阪神都市圏の民間中高層共同住宅の建設実態をまず大阪府下についてみると以上のように要約できる.
1) 「居住用途の床面積300m
2以上かつ3階以上」の民間中高層共同住宅は昭和49年末で4,410棟119,520戸みられ, そのうち大阪市内には55%, 府下特定行政庁10市では86%が立地し, この住宅タイプが極めて人口集中エリアに立地する傾向の強いことがわかる.
2) 大阪市内での建設が時期的に早く, ついで府下周辺都市へと及び, 今後は府下各市での建設が多くなるものとみれる.昭和47・48年に建設量が急増した.
3) 一棟あたり平均27.1戸, 階数は平均3.9階で47・48年以降は高層化の傾向にある.
4) アパートの延床面積は900m
2未満が全体の60%をしめており, 小規模なものが多いといえる.しかし年年延床面積は増加傾向にあり, 容積率も増えている.建ペイ率は50~70%が多く60%台中心である.
5) この共同住宅の建築実態は所有関係によってその様相が大きく異なり, 分譲共同住宅はその面積・容積・階数・住戸数などにおいて賃貸住宅をうわまわり, 大型アパートになっている.一棟あたり平均住戸は「分譲」83戸「賃貸」20戸である.
6) 住宅ストック数でみると「分譲」と「賃貸」の比は1対2である.したがってアパート棟数でみると90%近くが「賃貸」だということになる.
7) 最近分譲共同住宅の建設は増加しており昭和48年から「分譲」の建設戸数が「賃貸」をうわまわった.
8) 「4階以下中層ならば賃貸アパート, 5階以上高層ならば分譲アパート」という判別方法は適切でない.
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