総合健診
Online ISSN : 1884-4103
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48 巻, 3 号
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調査報告
  • 和田 眞理子, 鈴木 幸, 中江 理絵, 白石 恒人
    原稿種別: 調査報告
    2021 年 48 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     当施設では2011年4月に子宮頸部がん検診にLBC法およびベセスダシステム分類を導入し、2016年3月までの要精検者197人の精検後の治療施行状況を検証した。要精検率は1.1%で若年者に高い傾向であった。要精検者のベセスダシステム分類別割合はASC-US 37%・LSIL 41%・ASC-H 2%・HSIL 17%・AGC 3%であった。

     主に紹介状返信から検証した精検後の治療状況は子宮摘出施行が3人(ASC-Hの25%・AGCの33%)であった。円錐切除施行が30人(ASC-USの10%・LSILの7%・ASC-Hの50%・HSILの42%・AGCの15%)で扁平上皮系高度異常に施行率が高かった。一方で円錐切除施行者における検診時のベセスダシステム分類別割合をみるとASC-USが23%・LSILが20%計43%、ASC-Hが7%・HSILが47%計54%、AGCが3%となり、扁平上皮系軽度異常が扁平上皮系高度異常に近い割合を占め意外に多かった。

     検診受診から治療施行までの期間は円錐切除ではASC-H・HSIL・AGCの殆どが6カ月以内、LSILは検診後1年~2年が最も多く、ASC-USは検診後3カ月以内から4年~5年後まで幅広く分布していた。

     若年者に要精検率が高いこと、細胞診の扁平上皮系軽度異常のASC-US・LSILは円錐切除等の治療施行率は高くないが円錐切除施行者の中に占める割合が意外に多いこと、症例ごとに異なる経過観察期間の後に円錐切除施行に至っていることより、すべての要精検者を確実に婦人科医療機関受診に繋げることにより、精検および適切な経過観察がなされ、必要な場合には適切な時期に治療が行われるようすることが非常に重要であり、そのことが若年者においては妊孕性が温存される円錐切除術による治療施行の可能性を担保することとなると思われる。

大会講演
日本総合健診医学会 第49回大会
  • 久米 春喜
    原稿種別: 大会講演
    2021 年 48 巻 3 号 p. 319-324
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     健康診断、人間ドック等々で行われるスクリーニングで初めて見いだされる泌尿器科関連の疾患は意外と多い。

     尿検査では尿潜血反応、尿蛋白、尿糖が主なものである。尿蛋白陽性により腎臓病関連疾患、尿糖陽性により糖尿病など尿検査は泌尿器科のみならず全身疾患の発見にも役立っている。さらに尿沈渣で顕微鏡的血尿が認められた場合は、膀胱癌、尿路結石などの泌尿器科疾患の発見につながることも少なくない。

     血液検査ではクレアチニンなどの腎機能、PSA等が挙げられる。PSAは前立腺癌の腫瘍マーカーで前立腺癌の早期発見に大きく役立った。最近、米国でPSA検診がやや下火になりその結果、転移症例が増加しているという報告があったことは注目すべきである。

     超音波検査では腎腫瘤、膀胱腫瘍、前立腺肥大症などが発見される。超音波検査での腎腫瘍の偶然発見(偶発癌)はとてもよく知られたことであるが、膀胱癌も比較的多く発見されていることには注意すべきである。しかし膀胱の超音波検診では、膀胱を尿で充満する必要があり、尿検査の前に行う必要がある。他の検査との兼ね合いで、実施が難しいことも多いことも確かである。今後は下腹部も検討される施設が増えることが望まれる。

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