家政学雑誌
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34 巻, 10 号
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  • 官能検査と機器測定との関係
    和田 淑子, 倉賀野 妙子, 長谷川 美幸
    1983 年 34 巻 10 号 p. 609-615
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    クッキーのショートネス, 硬さと材料配合比の関係を総合的にとらえるため, 前報の機器測定に続き, 本報告では官能検査による検討を行った.
    1) 官能検査による硬さ, もろさ, 口どけ, 総合評価の各評価値と材料配合比との間に, 3次の推定式ならびに推定曲線が得られた.バターが多いとやわらかく, もろく, 口どけのよいクッキーとなる.砂糖, 卵が多くなると硬くて, もろさに欠けるが, その度合は両者で異なり, 砂糖はクッキーを硬くするものの, 卵に比べてややもろい性状のクッキーとなる.
    2) クッキーの官能検査による評価値と機器測定値との間の相関行列を求めた.硬さ, もろさ, 口どけの官能評価値とショートメーターによる破壊力, レオロメーターによる硬さ, もろさの機器測定値の問に相関関係が認められ, これらの機器測定からクッキーのジョートネス, 硬さを定量的に評価することが可能であった.しかし, 砂糖と卵にみられるもろさの微妙なちがいを, 機器測定によりどのような方法で示すか, 今後の課題である.
    3) 小麦粉量40, 45, 50%のクッキーについて, おのおの好まれるバター, 砂糖, 卵の3成分の最適配合比を官能検査より推定することができた.
  • 藤井 淑子, 島田 淳子
    1983 年 34 巻 10 号 p. 616-623
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Although the characteristics of starch-cake in which starch is substituted for wheat flour are to be soft and to have fine grain and large volume, preparing conditions to obtain a good product still remain to be investigated.
    We have sought the best conditions for starch-cake making with regard to the amount of water added, the mixing temperature of batter and standing time after the batter is completely mixed.
    The evaluation for the conditions was done from all data of the following measurements : specific gravity, viscosity and microscopic observations of batter and loaf volume, rheolometric parameters and organoleptic tests of cake.
    As the results, it was concluded that the best conditions for starch-cake making are as follows :
    1. Water should be added at the level of 10%.
    2. The batter should be mixed at 30°C.
    3. After the mixing, the batter should be stood for 10 min.
  • 小麦粉プロテアーゼ・インヒビターの調理・加工時の変化 (第2報)
    光永 俊郎, 西 倫子, 清水 まゆみ
    1983 年 34 巻 10 号 p. 624-627
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    製パン加工過程における小麦粉のトリプシン・インヒビターおよびα-キモトリプシン・インヒビター活性の変化を検討した, 両インヒビター活性とも, パン生地作成過程ではまったく変化がみられず, イーストのプロテアーゼについても安定であった.しかし, 焼成過程において両活性とも完全に失活した.この変化は焼成温度とともに水分含量も大いに関係していた.また, この傾向はα-キモトリプシン・インヒビター活性に顕著に認められ, 小麦粉のままではトリプシン・インヒビター活性より熱に安定であるが, 水分を含むときわめて熱に不安定になることが明らかになった.
  • 石田 哲夫, 鴇田 文三郎
    1983 年 34 巻 10 号 p. 628-632
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ペプシン, トリプシンおよびキモトリプシン処理α-ラクトアルブミン (α-La) の分解物の天然抗原性およびその他の性質について検討し, 以下に示す結果を得た.
    ペプシンによる2時間処理α-Laの分解物は, Sephadex G-50カラムクロマトグラフィーによりA~Dの4画分に分画され, 未処理α-Laよりも高分子のA画分 (分子量28,000) が認められた.A画分の抗原性は未処理α-Laの抗原性の10~25%を保持していた.また, A画分のポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンは, 未処理α-Laの泳動パターンと著しく異なるものであった.一方, B画分のポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンは, 未処理α-Laの泳動パターンと類似していた.トリプシンおよびキモトリプシンによる2時間処理α-Laの分解物は, Sephadex G-50カラムクロマトグラフィーにより, それぞれa~eおよびa~eの5画分に分画され, トリプシン処理分解物のa画分の抗原性は, 未処理α-Laの抗原性と等しく, キモトリプシン処理のa画分の抗原性は, 未処理α-Laの抗原性の50%に低下した.
  • 登倉 尋實, 小松 由紀, 田村 直美
    1983 年 34 巻 10 号 p. 633-637
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    33℃の温暖環境下でウエストのゆとりが-4cmと+2cmのタイトスカートとフレアースカートあるいはボディスーツを着用した, 椅坐安静中の健康青年女子の発汗速度を測定した.その結果, ウエストのゆとりが-4cmのスカートおよびボディスーツを着用中の発汗速度が減少することが明らかとなった.これはボディスーツおよびスカートにより身体へ加えられた圧迫によって惹起されると考察した.この場合, 従来の高木らの研究において使用されている50~2,000g/cm2の圧力に比べ, 本研究において衣服によって身体に加えられた圧力は, 10~249/cm2と小さいのであるが, 圧迫面積がスカートのウエストで約120cm2, ボディスーツで約2,500cm2と大きいために圧迫による発汗速度の抑制が生じたと考察した.
  • 主成分分析による年齢的変化
    飯塚 幸子, 武藤 治子
    1983 年 34 巻 10 号 p. 638-642
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    For the purpose of studying the neck form, principal component analysis have been applied to 44 somatometric data of 700 adult males aged 20-59 years. In this paper, morphological change of neck with age were examined. The main results are as follows.
    1) The first principal component is a volume component of body, and any aging factor was not found.
    2) The second principal component is a neck shape component which changes depending on age.
    3) The third principal component represents a relationship between neck girth and neck base girth.
  • 加茂 祐子
    1983 年 34 巻 10 号 p. 643-650
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    食パターン類似率の分析でみたように, 大都市と他の都市階級の食パターンとは, 昭和30年代後半以降, とくに40年代後半以降, 急速に類似性を高めた.これは, 全社会規模での急速な都市化の拡大に促されて, 大都市を典型とする都市的食生活様式が伝播したせいだと考えられる.
    では, この食パターンにみる都市化は, 一体, どのような消費者行動を適じてもたらされたのだろうか.昭和39~54年の時系列データを用いて行った動学モデルによる分析結果をみると, 乳卵, パン, 果物, 肉類などいわゆる近代化食品や, 飲料, 菓子, 外食などし好性・レジャー性の強い食品に対する習慣形成が, 五つの都市階級にほぼ共通してみられ, これらの食品を中心に食生活の都市化が進んできたものと考えられる.なかでも, パン, 乳卵, 果物, 菓子は必需財としての性質が強く, わが国の食生活に欠かせぬものになったとみられる.
    では, 都市階級間での食生活は, 今後ますます互いに似たものになってゆくのであろうか。ここで, 再び, 動学モデルの分析結果をみると, 都市階級間では, 消費者行動にいくつかの差異のあることが観察される.それらの差異は, ほぼ次の3点に集約される. (1) 種々の食品に対する食習慣の定着の度合いという点からすると, 習慣効果のみとめられる項目の数は大都市で最も少なく, 係数の推定値も比較的小さくて, 規模の大きい都市におけるほど, 消費者は流動的な対応をしていると考えられる. (2) 米類や調味料の消費にみられる伝統的食生活の名残りは, 下位の都市階級になるほど明瞭であり, 上位の都市階級ほど離脱が著しい. (3) 素材的性質の強い食品に対する習慣効果ならびに所得の効果には, 都市階級間で差異があり, 下位の都市階級になるほど弾力性の値が大きくなる.これは, 家事労働社会化に関する都市階級問差異の, ひとつのあらわれと見ることができるのではなかろうか.
    しかも, ダミー変数の係数でみるかぎり, この (1) ~ (3) にあげた食料消費行動の都市階級間差異は, 第一次オイル・ショック以降, 大きくなる可能性があると考えられるのである.
    最後に, これらの差異の原因として, 居住者の消費生活に直接影響を及ぼすような都市機能の差異が, 消費者の合理的選択の積み重ねを通じて, 食料消費行動のうえに反映されてきたためと考えられる.
  • 多変量解析法による食料消費構造の研究 (第2報)
    森 英子
    1983 年 34 巻 10 号 p. 651-659
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 主成分分析結果の上位6因子の各都市の因子得点を6角形に表現し, 図式的パターン分類を試みた.都市の特徴と都市間の類似, 非類似を概観できた.
    2) 都市間の偏差パターン類似率を算出した.最高類似率は京都と大阪で, 次いで宇都宮と前橋そして横浜と京都の順で, 一方, もっとも非類似度の高いのは水戸と大阪で, 次いで長野と大阪, そして宇都宮と和歌山の順であった.地理的距離と食パターンの類似度はかなり一致するが, 大都市になると食パターンの類似度は物理的距離と無関係であった.
    3) 都市間の偏差パターン類似行列のクラスター分析をおこなったが, デンドログラムの最後の統合は, 地理的区分と同じ食パターン分類の可能な中小都市群と, 画一化された食パターンの大都市群との問でおこなわれた.
    4) 23食品間の相関行列に, クラスター分析をおこなってデンドログラムに図示したが, 米は中立的でかなり合併の進んだ後の段階で「一般外食・調理食品グループ」と合併されるという予想しなかった結果が出た.パンは「肉・卵グループ」と, 次いで生鮮魚と初めの段階で併合された.
  • アルファルファもやしの成分組成 (第1報)
    山口 由美子
    1983 年 34 巻 10 号 p. 660-662
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    アルファルファもやしを栽培して, その一般成分ならびにビタミン類の定量をおこなった.さらに, もやしとしての消費量の多いブラックマッペもやしとの栄養成分の含量につき比較検討もおこなった.成分値の記載および比較は可食部100g当りでおこなった.
    1) 一般成分は, 水分90.83±1.61g, タンパク質5.28±0.739, 脂肪0.74±0.19g, 灰分0.60±0.089であった.
    2) ビタミンB1は, 0.50±0.02mg, ビタミンCは、, 18.09±0.78mg, カロチンは, 123±30 IUであった.
    3) ブラックマッペもやしと比較して, 粗タンパク, 粗脂肪, ビタミンB1, カロチン含有量の点で, 栄養学的にすぐれていることがわかった.
  • 柳本 正勝, 柳本 武美
    1983 年 34 巻 10 号 p. 663-667
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    野菜・果物の消費が周年化している中で, その消費時期の移動に注目した.そこでこれを定量的に把握する目的で指標の設定を行い計算した結果以下の知見を得た.
    1) 調査した35品目中, 消費時期の移動が統計的に有意であったのは17品目であった.このうち14品目は早期化しており, 3品目は遅延化していた.
    2) 早期化していた品目はすべて前報において周年化してきたと判定された25品目中に含まれていた.
    3) 最も早期化度の高いのはいちごであり, 1年ごとに約3.6日の速さで消費時期が早まっていると推定された.
    4) 予想どおり施設栽培されている品目には早期化しているものが多い.
  • 諸外国の家政学シリーズ (4)
    張 晶玉
    1983 年 34 巻 10 号 p. 668-678
    発行日: 1983/10/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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