総合健診
Online ISSN : 1884-4103
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38 巻, 6 号
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原著
  • 堀江 秀茂, 柴田 洋子
    2011 年 38 巻 6 号 p. 719-726
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
     当施設で2007年4月から2011年3月に健康診断を行った40-59歳日本人女性でCRP値が0.0mg/dlであった400人、988サンプルのデータを対象として、平均赤血球容積(mean corpuscular volume、MCV)と平均赤血球ヘモグロビン量(mean corpuscular hemoglobin; MCH)の下限を検討した。血清鉄90μg/dl以上の階層では、ヘモグロビン濃度、MCV、MCHは、それぞれ、13.6±0.8g/dl、91.3±3.6fl、30.2±1.4pgであった。ヘモグロビン濃度、MCVおよびMCHが血清鉄90μg/dl以上の階層のそれと比較して、有意に低下し始める血清鉄の階層は、それぞれ、65-74μg/dl(ヘモグロビン濃度;13.0±0.9g/dl、p=3.3E-05)、65-74μg/dl(MCV;89.1±6.1fl、p=2.8E-04)、75-84μg/dl(MCH;29.5±1.7pg、p=1.4E-04)であった。血清鉄が35-44μg/dlの階層で、ヘモグロビン濃度、MCV、MCHは、それぞれ、12.0±1.0g/dl、83.8±5.7fl、26.7±2.3pgであった。血清鉄を目的変数とし、ヘモグロビン濃度、MCVまたは、MCHを説明変数として、重回帰分析を行った。得られた2種の回帰式を血清鉄90μg/dl以上のサンプルのデータに導入し血清鉄を予測した。予測血清鉄値が基準内となるためには、ヘモグロビン濃度12.0g/dlのときには、MCVとMCHの下限はそれぞれ、88.9fl、29.0pg、ヘモグロビン濃度12.8g/dlのときには、MCVとMCHの下限はそれぞれ、84.8fl、27.9pgと算出された。従って、40-59歳で貧血を呈している女性については、MCV≤90fl且つ/またはMCH≤29pgを示す場合には、小球性貧血と評価されるべきと考えられる。
  • 今枝 さふみ, 林 務
    2011 年 38 巻 6 号 p. 727-736
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/09/01
    ジャーナル フリー
     臨床検査は疾病の診断、治療、予後の推定などに使用されているが、その判断の元となる基準値には、集団から求めた基準値が使用されている。このため、変化がわずかであるため異常な変化を認識できない場合や、基準値を超えたが為に過剰に精密検査を勧めることが健診現場などで見られている。今回我々は、連続して得られた検査値から個人基準値を求め、微細な変化を捕らえられるかを検討した。その結果、集団の基準値では異常と認識できないが個人の基準値を用いることで異常として認識することが可能であると考えられ、集団から求めた基準値でなく、個人の基準値による判定が有用であると考えられた。個人の基準値を作成するには、同じ測定法による連続した検査値を得ることが条件となるが、複数の施設に渡って検査が行われている現状としては、同じ測定法による事は不可能であり、継続した検査値を得て個人の基準値を算出するためには、現在各施設で実施または参加している内部精度管理や外部精度管理調査だけではなく、ISO15189の取得による検査値の保証も行うことで、より安定した検査値を提供することが必要であると思われた。
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