聖路加国際病院予防医療センターでは, 「ストレスに関する質問表-第1版」を全受診者に施行している。この質問表では単にストレスの有無や程度を質問するのではなく, 特に, 健診でも指導できる対処様式を評価することを目的とした。具体的には, あらかじめストレスへの対処の仕方として, 積極行動コーピング・気晴らしコーピング・あきらめコーピング・回避コーピングの4因子を想定し, それぞれを代表するであろうと思われる質問を3項目ずつ作成した。その回答を単純に1-4点と割り振って得点化し, 検証的因子分析の手法を用いて因子分析を行った。その結果, 12項目のうち2項目が当初想定した以外の因子への負荷を示したが, それ以外は想定した4因子構造が統計的に当てはまることが示された。次に, 各項目から4つの因子への重み係数が, 因子負荷量を基に算出された。その結果, 積極行動コーピングの因子得点の平均点は66.3±18.4 [33-132] 点, 気晴らしコーピング, 36.2±9.3 [21-78] 点, あきらめコーピング, 38.8±11.1 [22-88] 点, 回避コーピング, 25.9±7.9 [14-55] 点となった。因子間の相関について検討した結果, 「あきらめコーピング」と「回避コーピング」の相関が高く (γ=0.83) , これら2つの因子は共に, 消極的な対処行動を表すものであると考えられた。
以上の結果から, 本テストは, 構造的な妥当性を持ち, かつ比較的簡便に実施できるテストであると言える。今後は, 本テストを用いて検診受診者に対してフィードバックを行い, コーピングスタイルやライフスタイルに対する指導が可能になると考えられる。
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