米粉カステラにおいて, 米粉・大豆粉・砂糖の種類および配合比を変化させ, 蒸しカステラと焙焼カステラを調製した, その性状および嗜好について検討し, あわせてその製品の成分分析を行い, 次の結果を得た.
1) 米粉カステラにおいて大豆粉の最適添加量は, 25~50%で, この製品の特性としては膨化状態が良好で, 表面が滑らかで, 蒸煮処理の大豆粉添加製品では内相部の色調も優れ, 嗜好面からも好まれる傾向であった。しかし反面, 弾力性に乏しく, もろくなり, 口の中で粉がざらつく感触が残り, パサつく欠点を示した.
2) 粉中に大豆粉を25, 50%添加米粉カステラにおいて, 米粉中に糯米粉を30~50%添加した製品は, 膨化率がやや低下するものの, やわらかくなり, しかも官能検査の結果では舌ざわりもよくなりパサつきも緩和され, 有意に好まれる評価となり改良された.
3) 大豆粉の種類別については, 蒸煮処理の大豆粉添加製品が, きな粉添加製品より顕著に好まれたが, 調理法別 (蒸し・焙焼) の嗜好差は僅少であった.
4) 蒸煮処理の大豆粉50%添加米粉カステラにおいて, 黒糖を添加した製品はやや硬くなるが, 黒糖添加量50%までは嗜好的に好まれ, 製品として望ましいとの評価であった.
5) 製品の糊化度は, 大豆粉添加量が増すに従ってアルカリ糊化・熱糊化の分解率が低下する傾向にあったが, 糊化度には影響がなく, いずれの製品も80%以上の高い値となった.また調理法別には, 蒸し製品のほうが, 焙焼製品より糊化度はやや高い傾向を示した.
6) 米粉カステラの成分組成においては, 大豆粉無添加製品よりも, 大豆粉添加製品のほうが, 粗タンパク質・粗脂肪などの含有量が高くなることを認めた.
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