総合健診においては, 受診者の問診から診察までの詳細な情報を正確に把握し, 的確にまとめて, 総合判定および事後指導に反映させる必要がある。当施設では, 新しいコンピューターシステムを導入し, この中で自動化健診を含む人間ドックにおいて自動判定支援システムを開発した。
問診および計測情報の入力には, 光学式文字読取装置 (OCR) およびICカードを採用した。
自動判定支援システムの構造は, 器官別に12章42項目からなる。総合判定用文章としては694文章設定した。判定は前述1項目に対して1文章とした。判定の重い要治療, 要精検の文頭に「◎」, 要再検の文頭に「○」を付けることで, 重要なコメントに注意を向けるように配慮し, 総合判定には判定区分の重いものから順に並べた。食事および嗜好品に関するコメントはまとめて最後に行った。基本的には, 治療状況を治療中, 医療機関で経過観察中, 未治療に分け, 主治医がいれば, 主治医のもとで治療継続, あるいは経過観察とした。
疾病分類は, プライマリ・ケア国際分類 (ICPC) の中から512種類の3桁の病名コードを選択し, さらに小分類として4桁のコードを518種類設定した。その内訳は, 593種類の疾患名の他, 手術名, 症候名, 検査名, 検査所見名等も設
定した。
今回の開発改良により, 以下の効果が得られた。1) 前回までのカルテの準備が不要になった。2) カルテの作成作業が不要になった。3) カルテの保管スペースが空いた。4) 問診における受診者の負担が減った。5) カルテ改訂のたびに既往歴等を写し換える作業がなくなった。6) 手入力によるミスがほとんどなくなった。7) 判定において, 問診情報の見落としがなくなった。8) 判定において, 同一医師の異時性の相違と医師間の差がなくなった。9) データのグラフ化により面接指導がやりやすくなった。10) 結果報告書完成までの時間が従来の約6分の1に短縮された。
自動判定された結果報告書を医師により手直しされたのは2, 331例中3例とほとんどなかった。結果の送付までに要する日数もかなり短縮された。
自動判定ロジックのファイル形式はCSV形式であるため, 容易にロジックの組換えができる。このため, 判定ロジックがユーザーの意に沿わない点があった場合の微調整や新しい検査等パラメーターの追加は容易である。今回開発の自動判定は, パラメーターが多いためきめ細かく判定される反面, パラメーターの入力への負担がある。現在まだキーボードからの入力が必要な部分があり, その作業が若干煩雑になっているので, 将来的にはOCRで対応したいと考えている。
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