家政学雑誌
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30 巻, 9 号
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  • バターケーキの物性について
    高橋 節子, 大家 千恵子, 大塚 育
    1979 年 30 巻 9 号 p. 743-749
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    脱塩率の異なる脱脂粉乳およびホエー粉末をバターケーキに添加し, 脱塩率の差や添加量がパターケーキの品質に及ぼす影響を, 膨化率, 硬さ, 官能検査により検討した.その結果次のことが明らかとなった.
    1. 脱脂粉乳添加により
    1) 膨化率は無添加より1~24%大となり, とくに 6%添加が膨化がよい.また脱塩率20%の脱脂粉乳が膨化は大であった.
    2) バターケーキの硬さは12.9~18.3を示し, 添加量や脱塩率による差は明らかではなかった.
    3) 官能検査から脱脂粉乳添加のバターケーキは無添加よりも好まれる傾向を示し, 添加量は6%添加がよい結果を示した.また未脱塩の脱脂粉乳よりも, 脱塩した脱脂粉乳添加がより好まれる傾向を示した.
    2. ホエー粉末添加により
    1) 膨化率は, 無添加よりも添加した方が6~16% 大であり, 未脱塩よりも脱塩率50%のホエー粉末添加が膨化はよい.
    2) 官能検査の結果から, ホエー粉末を添加したパターケーキは, 無添加よりも好まれる傾向を示した. しかし脱塩の有無や添加量による差は明らかではなかった.
  • ファリノグラムについて
    高橋 節子, 大塚 育, 大家 千恵子
    1979 年 30 巻 9 号 p. 750-757
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    脱塩脱脂粉乳および脱塩ホエー粉末を添加したクッキーの性状に及ぼす影響を, 物性面と官能検査により検討し, さらに小麦粉ドウの物性に及ぼす添加物の影響を, ファリノグラフにより測定し, 次のことが明らかとなった.
    1) クッキーの膨化率は脱脂粉乳またはホエー粉末添加により, 無添加よりも大なる値を示した.また脱塩しないほうが膨化は大であった.
    もろさは無添加がすぐれ, この結果はショートメーター, 官能検査ともによい一致を示した.
    2) ファリノグラムに及ぼす影響
    i) 脱脂粉乳添加については添加量が多くなるほど, 吸水率は減少し, 生地形成時間は長くなり, バロリメーター値は大となる.30%添加では, 生地形成時間が著しく長くなり, 生地の弱化は大となり, ファリノグラムは特異なカーブを描いた.
    ii) ホエー粉末添加は脱脂粉乳添加に比べて小麦粉ドウに及ぼす影響は僅少であったが, 30%添加においては最高粘度に達したのちの粘度低下は認められず, 安定性の大なる生地となった.
    iii) 脱塩率の影響は, 脱脂粉乳は脱塩率が高くなるほど, 生地形成時間は短縮される.ホエー粉末の脱塩の影響は粉乳に比べてわずかであった.
    iv) 薄力粉に脱脂粉乳またはホエー粉末を30%添加したとき, 特異なカーブを描くことから, 乳糖とカゼインをおのおの添加して, その影響を検討した結果, カゼインは生地形成時間を長くし, 生地の弱化を抑制すると考えられた.
    v) ファリノグラムとエクステンソグラムの関連性をみるために, 薄力粉に30%添加したドウのエクステンソグラムから, 脱脂粉乳30%添加したドウは, 無添加ドウに比べ腰の強い, 伸びやすい生地となり, ホエー粉末添加は伸張抵抗は大となるが伸びにくいことを示した.
  • 斉藤 好枝, 森 治夫
    1979 年 30 巻 9 号 p. 758-761
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    食事時間帯の無作為調査 (延人数848名) の結果, 不規劉なおそすぎる食事や, 欠食や夜食をとるもののなかに情緒不安定者が見られ, 現代社会に起こりつつある, 文明病や半健康者を作る一つの要因が認められた.この結果を, ウィスター系白ネズミの飼育実験によって解明への一路を試みた.すなわち, 夜行性のネズミに昼間2回の制限食を与え, 対照群と比較考察し, 体重の変動, 行動の落ち着きのなさ, 外観の劣悪などに人間にとっては情緒不安定に相当する要因が見られ, また, 剖検時の肝・腎の発育がおくれ, 脾臓の肥大も見られ, 尿中のカルシウムや窒素の排泄が対照群に比して有意差をもって多く, 飼料効率も劣っていたことなどから, 不規則な食事が生体に与えるストレスと, それによる内分泌腺の変調などが必ずしも十分なデーターとはいえないが, 本実験の条件においては推測され, 成長期の子供たちへの食事指導の新たな課題が提供された.すなわち, 何を食べるかに尽きることなく, いつ, どのようにして食べるかを考慮しない限り, 健全な食生活は望まれないであろうということである.今後なお, 残された要因について検討したいと思う.
  • 浦上 智子, 和辻 敏子, 富安 郁子
    1979 年 30 巻 9 号 p. 762-769
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    加熱油の変質程度を知るのに一般に用いられている生油の評価方法が適当かどうかをリパーゼ活性と合わせて検討した.試料油は家庭での使用条件にあわせて, A : 断続加熱した油 (大豆油と大豆油にFe3+, BHA, BHA +Fe3+を添加した油を脱脂綿を用いて水添加しながら180℃で30時間まで断続的に加熱した), B : 加熱後一定温度で貯蔵した油 (一定の水分量のドウを180℃で1, 2, 3時間加熱して後, 5℃, 25℃で貯蔵した大豆油) を用いた.測定項目および結果は以下のとおりである.
    Aの油 : POV, AV, TBA値, COV, 233nm における吸収, 屈折率, リパーゼ活性について検討したところ, 233nmにおける紫外吸収と屈折率は加熱時間とともに増加の傾向を示した.両者の相関係数をもとめたところR=0.62が得られた.リパーゼ活性は加熱時間が増加するにつれて減少の傾向を示したが, 試料の乳化状態についてはさらに検討を要する.その他の測定項目については今回の条件下では評価方法として適切でないことがわかった.またFe3+を添加した系ではBHAを添加してもその酸化促進を阻害できなかった.
    クルトンを用いた官能検査では, 25時間加熱油で「 油くさい」, 「揚がり方」で1%, 味で01% 危険率で有意差がみられた.このときの他の測定値はAV 1.35, COV 320meq/kg, 233nm 吸光値E1%1cm28.0, nD 1.478, 酵素活性減少率80%であった.
    Bの油 : AV, TBA値, 233nmにおける紫外吸収について検討した.TBA値, 233nmの吸収はいずれの加熱時間, 貯蔵温度でも増減を示し, 揚げ油の貯蔵中の変敗測定に不適当であった.AVは低温貯蔵の場合のほうが値が大きくなり, フライ条件, 貯蔵条件により影響をうけるようである.
  • みそおよびその水不溶性成分と香気化合物との相互作用
    本間 伸夫, 佐藤 恵美子, 渋谷 歌子, 石原 和夫
    1979 年 30 巻 9 号 p. 770-774
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    水の中に懸濁させた食品ホモジネート, 溶解させた揮発性化合物にみそまたはその水不溶性成分を加えることによって起こるヘッドガス中の揮発性化合物量の変化をガスクロマトで分析することによってみそとその水不溶性成分の香気化合物吸着性を検討し, 並行して香気の変化を官能検査により求め次の結果を得た.
    1) 食品によって吸着率を異にするが, みその添加に食品の香気量を減少させ, 官能的にもその違いが明らかであった.この作用は沈殿が上清よりも著しかった.
    2) みそを水洗, 遠心分離を7~8回繰り返して得られる水不溶性成分はほとんど無臭の帯黄白色であり, 顕著な香気吸着性を有しており, 明らかに食品香気を減少させる.
    3) 不溶性成分濃度の増加とともに吸着率は増加するが, 揮発性化合物濃度の増加とともに吸着率は減少した.吸着が平衡に達するには30℃で20時間以上を必要とした.
    4) 各種揮発性化合物の不溶性成分による吸着のされ方は化合物の種類, 同一化合物シリーズでは炭素数によってかなりの変化が認められた.
  • みそ水溶性成分の化学的組成と香気吸着性
    佐藤 恵美子, 本間 伸夫, 渋谷 歌子, 石原 和夫
    1979 年 30 巻 9 号 p. 775-779
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    香気吸着性を有し, 帯黄白色でほぼ無臭の米みそ水不溶性成分 (凍結乾燥物) の組成を分析した.タンパク質31.7%, 脂質30.7%, 炭水化物27.9%で, この三者が大部分を占め, その他灰分0.8%, 水分8, 9%であった.タンパク質は原料みそからの回収率が36.0%であり, 不溶成分のタンパク質の45%が希水酸化ナトリウム可溶性であり, 49%が不溶性であった.脂質の回収率が77. 4 %で, 不溶成分の脂質の65%トリグリセリド, その他遊離脂肪酸, 脂肪酸エステルを量的に多く含んでいた.炭水化物のほぼ半量がセルロースであり, その回収率は90. 0%と高く著しく濃縮されている.糖質の回収率は14. 4 %と低く, みその糖質の大部分が単糖類であるため溶解除去され, 不溶成分中ではヘミセルロースが主体を占めている.
  • 発酵パンにおける前発酵生地冷蔵のさいの膨化低下について
    庄司 一郎, 倉沢 文夫
    1979 年 30 巻 9 号 p. 780-785
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    発酵パンの生地冷蔵の製造にさいし, 前発酵生地パンの品質 (ふくらみ) を低下させる原因について検討し, つぎの結果を得た.
    1) パン生地を混合し冷蔵貯蔵した場合, 未発酵生地および前発酵生地の状態で冷蔵貯蔵したところ, 両者とも冷蔵処理 (生地品温が5℃になるまで, 5時間冷蔵) そのものでは酵母の発酵能の低下は認められず, むしろ冷蔵貯蔵中に障害が発生しているものと推定された.
    2) 前発酵生地は冷蔵貯蔵1日の場合は前発酵時間の増大に伴って発酵能が低下するが, 冷蔵貯蔵7日の場合は前発酵時間に関係なく発酵能はほとんど失われていた.
    3) 前発酵生地の冷蔵貯蔵1日の場合は非冷蔵生地よりアルコール量が若干多く, アルコールの多い生地はふくらみが少ない傾向がみられ, 発酵生産物が生地の物性にある程度影響をおよぼし, ふくらみが低下したと考えられる.一方発酵能が極端に低下した冷蔵貯蔵7日ではアルコールはほんのわずかしか含まれておらず, 冷蔵貯蔵1日とは逆の現象を示した.これは冷蔵期間中に生地中に含まれていたアルコールが飛散したためとも推察されるので, 今後はアルコールの消長と生地膨化との関係を物性 (アミログラフ) 等で検討し, 明らかにしたい.
  • 大林 育子, 安藤 洋子, 林 雅子, 矢部 章彦
    1979 年 30 巻 9 号 p. 786-793
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Dyeing behavior of three FBAs which have different water solubility, has been compared in water/PCE and water system. The FBAs are the triazinyl stilbene series of direct dye type which have different substituent groups. Purified cellophane sheetswere dyed at different dye conc., temp. and water/PCE ratios.
    From the water/PCE dyebath containing the same amount of FBA on the weight of fiber, the exhaustion of FBA increased as the content of water in the system decreased. FBA exhaustion from water 5%/PCE 95% (v/v) dyebath was several times higher than that from 100% aqueous solution system. Fluorescence characteristics (fluorescence intensity and quenching concentration) of the films dyed from water/PCE dyebath is identical with that from water dyebath, when the same amount of FBA was absorbed on the film.
    In conclusion, it is obvious that by controlling the water/PCE ratio, much higher degree of dye pick up and fluorescent brightening effect was obtained from water/PCE dyebath than 100% aqueous system.
  • Mg イオンの洗浄力に果たす役割の界面化学的推論
    渡辺 紀子, 矢部 章彦
    1979 年 30 巻 9 号 p. 794-799
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    海水中に過剰に存在している NaCl, MgCl2を界面活性剤 NaDS, Mg (DS) 2水溶液に添加し, その塩効果を, 表面張力, cmc, 吸着量, 可溶化力等の測定値とあわせ検討した.
    NaDS, Mg (DS) 2両界面活性剤水溶液において, MgCl2添加のほうが, NaClに比し表面張力の低下を増大し, cmcの低下も大であった.また, 界面活性剤の羊毛繊維への吸着量においても同傾向であった.
    可溶化増大の効果も MgCl2添加がはるかに有利であった.ただし, 乳化力については, 塩効果は認められたが, NaCl のほうが MgCl2より寄与の効果が大であった.以上の諸成績を総合すると, Mg2+は Na+以上に, 表面張力とcmcの低下, 吸着量と可溶化の増大に寄与し, これらのおのおのの作用が総合されて, 洗浄力増加に寄与していることが推定された.
  • 神田 和子, 本田 雪子, 木下 陸肥路
    1979 年 30 巻 9 号 p. 800-806
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    A quantity of a margin of an eritsuke in a front bodice changes with the movement of the okumisaki. In case of a large margin a technique of managing the margin becomes a subject of discussion. The relation between the position of the okumisaki and the manageability of the margin is described in this paper. The results are as follows :
    (1) A range in which the okumisaki was able to move was defined on the condition that a measure of the okumisaki was fixed. An equation between the position of the okumisaki and the quantity of the margin was obtained.
    (2) The two manageability indices on a drawing were defined; one was defined as the change of the length of a perpendicular on a selvage from the okumisaki before and after the margin was managed, the other was as the turning angle of the perpendicular with managing the margin.
    (3) The relations between the tensile and shear characteristics and the manageability of the four different fabrics which were used for a kimono were discussed. The correlation between the manageability and a Young's modulus in the bias direction was the maximum, and the shear rigidity at the low curvature was the largest next to it.
  • 水銀-溶液界面における界面活性剤の吸着
    渡辺 昌, 田川 美恵子, 岡村 好美
    1979 年 30 巻 9 号 p. 807-811
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    界面活性剤の吸着現象に関する基本的な情報を得る目的で水銀-界面活性剤溶液界面における微分容量を測定し, 吸着層構造を検討した.
    微分容量Cと分極電圧Eの関係を示す曲線は理論から予想される形を与え, 動的ピークの高さは界面活性剤濃度と拡散係数依存性を示し, Lorenz-Möckel 理論に従うことが証明された.
    零分極領域における極小微分容量Cmは界面活性剤濃度が増加するにつれて低下し, ある濃度以上で一定値Cmに達した.Cmはπ電子を有するピリジン環やベンゼン環をもつ界面活性剤では小さい.Cmを用いて算出した吸着層の平均の厚さdは界面活性剤の疎水基が長くなると大きくなる傾向が認められた.
  • 阿部 久美子, 加藤 三千夫
    1979 年 30 巻 9 号 p. 812-816
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Various kinds of the towel cloth have been in many fields related to textile, and this property is expected to be influenced by related washing.
    Therefore, the relation between the absorption efficiency and the number of wash of these cloths is investigated in this paper, and the changes of the other physical properties of these cloths with the number of wash are also discussed.
    For this purpose, we prepared five kinds of samples : these samples were subjected to different kinds of experimntal treatments. These samples were repeatedly washed to the arbitrary times, and then the physical properties such as highness of absorption, velocity of absorption, absorption percentage, tensile strength, rigidity, thickness and weight of these samples were measured by using the conventional method.
    Experimental results
    (1) The absorption efficiency is remarkably increased with an increase of the washing times, and reaches high value within the range of 10 to 20 times of wash, ane then decreases.
    (2) The best condition of the fitness for human body were thought when the washing times are range of 10 to 20, and the apparent density within the range of 0.14 to 0.17.
    (3) For retaining the best apparent density 0. 140. 17, we must to prevent the slip out of the short length fibers in the towels.
  • 中島 謙一, 中川 汀子, 江良 至徳
    1979 年 30 巻 9 号 p. 817-820
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    佐賀市内で市販されている柑橘類中のOPP残存量をガスクロマトグラフィーにより分析したところ, レモン, グレープフルーツ, オレンジ, 八朔からそれぞれ最高9.63ppm, 0.45ppm, 0.22ppm, 005ppmのOPPが検出された.さらに, これら柑橘類の罐入りジュースについても同様の分析を行ったが, OPPはまったく検出されなかった.また, 厚生省通達で指示されている店頭表示は, 調査対象とした8店舗のうち1店頭のみが実施しており, 他ではみられなかった.
  • 小松 かおり, 丹羽 雅子, 古里 孝吉
    1979 年 30 巻 9 号 p. 821-826
    発行日: 1979/10/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 30 巻 9 号 p. 827
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 30 巻 9 号 p. e1
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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