家政学雑誌
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35 巻, 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • いんげん豆のゆで方について
    中里 トシ子, 岩田 祐子, 田中 香織
    1984 年 35 巻 11 号 p. 753-759
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    圧力鍋を用いてゆで豆を作る場合, 浸漬条件および加熱時間による違いがゆで豆の特性におよぼす影響を検討し, さらに普通鍋によるゆで豆の特性を比較した。また浸漬液の食塩濃度の影響についても実験を行った.結果を要約すると次のとおりである.
    1) 熱湯に浸漬した場合には, 圧力鍋では古い豆は5時間浸漬沸騰後1分加熱後, 新しい豆は2時間浸漬沸騰後0分および1分加熱後と5時間浸漬沸騰後0分加熱後それぞれ10分放置した豆が適当な硬さとなった.
    2) 水に18時間浸漬した豆の場合は熱湯浸漬の豆と同程度の硬さになるには, 圧力鍋では古い豆, 新しい豆いずれにおいても加熱時間を1~2分長くする必要がある.
    3) 豆の煮くずれ度は, 同程度の硬さに加熱したゆで豆では, 圧力鍋加熱のほうが普通鍋加熱より低い.
    4) 圧力鍋によるゆで豆は, 普通鍋のものにくらべてねっとりとした口触りで, 種皮が柔らかい.
    5) 水に十分浸漬した場合のゆで豆と熱湯に十分浸漬した場合のゆで豆の比較では, 熱湯に浸漬したゆで豆のほうが種皮が柔らかく, 煮くずれが少ない.
    6) 食塩濃度0.1%の熱湯に浸漬して加熱したゆで豆は煮くずれが少ない.
    7) 新しい豆は食塩濃度0.5%の熱湯に浸漬して加熱した場合にねっとりとした口触りで, もっとも柔らかい.
  • 溶存気体の気泡化と卵ゲルの「す」形成との関連
    富江 ハス子, 大久保 一良
    1984 年 35 巻 11 号 p. 760-764
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    卵ゲルの「す」形成の主要因である卵液気体の挙動を知るために, 気泡をナイロンフィラメントで捕捉する方法により水, 希薄卵白液の溶存空気の気泡化挙動を調べた.
    気泡は水溶液の温度差, 塩濃度差によって生成され, その差の大きくなるほど増加し, 気泡と過飽和空気の相関が示唆された.
    加熱によって生成された気泡は, 室温静置で経時的に体積が増大し極大に達したのち, 緩慢に縮少した.その数は気泡化初期で瞬時に決まり, 再溶解によって減少することがわかった.
    気泡化速度は過飽和空気量と温度に影響され, より高い加熱温度でより急速に成長する卵ゲルの「す」形成現象が裏づけられた.
    卵白液中の気泡形成において, 卵白濃度依存性と加熱による減少, 脱気および攪拌処理による未生成および再成が見られ, 加熱卵ゲルの「す」形成に及ぼす同要因の影響と一致した.
  • 冬眠密着包装の効果
    村上 恭子, 生田 君代, 田原 モト子
    1984 年 35 巻 11 号 p. 765-771
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    普通包装の胚芽精米と冬眠密着包装の胚芽精米(冬眠米)を用い, 前者は開封した状態で, 後者は包装のまま室温日なた, 室温暗所, 30℃フラン器中に保存し, 保存期間中の脂質の酸化状況を知るため過酸化物価および酸価を測定し, また炊飯香気の変化をガスクロマトグラフィーで調べた.
    1) 過酸化物価は開封日なた保存で30~60日ころより急上昇し始め, 140日ほどの間に約8倍の値となった.30℃保存でも緩慢な上昇傾向を示したが, 冬眠米日なた保存では, 上昇傾向はさらにゆるく, 他の試料では保存期間中ほとんど変化はなかった.
    2) 酸価は冬眠米30℃保存で急激に上昇し, 105日ほどの間に約6倍の値となった.開封30℃保存では最初の30日間やや高い値を示したが, その後は上昇せず, 他の試料では保存期間中ほとんど変化はなかった.
    3) 炊飯香気成分については, 開封30℃保存ではヘキサナール, n-バレルアルデヒド, アセトアルデヒド, アセトン+プロピオンアルデヒドなどの増加が著しく, 30日くらいの間にピークに達した.日なた保存ではこれらの成分は, 50日ころから増加し始め, 70日ころにピークに達し, またペンタンについても同様の増加傾向を示した.冬眠米ではカルボニル類やペンタンの増加はほとんどなく, 30℃保存で50日ころよりエタノールが急増するという特徴が認められた.
    4) 以上のことから, 開封日なた保存では, 光により脂質の自動酸化が促進され, 炊飯香気を変化させること, 30℃ではリポキシゲナーゼによる酸化が主として起こり, さらに短期間の問に炊飯香気の変化が起こることが推測された.冬眠米では, 脂質の酸化は抑制されるが, 30℃では, リパーゼによる加水分解の結果, 遊離脂肪酸が蓄積し, 嫌気呼吸の結果と思われるエタノールの増加もあることからこれらが原因となって風味を低下させる可能性が示唆された.
  • マイクロ波照射による卵液の非伝熱的変化 (第1報)
    肥後 温子, 島崎 通夫
    1984 年 35 巻 11 号 p. 772-777
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    卵液のある希釈段階では, マイクロ波加熱による凝固状態に伝熱加熱と異なる次のような特色がみられた.
    1) 分離液量が多く, 分離液の濁度が高い.
    2) ゲル間隙量が少なく, 保水性の低いコンパクトなゲルが形成される.
    3) 凝固物に高分子の会合物が多い.
    4) リポプロテインと思われるタンパクと脂質との共存形が多い.
    さらに, ゲル化以前の卵液の粘度上昇がきわめて低い結果が得られ, 分子構造と凝固後の性状とに非伝熱的な差を生じるマイクロ波の効果が注目された.
  • 希釈卵液の凝固状態を変化させる要因
    肥後 温子, 島崎 通夫
    1984 年 35 巻 11 号 p. 778-784
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    希釈卵液に種々の添加物を加えて凝固状態を比較したところ, 系がゲル状凝固する限界濃度付近で加熱法の差が大きくなり, マイクロ波加熱ではコンパクトなゲル状凝固物と白濁した分離液に分かれる“凝結型”の変化が進行した.卵液濃度, 塩濃度, pHを変化させた一連の実験によって, マイクロ波加熱に特有の凝固状態が脱水をともなった凝集作用によって誘起されたものであろうと推定され, 疎水結合を破壊するアルコールの添加によって凝固状態が緩和されたところから, 同推定が裏づけられた.
  • 住宅の新築・購入における消費者トラブルと解決行動
    上野 勝代, 吉野 正治
    1984 年 35 巻 11 号 p. 785-796
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This paper report on the results of investigation of the actual states of troubles which occurred. between the 1, 204 households living in detached houses in Kyoto and Shiga Prefectures and building contractors or house brokers who built or sold the houses. The results have revealed the following facts.
    1) The ratio of the number of houses having structural defects or faulty parts according to the subjective judgment of the residents is 61.5 % of the total number of the houses built or purchased.
    2) Troubles were mainly caused by the presence of faulty parts. Besides, the residents complain of poor after-sale services of the building contractors or house brokers.
    3) of faulty parts, those which were considered repairable were repaired free of charge in many cases, however, few of the repair works gained the satisfaction of the residents.
    4) As for losses due to discrepancy in the conditions of contract or indirect losses, the sufferers (residents) in many cases gave up the matter as hopeless from the beginning or let it drop because of the denial of the building contractors or house brokers to take up the problem.
    5) The results as mentioned above vary with the supplier (building contractor or house broker). Administrative guidance particularly for building companies specializing in houses for installment sale and giving necessary guidance to residents in small houses of that kind are considered necessary as immediate countermeasures.
  • 石田 哲夫, 鴇田 文三郎
    1984 年 35 巻 11 号 p. 797-799
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    α-Laのペプシン分解産物中の高分子性A画分について, その二次的抗原性の発現性について検討した.結果は次のように要約される.
    1) α-Laをペプシンにより経時的に分解する過程に, α-Laより高分子性のA画分が生成されるが, この高分子性物質は, α-Laの分解産物が重合して生成された高分子性物質であると考えられた.
    2) 高分子性A画分には, 天然α-Laの抗原構造の残存率は少なく, 家兎に免疫注射すると, α-Laの天然抗原決定基に対する抗体はほとんど生産しないが, A画分とのみ反応する抗体が生産された.この結果から, α-Laをペプシン処理する過程に, 高分子性A画分に基づく二次的抗原決定基が生成されることが認められた.
  • 本田 テル子
    1984 年 35 巻 11 号 p. 800-804
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    中国米5品目と日本米2品目について, 硬さと粘りを中心に検討し次の結果を得た.
    1) 米の一般成分は中国米, 日本米間に大きな差はみられなかったが, 中国米のうちナンネイ, セイト, コウシュウのアミロース含量はシャンハイ, コンメイにくらべやや大きい値を示した.
    2) 官能検査, テクスチュロメーターの測定値により, 中国米は日本米にくらべ硬く, 粘りが少ない米飯になることを示した.
    3) アミログラム特性値はコンメイ, シャンハイは日本米に近い性質を示し, これらの米は官能検査では粘り, 味, 総合評価値が高かった.
  • オスロ会議小委員会
    1984 年 35 巻 11 号 p. 805-828
    発行日: 1984/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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