日本総合健診医学会誌
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26 巻, 3 号
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  • 田嶋 基男, 大原 毅, 倉本 秋, 下山 省二, 中丸 生行, 近藤 伸宏
    1999 年 26 巻 3 号 p. 231-240
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    1, 267例の内視鏡下生検組織について, 固定前塗抹Giemsa染色, 固定後組織標本に対するHE染色, Giemsa染色, Gimenez染色, AgNORs染色を行い, 全例油浸レンズで検索した。Helicobacter Pylori (H.p.) の検出率は塗抹Giemsa標本に最も高く, 次いで組織Giemsa標本であった。陽性率は40歳以後高くなる。胃炎および胃癌では組織Giemsa標本でみるとともに陽性率は50%台であり, 胃潰瘍では高く, 特に活動期に高く, 治癒期, 瘢痕期と漸減する。AgNORs染色により, 蛋白産生能力の検査の一法として観察すると, ドット数はH.p.の存否とは, どの疾患も関係なく, 悪性に転化する一指標と考える直径3μm以上の大型ドットは, 胃癌では各組織型ともに, H.p.陽性例に2~4倍高率に認められた。以上の成績から, H.p.は, 胃癌に対するinitiatorとは考え難く, promotorである可能性を示した。また, 胃潰瘍再生上皮も, ややそれに近い数字を示した。
  • ―性, 年代別の検討―
    山本 佳代, 津下 一代, 高須 和生, 田中 孝子, 小石原 坦代, 桑原 正喜, 安野 尚史
    1999 年 26 巻 3 号 p. 241-245
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    糖尿病スクリーニングにおける1, 5-Anhydroglucitol (以下AG) の性, 年代別のカットオフ値について検討を行った。
    当センター総合健診受診者を対象に, AGの空腹時血糖値 (以下FPG) との関係, 性差, 加齢の影響を検討した。その結果, AG値はFPG高値群で低値となる傾向を示した。女性は男性より低値を示し, 特にFPGが110mg/dl未満の群では有意な男女差が認められた。また, AG値は加齢に伴い低下する傾向を示し, FPGが100dg/ml未満の群では有意な年代差が認められた。これらの成績は従来の報告と同様であった。
    次に, 糖負荷試験施行者を対象に, AGを測定した。糖負荷試験の成績から対象をWHO基準により糖尿病群, 耐糖能異常群 (IGT群) , それ以下の群 (NGT群) に区分し検討した。その結果, AG値はNGT群, IGT群, 糖尿病群の順に低値を示し, 健診時のデータと同様に女性は各群で男性より低値を示した。加齢の影響はいずれの群においても認められなかった。
    健診のFPG正常群ではAG値が加齢に伴い低下する傾向を認め, 糖負荷試験のNGT群ではその影響を認めなかった。後者の成績を考慮すると, 前者のAG値の低下は加齢による生理的な変化ではなく, FPG正常群の高年齢層に潜在的な耐糖能異常者が含まれるためと考えた。
    以上より, AGのカットオフ値は年齢の考慮は不要であるが, 男女別に設定するのが望ましいと考え, そこで今回の成績を基にROC分析で男女別にカットオフ値を求めると, 男性は15.0μg/ml, 女性は13.8μg/mlであった。このカットオフ値は, 従来の値に比べて, 特異度が約3%低下するものの, 感度は約3%上昇し, 健診の糖尿病スクリーニングには適していると考える。
  • 汐碇 優, 杉山 英明, 四村 浩一, 神田 泰一, 樫原 英俊, 田村 政紀
    1999 年 26 巻 3 号 p. 246-249
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    臨床検査の分析精度は自動分析装置の発達にともなって大きく改善されたが, 測定試薬の多様性にともなって, 試薬間の誤差は依然として解消されない状態にある。試薬間差の原因には, それぞれの試薬に添付される標準物質にバラツキの原因があると指摘されており, 今回われわれは, 同一の標準物質を使用することによりこの誤差は解消されるかどうかを検証した。
  • 菅沼 源二
    1999 年 26 巻 3 号 p. 250-282
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    予防医学の目標は, 二次予防から一次予防へと移行を迫られている.
    一次予防の目的を達するためには, 発症前診断, 発症の予知・予測を迫られることになるが, 集団の基準範囲をもって疾病の動静を把握しようとする現在の臨床検査成績では, その責めを果たすことはできない.
    そこで, 集団の基準範囲を設定する際に選出され, 母集団を構成する構成要素としての「個人の基準値」に着目し, 集団の基準値内にある個人の基準値と比較し, あるいは, 個人の継続データの前回差のトレンドを追求することにより, 集団の基準範囲の中にはあるが, 刻々と異常域値に向かってシフトしていく「個人の成績」によって, 異常 (異常値の以前に) 発症を予測し, 回避の警告を発することができないかの検討を行った.
    そのためには, まず, 測定ごとに測定単位の異なる測定値を, すべて同一レベルで比較可能になるように「スコア化」し, さらに「視覚化」し, すべての定量検査の測定値を, 「医師」にも「患者・受診者」にも共通した「ことば」=「NHKのニュースのような標準語」に置き換えることを試み, 健康危険度予測のための標準的表記法としての表示の方法を提案した.
  • 光宗 皇彦, 藤原 武, 松尾 和美, 森川 明子, 妹尾 悦雄, 萱嶋 英三, 赤木 公正, 高村 謙一, 原 一穂, 原 義人
    1999 年 26 巻 3 号 p. 283-294
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    総合健診においては, 受診者の問診から診察までの詳細な情報を正確に把握し, 的確にまとめて, 総合判定および事後指導に反映させる必要がある。当施設では, 新しいコンピューターシステムを導入し, この中で自動化健診を含む人間ドックにおいて自動判定支援システムを開発した。
    問診および計測情報の入力には, 光学式文字読取装置 (OCR) およびICカードを採用した。
    自動判定支援システムの構造は, 器官別に12章42項目からなる。総合判定用文章としては694文章設定した。判定は前述1項目に対して1文章とした。判定の重い要治療, 要精検の文頭に「◎」, 要再検の文頭に「○」を付けることで, 重要なコメントに注意を向けるように配慮し, 総合判定には判定区分の重いものから順に並べた。食事および嗜好品に関するコメントはまとめて最後に行った。基本的には, 治療状況を治療中, 医療機関で経過観察中, 未治療に分け, 主治医がいれば, 主治医のもとで治療継続, あるいは経過観察とした。
    疾病分類は, プライマリ・ケア国際分類 (ICPC) の中から512種類の3桁の病名コードを選択し, さらに小分類として4桁のコードを518種類設定した。その内訳は, 593種類の疾患名の他, 手術名, 症候名, 検査名, 検査所見名等も設
    定した。
    今回の開発改良により, 以下の効果が得られた。1) 前回までのカルテの準備が不要になった。2) カルテの作成作業が不要になった。3) カルテの保管スペースが空いた。4) 問診における受診者の負担が減った。5) カルテ改訂のたびに既往歴等を写し換える作業がなくなった。6) 手入力によるミスがほとんどなくなった。7) 判定において, 問診情報の見落としがなくなった。8) 判定において, 同一医師の異時性の相違と医師間の差がなくなった。9) データのグラフ化により面接指導がやりやすくなった。10) 結果報告書完成までの時間が従来の約6分の1に短縮された。
    自動判定された結果報告書を医師により手直しされたのは2, 331例中3例とほとんどなかった。結果の送付までに要する日数もかなり短縮された。
    自動判定ロジックのファイル形式はCSV形式であるため, 容易にロジックの組換えができる。このため, 判定ロジックがユーザーの意に沿わない点があった場合の微調整や新しい検査等パラメーターの追加は容易である。今回開発の自動判定は, パラメーターが多いためきめ細かく判定される反面, パラメーターの入力への負担がある。現在まだキーボードからの入力が必要な部分があり, その作業が若干煩雑になっているので, 将来的にはOCRで対応したいと考えている。
  • 田村 政紀
    1999 年 26 巻 3 号 p. 295-310
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 日野原 重明
    1999 年 26 巻 3 号 p. 311-313
    発行日: 1999/09/27
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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