家政学雑誌
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31 巻, 2 号
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  • 南方録
    福崎 春子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    What opinion had Mr. Sennorikyu, who is said to have perfected the Japanese tea-ceremony, on the meals served in the tea-ceremony and what kinds of food were taken at the beginning of the tea-ceremony history? These problems were studied by investigating the secret tea-ceremony classics, Nanboroku.
    Nanboroku was written by Mr. Nanbo-Sokei who was the ablest pupil of Mr. Sennorikyu and is said to be completed in 1593. It is composed of seven volumes of which the first six volumes were revised by Mr. Sennorikyu.
    According to the volume No. 1, Sennorikyu's opinion is interpreted as follows : The meal of the tea-ceremony is to be given not the extent of starvation, but in conformity with the manner of daily life in the Zen (Buddhism) temple. It means not the plain foods, but it is to be served by understanding taste for the simple and quiet, i.e. Wabi and Sabi traditionally known in Japan.
    Also, the meals of forty-seven times served in the tea-ceremonies given by Mr. Sennorikyu in a certain year between 1582-1588, which are recorded in the volume No. 2, were studied, and classified according to the kind and frequency of the menu and foods. Therefrom the origin of the meals of tea-ceremony in the present age was clarified.
  • 調理食品の嗜好調査とその統計的分析
    松下 幸子, 寺尾 京子, 石間 紀男
    1980 年 31 巻 2 号 p. 75-83
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 児童, 青年, 中年, 老年の年齢階層別の320名を調査対象として, 71品目の調理食品について嗜好調査を行った.調査には嗜好尺度による調査用紙を使用した.
    2) 嗜好調査の結果, 嗜好度の高かったものは, 児童では, 焼きそば, ホットドッグ, コロッケ, コーンスープ, 肉まんじゅう, ホットケーキ.青年ではすきやき, 野菜サラダ, シュークリーム, わかめのみそ汁, 白菜の漬け物.中年ではすきやき, 茶わん蒸し, 雑煮, わかめのみそ汁.老年ではひじきと油揚げの煮つけ, わかめのみそ汁, 白菜の漬け物, 赤飯などであった.
    3) 嗜好調査の結果について主成分分析を行ったが, 調理食品に対する嗜好には, 年齢階層別に明らかな区別があることが認められ, 主成分軸の上で児童から老年の方向へ, 嗜好が系統的に変化していくことが見られた.
    4) 主成分軸の意味づけを行うために, 第1主成分軸と第2主成分軸をそれぞれ64°直交回転した結果, 第 1主成分は児童の嗜好を意味し, 第2主成分は老人の嗜好を意味することが明らかになった.
    5) 嗜好調査の結果について, ミニマムスパンニングトリー法によりクラスター分析を行った結果, 71品目の調理食品は, 嗜好性によって6群に分類することができた.第1群はビーフシチュー, ハンバーグステーキなどの肉類を材料とするもの.第2群はコロッケ, カレーライスなどの児童の好む食品.第3群はシュークリーム, チョコレートなどのおやつ類.第4群はこぶまき, ひじきと油揚げの煮つけなどの伝統的和風そう菜類.第5群は赤飯, 雑煮などの和風料理.第6群はきゅうりのピクルス, ふろふき大根など日常の食生活では使用頻度の低いものである.その他にうなぎの蒲焼き, マーボー豆腐, 五目とり飯のように, 他の食品の嗜好に左右されずに嗜好がきまる食品がいくつか見られた.
  • 安達 町子, 岡 和子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    いかの塩辛で, 墨を添加して作る黒作りでは, 熟成初期にV.B2が著しく減少する.墨のV.B2減少作用の解明を目的に, 墨の成分分析, 金属の定量を行ない, 比較的含量の高かった金属のV.B2に及ぼす影響および, 蛋白質の分離を試み次の結果が得られた.
    1) Cu2+, Mg2+ ともにV.B2に何ら影響を示さなかった.
    2) 墨蛋白質を分離し, Cu, Mgの分布をしらべたところCUを含むヘモシアニン様の蛋白質の存在が確認された.
    3) 結晶ヘモシアニンをV. B2に作用させたところ, 墨同様V.B2を著しく減少させた.したがって墨の V. B2減少作用はヘモシアニン様蛋白質によるものではないかと推定される.
  • 畑江 敬子, 佐藤 辰江, 吉松 藤子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 88-93
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ○茶煎汁で魚の骨を加熱すると官能検査の結果, 水煮より有意に骨が軟らかくなった.
    ○茶煎汁で加熱した魚の骨をミキサーで粉砕すると水煮より残存率が少なかった.また茶煎汁から分離したエステル型カテキン水溶液で魚の骨を加熱し, テクスチュロメーターで測定すると水煮より硬度は大であるが凝集性は小さく, 骨は硬いが砕けやすい状態になっていることが考えられた.
    ○茶煎汁であじ肉を加熱すると, 官能テストの結果有意に水煮よりなまぐさいにおいが弱かった.
    ○茶煎汁で加熱したあじ肉のヘッドスペースのGC によりアミン類が減少していた.そこでエステル型カテキン水溶液とi-アミルアミン, i-プロピルアミン, トリメチルアミン希薄水溶液を加熱すると, アミン類の減少することがGCで認められた.
    ○エステル型カテキン水溶液と上記アミンを混合すると着色がみられ, 加熱すると赤福色から赤ワインのような色になった.
  • 身体計測値の変化
    田村 照子, 中原 五十鈴, 岸本 やよい, 山口 幸子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 94-100
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    妊婦の体型の変化を把握することを目的として追跡的身体計測並びにシルエッター撮影を実施した.被検者6名, 計測項目は長径, 周径, 幅径, その他の計47項目, 日時は昭和46年5月~昭和52年8月のうち被検者の最終月経より起算した12, 16, 20, 24, 28, 32, 36週目である.おもな結果は次のとおりである.
    1) 長径項目では, 前胴高, 腹高, 股上前後長が週を追って増加を, 前中心丈, 前丈が減少を示し, 胴囲線が著しく前上がりとなることが明らかとなった.
    2) 周径項目では, 胸囲, 胴囲, 腹囲, 腰囲が有意な増加を, またその他のほとんどの周径項目も増加傾向を示した.
    3) 幅径項目では, 胸部横径, 腰部横径, 胴部矢状径, 腹部矢状径, 腰部矢状径, 腸棘幅が有意な増加を示し, その結果躯幹部水平断面は, 胸部ではやや扁平化, 胴部, 腹部ではほぼ円形に近づき, 腰部ではその中間型を示した.
    4) 体重, 皮下脂肪厚についてはともに有意な増加を示した.
    5) 以上有意な変化を示した項目の増加量と週数との問には, ほぼ直線的関係が認められた.
    6) 妊婦の平常時体格と妊娠による体型変化量との関係は認められなかった.
    以上の変化は, i) 胎児の成長に伴う母体の変化, ii) 肥満化, iii) 腹部負荷に対する姿勢の変化の3要因によるものでi), ii), iii), の順に強い有意性を示すものと考えられた.
  • 地域・経験・条件別にみた場合
    猪野 郁子, 岩堂 美智子, 吉田 洋子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    乳幼児の集団保育のあり方を考える一つの基礎的資料を得るために, 大阪・島根両地区の保育所保母を対象にアンケート調査を実施したところ, 次のような結果がえられた.
    1) 乳幼児をもつ母親の就労について, 大阪は就労を認める意見が多く, 母親は家庭にとする島根との間に有意な差異がみられた.また, 学生との間にも有意な差がみられた.
    2) 働く母親のための社会制度として, 育児休職制度の拡大を望む者が8割みられた.産休の延長, 保育所の充実と労働時間の短縮の2項には半数以上の者が賛成し, とくに後者では学生との間に有意の差がみられた.
    3) 保育に対する男女の役割について, 男性保育者の必要性を認める者はいずれの群にも多かった.
    4) 0歳児の集団保育について, 大阪は集団保育の意義を認める者が多いのに対し, 島根はごく少数であり, 明らかな差異がみられた.
    5) 現行保育所には, 「労働時間」「保育施設・環境」の点で問題が多いとする者が両地区の保母に多い.それについで, 大阪では「保育内容」島根では「受けもつ幼児数」であった.
    6) 経験群と継続群は, 母親の就労を積極的に支持し, そのために, 保育所の充実と労働時間の短縮を望んでいた.
    7) 継続群と有職群には, 0歳児保育の意義を認める者が多かった.
    8) 経験群や良条件群では, 施設や保育条件よりも「保育内容」や「人間関係」を問題にしていた.
    母親の就労いかんにかかわらず保育所のもつ役割は, 今後ますます重大になると考えられる.われわれは「保育所」の諸条件の改善をはかるとともに, 集団保育のあり方とは何か, を論じる必要があることを, 今回の結果をみて改めて痛感する次第である.
  • 家事合理化との関連
    中島 喜代子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    Working housewives have some difficulties in her family life compared with housewives who don't work outside of the home. Because of her limited time at home, the working housewife has to be more efficient in her housework in order to reduce her lord. Therefore the living space has to be studied to rationalize her housework.
    Then the author investigates the relationship between the living space in the home and the rationalization of her housework and studies the living space that rationalizes her housework. In the first place the author classifies housework of the working wife into five types : 1) electrification, 2) ready-made articles, 3) use of private enterprises, 4) the allotment among the family, 5) the others. Next the author studies the relationship between the living space and the above five types. Some remarks are as follows.
    1. The rationalization of housework is influenced by the family's life cycle and by the type of the family, on the other hand it is influenced by the layout of the kitchen, the dining room and the living room of the home.
    2. Ih the family where rationalization in housework is already underway, a working housewife wants her present living area to be more efficient.
    3. Dining kitchen, living kitchen and new dining kitchen are better than independent kitchen for working housewife.
  • 直線裁断における呼吸・筋電図分析とその作品の評価について
    武井 洋子
    1980 年 31 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    以上の実験結果を要約すると次のとおりである.
    1) 呼吸曲線については, 熟練者特有のパターンがあり, 呼吸と動作の関連が明確であり, なみ縫いの場合と同様であった.児童の指導にあたっては呼吸のしかたと動作との関連を意識させることが望ましい.
    2) 筋電図については, 熟練者は動作が正確で早いため, それが筋放電に明確にあらわれ, 動作に不要な筋は使わず, 使用する筋の放電は小さく, 拮抗性があることである.使いやすいはさみを, 筋電位から推測することもできる.児童に対しては, 裁断に対する緊張感をとる指導が必要である.
    3) 呼吸曲線・筋電図と総合図の評価と作品の客観的な評価との間には, なみ縫いと同様, 優劣の明確なものについては一致する傾向がみられた.
  • 総論
    横山 光子, 宮崎 礼子, 伊藤 セツ, 相馬 信子, 今城 治子, 武長 脩行, 内藤 道子, 森 ます美
    1980 年 31 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    1978年4月, 東京都 (区部) 価格で, 東京都在住の世帯主年齢45歳前後の公立高校生, 公立中学生の2人の子供のいる4人世帯に標準を設定し, その家族の暮らしが, 家政学の食・住・衣など領域の立場からみて, 人並みに暮らせると考えられるものを「社会的・文化的に人間らしく営まれる生活費」と前提し, 全物量方式で算定した.この消費支出が446,302円で, これは, 同時点での人事院標準生計費 (東京, 4人世帯) 186,550円の2.4倍となるが, 東京都生計分析調査によって実態生計費と対比すれば, 世帯主現金収入7分位階層中の第7階層407,427円という生活水準にほぼ見合ったものといえよう.
  • 食料費
    横山 光子, 宮崎 礼子, 伊藤 セツ, 相馬 信子, 今城 治子, 武長 脩行, 内藤 道子, 森 ます美
    1980 年 31 巻 2 号 p. 126-128
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 人事院標準生計費の食料費マーケットバスケットを一部修正し, 18歳程度男子 (東京) の1ヵ月の食料費を求めたところ, 24,362円であった.
    2) これを標準家族の消費単位 (女子栄養大学算定) で処理すれば, 24,362円× (4.63/1.34) =84,176円となる.
    3) これに加算すべき, 酒類, 飲料, 菓子の世帯合計が9,914円であるから, 合計94,090円が得られる.
    4) 第二子昼食の給食分を22食として, それを1) で得られた24,362円をもとに {24,362円× (1.36/1.34)} × {22/ (30.4×3)} =5,965円と推定し, 3) からさし引けば, 標準世帯の1か月の食料費88,125円が出される.
  • 住居費
    横山 光子, 宮崎 礼子, 伊藤 セツ, 相馬 信子, 今城 治子, 武長 脩行, 内藤 道子, 森 ます美
    1980 年 31 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    住居費は, 家賃・地代 (実際は住宅ローン返済額を擬制したもの) 60,000円, 家具什器分23,568円計83,568円である.
  • 岡村 浩, 久保 知義, 白山 琢持
    1980 年 31 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1977年度ヨーロッパ諸国から入手した中小牛クロム甲革, 計50点を試料革とし, 化学分析値, 機械的性質および物理的性質を比較した結果, 大要次のようになる.
    1) 西ドイツのクロム甲革 (主としてボックス仕上げ) は植物タンニンあるいは合成鞍剤による再鞣処理程度が少なく, イダリアおよびフランスのクロム甲革 (アニリン仕上げ) は植物タンニンあるいは合成鞣剤による再鞣処理が十分に行われていることが認められた.シュリンク革は, 銀面の平滑なクロム甲革の化学分析値と比較して大きな差がない.スエード革は, 一般クロム甲革に比較して全油分の含有量が多く, 結合性加脂剤が多く使用されているものと考えられた.
    2) イタリア, フランス製のクロム甲革は, 1kg/mm2荷重時の伸びが大きく, 7mm高および銀面割れ時の荷重が小さい柔軟な革である.これと逆に日本製クロム甲革は, 引裂強さ, 7mm高および銀面割れ時の荷重が最高値を示し, 銀面が硬い柔軟性に乏しい傾向にあった.シュリンク革は, 銀面割れ時の高さが低く, スエード革は国別の差異は見いだされず, 一般クロム甲革に比較して機械的性質が劣っていた.
    3) 物理的性質では, 一般クロム甲革の耐水性と吸水度 (30分間) に差が見られ, とくに日本製のクロム甲革の耐水性は低かった.シュリンク革は, 一般クロム甲革に比較して, 耐水性が高く, 吸水度 (30分間) が低い値を示し, また耐屈曲性に劣る.スエード革では, 耐水性が著しく低く, 透湿性が比較的高い.
  • 1980 年 31 巻 2 号 p. 143b
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 31 巻 2 号 p. 143a
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/03/10
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