家政学雑誌
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37 巻, 11 号
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  • 木村 友子, 加賀谷 みえ子, 福谷 洋子, 小川 安子
    1986 年 37 巻 11 号 p. 933-940
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ヒトツバタゴ果実を食品として有効利用する目的で, 果実の分析ならびに酢漬の加工を試み, 90日間保存による浸漬酢の性状変化と調理適性の官能検査を行い, 次の結果を得た.
    1) 全果実の一般成分は, おもに糖質48.44%と水分46.52%であり, 種子の成分は粗脂肪と粗タンパク質がかなり多いことがわかった.果実の色は青紫色でアントシアン系色素であった.甘い香りをもつ生果実は, 青臭みと渋味を感じ生食はできないが, 酢漬果実はそれが緩和された.しかしタルタルソースに酢漬果実添加を試みたところ, 添加効果は少なかった.
    2) 果実の浸漬酢の特性について, 全果実酢は酢酸として3.52±0.26%, pH3.20±0.20で酸味がやや弱く, 糖度が保存30日で10%となり, 最高に甘味が強く, 色調も淡いピンク系の酢になり, 官能検査では飲料用やドレッシングソース用の調味酢として好適であると判断された.種子酢は酢酸として3.97±0.1%, pH2.90±0.11で, 酸味が比較的強く, 糖度は6, 55±0.42%でやや低く, 全窒素量の増加が著しかった.これは種子中の粗タンパク質の溶出が考えられる.色調も黄褐色系であり, 官能検査ではマヨネーズソース用の調味酢として最適で, 味覚的にすぐれ, 総合評価でも有意に好まれる評価であった.果肉酢は, 濃赤色系のあざやかな浸漬酢となるが, 官能検査の評価は他の浸漬酢よりやや劣った.
    3) 果実浸漬酢中の遊離糖についてHPLC分析した結果のおもな成分は, グルコース, フルクトース, サッカロース, ラフィノース, アラビノースの物質が同定された.浸漬酢の経日変化は未処理穀物酢にくらべ, グルコースとフルクトースの含有量が漸増し, とくに全果実酢と果肉酢に顕著である.
    4) 保存温度 (5℃冷蔵, 20±2℃室温) の違いは, 室温保存の浸漬酢に濁りを生じるものがあったので, 冷蔵保存することが望ましい.
  • でんぷん食品の電子レンジ加熱 (第2報)
    中沢 文子, 高橋 淳子, 高田 昌子, 杉本 賢治, 岩渕 康司
    1986 年 37 巻 11 号 p. 941-947
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    球形, 円柱形の食品が電子レンジのマイクロ波で一様照射されたときの, 温度分布のモデル計算を行った.誘電率が大きく, 電波の侵入深度が深いときには周辺部にくらべて中心部が昇温する結果となった.ヨード染色したでんぷん糊液の加熱による退色を利用して, 円柱形のものでは中心部のほうが昇温することが実験的に示され, 計算結果と一致した.四角柱形の容器では中心部は昇温しないという実験結果も計算と矛盾がない.
    円板状, 四角薄板状の誘電体は, 電子レンジ加熱により誘電体内の定在波モードによると考えられる加熱むらが示された.
    実際の食品の例として, 電子レンジ加熱した餅の中心部の含水量と表層部の含水量を比較し, 過剰加熱のさいに餅の中心部が表層部より含水量が減少していることを示した.
  • 池本 洋一, 高橋 敦子, 浜 久人
    1986 年 37 巻 11 号 p. 949-954
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    電磁調理器は容器 (なべ) 自身の発熱によって容器内の物質を加熱する, いわゆる火を使わない, したがって排ガスや空気汚染のない調理器として, また熱効率のきわめて高い省エネルギーの調理器として注目されている.しかし容器の底がどのように発熱しているかは明らかでなかったし, また熱効率の算出法もまだJIsによっては確立されていない.
    そこで本報告ではフライパンでパンケーキを焼いたときのパンケーキの焼き色を測定し, フライパンがどのように発熱しているかその熱分布を調べ, また熱効率算出の方法についても検討を行って, 次のような結果を得た.
    1) フライパンでパンケーキを焼いた場合のパンケーキの焼き色を測定して, パンケーキの焼き面には, 電磁調理器の数イルの形に似たパンド状 (環状) の, 焼き色の異なる薄い色と濃い色の部位の生ずることを認めた。これを焼きむらと呼んだ場合, 焼きむらの形状から, 容器底の鉄板の発熱による熱分布も, ほぼ同様のパンド状を呈し, バンドの中心部が最も高い温度になることがわかった.また焼きむらを小さくする調理特性の立場からはフライパンの底の厚さが1.3mmと3.4mmのものを比較すると, 焼きむらは肉厚のフライパンのほうが, また火力については「強」よりも「弱」にしたほうが, 小さくなることを明らかにした.
    2) 同じ電力容量の電気コンロと, 電磁調理器で湯をわかした場合に電磁調理器はきわめて短時間に湯をわかすことができ, 消費電力量120W・hrにおける熱効率はそれぞれ約52%, 82%であった.
    3) (社) 日本電機工業会の示した自主基準 (表2) では, 熱効率の算出にあたって, なべの重量としてふたの重さを加えているが, 筆者らは実験の結果から, ふたとなべ本体とは別に取り扱い, 材質, 重さ, 形状の決まった特定のふたを使用したなべによって, 熱効率は算出されるべきであることを提唱した.
    本報告の一部は, 昭和60年度日本家政学会年次大会 (第37回) で発表した.
  • 秋永 優子, 香西 みどり, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1986 年 37 巻 11 号 p. 955-960
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    電子レンジ調理において, 調理条件の違いが食品の煮熟の進行および最適加熱時間に及ぼす影響について, ジャガイモを用いて検討した.結果は次のようである.
    1) ジャガイモを電子レンジで加熱すると, 加熱開始後一定時間, 生の硬さを維持したのち急激に軟化し, 一定の軟らかさに達してから再び硬化するという特徴がみられた.試料重量が少ないと, この現象が顕著であるだけでなく, 適度な煮熟状態に達する前に硬化した.
    2) 官能的に評価される煮熟度はテクスチュロメーターによる硬さと対応し, 官能的に最適な煮熟状態の試料の硬さは1.2kgであった.そこでそれに達するまでの加熱時間を最適加熱時間と定義した.
    3) 試料の重量, 大きさおよび容器の各調理条件は, ともに1%の危険率で有意にジャガイモの軟化に対して影響し, 試料の重量と大きさ, および試料の重量と容器の間に交互作用がみられた.
    4) 試料重量と最適加熱時間との関係は, 試料重量100g以上でy軸に切片をもつ1次式で示された.
    5) 試料の大きさが1辺2cm以上になると, 試料内の位置によって軟化の進行に不均一が生じ, 下部の軟化が速かった.同重量を加熱した場合の最適加熱時間は, 1辺が2cm, 1cm, 3cm, 4cmの大きさの順に長くなった.
    6) 深皿を用いると, ジャガイモの軟化開始が遅くなるため, 最適加熱時間が長くなった.
  • 渡辺 紀子, 矢部 章彦
    1986 年 37 巻 11 号 p. 961-968
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Ca-ゼオライトとMg-ゼオライトは, 硬水中でNa-ゼオライト中のNaイオンをCaまたはMgイオンと交換することにより生成される.
    本報では, あらかじめCa-ゼオライトとMg-ゼオライトの置換ゼオライトを調製し, 粒子汚れの付着に対するこれらの置換ゼオライトの影響について, モデル系を設定して検討した.おもな結果は次のとおりである.
    1) 置換率が約70%のCa-ゼオライトおよびMg-ゼオライトを, それぞれCa硬水中に加えると, 両ゼオライトはさらにCaイオンと置換し, その捕捉能はMg-ゼオライト>Ca-ゼオライトであった.
    2) 硬度成分を含まないFe2O3分散液から, 布へのFe2O3の付着量は, 共存するゼオライトの種類により異なり, Ca-ゼオライト>Mg-ゼオライト>Na-ビオライトの順位を示した.
    3) Ca硬水中におけるFe2O3の布への付着量は, 共存するゼオライトの種類により異なり, 浴中のCaイオン捕捉能を過ぎた硬度から増大し, 汚れ粒子の付着は, ゼオライトのCa置換率ならびに浴中のCaイオン濃度に影響されることが明らかとなった.
  • 猪又 美栄子
    1986 年 37 巻 11 号 p. 969-977
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    直立二足歩行習得直後から11歳までの幼児・学童176名と成人女子10名を対象に, 歩行動作のビデオ分析と床反力の解析を行い, 子どもの歩行の発達を分析し, その特徴を解明した.
    1) 二足歩行習得直後の幼児の歩行は, 立脚期が長い.
    2) 2歳半以前の幼児では, 歩行時の足の着地順序が踵接地から始まる成人の場合と異なり, つま先接地や足底全面接地から始まり, 足の接地直前の背屈が十分に行われない.
    3) 2歳半以前の幼児では, 歩行時の床反力の最大推進力 (体重比) が成人とくらべて著しく小さく, 側方分力は大きい.また垂直分力は1峰性である.
    2歳半以降の幼児・学童では, 最大制動力が大きい.垂直分力は2歳半以降, 2峰性のパターンを示すが, 成人とくらべると谷が深く, 接地直後の時期にあたる第1の峰のほうが蹴り出し直前の第2の峰よりも大きい場合が多い.
    4) 6歳頃から個人内変動の少ない一定の歩行ができるようになり, 7歳頃から成人と同様の歩行時の手の振りがみられるようになる.
    以上のことから幼児の歩容と対応する幼児靴は, 歩行時の安定性を確保し, 推進力すなわち蹴り出しの力を助けるような構造をもつことが望ましいと思われる.今後 (は, 子ども靴について検討したい.
  • 小田 尚子, 中島 雅子, 別府 道子
    1986 年 37 巻 11 号 p. 979-983
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    発酵させる白菜漬に関与する細菌の作用を知り, その有機酸組成をより嗜好性の高いものにすることを目的としている.
    今回は, 白菜付着菌について以下のような知見を得た.
    1) 白菜付着菌数は, 19あたり106のオーダーであった.
    2) 3.5%食塩耐性菌数は, 白菜付着菌の約1/10~1/5であった.
    3) 3.5%耐塩性の分離菌24株の食塩存在下での耐酸性は, pH4まで生育したもの4株, pH5まで生育したもの5株, pH7~6に生育したもの11株であった.また, いずれのpH区にも生育しなかったものも4株存在した.
    4) 分離菌11株の白菜汁中の有機酸の消長は, 三つのグループにわかれた.すなわち, グループI : リンゴ酸の減少を伴い, 多量の乳酸と酢酸の増加がみられたもの (4株), グループII : リンゴ酸の減少を伴い, 多量の酢酸と, 明らかなコハク酸の増加がみられたもの (3株), グループIII : 有機酸の増減がほとんどみられなかったもの (4株) であった.
    5) 有機酸の消長を調べる実験で用いた11株は, Lactobacillus, Enterobacter, およびPseudemonasの3属が推定され, それぞれ3株, 4株および3株であり, 1株は推定できなかった.また, 有機酸の消長との関係では, グループIはLactebacillusに属したものが4株中3株であり, グループIIはすべてEnterobacterであり, グループIIIは4株中3株がPseudomanasに属する菌株であつた.
  • 辻 昭二郎
    1986 年 37 巻 11 号 p. 985-988
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    新たに開発した多重バイト試験法を, ゆでめんの物性と食感との関連の解析に応用した.
    1) 一定のブレンダー処理条件でゆでめんを均一な液状試料とし, この物性を多重バイト試験法で測定することにより, めんの物性と食感との関連を解析できる.
    2) 適当な2水準以上のブレンダー処理条件で測定を行えば, めんのかたさやくだけやすさなどの相対的な差も比較できる.
    3) ゆでめんの放置にともなう物性変化も, めんのくだけやすさを示す指標値で表現でき, 食感との関連をよく示した.
    4) 生めんや乾めんのゆで時間を変えて, 多重バイト試験法による物性値を比較すれば, 最適ゆで時間を推定することができる.
  • 西村 洋子
    1986 年 37 巻 11 号 p. 989-994
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 男女共学へのあゆみ
    青木 幸子
    1986 年 37 巻 11 号 p. 995-998
    発行日: 1986/11/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1986 年 37 巻 11 号 p. 1007
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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