家政学雑誌
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32 巻, 8 号
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  • 河野 昭子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 577-580
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    切干し大根の保存中の着色について検討するため, 関連物質の分析をおこなった結果, 着色度は, 温度に比例して進み, 蒸したものは, 蒸さないものに比べて低く, 光の影響は, 蒸さないものだけにみられ, 光のあるほうが高くなった.メイラード反応に関与する物質のうち, 還元糖量, 遊離窒素量は, 保存中, 大きな変化を示さず, HMF量は, 着色度に対応して増加し, 3-DG量は, 着色試料に, かなりの量の存在を認めた.ポリフェノール量も, 着色度に対応して増加した.以上より, 切干し大根保存中の着色は, メイラード反応, ポリフェノール類の酸化のいずれにも由来するもので, その程度は, 保存室温, 光, 蒸し処理に影響されることを認めた.
  • 及川 桂子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 581-587
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販植物油中のToc同族体を高速液体クロマトグラフィーにより分離定量した.さらにジャガイモ, アジ, 鶏肉を180℃の大豆油で揚げ, フライ油中のToc同族体の量を測定して, 大豆油中のToc量に及ぼす揚げ物の種類と加熱の影響について検討し, 次の結果を得た.
    1) 市販植物油中のToc同族体含量は, 油脂の種類により大差が認められた.Toc生理活性合算値は, 大豆油は17~19mg/100g, 大豆油, なたね油およびトウモロコシ油を調合した天ぷら油ならびにサラダ油は 10~15mg/100gであった.
    2) α, γ-Tocはすべての植物油に存在が認められたが, β, δ-Tocは存在の認められない植物油があった.
    3) フライ油中のToc量は加熱時間が長くなるにしたがって減少し, 対照油およびジャガイモ揚げ油ではα-Tocの減少量が最も多く, アジ揚げ油, 鶏肉揚げ油では, 最初α-Tocの減少量が最も多かったが, 加熱時間が長くなるにしたがいγ-Tocの減少量が多くなった.δ-Tocの減少量は, いずれのフライ油においても最も少なかった.
    4) 大豆油中のToc含量が多いほど, 加熱によるToc量の減少が少なかった.
  • 生米β-アミラーゼの精製と性質
    丸山 悦子, 永曾 康子, 中西 洋子, 梶田 武俊
    1981 年 32 巻 8 号 p. 588-593
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 生米から各種クロマトグラフィーにより, β-アミラーゼの分離精製を行い, 主たる2種について酵素化学的性質を検討した結果, 1種は熱に不安定なSH酵素であり, デンプンに対するKm値は2.2mg/ml, 分子量は約141,000であり, 他は50~100℃の温度で活性化され, デンプンに対するKm値は0.21mg/ml, 分子量は約17,700と推算された.
    2) β-アミラーゼ画分に本酵素の活性化物質が存在し, この物質をSephadexG-200カラムクロマトグラフィーにより検索した結果, デンプンであることが示唆された.
  • 品川 弘子, 赤羽 ひろ, 中浜 信子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 594-600
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    マヨネーズの材料配合比による流動特性を検討するため, Scheffeの3成分系の単純格子計画法2) に従い, E型粘度計を用いて実験を行った.試料マヨネーズとしては, 油68~86%, 酢5.5~23.5%, 卵黄8.5~26.5%の配合比をもつ10個を調製した.各試料の流動特性値およびpHより次の結果を得た.
    1) マヨネーズの流動方程式の定数およびみかけの粘性率が得られ, 各材料配合比に対するこれらの流動特性値とのあいだにそれぞれ2次の推定式および推定曲線が示された.
    2) 分散媒の流動方程式の定数およびみかけの粘性率が得られた.
    3) マヨネーズの降伏応力やみかけの粘性率の推定曲線を用いることにより適当な降伏応力やみかけの粘性率をもつマヨネーズの材料配合比を選ぶことが容易となると考える.
    4) マヨネーズのSibreeの係数hは, 油濃度に依存し, 最密充填状態ではほぼ1.30, 高油濃度では1.20, 低油濃度では1.49であることが認められた.
    5) 分散媒のpHは3.4~4.6で, マヨネーズのpHよりもわずかに低いことが認められた.
  • 鈴木 真喜子, 斉藤 洋子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 601-606
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 生あるいは茹でシジミを混合したB1添加飼料で雄白ネズミをミールフィーデイングし, 最終飼料摂取1.5時間後に屠殺し, 消化管内容物中のB1量を測定した.
    2) 生シジミ食群の全小腸内容物中のB1量は茹でシジミ食群, 標準食群に対して有意に低かった.それは小腸内容物中B1の97%を占める可溶区分においてのみあらわれ, 不溶区分では差は認められなかった.
    3) 生シジミ摂取による消化管内容物中B1の減少は, 小腸ではもちろん, 胃内ですでに認められた.
    4) 生シジミ摂取群の肝臓および尿中B1量は茹でシジミ食群および標準食群に対して有意に低かった.
  • 渡辺 紀子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 607-613
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    粒子径の異なる3種類の水和酸化鉄粒子を用いて, 付着量の異なる各種ポリエステル汚染布を調製し, 粒子の脱落程度を検討した結果
    1) 同一付着量汚染布では, 大粒子ほど脱落率が高く, 初期脱落速度も大であった.
    2) 付着量の異なる汚染布を洗浄した結果, 洗浄前付着量一残留量の関係は, 小粒子では比例関係が得られたが, 大粒子では比例関係は得られず, 汚染布の付着量とは無関係に残留量は一定値に近づいた.これは, 糸密度, 厚さの異なる5種類のポリエステル布において同様に確認された.
    3) 粒子の洗浄および汚染性は繊維の付着外表面積にも左右されるが, 糸および織物の幾何学的要因に大きく左右された.
  • 表面あらさと明るさについてのやわらかさの視知覚
    北浦 かほる
    1981 年 32 巻 8 号 p. 614-621
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Infants are under some physical and psychological stimulus of the room space. Particularly, we can't disregard the Visual Perception effects of the texture in architectural materials, as they are concerned in the psychological effects of the room space.
    In our former studies, we found that the factor of “Softness” is connected with the evaluation of the room space.
    So in this study, we examined the Visual Perception effects of the factor “Softness”, in the development of infants. The results of the examination are as follows.
    We found that Infants can perceive the Tactile Softness of the Surface-Roughness, but they can't perceive the Visual Softness of it. Around 6 years old, they get the similar Visual Perception sense to adults.
    They can't relate the Lightness to theVisual Softness Perception in the younger aged. Before 5 years old, they can't get out of theTactile Perception sense. In 6 years old, they become to perceive the detailes of the texture, and so, they find the Visual Softness in the “Grey”. But they have still no ability to analyze it. And yet their perception is far away from that of adults.
  • 向井 由紀子, 橋本 慶子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 622-627
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 伝統的なA型の持ち方は, 対象物がこわれやすい場合や, 2種の試料を交互に運ぶような複雑な作業の場合に, 失敗が少なく作業能率もよいこと, また焼魚の肉をわけるなどのように箸もひらいて用いる場合も鉛筆式の持ち方であるB型よりも早くできることがわかった.
    2) 自然に箸を持った位置とひらく作業後の箸を持った位置をみると, A型では指先の移動が少なかった.このことよりB型は作業時に箸を持ちかえるのに対し, A型はそのようなごとが少なく安定した持ち方といえるのではないかと考えられた.
    3) 箸先をひらく作業では測定筋のうちで背側骨間筋の筋活動度が大きく箸先をひらいて用いる場合の特徴と思われた.
    4) 伝統的な箸の持ち方では鉛筆式の持ち方に比べて短母指外転筋の活動度が大きいが, これは第一指で一方の箸を固定すると同時にもう一方の箸を動かすためと考えられ, 伝統的な持ち方の特徴であると思われた.
  • 流し底高さが作業姿勢におよぼす影響
    一棟 宏子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 628-631
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    I have made a series of photographing experiments on the working posture with various heights of sink bottoms by using the chronocyclegraph method, in order to make clear the most suitable height for these items. I have evaluated the working posture from the viewpoint of a standard for the most suitable posture. At the same time, I have compared the above results with the ones described in the former report (Part 4), which are results of the RMR and the evaluation given by the subjects who were asked to give their opinion as to the most suitable height for working.
    The results are as follows :
    1. It was observed that the lower the height of sink bottoms, the more the subjects' bodies become bent over and move from side to side irregularly. Such effects on the parts of the body such as the vertex, the acromion, the olecranon and the ulna stylion, have also been observed. The ilio cristale and trochanterion do not move so much.
    2. The height of the sink rim produces certain effects on the working posture, especially when the sink bottoms are too low or too high.
    3. From the three experiments described above, the desirable height of sink bottoms is presumed to be in the range of about 65-70 cm (it is estimated to be about 40-45 percentage of the subjects' height), which is applied to different height of the sink rim.
  • 菊沢 康子
    1981 年 32 巻 8 号 p. 632-638
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    座椅子の背凭れの傾斜角度が座り心地に与える影響を分析するため, 肘掛け, 枕凭せのない座椅子を用いて, 座姿勢の分析, 座り心地テスト, 筋活動および接触面積の測定を行った結果次の結論を得た.
    1) 座椅子使用時の姿勢としては, 「投げ足」姿勢が最もよくとられており, そのつぎには「立膝」姿勢がよくとられていた.
    2) 「投げ足」姿勢で座椅子を使用する場合の背凭れの傾斜角度については, 最も座り心地がよいという評価が多かったのは105°のときであり, ついで110°のときであった.115°以上になると身体の一部に痛みを訴えるものがみられ, 傾斜角度が増大するほど痛みを訴えるものが増加した.
    3) 筋活動量は, 背凭れの傾斜角度が100~115°において最も少ないが, 120°を越えると筋活動量は増加し, とくに首, 肩, 背の僧帽筋および大胸筋の活動量の増加が著しいことが認められた.
    4) 背跡, 座跡の接触面積は, 背凭れの傾斜角度の増大とともに減少するが, 110°付近ではその面積は一時的に増加傾向を示す.さらに傾斜角度が増大すると接触面積の減少傾向は顕著になる.
    以上の結果より, テレビ視聴のような行為に肘掛け, 枕凭せのない座椅子を使用する場合, 背凭れの傾斜角度は105~110°が適当であると考えられる.
  • 永井 鞆江, 今村 ひとえ
    1981 年 32 巻 8 号 p. 639-644
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ファイバーを添加したパンの組織構造は無添加パンに比較して特異な像を呈した.無添加パンの気胞膜は均一でなめらかなたん白質シートの表面をもち, α化されたでんぷん粒が連続してそのシートの下に横たわっているのが観察された.一方, ファイバーパンの気胞膜の表面は全体的になめらかさが失われ, たん白質シートの不均一性や多孔性を示し大小さまざまな気孔や亀裂を生じていた.とうもろこし外皮入りパンはたん白質シートの下に横たわっているでんぷん粒の根元の部分での亀裂が顕著に観察された.小麦ふすまやごぼう残査入りのパンでもファイバー粒子の存在している部分のたん白質シートの破壊が顕著で, ごぼう残査の場合, でんぷん粒を抱きこんだまま塊を形成したり, 厚いフィラメント状になって網目構造を呈していた.こんにゃく精粉はこれら三者と異なった像を示し表面に無数の気泡を生じ, しかも, その部分が一段と薄くなって破壊されたり, 大きな気孔や空洞を形成していた.このように, ファイバーパン全体に共通して観察された気孔や亀裂はグルテン組織が焼成段階で膨化力に抵抗しきれなかったことを示唆しており, その結果, パン膨化量低下の一因になっていると推察される.
  • 山本 正, 吉田 章代, 野田 克彦
    1981 年 32 巻 8 号 p. 645-651
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    徳島県下の小学校6年生児童および中学校1年生生徒ならびに彼らの父母に対して, 小学校家庭科教育に対する意識調査を行い以下の結果を得た.
    1) 児童はおおむね既習内容が有益であったと評価していた.しかし男子は女子に比して有益だったとする割合は低く, また楽しかつたとする割合も低かった.
    2) 児童は実習をともなう学習内容 (調理実習や被服領域の製作など) を好み, 理論的な内容 (被服衛生, 栄養, 家族関係など) はあまり好まなかった。他方父母は理論的な内容の学習を実習的な内容よりもより必要であるとしていた.児童も理論的学習が有益なことは認めていた.
    3) 父母の80%以上が家庭科の教育内容をある程度知っており, 90%以上の父母が小学校での家庭科教育の必要性を認めている.しかし学習内容に男女差をつけたほうがよいとする意見も約30%あった.
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