    (3) Mg (DS) 2水溶液にNaClを添加すると, NaCl添加量とともにcmcが低下し, 臨界洗浄濃度も低下した.
    以上の結果から, 前報でNaDSの海水洗浄がすぐれた効果を示す原因としては, 海水洗浄時に生成した, アルカリ土類金属塩 (Mg (DS) 2, Ca (DS) 2) がcmcおよび臨界洗浄濃度を低下させ, 総合的に洗浄に寄与することが, 本実験より確認された.
  • 肩部形状
    樋口 ゆき子, 内藤 裕子
    1978 年 29 巻 6 号 p. 374-379
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) 従来測定が非常に困難であった肩部形状を, 三次元測定できるモアレ法に鏡を用いた撮影方法を考案することにより, 静止時・動作時ともに正確に把握できた.
    2) 肩部に基準点を設定し, 頚側点を原点と定めてx (前後), y (左右), z (上下) の三次元座標で読みとることにより各基準点の移動をとらえることができ, その変化は肩幅中央付近は各動作とも肩先に比べて大きな変化をしていないことがわかった.
    3) 頚側点と肩先点の間の切断面を図示することにより肩傾斜曲線の変化とともに肩先の上下動が数値でとらえられた.またこの体表の肩傾斜が曲線で個体差もあるため, 肩傾斜と衣服設計とのつながりなど今後研究していく予定である.
    4) 静止時のモアレ縞形状を基準として, これに動作時のモアレ縞を重ね合わせることにより二次モアレで等変位線を描くことができ, 非常に複雑である肩部の表面形状の変化を把握できた.
  • 齊藤 昌子, 赤川 直亮
    1978 年 29 巻 6 号 p. 380-386
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Contact angle, sliding angle and critical drop weight (M0) were measured, in order to investigate some effects of the surface property and roughness on water repellency. Samples were five glass plates having different roughness and various polymer films solidified on these plates. Tested films were polystyrene, polyvinylchloride, cellulose di- and triacetate. The measurements were also made on these films treated with water repellent finish (Scotchgard).
    Among these three measurements, sliding angle and M0 were useful for the water repellency test when surface roughness were large.
    Films of polystyrene and polyvinylchloride showed the large roughness effect on the sliding angle and M0, but these of diacetate and triacetate showed much smaller and all the water repellent-finished samples showed negligible effect.
  • 中西 茂子
    1978 年 29 巻 6 号 p. 387-392
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Formaldehyde levels were observed in cotton, regenerated cellulose and blended fabrics obtained in the market in the period from 1972 to 1977 simultaneously with the identification of resins used for these fabrics.
    The trends investigated were summarized as follows :
    1) During this period, it was shown that, for every kind of fabrics, the ratio of urea and melamine resin finishing decreased yearly and that of glyoxal resin finishing increased instead, especially, an abrupt increase of this resin finishing was observed in 1975 when the strict control was enforced for the formaldehyde level.
    2) In general, regenerated cellulose fabrics gave the highest formaldehyde level and cotton fabrics showed the lowest level in every year, but these level remarkably lowered in 1975-1976 after the enforcement of formaldehyde control.
    3) It was found that 35% of commercial fabrics still exceeded the controlled level (75μg/g sample) even in 1977.
  • 佐々木 シナ子, 平松 園江, 国宗 真
    1978 年 29 巻 6 号 p. 393-398
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) 恒温乾燥機 (50℃) 中における布の恒率乾燥区間蒸発量V (g/min) は吊下げ高さを変えても, 同じ大きさの布であればほとんど差は認められない.
    2) 単位面積当りの蒸発量V0 (g/cm2・min) は布の大きさに依存し, 小さい布ほど蒸発量は大きい.また布が大きくなりすぎると, 乾燥機内の限られた容積内 (76,500cm3) では湿度が高くなり, 蒸発量に影響してくるが, 晒10×15cm2までは次の式がなり立つ.蒸発量をV, 幅をx (10cm), たて長さをyとすれば,
    V = a (x + y) + bxy
    3) 晒10×10cm2の布で機内温度40~100℃までの間では, 蒸発量Vと温度Tとの関係は,
    log V = a + blog T
    の式が成立する.
    4) 吊下げ乾燥の場合の4種綿布では晒, 天竺, プロードの蒸発量Vにくらべ綿ネルは少なかった.
    毛ネルは布の長さが長くなると, 綿ネルと比較して蒸発量Vが少なくなる.
  • -デルファイ法-
    宇川 和子, 海津 美代子, 斉藤 道香, 武田 満す, 前川 当子, 八倉巻 和子, 八度 雄一郎, 山本 松代
    1978 年 29 巻 6 号 p. 399-406
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Purpose : It does not seem likely that our future family living would be the same as the past one. This supposition is based on the fact that the human beings always seek changes and make progress in their living and thus new culture and sciences are developed in human society. Believing in such development of natural and social sciences, it has been intended to select statistic indices which might be of help to plan future family living and to invite opinions and views of a number of scholars in home economics on the statistic indices.
    Method : I II
    Number of Home Economists 256 186
    Date of Study June 1974 April 1975
    Number of Items Studied 88 45
    The Delfi method was employed to forecast the future of family living. For each item, home economists expressed their opinions on its importance, realizability, and date of realization, and also they expressed how much confidence they had in their estimate of the date of realization.
    Results : Integral studies of the indications of the date of realization, realizability, and importance for 45 items disclosed that there was a mutual dependence between the items or indices for living. Views of the home economists have suggested subjects for study on planning of future living and show that they lay stress on solving problems of putting the research results to practical use in order to overcome the present feeling of family living crisis. For those indices which are presumed to require a long period of time for their realization, the home economists' views call the attention to advance the stage of “basic research for fulfilling the purpose” which is in the process of “the research carried out with the purpose of putting the results to practical use.” For indices which are presumed to require medium length of time for their realization, the home economists' views show the necessity of “applied research.” As for the indices which are expected to be realized in a short period of time, it is implied that they should be at the stage of doing “research for putting the results to practical use.”
  • 地方別理論基礎食料費の指数
    出石 康子
    1978 年 29 巻 6 号 p. 407-411
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    新しい理論食料費試算法を用い, 家計調査年報の区分に準拠して, 全国を10地方4地帯, 計14ブロックに分割して, それぞれの地方の資料から, 全国平均ならびに地方別の理論食料費を試算し, 全国平均を100として, 地方別理論食料費の指数を作成した.その結果から次のことが明らかになった.
    1) 各地方の毎年の数値の大綱はよく似ており, これらを地方別理論食料費の大きさをあらわす指標として差し支えない.したがって基準 (=100) にあたる理論食料費が決まれば, 地方別理論食料費は, 地方別理論食料費の指数を用いてただちに算出でき, 地方別理論食料費の予測がきわめて簡単になる.
    2) 地方別理論食料費の指数の数値を決定する最大の因子は, 地方別の食糧構成であることが察知された.この食糧構成の特色は, 時代とともに徐々にではあるが変化しているので, できるかぎり新しい年次の資料を用いて, 指数の数値を更新するのが望ましい.
    上記地方別理論食料費の指数の作成と平行して, 栄養充足状態の目安となる指標の作成にも努めた.従来, 実態食料費の金額からは栄養にまでふれる検討は困難とされていたが, 理論食料費に対する実態食料費の百分率が, 比較的よく栄養充足状態と一致するので, この比率を, 実態食料費を評価する場合の, 一つの指標に加えたらよいと考える.
    以上地方別理論食料費の指数および理論食料費に対すを実態食料費の比率を, 食料費検討や食料費設計の指標としていくことは, 食生活指標の充実に役立つと考える.
    本報告の要旨は昭和44年-昭和48年の資料にもとついて, 第26回日本家政学会総会に口頭をもって報告したが, 昭和50年に日本人の栄養所要量の改定が行われたので, 本報文の数値はただちに実用できるように, 新しい栄養所要量に準拠し, 昭和48年-昭和50年の家計調査年報を資料として, すべて更新した.なお口頭発表の旧指数ならびに諸資料は, 紙面の都合で省略したのでご容赦願いたい.
  • 酒井 ノブ子, 篠原 冬
    1978 年 29 巻 6 号 p. 412-417
    発行日: 1978/09/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    女子学生の勤労観には年齢, 学歴, 地域などによって違いはあったが, 概略次のような特徴があることがわかった.
    1) 自分のくらし向きについての認識はあまりきびしくなく, また不十分である.
    2) 生きがいについては友人知人とのつき合いや自己実現に求めているものが多い.
    3) 生活規範については努力型, のんびり型, 自己尊重型の順に多い.
    4) 勤労意欲の程度は普通であるが, 働く欲求をもつものは多い.
    5) 仕事をもつ意味については単純に生活維持のためと考えているものが多い.
    6) 仕事の選択については収入よりも能力を生かせる仕事, また世間の評価の高い仕事を望むものが多い.
    7) 勤勉ということについては多くのものが判断に迷っている.
    8) 余暇の意味については, かなり明確な認識をもっているが, その活用についてはやや消極的である.
    9) 人びとの余暇の過ごし方に対する評価は多くのものが明白な答えを出しているが, 判定しかねているものもかなり多い.
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