家政学雑誌
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30 巻, 5 号
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  • -マヨネーズソースの作製について-
    木村 友子, 小川 安子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 403-409
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    一般に手作りでマヨネーズソースを作製するには, 調理操作上, 一時的に労働が強く, しかも製作したマヨネーズの乳化の状態が分離しやすいので, 本報では標準配合を行ったマヨネーズソース原料混合物に対して, 超音波照射を行って作製したマヨネーズソースについて, 硬さ・粘稠度・酸価を測定し, 同時に, 顕微鏡観察を行い, その安定体について検討した.
    実験の結果, 超音波照射によりマヨネーズソースを作る場合, 油層が浮上する傾向を防ぐため, 同時にガラス棒による 1 分間に 60 回の補助的に手動攪拌を行うのみで十分であるが, 対照の手動攪拌でガラス棒またはステンレス製泡立器を使用する場合には, 毎分 180 回攪拌が必要で, この点, 超音波照射は, 若干, 有利であり, 動作上, 速かに, かなり安定にマヨネーズソースを作製することが可能であることがわかった。このさい, 連続的に超音波照射を行うより, むしろ断続的照射を行うことが望ましい.また, 卵黄は鮮度が高いほど, 乳化しやすく, また食塩と食酢などの添加量の相異により作成されたマヨネーズソースの物理的性質に若干の影響が認められた.そして, 超音波照射によって, とくに油脂の酸化が促進されることは, ほとんど認められなかった.またこのように超音波照射により作製したマヨネーズソースは, 泡立器などで作成した通常家庭で作るマヨネーズソースに比べ, 舌ざわりが非常に滑かで美味しく感じられた.
  • 福場 博保, 津田 淑江
    1979 年 30 巻 5 号 p. 410-416
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    標準化合物を細管式等速電気泳動装置によって泳動した結果, リーディング電解溶液 : 0.01 N 塩酸-β-アラニン (pH 3.6), ターミナル電解溶液 : 0.01 N カプロン酸, 定電流 50 μAで ATP, ADP, AMP, IMP を分離定性することができ, また定量性も認めることができた. HxR, Hx はリーディング電解溶液 : 0.01 N 塩酸-トリス (pH9.7), ターミナル電解溶液 : 0.01 N-β-アラニンー水酸化バリウム (pH 10.0), 定電流 50 μAで分離定性ができ, 定量性も確認できた.また室温放置冷蔵庫保存, 冷凍庫保存のコイ背肉中の核酸関連化合物の貯蔵による変化の違いを同法による K 値判定で行った結果, K 値の上昇は室温放置で顕著に認められ, 冷蔵庫保存, 冷凍庫保存の順に K 値の上昇が低くなった.
  • 丸山 悦子, 富岡 ゆう子, 中川 幸江, 梶田 武俊, 長谷川 千鶴
    1979 年 30 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    N 社 SR-2100 型電子ジャー電気炊飯器を用いて炊飯し, 24 時間保温した場合の保温中の米飯の物理化学的性質の変化について検討するとともに, 官能検査を行った.
    1) 保温中における米飯の体積はほぼ一定であったが, 水分含有率, 重量には減少がみられ, これらの変化は炊き上がり表面の米飯において顕著であった.
    2) 還元糖量は保温 10 時間までに顕著に減少したが, 消化率の変化は緩慢であり, 14 時間以後急速に減少した.
    3) 官能検査の結果をあわせ考えると, 電子ジャーに継続して 10 時間以上保温することはのぞましくないと考えられる.
  • 杉原 利治
    1979 年 30 巻 5 号 p. 423-428
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    界面活性剤存在下において, 卵アルブミンの溶解度を水中, pH7.4リン酸緩衝液中で測定し, 界面活性剤の種類, 界面活性剤量, 卵アルブミンの空間構造の変化等の面から蛋白質の可溶化に対し検討を加え, 以下の結論が得られた.使用した界面活性剤は, ドデシル硫酸ナトリウム (SDS), ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS), ラウリン酸ナトリウム (SL), ヘキサデシルトリメチルアンモニウムプロミド (CTAB), ポリオキシエチレングリコールノニルフェニルエーテル (PNE) である.
    1) いずれの界面活性剤も, 水中, リン酸緩衝液中で卵アルブミンの溶解度を増加させた.界面活性剤の蛋白質可溶化力は, 水中でPNE>LAS>SDS>CTAB, リン酸緩衝液中でPNE>SL, LAS>CTAB, SDSの順であった.両液中の溶解挙動は大筋で類似していたが, 可溶化量は全般にリン酸緩衝液中の方が大きかった.
    2) 卵アルブミンの可溶化では, 油脂類の可溶化にみられるような可溶化量のcmc依存性を示さず, 蛋白質の可溶化機構が油脂類とは異なっていることが示唆された。そして, 従来提出されてきたミセル状界面活性剤による可溶化の可能性はきわめて小さいことが示された.
    3) 界面活性剤は卵アルブミンの空間構造を変化させうるが, その構造変化と可溶化量との問には相関関係がなかった.構造変化をほとんどもたらさない温和なPNE, SLが大きな可溶化能力を示した.
  • 加熱によるわかめ藻体組織およびアルギン酸の理化学的変化
    佐藤 孜郎, 佐藤 邦子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 429-433
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    長時間の加熱に伴うわかめ藻体のアルギン酸の含量, ならびに, 状態の変化, および, 藻体組織の変化を検討した.その結果は以下のとおりである.
    1) 煮熟に伴い藻体中のアルギン酸は煮熟液中に溶出し, 100℃, 60分間煮熟した場合の溶出量は約35%であった.
    2) Haugらの方法によりアルギン酸を分画した結果, 煮熟液中に溶出したアルギン酸では, Ca2+とMg2+の共存下での可溶性成分が大部分で, また, 藻体中に残存するアルギン酸は沈でん部分が多かった.
    3) 煮熟した藻体の組織観察の結果, 表面組織の変化は少なく, 内部組織の崩壊がきわめて著しかった.
    4) アルギン酸ナトリウム溶液について, 加熱前後のゲルろ過溶出パターン, 沈降定数, および, 分子の平均直径を検討した結果, これらはいずれも, 加熱に伴いアルギン酸の分子サイズが縮小することを示した.また, 形状指数から, 加熱に伴い分子鎖の屈曲の度合いが強くなることが推測された.
  • 桑畑 美沙子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 434-440
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    うすくず汁, うすくずあん, 溜菜程度のでん粉濃度の馬鈴薯でん粉糊状液を用いて, 女子学生の粘性に対する相対弁別閾を二点識別試験法で求めるとともに, 糊状液の流動特性をB型粘度型で測定し,.次の結果を得た.
    1) 1~6%の濃度の馬鈴薯でん粉糊状液の流動特性として, 降伏値Pyは1.69~1.34×102dyn/cm2, 1sec-1におけるみかけの粘性率η1は3.84×102~2.79×104cp, ずり速度流動性を示す係数nは0.60~0.68であった.この結果, でん粉糊状液は降伏値をもち, ずり速度流動化流動を示す非ニュートン流体であることが認められた.
    2) でん粉糊状液のみかけの粘性率とでん粉濃度との間には両対数グラフ上で直線関係が得られた.
    3) 女子学生の粘稠性食品を口にふくんだときの粘度の相対弁別閾は, うすくず汁 (60rpmにおけるみかけの粘性率η60約108cp) の場合ほぼ13%, うすくずあん (η60約1,450cp) および溜菜 (η60約4,480cp) の場合ほぼ6.5%程度であることが認められた.この結果, 粘度の相対弁別閾は, 粘性が異なれば変化し, 弁別しやすい粘性領域 (1.45×103~4.5×103cp) が存在することが示された.
  • -小麦粉蛋白質の加熱による変化-
    畑江 敬子, 島田 淳子, 吉松 藤子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 441-445
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ホワイトルウ (130℃), ブラウンルウ (180℃) を調製してブールマユエ (未加熱) と小麦粉の蛋白質の変化を調べた.ルウのような加熱条件でも蛋白質は変性を起こしていることが, 溶媒に対する溶解度, ゲル濾過, SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動パターン, アミノ酸分析によって確められた.'この変化は130℃では比較的弱く, '小麦粉蛋白質のうちアルブミン・グロブリン区, グリアジン区にみられ, 180℃まで加熱するとことに顕著にみられグルテニン区にも大きな変化がみられた.
    そしてこれらの変化がホワイトルウ, ブラウンルウなどの風味に何らかの影響を与えていると思われる.
  • -被服材料を異にしたスラックスの布の変形-
    伊藤 紀子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 446-451
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    In the previous paper, the authors have studied the slacks ease and the fabric deformation under wearing condition.
    The pourpose in this paper is to investigate the fabric deformation of the slacks which are made with different materials and have various ease. These clothing materials are two woven fabrics and a knitted fabric. The determination of the slacks ease bases on the ease at the knee and hem part of slacks.
    The garment deformation are measured in wearing condition for each slacks, in the same manner of the previous paper.
    On the other hand, the tensile property, the shearing property and the frictional property are measured as the physical characteristics of the fabric and are compared with the fabric deformation in wearing.
    The work has yielded the following results. On the woven fabric slacks, the fabric deformation follows the dynamic skin deformation by the shearing deformation rather than the tensile deformation of the fabric. This shearing deformation depends upon anisotropic mechanical property of the fabric. On the knitted fabric slacks, it has depended upon the tensile deformation. However, with decreasing the quantity of the slacks ease the knitted fabric deformation becomes similar to the woven fabric.
  • -婦人服について-
    原田 隆子, 吉沢 厚子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 452-456
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    同一パターンを用いて製作した衣服の素材によるゆとり感のちがいについて, 4種の素材を用いて着用実験により官能量をとらえ, 次いでその結果と素材の物理的性質との関係をとらえた.
    1) 一対比較による着用実験結果について分散分析をした結果, いずれの部位・姿勢においても主効果すなわち素材のちがいが着心地に与える影響に1%水準で有意性がみられ, 同一パターンで製作した衣服でも, 素材により着心地に差のあることがみとめられた.
    2) 6項目の物理量は, 厚さや糸密度よりも着心地に影響を与えることが推察される.ただし, 布のたて方向の伸長特性値はあまり関与しないと思われる.
  • 衣服圧に影響を及ぼす諸因子
    渡辺 ミチ, 田村 照子, 岩崎 房子, 嶋根 歌子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 457-462
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ストレッチ性被服設計のさいの基礎資料を得るために, 布の伸長率あるいは張力と衣服圧との関係を上腕部・大腿部 (被検者各20名) において調べ, 比較検討した結果を要約すると次のとおりである.
    1) 緊迫布の伸長率と衣服圧との間には, 上腕部・大腿部ともに各試料それぞれ高い相関γ=0.91~0.97が認められ, その勾配は, 一定伸長時引張り強度が大きいほど大きい.
    2) 上腕部と大腿部における衣服圧の現れ方を比較すると, 同一張力を有する緊迫布を用いた場合, 曲率の小さい上腕部の方が高く現れる.
    3) 布張力と上腕部および大腿部の曲率半径とから求めた推定垂直圧力と衣服圧との関係は, 伸長率との関係に比べて試料間の差は減少し, 上腕部・大腿部における各試料を総合するとY=0.579X+2.085 (γ=0.94) の関係式が成り立つ.
  • トリアジニルスチルベン系FBA配合モデル洗剤およびビススチルベン系FBA配合モデル洗剤による検討
    上野 裕子, 林 雅子, 矢部 章彦
    1979 年 30 巻 5 号 p. 463-468
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Cotton fabrics (whitened and unwhitened with FBA) were washed under various conditions, by model detergent solutions from a viewpoint of the prevention of environmental contamination. The amount of FBA in residual solutions were determined by the cellulose powder method and others.
    Following results were obtained.
    1. When washing unwhitened fabrics, the amount of FBA in the residual solutions decreased at higher temperature and in longer time of washing. Under household conditions, effution of 75 to 80% of FBA-1, 40 to 50% of FBA-2 and 30 to 60% of FBA-3 were observed.
    2. When FBA-whitened fabrics were washed, the influence of the temperature and rinse on effution ratio were remarkable.
    3. Total effect between FBA-1 and FBA-2, 3 were appreciable.
    4. When the FBA-whitened fabrics were washed repeatedly, the FBA in detergent fairly suppress the desorption of FBA on fabrics and which slightly depress the decrease of the surface reflectance of the fabrics.
  • 包丁の刃先の寿命について
    岡村 〓か子, 竹中 はる子
    1979 年 30 巻 5 号 p. 469-475
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    以上のことから得られた結果を実際に応用すると,
    1) 包丁の刃先の摩耗, 欠損は切られる材料の性状によるが, 切り下ろしたときの接触の影響による損傷が大きい, 刃先の減少の状態は, 図8により算出すれば, 今回の実験では, 試料切削と, 切り下ろしたときの接触による影響の割合は, ほぼ, 1 : 2の損傷であると思われたので, 野菜を小口切にする場合, 包丁をまな板に接触させない切削法の方が, 刃先の寿命を長くすることができる.
    2) まな板を用いた普通の切削では, 包丁の刃先は, 初期の切削において, 刃先の摩耗欠損が大きい.このことは, 当然のことながら, 包丁の刃先が鋭角で, 刃厚の薄いところを用いるためであるからといえる.
    3) 初期の摩耗, 欠損が過ぎると, 刃先の摩耗, 欠損はゆるやかに進行するが, 刃厚を増すので, 切削抵抗も増し, 切削速度は鈍くなる.
    4) 今回実験した菜切包丁の垂直圧し切りの場合は, 切削回数約4,000回程度で切削速度が落ちた.
    4,000回の切削というと, 胡瓜の場合で約20本の薄打ちとなる.包丁の運動方向や, 食品の硬さ, 切削回数などにより異なるが, 菜切包丁では, 普通の家庭で4~5日の使用に該当すると思われる.したがって, 鋭利な刃先の包丁を使用するなら, 少なくとも, 4~5日に1回研いで用いる方がよいと思う.
    5) 刃先の摩耗, 欠損は桧のまな板とプラスチックのまな板では, プラスチックのまな板を使用した方が少ない.
    以上のことが明らかになったが, 今後は, 摩耗欠損の両者をわけて検討する予定である.
  • 橋谷 淳子, 笠井 澄恵
    1979 年 30 巻 5 号 p. 476-486
    発行日: 1979/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 30 巻 5 号 p. 496
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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