家政学雑誌
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36 巻, 9 号
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  • 光永 俊郎, 福岡 千鶴子, 清水 まゆみ
    1985 年 36 巻 9 号 p. 665-669
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    黒大豆のTI活性は, 黒大豆を煮沸させた調味液に浸漬するだけで50%が失活した.この活性は煮豆過程が進むとともに失われ, 最終的にはTI活性はほとんど認められなくなった.調味液中への活性成分の溶出も非常にわずかであった.一方, 黒大豆粗製TIは加熱により失活し, これは塩基性側, 高水分下で, また豆中のTI以外の物質の存在により促進された.煮豆時にもこれらが熱失活を促進すると考えられた.実際には, pHによる影響は若干であり, 豆中のTI以外の物質および水分により, 大部分のTIが熱失活することが推察された.
  • 市川 芳江, 高谷 とし子
    1985 年 36 巻 9 号 p. 670-676
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Ginger (Zingiber officinale), when added to liquids thickened with potato starch, sometimes caused a decrease in the viscosity of the dish. The viscosity of potato starch paste (1.5 %) was decreased by adding ginger extract or its dialysate. The activity of the ginger, which reduced the viscosity, was parallel to the starch hydrolyzing activity. Amylase activity of ginger extract was purified. byfractionational precipitation with ammonium sulfate, ion-exchange chromatography on DEAE-Sepharose CL-6B, hydroxylapatite, CM-Sepharose C-50 and gel filtration chromatography on Sephacryl S-200. Two active fractions, Component I (MW=145, 000) and II (MW= 75, 000), were purified and they were found to be homogeneous from the result of SDS-polyacrylamide gel electrophoresis (MW= 75, 000). The enzymes were identified to be β-amylase by identifying the reaction product to be maltose by thin layer chromatography. Amylase activity was stimulated by a low concentration of NaCI, but inhibited by Cu2+, Hg2+ and p-chlorornercuribenzoic acid (PCMB). PCMB-induced inhibition was resumed by adding dithiothreitol, suggesting that the enzyme has an SH group (s) at the active site.
  • 木村 友子, 福谷 洋子, 加賀谷 みえ子, 木村 珠美子, 小川 安子
    1985 年 36 巻 9 号 p. 677-688
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    米粉カステラにおいて, 米粉・大豆粉・砂糖の種類および配合比を変化させ, 蒸しカステラと焙焼カステラを調製した, その性状および嗜好について検討し, あわせてその製品の成分分析を行い, 次の結果を得た.
    1) 米粉カステラにおいて大豆粉の最適添加量は, 25~50%で, この製品の特性としては膨化状態が良好で, 表面が滑らかで, 蒸煮処理の大豆粉添加製品では内相部の色調も優れ, 嗜好面からも好まれる傾向であった。しかし反面, 弾力性に乏しく, もろくなり, 口の中で粉がざらつく感触が残り, パサつく欠点を示した.
    2) 粉中に大豆粉を25, 50%添加米粉カステラにおいて, 米粉中に糯米粉を30~50%添加した製品は, 膨化率がやや低下するものの, やわらかくなり, しかも官能検査の結果では舌ざわりもよくなりパサつきも緩和され, 有意に好まれる評価となり改良された.
    3) 大豆粉の種類別については, 蒸煮処理の大豆粉添加製品が, きな粉添加製品より顕著に好まれたが, 調理法別 (蒸し・焙焼) の嗜好差は僅少であった.
    4) 蒸煮処理の大豆粉50%添加米粉カステラにおいて, 黒糖を添加した製品はやや硬くなるが, 黒糖添加量50%までは嗜好的に好まれ, 製品として望ましいとの評価であった.
    5) 製品の糊化度は, 大豆粉添加量が増すに従ってアルカリ糊化・熱糊化の分解率が低下する傾向にあったが, 糊化度には影響がなく, いずれの製品も80%以上の高い値となった.また調理法別には, 蒸し製品のほうが, 焙焼製品より糊化度はやや高い傾向を示した.
    6) 米粉カステラの成分組成においては, 大豆粉無添加製品よりも, 大豆粉添加製品のほうが, 粗タンパク質・粗脂肪などの含有量が高くなることを認めた.
  • 淡雪かんについて (第2報)
    桜井 映子, 朝倉 富美子, 伊東 清枝
    1985 年 36 巻 9 号 p. 689-695
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    淡雪かんの調製方法として, 卵白に90℃の寒天・ショ糖液を混合する場合の卵白タンパク質の熱変性の状態について, 電気泳動法を用いて検討した.あわせて, 卵白泡の性状および淡雪かんの安定性についても調べた.
    1) ショ糖無添加の寒天液を卵白泡に混合した場合には, 混合開始温度が70~90℃では, オボアルブミン, オボムコイド, グロブジン, コンアルブミン, リゾチームの各タンパク質に, 熱変性が認められた.
    2) ショ糖添加の場合には, ショ糖が20%以上含まれると, 90℃で混合を開始しても, 上記5種類のタンパク質には, 熱変性は認められなかった.
    3) 混合開始温度が90℃で, ショ糖濃度が高い場合には, 比重が小さく舌ざわりが軽く, また離漿率が少ない安定性の高い淡雪かんができるごとがわかった.
  • 沢渡 千枝, 寺田 貴子, 松生 勝
    1985 年 36 巻 9 号 p. 696-703
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, 非晶性PETフィルムの熱処理効果にともなう等温結晶化, ならびに1軸延伸による配向結晶化機構について主として光散乱法と結晶化度の測定をおこない検討した.
    1) 未延伸および延伸試料を乾熱および湯浴中で熱処理すると, 熱処理温度が高まるにつれ等温結晶化が顕著に生じ, 同一温度条件下では, 乾熱中よりも湯浴中のほうが顕著であった.これらの現象は, 試料が熱運動が活発な条件下におかれれば熱運動により結晶化が容易に進むことを示唆している.そこでこの現象を, Roeらによって提出された不可逆過程における高分子結晶化の動力学的方法によって解析し, 等温による結晶化の促進度合は, いわゆる化学反応速度定数の大小によって論じられることを結論づけた.
    2) 未延伸試料を乾熱中および湯浴中で延伸すると, 低温で延伸した試料ほど結晶化度が高く, 分子配向も顕著であった.また, 同一温度条件下でも, 湯浴中で延伸した試料のほうが乾熱で延伸した試料よりも低く, 分子配向もすぐれなかった.これは試料分子鎖のふるまいの自由度が高い状態におかれると, 延伸中での配向結晶化の効果が制御されるためである.このことは配向結晶化の効果は等温結晶化の場合とまったく逆となっていることを物語っている, 配向結晶化における分子鎖の配向度および結晶化度の増加は, PETの高次組織の発現や変形にも大きな影響を与え, この影響は光散乱像に著しく反映した.すなわち配向結晶化にともない, 光散乱像は, 縦に伸びた散乱ローブと赤道方向への4本のするどい散乱ストリークがあらわれた.これを前報での光散乱像のモデル計算にもとついて解析すると, 配向結晶化にともないシーフ状組織が発現し, その重心が延伸方向とある特定角をもって配向することが理解しえた.
    3) 延伸された試料に自由収縮状態で熱処理を施すと, 延伸によって結晶化度が上昇しない最大延伸倍率付近で試料の光散乱像は著しく変化し, 消滅または大きな乱れを示したが, さらに延伸して配向結晶化をおこした試料の光散乱像は, ほぼもとの形状をとどめ, 高次組織ならびにその内部組織の変化が小さいことを示唆した.これは, 収縮率が延伸倍率よりも結晶化度に大きく依存し, 結晶化度が高くなると非晶鎖セグメントの収縮が著しく抑制されることを物語っている.
  • 杉原 利治
    1985 年 36 巻 9 号 p. 704-711
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    綿布, レーヨン布を, 臭化アンモニウム, 第二リン酸アンモニウム等量混合液によって処理した難燃加工セルロース布の熱分解を, 熱分析 (TG, DTA) とガス分析によって検討した結果, 以下の事実が明らかになった.
    1) アンモニウム塩処理により, セルロース布でみられた330~430℃の発火燃焼はなくなり, 急激な発熱や重量減少はみられなくなった.難燃化セルロース布の熱分解は, 低温 (190℃付近) から始まり, 高温 (600℃付近) まで, 広い温度範囲でゆっくり起こった.
    2) 難燃化処理によって, セルロースの熱分解機構はタール分生成を促すよう変化し, 熱分解生成ガスのうち, 可燃性の水素, メタン, 一酸化炭素の生成が著しく抑制された.一方, 新たに, アンモニア, シアン化水素の生成がみとめられた.
    以上, 本研究では, セルロース布に, 臭素とリンを含むアンモニウム塩による難燃化処理を施すことにより, 大きな防炎効果をもった材料を得ることができ, 可燃性ガス, 有毒な一酸化炭素の生成を抑調することができた.しかし, 一方では, 新たに, アンモニアやシアン化水素が生成した.今後, 難燃化布からの有毒ガス生成機構の解明や有毒ガス抑制法に関する研究が望まれる.
  • 佐藤 悦子, 石毛 フミ子
    1985 年 36 巻 9 号 p. 712-720
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    フレアースカートのスカート丈とフレアー効果との関係について, すそまわりを一定として丈を変化させ着装実験を行い検討した結果を要約すると,
    1) すそ形状において波高は, スカート丈間で大差はみられないものの, 丈が長くなるに従い増加の傾向を示す.フレアー面積は, 胴高の60%程度までは増加するがそれ以上, 丈が70%と長くなると減少する傾向となる.また, ノード数は, スカート丈の影響は少なく, すそまわり (フレアー分量) や素材特性および被験者のサイズによって決定される.
    2) フレアー効果は, すそ形状の波高と着装シルエットから求まるすそ角度との関係式によって検討できる.
    3) フレアー係数あるいは面積比を規定すれば, 寸法の基準化により, 胴囲寸法の異なる被験者間のフレアー効果を比較でき, フレアースカートばかりでなく他のスカートにおいても, 着装時の立体効果を客観的にとらえることができる.
    今後は, 被験者の胴部, 腰部の形態的特徴がフレァー効果にどのように影響を及ぼすかを検討したい.
  • 吉田 琴, 斎藤 洋子
    1985 年 36 巻 9 号 p. 721-725
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    野菜の不溶性食物繊維が調理により変動するか否かを明らかにするため, 15種類の野菜の生および調理後の不溶性食物繊維量を測定した結果, 次のようであった.
    生の乾物あたりの中性洗剤抽出残渣 (ヘミセルロース, セルロース, リグニン) 量は7.30~27.11%であり, ほとんどは10~20%であった.酸性洗剤抽出残渣 (セルロース, リグユン) 量は5.47~20.07%で, ほとんどが15%以下であった.リグニン量は1.72~10.33%であり, 大部分は5%以下であった.
    茄でるあるいは煮ることにより, 中性洗剤抽出残渣はほとんどの野菜で減少し, その変化はおもにヘミセルロースの減少であった.また妙める, あるいは揚げるでは.中性洗剤抽出残渣, 酸性洗剤抽出残渣ともにほとんどのもので増加しており, 大部分はセルロースの変化だった.
  • 岡野 雅子
    1985 年 36 巻 9 号 p. 726-732
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 石田 名香雄
    1985 年 36 巻 9 号 p. 733-737
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 平野 貴子
    1985 年 36 巻 9 号 p. 738-741
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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