家政学雑誌
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  • 山岡 照子, 西村 輝子, 桑本 千賀子, 増田 久子, 奥野 元子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1009-1019
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    山陰沿岸の京都府久美浜町周辺, 島根県桂島周辺の2地域で採取した生海藻58種 (緑藻7種, 紅藻23種, 褐藻28種) のカロチンとビタミンCの含有量を測定し, あわぜて両者の相互関係について考察した。結果は次のとおりである.
    1) 生海藻のカロチン含有量の著しく多い種類は, アサミドリシオグサで7,000μ9/1009以上含まれる.著しく少ない種類は, イソムラサキ, カギウスバノリで10μg/100g以下であり, 海藻の種類により含有量にかなりの開きがあった.600μg/100g以上のものは58種中51種であった.
    2) 生海藻のビタミンC含有量の著しく多い種類は, オオバモクで500mg/100g以上含まれる。著しく少ない種類は, フサイワヅタ, ベニモズクで3mg/1009以下であり, 海藻の種類により開きがあった.20mg/100g以上のものは58種中39種であった.
    3) 緑藻と紅藻については, カロチン含有量とビタミンC含有量との間に, 正の相関が認められたが, 褐藻については, 全体としての相関が認めにくかった.
    4) カロチン・ビタミンCともに多く含まれる海藻は, アサミドリシオグサ, ババノリ, コモングサであった.
  • クリアランスの設定基準
    柳沢 幸江, 村田 安代, 寺元 芳子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1021-1027
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    咀嚼活動において, 食品を切断・破砕するさいに必要と感じられる, 力の大きさに対応する食品物性の測定を, テクスチュロメーターを用いて検討した.本報では, クリアランスを種々設定し, クリアランスの変動に伴うテクスチャープロフィールおよびパラメータの変化傾向を調べた.そしてテクスチュロメーター測定値と官能検査結果を比較することにより次の結果を得た.
    1) クリアランスの変動に伴う食品の圧縮・破砕状態から, 食品を破砕性と非破砕性とに分類した.破砕性食品は, 破砕点以降はクリアランスを小さくしてもかたさ測定値は変化しなかった.
    2) クリアランスの変動に伴うテクスチャープロフィールの変化に, プランジャーによる圧縮過多と判断することのできる変化点, すなわち第1咀嚼における2次ピークの出現, および負のピークの鋭角化がみられた.これを, クリアランス適正値の判断基準とした.
    3) クリアランスの変動に伴う凝集性の変化に, 変曲点がみられた.この変曲点を, 付着性のない非破砕性食品のクリアラソス適正値の判断基準とした.
    4) 異種食品を対象とする場合, 同一クリアランス (2.0mm) で測定したかたさは, 胆瞬時に食品を切断。破砕するさいに感じられる力の大きさとは対応しにくい.
    5) 食品ごとに圧縮・破砕状態に応じたクリアラソスを設定することは, 異種食品間での比較を可能とし, 得られる測定値は口腔内で食品を切断・破砕するのに必要な力の大きさに対応するものと思われる.
  • 渕上 倫子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1029-1038
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 60℃2時間予加熱したり乾燥したりすると, 生だいこんにくらべて, 煮たとき軟化しにくくなった.これらのだいこんのペクチンを希塩酸, 続いて酢酸塩緩衝液で分別抽出したところ, 予加熱することにより希塩酸抽出区分 (A区分) が激減し, 酢酸塩緩衝液抽出区分 (B区分) が増加した.切り干しだいこんは予加熱したときほど顕著ではないが同様の傾向がみられた.
    2) ペクチンメチルエステラーゼ (PME) は室温~60℃で乾燥後もある程度活性を維持していた.また, だいこん中にはエキソポリガラクチュロナーゼ (exo-PG) が存在していた, そのため, 予加熱および乾燥によるペクチンの比粘度の低下は, PMEおよびPGの作用によりぺクチンが低分子化したためと思われる.
    3) 加熱調理したとき煮汁中に溶出するペクチンは, 生が最も多く, 次いで切り干しだいこん, 予加熱だいこんの順であった.しかし加熱後のだいこん中にはかなりの量のペクチンがカルシウムなどの影響で残っており, それを分別抽出するといずれの場合も, おそらく低分子化のためA区分が増加し, 加熱時間が長くなるに従ってB区分が減少した.A, B区分の比粘度は生を加熱したものが最も低くなりやすかった.
    4) 60℃2時間予加熱するとPMEの作用により, かなりの量のメタノールが浸漬液中に遊離し, だいこん中のペクチンのエステル化度は低下した.A区分のエステル化度はB区分のそれより高く, A, B区分とも予加熱や乾燥することにより低下した.
    5) チオバルビツール酸反応はA区分のほうがB区分より強い.また, 生だいこんが最も陽性で次いで予加熱, 切り干しの順であった.
    以上の結果から, だいこんを60℃で予加熱したり, 室温で風乾したりすると加熱調理したとき軟化しにくくなるのは, PMEの作用によりペクチンのエステル化度が低下し, 加熱調理してもペクチンがβ-脱離による分解を起こしにくくなること, また, エステル化度が低くなるため, カルシウムやマグネシウムなどによりペクチンゲルが強固になることがおもな原因であると考えられる.
  • 米の調理に関する研究 (第5報)
    貝沼 やす子, 関 千恵子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1039-1047
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 蒸らし直後の飯の糊化度はいずれも似ており, 十分に炊けた飯の糊化度を示した.24時間経過すると蒸.らし直後の飯より低い値となり, 老化が進んだごとを示しており, 沸騰継続時間が短い場合により目立った.
    2) 80%エタノール可溶性の還元糖量は, 緩慢加熱のLにおいて多くなり, その成分もグルコースが多く, デンプンの分解がかなり進んでいることを示している.
    3) 蒸らし2時間後の飯はS, M, Lともに沸騰継続時間が長くなるほどやわらかくなる.24時間経過するといずれもかたくなるが, かたさの変化の程度はL, MとSで少し異なった挙動を示し, 糊化の進み方およびそれに伴う構造変化に加熱速度が影響していることが予測された.
    凝集性の値はいずれの場合も24時間経過すると蒸らし2時間後の飯よりも低い値となり, その変化はかたさの変化とよく対応していた.
    付着性は蒸らし2時間後の飯はMが最も高いが, 24時間経過するとSの付着性はなくなり, MもLより小さな付着性を示すようになり, LとMの飯粒表面の状態は必ずしも同質でないと思われた.
    4) 官能テストにおいて, S, LともにMと同様98℃以上の温度に20分以上おかれると, 味覚的に有意の差は認められなくなった.
    5) 顕微鏡による観察の結果, かたい飯であると評価されたS-15分, L-10分の飯粒は, 中心部にまだ膨潤が十分でない組織がみられた.飯粒表層部には溶出物が付着しており, この溶出液の濃度が飯粒の水っぽさ, 付着性の多少に大きく関係していると思われた.
    以上のように, 沸騰に至るまでの時間の長短が飯の性状に影響を与えていることがわかったが, 一応の評価を得る飯を炊くのに必要な沸騰継続時間は, 沸騰に至るまでの時間のいかんにかかわらず, Mと同じように98℃以上に20分はおく必要があることが明らかになった.また, M'の結果から沸騰初期は, 単に沸騰状態を維持できる最低の熱量ではなく, 一定量以上の十分な熱量を与えて加熱すべきであることも, 無視できない条件である.本実験の条件として沸騰に至るまでの時間を変えており, この点の影響がでることを予測していたが, 最終的には大きな影響はなかったようである.しかし, Lの糊化度が他より高い傾向にあり, 80%エタノールにより紬出される還元糖量が極端に多いこと, Sの24時間経過によるかたさ等のテクスチャーの変化がM, Lとは異なっていることなどから, 加熱速度の違いが米デンプンの糊化の過程に微妙な影響を与えているのは確かなことのようであり, 今後の検討の課題として考えていきたい。
  • 被服材料の熱伝導持性に関する基礎的研究 (第3報)
    妹尾 順子, 米田 守宏, 丹羽 雅子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1049-1061
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In this study, in the first place, the validity of the initial maximum value of heat flux, qmax, as an objective measure of warm/cool feeling when human skin touches on fabrics is confirmed by sensory test. Nextly, relations between qmax and basic mechanical properties for many kinds of fabrics of six uses are examined. As a result, fairly high correlations between qmax and thickness, weight, compressive properties are obtained.
    Experiments to obtain qmax are carried out for various fabrics which differ in type of fiber, yarn structure and fabric structure under standard condition and wet condition. From the results of fabrics which have almost the same fabric construction and vary in fiber material, it is found that the behaviours of moisture regain vs. qmax are divided into three groups. It is remarkable that qmax of linen is higher and that of wool is lower. The warm feeling of wool and the cool feeling of linen can be explained from these results. However, the dependence of the behaviour of qmax of wet fabrics on fabric and yarn structures is not so strong as in the case of thermal conductivity reported in the previous paper.
  • 界面活性剤による液晶形成と油性汚れの洗浄機構 (第2報)
    山田 泉, 黒岩 茂隆
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1063-1067
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In a previous work, it was recognized that the formation of liquid crystalline phases played an important role in a fatty soil detergent action. In the present work the temperatures, at which liquid crystalline phase appears in the ternary system, surfactant-water-fatty soil, have been determined at various concentrations of the surfactant using a differential scanning calorimeter (DSC). The structures of liquid crystal have been determined by the observation with a polarizing microscope. Samples used are sodium dodecyl sulfate (SDS) as a surfactant and the mixture of palmitic and stearic acids, 4 : 1, as a model soil. The results showed that two kinds of liquid crystals, a middle phase and a neat phase, were formed depending on the concentrations of SDS and temperature. The SDS concentration dependences of TM and TN, the temperatures at which the middle phase and neat phase were formed respectively, were investigated together with the conversion ratio of the model soil from a solid state into a liquid crystallin state. It was proved consequently, that for fatty soil removal the formation of the neat phase was preferable but not that of the middle phase.
  • 本縫いミシン縫製における縫い目線の長さの変化 (その2)
    福澤 素子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1069-1076
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ミシン針による布地の貫通に伴って生ずる歪みが, 縫い縮みの原因となることは予測されていたが, 実際に縫製された試料において, それを実証した報告はみられないようである.そこでミシン針とミシン糸の貫通に伴って生ずる歪みによって, 縫い縮みが引き起こされていると思われる布地が実存することがわかったので, そのような縫い縮みに対する, ミシン針とミシン糸の影響や縫い目密度の効果等を検討した.
    またミシン針だけで空縫いした布地の縮みの性質を調べて, 貫通歪みと縫い縮みとの関係を検討した.さらにまた, どのような布地の場合に, 貫通歪みによる縫い縮みが起こりやすいかについても若干の検討を行った.
    本報告で得られた知見のおもなものは次のとおりである.
    1) 上糸張力と縫い目密度を, 幅広く設定して縫製して得た試料の縫い縮みを検討することにより, 貫通歪みによる縫い縮みの存在を実証することができる.
    2) 貫通歪みによる縫い縮みがみられる布地においては, 縫い目密度が一定の場合, 縫い縮み率y (%) と上糸張力x (g) との問には下の式で表される関係が成り立つ.ここでacはそれぞれ1針目の長さと縫い目密度と密接な関係がある.
    y=ax2+c;ただしa, cは定数
    3) 貫通歪みによる, 縫い縮みの起こりやすさの指標として, 上糸張力0gという仮想的ながら一定の縫製条件での縫い縮みの値 (上の式の定数6に相当する) を用いるのが便利であり, 縫い目密度が小さい領域では0の大きさは縫い目密度に比例する.
    4) ミシン糸の太さのみならず素材が, 貫通歪みによる縫い縮みに影響を及ぼし, 同じ50番のミシン糸でくらべると, 絹糸くポリエステル (f) 糸く綿糸の順にその影響が大きい.
    5) 貫通歪みによる縫い縮みがみられる布地の場合の, 縫い縮みに対する縫い目密度の効果は, 上糸張力の大きさによって異なる場合もある.
    6) ミシン針とミシン糸による布地の貫通歪みは, 織糸の移動と布地の起伏を伴う.
    7) 貫通歪みによる縫い縮みの発生は, ミシン針で空縫いすることにより予知できる.
    8) 貫通歪みで縫い縮みが起こる布地は, あらかじめ水洗することによって, その縫い縮みの発生を抑制でぎる.
  • 被服における図柄のイメージ (第2報)
    吉岡 徹
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1077-1084
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    和服における縞柄のイメージを測定し, 同じ色柄の洋服のイメージとの比較を行った.その結果, 赤は「派手な, クリアーな」, 黒は「地味な, クリアーな」, 緑は「洗練されない, クリアーでない」, 青は「洗練された, クリアーでない」となり, 洋服ではまず縞柄の太さによりそのイメージが規定されるのに対し, 和服では色により規定される等, そのイメージ構造に違いがみられた.
  • 子供部屋に関する研究 (第1報)
    中島 喜代子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1085-1094
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to grasp how greatly children change in their way of possession, use and directional intention of their room as they grow older, and to make clear how change in sex, and change in directional intention of mothers and children.
    In this paper, the children (fifth-grade pupils, sixth-grade pupils, eighth-grade pupils and eleventh-grade pupils) and their mothers have been inquired.
    The following results were obtained.
    1) Most children who are fifth-grade and sixth-grade have the children's room and most eleventh-grade have their own room.
    2) Children use their own room as anybody can come and go there. And children take care of their own children's room for themselves and control almost their private life in their own children's room as they grow older.
    3) It has been found that the rate of possession of children's room is not different by sex, but how to use them is not the same by sex.
    4) It has been found that children's view of the functions of children's room is different from mothers' one, and some problems exist on mothers' side.
  • 家政学における国際交流
    中浜 信子, 石毛 フミ子, 天野 貴子, 足立 己幸, 佐用 紅実子, 中村 よし子, 小西 英子, 安藤 美紀子, 猪又 美栄子, 居城 ...
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1095-1110
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 家政学の立場から感じたこと
    松村 祥子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1111-1113
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 森内 幸子
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1115-1119
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 逸見 武光
    1986 年 37 巻 12 号 p. 1121-1124
    発行日: 1986/12/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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